元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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大変お待たせして、申し訳ありません。
YouTubeのRWBYの原作動画が最近まで日本のネット回線から見られなくなってしまった事。更には仕事の繁忙、新ウイルスの流行で忙しくなってしまい、ここまで遅くなってしまっていました。
大変お待たせして申し訳ありません。
公式動画の更新で無事に見れるようになった事でモチベーションが回復しましたので再開していきます。


ヘイヴンからの留学生

「クソ…グリンダめ…覚えてやがれ…」

 

 一通り叫び終わったラグナは冷めやらぬ憎まれ口もそこそこにルビー達に向き直った。

 

「仕方ねぇ。グリンダも言ってた通り、まだ早い時間だ。全員で超速で昼までに終わらせるぞ」

「えぇ〜、『これ』を掃除するの〜?」

「確かに…これは骨が折れそうね」

 

 辺りを見渡しながらわかりやすく肩を落とすルビーの言葉にヤンが同意する。

 

「机とか食器とかの物は元通りにしてくれてんだ。駄目になった食材とかゴミ、汚れを取れば良い。

あとは…」

 

 ラグナはセンブランスで身体能力を強化し、食堂の入り口に見える人影の前へ移動した。

 

「グリンダの理論で行くと、お前らも罰を命じられた事になるよな?」

「うわっ!」

 

 入り口では先の埠頭で共闘したサンと青髪の少年がこちらを覗いており、突然目の前に現れたラグナに目を見開く。ラグナは構う事なく2人の首根っこを乱雑に掴むと皆の集まっているところまで引きずって連れてきた。

 

「何すんだラグナ!

離せぇ!」

「サン?」

「お、おう、おはようさん。ルビー、ブレイク、みんなも」

「おはよう!

ヴェイルには慣れた?」

「ぼちぼちな。ヘイヴンからダチも来たし」

「そっちの人が友達?」

「ああ」

「ネプチューンだ。よろしく」

「それで…ネプチューン?

ヴェイルは始めてですの?」

「その通りだよ、スノーエンジェル。色々教えてほしいな」

 

 サンから紹介された青髪の少年、ネプチューンは爽やかに述べた。その上でワイスへ向け甘い言葉を投げかける。ネプチューンは顔立ちも整っており、迫られたワイスも満更でもなさそうに照れ笑いを浮かべた。その後ろではジョーンが悔しそうに唇を噛み締めながら、「俺への態度と違くないか!?」と太ももを殴っている。

 その後、サン、ネプチューンとチームJNPRの顔合わせもそこそこにラグナが切り出した。

 

「さて、早めに片付けるぞ!」

「仕方ねぇ、手伝ってやるか」

「まぁ、レディ達が困ってるのは見過ごせないしな」

「でも、何から始めていいかわかりませんね…」

 

 レンの言葉に全員が顔を見合わせる。その中に1人だけ、笑みを浮かべている人物がいた。ラグナである。

 

「言ったろ?

『全員で協力する』ってな」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「それでは、行きますわよ!」

 

 掛け声とともに純白の魔法陣がワイスを中心に広がる。その魔法陣が煌めいたかと思うと食堂全体が白くぼやけた。戦闘で行なっている青のダストの凍結作用の応用を用いて、食堂の表面全体に水を纏わせたのである。

 

「うし!時間との勝負だぞ!

気張れよ!お前ら!」

『了解!!』

 

 ラグナの号令にメンバーが応え、各々振られた持ち場に移動する。

 

 ダストの扱いに長けたワイスは掃除に使用する水の供給。

 スピードを得意とするルビー、ブレイク、レン、加えて分身を作り出すことの出来るサンはその武器を生かし、壁と床の掃除を行う。

 比較的パワータイプであるヤン、ノーラ、そして男手としてジョーン、ネプチューンは床に散乱した食材や普通ゴミの収集を担当。

 ピュラはジュース缶などの特殊ゴミの収集を行なっている。

 ラグナは現場の指揮ともう一つ大切な役割を担う予定であった。

 

「ワイス〜!水〜!」

「そんなに大きな声を出さなくても聞こえますわ。少々お待ちなさい」

 

 ルビーの声にワイスが応え、水が届けられる。言葉はまだ少し厳格さを覗かせるが、2人の表情は柔らかい。あの喧嘩の騒動以降は互いの事を認め合い、許容し合える関係を築けているようであった。

 

「ブレイク、こっち側が終わったので僕はあっちに回ります」

「わかった。サン、そっちは大丈夫?」

「トーゼン…と言いたいところだが…

ちょっと、分身の維持がきつくなってきた…」

「わかった、ここが終わったらフォローに回るからもう少し頑張って」

「お、助かるぜ」

 

 ルビー以外の壁・床掃除班も上手く声を掛け合いながら順調に進めている様子が見て取れた。

 

「ジョーン!そこ集め終わったら次はこっちね」

「はーい!」

「ネプチューン、はい、あんたはこっちね!」

「わかった!」

「…なんか俺達…こき使われてない?」

「言うな…考えないようにしてるんだ…」

「細かい事は気にしなーい!

