更新が遅れた理由といたしましては「部屋の広さ」と「お給料」と「覚える事」の3つが増えたという事で察して頂ければと思います。
私個人の環境が変わったからといって失踪するという事は無いのでご安心下さい。
そして、私が覗いていない間にUA10万&お気に入り1500件突破!
感謝感謝…これからもどうぞよろしくお願いします。
「ふぅ…」
ローマンの埠頭襲撃からおよそ2週間が経過し、休暇も残すところ今日のみとなった。
現在は朝の7時、ラグナはチーム編成試験が行われた「エメラルド・フォレスト」に足を運んでいた。10月下旬のこの時間、太陽は顔を出したが、依然として肌寒さが拭えない。そんな中でラグナが行なっていた事は、「ソウルイーターの出力調節訓練」である。いかに相手が人だからといって、力を出し惜しみして勝てるなら苦労はしない。しかしながら、以前遭遇したホワイトファングの仮面の男や件のニオと呼ばれた少女など未曾有の敵に遭遇する危険もある。オズピンの話していたセイラムについても、わからない事が多過ぎる為、使える手立ては多い方が良い。
ソウルイーターの能力は周囲の生物から生命力を削り取り、最終的には名前の通り魂を喰らい、自身の糧とする。この世界では、魂を源とする力であるオーラが存在する為、生命力の前にオーラを喰らうようだ。
オーラは通常でもダメージを遮断したり、センブランスを使用すればするほど消費されていくため、ラグナのソウルイーターのアドバンテージは相手のオーラを削ぎ、枯渇させやすくなるという点である。また、魂を持たないはずのグリムの生命力も喰らう事ができるが、魂を持たないとされるグリムについては未解明な事が多く、何処から生命力が発芽しているかわからない。しかし、ソウルイーターをグリムに対して使っても自身の生命力が活性化する事から、生命力に関しては人間との違いはないか、もしくは「蒼の魔導書」が有用な形へ変換しているかということになる。
話が逸れてしまったが、当面のラグナの目標はオーラを枯渇させ、抵抗が不可能なレベルまで生命力を削り取る事が出来るようになる事である。
その為には、ソウルイーターがどの程度の出力で、どれぐらい削り取る事が出来るのか把握しておく必要があると考え、人目につきにくい明け方にこうして鍛錬しているというわけである。「エメラルド・フォレスト」はアカデミーの教員によって、グリムの強さで間引きがされている。強敵と戦いたい訳ではなく、あくまで実験として数をこなしたいラグナにとって絶好の場と言えた。
「おら!」
ソウルイーターの刃が勇猛果敢にも飛び掛かってくるベオウルフの頭と胴体に離別を宣告する。ラグナはアラマサを肩に担ぎ、すっかり眩しくなり始めた空を仰いだ。
「結構いい時間になったな。そろそろ戻るか…」
休暇中とはいえ、食堂の利用出来る時間は限られている。余裕のある相手とはいえ、幾ばくかの戦闘で身体には汗ばんだ感覚がある。このまま食堂に向かうのは些か心苦しく思ったラグナは、汗を流す為にも一度自室へ戻った後、食堂へと向かう事を決めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「腹減ったな。つっても食事に困る事はない事を考えるとありがてぇがーーー
ん?」
シャワーを浴び終えたラグナは食堂へと向かう道中で妙な騒がしさを察知した。食堂の方へ目を凝らすと生徒達が何かに怯え、蜘蛛の子を散らすように食堂から逃げ去っていく。
「フードファイトだぁぁ!!!」
喧騒の中から聞こえたそんな声に、ラグナは疑問を隠せなかった。フードファイトというのは、ラグナの知識上は大食い・早食い勝負の事を指して言う。一時期タオカカと共に旅をしていた際、食費が嵩み過ぎて首が回らなくなり、食費問題を解決するためにタオカカを出場させた事があるため、ラグナにとっても縁のない話でもない。それも、今となっては話のタネになる良い思い出である。
そんな事を追想しながら、多くの生徒が食堂から飛び出してくる様子に違和感を覚えつつも食堂のドアを潜った。するとそこではラグナの予想だにしていなかった光景が広がっていた。
至る所から爆弾が降り注ぎ、グローブを嵌めたヤン、剣を携えたブレイクがそれを防ぐ。ノーラがハンマーを容赦なく振るいヤンを打ち上げ、それに対抗したワイスがレイピアを手に大立ち回りを披露している。尚、ジョーンは以下略。ピュラの号令で鉄屑の鞭がチームRWBYを襲い、ブレイクが鉄の嵐によって壁へと打ち付けられる。
お返しとばかりにルビーが駆け出す。「高速移動」のセンブランスの巻き起こした風により、ピュラの使った鉄屑、残骸達がルビーと共に渦となってチームJNPRを穿とうとーーー
「何やってんだおめぇ
ラグナは思わず叫んでしまう。それもそのはず、襲い来る爆弾やノーラのハンマーは
「ってそんなわけあるかぁ!!」
「あれ?
