あと関係ありませんがこの頃、推しがいっぱい実装されて嬉しいけどしんどい(金銭的に)
交換留学生を加え、本格的に再開した授業をラグナは少しばかり退屈に思いながら聞いていた。本日最期の授業はポート教授によるグリムの授業なのだが、いつも通りポート教授の英雄自伝1人語りが始まってしまい、皆、時計を眺めながら、授業が終わるのを今か今かと待ちわびている。例に漏れずラグナもその1人となっており、時計とアカデミーのチャイムが午後4時、つまりは下校の時間を示す。
ビーコンを含めた4国のハンターアカデミーは一般的な大学と同じく、必修と選択科目の授業を生徒達が自由に受けるというシステムになっている。そのため、基本的にホームルームなどは無く、授業が終われば皆思い思い散り散りになっていく。
ルビーに昨日の件の3人組を教えてもらおうと考えていたが、ポート教授のグリム学は必修科目な事もあり、ほとんどの生徒が授業に出席していたため、いかんせん人数が多すぎる。更に授業が終わるや否や、そそくさと教室を立ち去るため、この状況でルビーに対し、昨日会った人物達の話を聞くのは躊躇われた。
出席していた生徒達が次々に席を立つ。ラグナも他の生徒と同じように、教室から出ようすると、スクロールのバイブレーションがメッセージの受信を告げる。
「授業が終わったら、学長室に来てくれ」
という内容のメッセージを確認し、学長室へと足を向けた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
学長室の扉をノックし、中からの返事を確認した後、学長室のドアを開く。
「やぁ、ラグナ。急に呼び出してすまないね」
いつものように手に持つマグカップを少し掲げたオズピンが、笑顔でラグナを迎える。学長にはオズピン以外の姿はなく、部屋には2人きりだ。オズピンも学長としての神妙さを抑え、ラグナと暮らしていた時のようなフランクな声色で言葉を発していた。
「いーよ、特に何か用事があるわけじゃねえし。それに呼び出すってこたぁ、電話やメッセージじゃなくて、直接話したい内容って事だろ?」
「まぁ、そういうことになるね…」
オズピンはフランクな口調を保ちつつも、やや歯切れが悪そうに言う。
「何があったんだ?」
「ああ、ヴェイル市内にある『タクソン書店』という店を知っているかい?」
「タクソン書店」は以前のチームRWBY、JNPRと出かけた際、ブレイクに連れられ、訪れた事があった。店主も気さくな男性で雰囲気の良い書店だった事を覚えている。
「その店なら知ってるが…」
「その書店の店主が何者かに襲われたとの情報が入った」
「なんだと!?」
「確認を取ったところ、残念ながら事実らしい。彼は今、意識不明の重体で、未だ予断を許さない状況だということだ」
「そうか…
だがなんだって、書店の店主なんかが襲われたんだ?」
「ああ、その事も含めて調査中だ。判明しているのは、彼がピューマのファウナスだったという事。身体に目立った外傷が無いながらも、首の骨を折られている。幸い、即死は免れたが、目が覚めたとしても起き上がる事もままならない可能性があると彼の入院している病院から報告を受けた。それと警察の方からは書店の売り上げ金や物への被害はほとんどなく、強盗というよりも彼個人を狙った犯行である可能性が高いらしい。それに加えて、彼が近々、ヴァキュオに発つつもりだったという情報も得られている。自宅がほとんどもぬけの殻で、ヴァキュオに土地を購入していることから、旅行ではなく、ヴァキュオに移り住む予定だったのではないかと言っていたよ」
彼がファウナスであった事、襲った人物の手際、彼個人を狙った犯行、まるで高飛びでもするかのようなタクソンの準備、その情報から、ラグナは1つの可能性を導き出す。
「タクソンがホワイト・ファングと関わっていた可能性は?」
「十分に考えられるだろうね」
「ホワイト・ファングの構成員がヴェイルに集まっている事を考えると、ホワイト・ファングから離れ、ヴァキュオに逃れようとしたが、裏切ったとして、ホワイト・ファングに粛清の名目で襲われた」
「ああ、私も同じ事を考えていたよ」
オズピンは一口、マグカップに口をつけると続けた。
「しかし、いくらホワイト・ファングから離れたからといって、一構成員がここまで手酷く粛清されるとは考えにくい。かなり組織の中核に迫っていた人物だと言えるだろうね。