口よりも手と足を動かせー!」

「「は、はい!」」

 

 ゴミの収集班は女性陣が指示を出して、男性陣が動くなんとも悲しいヒエラルキーが見えた気がしたが、ラグナは見て見ぬフリをした。女性陣が仕事をしてないというわけでも無いようだったし、滞っているようならその時に助け舟を出すつもりでいたが、作業の進み具合的には順調なようであったからである。

 

「ラグナ、大方集め終わったわ」

「お、早えな」

 

 ピュラは元々、役割と能力が噛み合っていたために既に仕事を終え、ラグナに指示を仰ぎに来た。

 

「これはどうするの?」

「缶や駄目になった金属類はこれからやる方法じゃ処分が時間かかるからな。最後に全員でダストボックス行きだな」

「わかった。入り口近くに置いておくわね」

「助かる」

 

 センブランスを利用し、缶や貴金属類を収集していたピュラに礼を述べると、ピュラは笑顔を浮かべ、食堂の外へと集めたゴミを運んでいく。センブランスを使っているとはいえ、山積みになっている缶や金属類を悠々と運ぶ女性の図は中々にシュールなものがあるなとラグナは少し苦笑した。その後もラグナの言った通り、瞬く間に掃除がなされていく食堂。1つの場所を除いてはだが…

 食堂の大掃除も終盤に差し掛かった頃、ほとんどの壁と床を掃除し終えたルビーがラグナの元へと駆け寄ってきた。

 

「ラグナ、掃除はほとんど終わったけど…

『これ』、どうするの?」

 

 『これ』というのは、ラグナの目の前に聳え立つ、食堂の中央に集められた食材達の残骸の山である。

 

「大丈夫だ。ちょっとばかし考えがあってな」

「え…でもこんなのどうやって…」

「へ、まぁ、見てな」

 

 そう言い笑みを浮かべたラグナにルビーもそれ以上何も問わず、いつの間にやらアラマサを背負ったラグナを見つめる。ラグナは残骸の前に歩み寄る。

 

『え…?』

 

 次の瞬間のラグナの行動を見た数名から疑問の声が上がる。それもそのはず、ラグナは積み上げられたゴミの山へ向けて、アラマサを構えたのである。その声を耳に入れながら、ラグナはアラマサを逆手に持つ。

 

「喰い尽くせ!デッドスパイク!」

 

 言葉と共に荒々しく振り上げられたアラマサから巨大な赤黒い獣が現れ、残骸を飲み込んで行く。獣は瞬く間に残骸を喰いきり、獲物を捕らえたサメが水中へと戻って行くように地面に消えていった。

 ゴミとなっていたそのほとんどは食材の類であり、生命力の源になるものである。それをソウルイーターの効果で喰らい、吸収することで一気に処理するという方法を取ったのだ。

 

「うし、これで無駄にせずに済んだな」

『…………』

 

 ラグナは1つ息をつき、アラマサを納める。その後ろでは目を見開き、口をあんぐりと開けて呆然とする、チームRWBY、JNPR、そしてサンとネプチューン。

 

「さて、無事に終わった事だし、さっさとピュラに集めてもらった、缶やら金属類捨てに行って飯だ、飯。昼飯になっちまったが、この前のノーラとレンに連れてってもらった店でも行くか」

『ちょっと待てぇぇ!!!』

 

 今度はラグナ以外の叫びが食堂に響いたのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 食堂の騒動から一夜が明け、アトラスからの交換留学生の受け入れの為、半日で終わった授業の後、ラグナ達はアカデミーの図書館で思い思いに過ごしていた。チームRWBYの机では、ルビーが持ち寄ったボードゲームが行われ、チームJNPRの机ではレンが読書している横でノーラがいびきをかき、ピュラとジョーンは勉強に励んでいる。

 ラグナはというと、レンと同じく、読書をしているように見えるが、その実、視線は窓の外にある巨大な艦船達に注がれている。留学生と共に、あの小艦隊がビーコンを訪れたのはオズピンの指示ではない事など、ラグナには分かり切っている。オズピン自身が、今は敵の情報を探る事に専念していると知っているからだ。となると、あれは『光と闇の兄弟神』と『四人の女神』の物語の真実を知り、オズピンの協力者となっているアトラス・アカデミーの学長の判断である事は明確だった。

 

(あれがアトラスの小艦隊か…

おそらく牽制のつもりなんだろうが、あれだけの事を起こしてる奴等がこんなんで活動をやめるとは考えにくい。逆に、こんな見え見えの対策してますアピールなんかやったらそれ以外は穴ですって言ってるようなもんだ。愚策としか言いようがねえな。

現段階で敵の全貌が掴めていないなら、本来、目立たないようにこっちの斥候を放って、敵の情報を集めるのが正しい対策だろうに…

それほどまでに焦ってるって事か。アトラス・アカデミーの学長は…)

 

 ため息混じりに艦隊から眼を離し、開いていた本を棚に戻す。

 

「いやぁぁあああ!!