ラグナ、どうしたの?」
ルビーの呑気な声がラグナの鼓膜を揺らした。気付けばルビーだけでなく、2チームの全員が不思議そうな顔でラグナを見つめている。するとそこへ、ノーラによって打ち上げられていたヤンが墜落し、けたたましい音をたてて机と食器が更に散乱した。
全員が笑いに包まれる中、唯一ピュラのみがラグナの言わんとする事が分かっているのか、気まずそうに笑みを引きつらせながら目を逸らしている。ラグナは笑い合う皆へ歩み寄るとーー
ゴンッ「いだっ!」
ゴンッ「いたっ!」
ゴンッ「ゔっ!」
ゴンッ「あだっ!」
ゴンッ「ぎゃ!」
ゴンッ「ぎょぇ!」
ゴンッ「うっ!」
ゴンッ「きゃっ」
全員に拳骨を放った。八者八様の呻き声を上げ
「いった〜…
ラグナ!なにするの!?」
「そうですわ!急に殴るなんて…」
「当たり前だ!」
即座にルビーとワイスから非難が飛ぶが、それが言い終わる前にラグナの怒号が放たれた。ラグナの怒りを察したのか、非難を口にした2人はびくりと肩を震わせた。
「お前ら、周り見てみろ」
ラグナの促しにより、周りを見渡す面々。元々察しが付いていたらしきピュラを筆頭に、徐々に自分達がどれほどの騒ぎを引き起こしていたのが気付き始めた。
「休み最終日で気持ちが昂ぶってるのはわかるが、食堂にいた奴らが全員逃げ出すほどの騒ぎ起こしといて許されるとは思っちゃいねぇな?」
「たはは…ちょーっとやり過ぎちゃったかもね…」
ヤンが歯切れの悪くはにかみ、他もそれぞれラグナの怒りに理解が及んできた様子だった。それによりラグナも怒りを鎮めるようにため息を吐いた。
「はぁ…
人の迷惑かけ過ぎないようにやるならかわいいもんだが、今回は流石に度が過ぎたな。あと俺が特に怒ってる理由としては、お前らのせいで大量に無駄になっちまった食料があるって事だ」
ラグナにとって、食料というのは生きる手段そのものであり、決して無駄にする事は許されないものであった。獣兵衛との修行の日々であっても、「死神」として追われている時であっても、当然この世界に来てからもである。特にタオカカと共に旅をしている間は常に食糧難で、「食い過ぎだ!」と怒ることもあったが、タオカカは食べ物を無駄にはせず「美味しいニャス!デリシャスニャス!」と嬉しそうに食べるものだから本気で怒るということはなかった。
だからこそ、食べ物を粗末にする事はラグナにとっては許せない事柄であったのだ。
「食べ物を粗末にしてはいけません」
『はい、ごめんなさい(ですわ)』
そのラグナの言葉には、全員が素直に謝罪し、頷いた。
「ブラッドエッジ、話は終わりましたか?」
ラグナの背後から声がかけられる。振り向くと、厳しい表情をしたグリンダと対照的な微笑みを浮かべたオズピンの姿があった。
「騒ぎを聞きつけて来てみれば、まったく…」
グリンダが手を額に当て、悩ましさを表現する。
「言葉を重ねるつもりはありません。各々猛省するように」
8人がその言葉にピシリと背筋を伸ばした事を確認するとグリンダは手に持つ杖を振り、散乱した机や食器をセンブランスである〈テレキネシス〉で整頓していく。
そのまま全てを元通りーーー
「今回私がするのはここまでです。この騒ぎの罰も兼ねて、残りはここにいる面々で掃除する事を命じます」
とはいかなかった。
「そんなぁ…」や「あんまりだぁ…」などと泣き言が聞こえてくる。
「まだ午前中ですし、全員で協力すればお昼には終わるでしょう」
「ま、今回は反省して言う通りにするんだな。じゃ、俺は他で朝飯でもーー」
ラグナはヒラヒラと手を振りながら立ち去ろうとしたが
カチャリ…
グリンダの眼鏡を上げる音が嫌に響いて聞こえた。
「どこに行くのですか?ブラッドエッジ?」
「どこって、飯を食いに…」
「私は『ここにいる全員で』と言いましたよ。貴方も監督不行き届きという事で罰を命じます」
「え?」
呆け顔のラグナを尻目にスタスタと食堂を出て行くグリンダ。その後を追うように動いたオズピンの顔が、いつの間にか微笑みからニヤケ顔に変わっていた。
「彼女は意外と根に持つタイプだからね。あまり煽らない方が身の為だよ?」
その言葉に心当たりがあるラグナは
「ちくしょぉぉぉおおお!!!」
心の底から叫ぶ事しか出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
食堂から出たグリンダとオズピンは、遠目の窓越しに見える生徒達を見つめていた。
「まったく…あの子達は世界の守護者たる人間なのに…」
「いずれそうなる。今は楽しい時間を過ごさせてやろう。そのうち…否が応でも向き合う時が来るのだから…」
「「じゃあ私達の料理も食べてね!兄様!」」
「お前らのは『食べ物』じゃないからダメだ!」
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では、恒例の謝辞を
今回も読んで頂きありがとうございました。
また次回