元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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少し時間が空いてしまい申し訳ございません。

前話の後書きで書いた通り、RWBYについての雑談を行う場所について後書きに記載しますので、よろしくお願いします。

では本編をどうぞ


目指す理由

 

 突発的に始まったグリム掃討戦は、繰り返し続いた。遭遇したグリムを殲滅して、その場をウーブレックが調べ、手掛かりが無ければ移動。その繰り返しだ。マウンテン・グレン一帯のグリムは個体としての強さは比較的控えめな傾向にあったため、一度の遭遇では呆気なく終わる事がほとんどだったが、遭遇するその回数が異常な程多いために、徐々に生徒達の疲労が色濃く見え始めた。

 

「ウーブレック博士。私、プロのハンターの活動を観たかったんですけど…

例えば、戦うとか、私達を援護するとか…」

 

 戦闘には参加しないウーブレックに多少の苛立ちもあったのだろう、ヤンが強請るような声を上げる。

 

「活動ならしているとも。かつて繁栄を享受しながらも廃墟となった都市の真ん中で、不正の痕跡を探している。全ての仕事に英雄譚が付き物というわけではない。時に単なる殺傷を超えたものもあるし、また時には地道な単純作業に見える事が、大きな成果に繋がる事もある。これは冒険ではない、任務だ。君達が選んだ、な。どうかご理解頂きたい」

「えっと、はい、もちろんです」

 

 ヤンの言葉はするりと躱され、口では納得していると返した本人も、胸の奥では引っ掛かりを覚えているのだろうという事は、ラグナにも容易に想像出来た。前の世界での正確な年齢は不明だが、それを踏まえても四半世紀にも及ばない人生経験しかないラグナに想像出来た事が、年の功で上回るウーブレックに分からない訳が無く、「ふむ…」と訝しげに呟いたのが聞こえた。

 

 その後、ウーブレックはヤン、ワイス、ブレイクへとハンターを目指す理由の、その本音の部分を聞いていった。その理由は三者三様だ。ヤンは冒険にスリルを求めて、ワイスは名門である一族の名誉を守り、戦う力に目覚めた者としての責務を感じて、ブレイクは見過ごせない過ち、不平等や腐敗を変えるため。3人とも自身の目的や信念に従っているかに見えたが、具体的な目標や手立てを口に出来る者はおらず、ウーブレックの心を震わせる答えでは無かったようだ。ラグナにも、ウーブレックが求めている答えがピンと来ずに腕を組んでいると、足元に柔らかな感触を感じた。

 足元を見ると、白黒の毛並みを持つ、ルビーとヤンの家族であるツヴァイがラグナの足に頰をすり寄せていた。

 

「どうした?」

 

 ラグナはツヴァイに語りかけるが、ツヴァイはちょこんとした尻尾を振りながら、すりすりと頬擦りを続ける。しばらくそれを続けた後、ラグナの膝辺りに前脚を置いて立ち、クリリと丸い大きな目でラグナを見つめる。ラグナはこのツヴァイが銃声から耳を守る為に、ルビーの指示を聞いて耳を塞いだり、グリムのいる方向を示したりしている行動を見ていた。そのため、この愛らしい生き物が非常に賢く、人の考えや言葉、状況をある程度理解出来ているのだと分かり感心していた。

 そんな中でツヴァイが寄ってくる理由としてラグナには1つ、思い当たる節があった。乱戦を繰り返す中で、何頭かのグリムがツヴァイに目を付け、襲い掛かろうとした事があった。ラグナがそのグリム達を屠ったため、ツヴァイが襲われるような事は無かったが、それ以降、ラグナはツヴァイを気にしながらなるべくツヴァイの近くで戦っていた。ラグナはこれほどまでに甘えるような行動を取っていることについての仮定を、ツヴァイへ問いかける。

 

「もしかして、お礼を言ってるのか?」

「ワン!」

 

 「そうだよ!」とでも言うかのようにツヴァイは1つ吠えると、伝わった事が嬉しいのか、ラグナの周りをクルクルと何周か周り、その後、再びラグナの膝に前脚を置く。その愛くるしい行動に、ラグナも胸がときめくのを自覚した。

 

「これが『あざとい』ってやつか…」

 

 ラグナはツヴァイの頭をわしゃわしゃと撫でると、ツヴァイは心地よさそうに目を細める。元来、庇護欲の強いラグナにとって、甘え上手なツヴァイは特効を持っていると言って良いほど、その欲を掻き立てられる存在であった。

 グリムの攻勢は止んでいたため、ラグナがコンクリートの段差に腰掛けると、ツヴァイはラグナの隣に来ては膝を折り、顎をラグナの太腿の上にちょこんと乗せた。催促されているように感じたラグナは「しょうがねぇなぁ…」と、口では仕方なさそうに言いつつも、顔を綻ばせながらツヴァイの頭を撫でた。

 

「あ、ツヴァイ、ここにいたの?」

 

 そこにツヴァイを探していたらしいルビーが駆け寄って来る。ラグナの膝の上で、のほほんとリラックス状態の愛犬を、ルビーは少し恥ずかしそうに見た。

 

「ごめんね、ラグナ。うちのツヴァイが…」

「いや、気にすんな。こいつなりに礼を言いに来たみてえだったから、俺も悪い気はしねえよ」

「そう?