どちらかというと、口封じの為に襲われたと考えるべきかな。加えて、そこまでの人物なら、同じ組織の構成員に簡単に、誰にも悟らせずに倒されるとは思えない。以前、ラグナが戦った仮面の男なら可能だろうが、タクソンの負った外傷が打撃による頸部の骨折であることを考えるとその男の線は薄いと考えている。となればーー」
「ホワイト・ファングとは別の、ローマンとその仲間の犯行である可能性があるって事か」
「ああ、君が気にしていたニオと呼ばれていた少女の可能性もある。その子は仕込み刀による剣術も使うが、戦闘スタイルは杖術と足技がメインと聞いたからね」
少女との戦いを思い出しながら、ラグナは頷く。
「なるほどな、わかった。街を周って奴らの情報がないか調べてみる。これまでの動きから、そう簡単に尻尾を見せてくれるとは思えねぇが、なにもしねえよりは良いだろう」
「毎度の事ながらすまない。相手の情報が足りない以上、動ける人員は総動員していてね」
「気にすんな。そのための
「動ける人員」というが、セイラムや「4人の女神」の事を知る人物はそう多くはない。現在、ヴェイルに居るという点ではグリンダ、アトラスの学長であるジェイムズ、そしてラグナの3人しかいない。それを理解しているラグナは、「エメラルド・フォレスト」での試験の夜、オズピンから伝えられた自身の役割を応えとして返しながら不敵に笑う。
「ありがとう」
「じゃ、行ってくる」
「ああ、どうか気を付けてくれ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
オズピンと別れた後、制服からいつものコートに着替えたラグナはバイクでヴェイル市内に向かった。とはいえ、なにか当てがある筈もなく、取り敢えず襲撃されたタクソン書店へとバイクを走らせる。店前に着くと、「KEEP OUT」と記されたテープが店を囲うように張られ、中には警察の姿も見える。
「あ、あなたは…
以前の護衛のハンターさんでは?」
「ん?」
声の方へ振り返ると、1人の警察官がこちらへ走り寄って来ていた。その人物にはラグナも見覚えがあり、先の埠頭での戦いの際、捕らえたホワイト・ファングの構成員の引き渡しと現場の引き継ぎを行った警察官だった。
(正確にはハンターではねえんだが…
そういえば、ルビー達の説明はしたが、俺がビーコンの生徒だって事は隠したんだった。本当の事を言っても面倒くさそうだし、このまま通すか)
ビーコンの生徒であると伝えると、いらないトラブルを作りかねないし、情報も聞きづらくなる可能性がある。何より前回の件も、生徒に危険な任務を任せたとして、オズピンの沽券に関わる。その事を懸念したラグナは訂正を避け、そのまま会話を続けた。
「ああ」
「いやあ、その節はどうもありがとうございました」
「大した事はしてねえよ。それにしても警察も大変だな。オズピンから聞いたぜ。また事件か」
「おお、オズピン学長から!
そうなんですよ。頻発してるダスト強盗ではないんですが、傷害事件でして…」
「オズピンも言ってたが、本当に目撃証言やら、手掛かりも無いのか?」
「そうですね。事が起きたのは3日前の朝、昼頃に来た客が店内が暗いのを不審に思い、店の中に入った所、倒れている店主を発見したそうです」
3日前というと、ちょうど長期休みの最終日、ルビー達がフードファイトをやらかした日だ。
「近隣に聞き込みはしていますが、有力な目撃証言はなし。指紋も残っていませんでした。カウンターの指紋が綺麗に消されていた事を考えると拭き取ったのでしょうね。こういった事に慣れている者の犯行かと…」
「この道は割と大通りだし、朝だからといって、1人も目撃証言が無いっつうのは不自然な気もするが?」
タクソン書店は大通りに面しており、人通りも少なくない。店を構える上では好条件の立地であると言える。ラグナの疑問に対して、警察官が答える。
「大通りで人通りが多いからこそ、目撃証言が出て来づらいというのもあると思います。余程の不審人物ならまだしも、人通りの多い中で、この書店から出て来た人をいちいち覚えている人なんていないでしょうし…
実際、近隣の聞き込みの答えも『書店に入る人は何人かいたと思うが、よく覚えていない』というのがほとんどでした」
「それもそうか…」