私の勇敢な戦士たちがぁぁ…!!」

「勇敢って…ほとんどアンドロイドじゃないの」

「さらば友たちよ…この仇は必ず…」

 

 聞こえてきた声に釣られて、その声の方向を見る。ルビーが涙を流す横で、今度はヤンに良いように言いくるめられたワイスが罠を踏み抜き、涙を流す。その後、ルビーとワイスは抱き合いながら互いの傷を慰め合った。

 そこに勉強に疲れたのかジョーンが近づいてきて、ワイスの窮地を救おうとワイスとの交代を提案するが呆気なく撃沈。

この場所が静粛を求められる図書館である事を忘れ、白熱しているルビー達は仲睦まじく、ゲームを楽しんでいるように見える。

 ただ1人を除いて…

 

「よう、お前さん達」

 

 そう言って現れたのは、昨日の1日を一緒に過ごしたサンとネプチューン。「ヘイヴン・アカデミーのオリエンテーションが午前中にある」と言っていたが、どうやら終わったようだった。

 サンはブレイクに笑顔を見せながら近づく、当のブレイクはボードゲームをプレイするといっても、先程から全く上の空で他の事で頭がいっぱいと言った様子だった。

 

「ボードゲームなんかするんだな」

 

 それをわかった上で、サンは語りかけていたのだが…

 

「そうね。でももうやめる。

みんな、また後でね」

 

 ブレイクは極めて短く、サンの言葉に応えるとそのまま席を立ち、図書館を出て行った。取りつく島も無いとはこの事である。

 

(日に日に元気が無くなっていってんな…

昨日の騒ぎで少しは気が紛れたかと思ったが、そう簡単にはいかねえか…)

 

 チームRWBY、特にブレイクについて気にかけるようオズピンからも言付けされている事もあり、先日のダスト襲撃事件以降、見守っているラグナだったが、今回ばかりはどうしたものかと首を振った。

 

(さて、ブレイクの事は心配だが…

俺は俺で出来る事をしねえとな…)

 

 思考を切り替えたラグナはルビー達に声をかける。

 

「じゃあ俺もちょいと用があるんでな。また晩飯の時にな」

「あ、うん。ラグナもバイバイ」

 

 ルビーの言葉に手をあげて返し、図書館を出る。

 ラグナは、サンとネプチューンを待っていた。正確にはヘイヴン・アカデミーのオリエンテーションが終わるのを、である。

 敵の利用し得るものとして、交換留学に目星を付けていたラグナ。そして今日、アトラスからの留学生が到着し、四国全ての生徒が揃った。その四国の中で、オズピンから聞いた、「ヘイヴン・アカデミーの学長と連絡がつかない」という情報からヘイヴンの留学生をそれとなく探ろうというのだ。

 ラグナも過去に統制機構の支部、正確に言えば窯がある街に潜入していた経験がある。こういった潜入の後、まず最初にすることといえば、『探索』である。場所の把握から経路の確保など、敵地に潜入した後は必ず、そこを見て回る事が必要になる。そのセオリー通りなら、今回の敵もこのビーコン・アカデミーを『探索』している事は十二分に考えられた。だからこそ、ラグナはヘイヴンのオリエンテーションが終わり、サンとネプチューンが現れたタイミングで行動を開始した。

 幸い、制服でどこの生徒かの判別は出来る。

 

「しかし、どうすっかな…」

 

 ここで一つだけ懸念があった。敵も馬鹿では無い、むしろここまでの動きからすると周到に準備され、綿密に計画されている。生半可な頭ではないということ。

 そんな奴等が、『探索』の最中にラグナを見かけたら間違いなく警戒する。ビーコンの生徒が意味もなく、自分のアカデミーを探索するのは不自然であるからだ。何か目的があると考え、ラグナが斥候である事を察知される可能性もある。動きづらい事、この上無かった。ラグナは腕を組み思案する。

 

「うーん…」

「何を悩んでいるの?」

「ん?」

 

 後ろから声が掛かり、振り返る。

 

「ピュラ?」

 

 そこには紅い髪を靡かせながら立つピュラの姿があった。その時、ラグナの脳内に電撃が落ちたような感覚とともに1つの作戦が思い浮かんだ。ラグナはピュラの肩を掴み、「えっ?えっ!?」と困惑するピュラに告げる。

 

「頼む。協力してくれ」

 

 




如何でしたでしょうか。

長い事間が空いた為、読みづらい文章になってなければ良いのですが…
書けていない間もちょくちょく感想やダイレクトメッセージを送っていただいていたようで、楽しみにしてくれる人がいる事を痛感して、大変嬉しく思います。
これからもどうぞよろしくお願いします。

では、恒例の謝辞を
今回もお読みいただき有難うございました。
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