木を隠すなら森の中と言う言葉があるように、人混みの中から特定の人物を割り出すのは難しいということだろう。警察官の答えに納得したラグナは、警察官に礼と別れを短く告げた。再び、ヴェイル市内にバイクを走らせるラグナ。その中で「新装開店」と大きな横断幕を掲げた店が目についた。「FROM DUST TILL DAWN」、ラグナがビーコン・アカデミーに入学する前、ローマンに襲われ、ルビーが強盗を阻止したというダスト屋である。
ダストについての知識は、オズピンから教わっていたラグナだったが、ダストを実際に使用した事はない。しかし、仮面の男がダストによる爆発を起こしたのを目の当たりにしたり、ダストを巧みに使用するワイスが身近にいた事もあり、ダストの扱いについて関心を抱いていた。
ラグナの武器であるアラマサも、世話になっている武器屋によって、既にダストを利用出来るように改良されている事もあり、店に寄る事にした。バイクを店の前に止め、店内へと足を踏み入れる。店内には色、形状ともにさまざまなダストが並んでいた。
「いらっしゃいませ」
カウンターの奥から店主の老人が穏やかに歓迎の文句を述べる。
「邪魔するぜ。新装開店の横断幕が目に入ったもんでな」
「おや、それはどうもありがとうございます。前に強盗に入られてしまって、店がめちゃくちゃになってしまいましたが、なんとか先日、またオープンする事が出来ましてな。新装開店セールの最中なんで、どうか買ってって下さいな」
ルビーが阻止したとはいえ、やはり強盗に入られた事で損害は大きかったらしい。しかし、めげずに経営を立て直そうとしている店主にラグナは素直に感嘆する。
「ああ。それにしても、ダストっつうのは、色だけじゃなくて、形も違うやつがあんだな」
「ええ、粉末状態の物と
「へえ…結構奥が深いんだな」
ラグナの身近なところで言うと、ワイスが未加工のダストを使用している。流石はシュニー・ダスト・カンパニーの令嬢というべきか、ダストの扱いについては追随を許さない。ルビーやヤンがダスト弾を武器に装填して発射しているのを見ても、未加工のダストの扱いは相当難しいという事だろう。
「じゃあ、今回はダスト弾を買わせてもらうか」
ラグナはアラマサに合うサイズのダスト弾を店主に見繕ってもらい、購入する。
「毎度。しかし、この頃は警察の人達もヴェイル市内のそこら中にいて、街がピリピリしてるようで落ち着きません」
「まあ、事件続きだしな。3日前もタクソン書店の主人が襲われたって話だ」
「3日前というと、私が新装開店した当日です。そういえばその日、タクソン書店の場所を聞いてきた子がいましたな。巻き込まれていないと良いですが」
「!?
その日、タクソン書店に向かった奴のこと知ってるのか!?」
店主の言葉に、事件の手掛かりの可能性を予感したラグナは、店主に詰め寄る。店主は急なラグナの詰めに驚きながらも、その人物について語る。
「え、ええ…
私が開店準備をしているところに通りかかって、『他所から来た者なんです。このお店の場所は分かりますか?』とタクソン書店の場所を聞かれました」
「そうか…
他にそいつの特徴とか分かるか?」
「そうですね。緑色の髪に褐色な肌の可愛らしいお嬢さんでしたよ。もしかしたら、ヴァイタル・フェスティバルの為に来た留学生かもしれませんね。『他所から来た』と言っていましたし」
思わぬ所から得た目撃証言に、ラグナは思考を巡らせる。
(緑色の髪の留学生…
もしかすると、ルビーがヴェイルの寮で会った奴かもしれねえ…
早めにルビーに確認しておく必要があるかもな)
「ありがとよ、店主。また来るぜ」
「ええ、お役に立てたのなら何よりです。
またのお越しを」
店主に礼を告げ、店を出る。手探りで進むしかなかった暗闇の中に、一筋の光明が見えた気がした。
原作を見て、裏で起きている事を自分では全て把握しているためか、キャラクター達が知るはずもない情報が出ちゃってたりしていたので、矛盾点を探して直してを繰り返しました。
ラグナに介入して欲しい所は大体は決まっているんですが、その為にラグナにどう動いてもらうかといった細かい部分が難しくもあり、考えるのが楽しい部分でもあります。
では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただきありがとうございました。
また次回。