なら良いんだけど…

それにしても、ツヴァイが私達以外の側でそんなにリラックスするの初めて見たよ」

「そうなのか?

人懐っこそうな感じがするが…」

「人懐っこいのは間違い無いんだけど、家族以外と会う時はもっと興奮してる感じかな。私達以外にこんなに甘えるのは見た事ないよ」

「へぇ?」

 

 前の世界でも、カカ族のチビ達に好かれていたラグナ。ラグナが無碍(むげ)に出来ないというのもあるが、純粋な子供や動物達はラグナの根っこの部分にある優しさを感じ取っていたのだった。

 それでもそういった事は、当の本人は気付きにくいもので、ラグナは不思議そうにツヴァイを見つめた。

 

「ま、嫌われるよりマシだな」

 

 そう言い、思考を切り替えたラグナは、ウーブレックが他の3人に聞いていた質問を、ルビーにぶつけてみる事にした。

 

「なぁ、ルビー」

「なに?」

「お前はどうして、ハンターになりたいんだ?」

「え?

うーん…なんでって言われても…

強いて言うなら、『ヒーローになりたいから』かな?」

「ヒーロー?」

「そう!本とかの物語に出てくるヒーロー!

私のママみたいな、皆を守るヒーローになりたい。それが、私のずっと昔からの夢なんだ」

 

 ヒーローへの、そして母に対しての「憧れ」がルビーのハンターを目指す理由だと彼女は言う。それはこの上ない程真っ直ぐで、それでいて強固な意志を宿したものだった。その理由がスッと腑に落ちるのを感じたラグナは、「そうか」と短く返した。

 

「あれ?

私のママについて、ラグナに話した事あったっけ?」

「お前からは無いが、前にヤンから聞いた事がある。凄い人だったんだってな」

「うん、私達の自慢のママだったんだから!

だから私は、ママと同じ、ううん、ママよりもたくさんの人を守れるハンターになりたいの!」

 

 自慢げに自身の母について話しながら、それを超えたいと豪語するルビー。自然と応援したくなる純粋な心が、彼女の美徳であった。

 

「ラグナはなんでハンターになろうと思ったの?」

「俺はオズピンにスカウトされたからだな」

「それだけ?」

「ああ」

 

 自身と打って変わって、サバサバとしたラグナの答えに、ルビーは「えー」と不満を漏らすが、ラグナは気にせず、自分達を見つめる視線を察知して振り向いた。

 ルビーも釣られてその方向を見ると、ウーブレックが2人を眺めていた。

 

「あ、すみません。移動しますか?」

 

 ルビーが訪ねると、ウーブレックは少しだけ間を空けてから応えた。

 

「いや、今日はここまでとしよう。もうじき日が暮れる」

 

 そう言うや否や、ウーブレックは自身のバックパックをヤンへと投げつけた。彼はヤンの「おうっ!」といううめき声を気にも留めないまま続ける。

 

「ヤン、ブレイク、ワイスの3人はビルで夜営の準備だ。くれぐれもモンスターが周りにいない事を、確認する事。私達は見回りに行ってくる。ルビー、ラグナ、付いて来なさい」

 

 指示に従い、ヤン達は廃ビルへ、ラグナとルビーはウーブレックを追って、それぞれ歩き出した。ラグナが後ろを振り返ると、夜営の準備へと向かう3人の背中が、小さく映るのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 その後しばらく、ラグナ達は夜営を行うビルの周囲を見回り、異常がない事を確認した。そして、ウーブレックは「街の外の様子も見ておくか」と呟き、ラグナ達を連れて街の外壁の淵までやってきていた。

 外壁から遠く離れた奥には「マウンテン・グレン」の名前の由来となった山岳が聳え立っており、その手前には広大な原生林が広がっていた。ラグナ達の目に、その原生林を歩む巨大な生き物が飛び込んで来る。その巨大な体躯で木々を揺らしながら移動する怪物に、ルビーは驚愕の声を漏らした。

 

「わあ、あれなんですか?

なんかすっごい…」

「あそこにいるのは、グリムだ」

 

 ウーブレックの答えに、ルビーの驚きは言葉を失う。

 

「ゴライアス…だったか?」

「流石だな。正解だ」

「やっつけます!」

 

 言葉を呑んでいたルビーが自身を奮い立たせて意気込み、クレセント・ローズに手をかける。しかし、ウーブレックがルビーのライフルに手をかけて静止した。

 

「そのライフルじゃ、この距離からあの大きさは倒せない。せいぜい怒らせるのがオチだろう」

「でも、向こうから襲ってきたら?」

「焦るな。ゴライアスは我々など気にしない」

 

 グリムが人間を「気にしない」という、ある意味、種の根幹に逆らうようなウーブレックの言葉に、ルビーとラグナは耳を傾ける。

 

「グリムが無知とは限らないし、いつまでも無知でいる訳でもない。ゴライアスは、これまで戦ってきたグリムよりも力があり、優れている。一説では、数百年を生き永らえてきたと言われている。人間を殺し、国境を襲撃する中で、彼等に変化が起きた。『学んだ』んだ。

彼等は身をもって学んだ。国境を襲えば、自分達の中にも犠牲が出る。人間は肉体的な弱さを、『意志の力』と『団結』で補ってくる。1人殺せば、何倍もの仲間を失う、とな」

 

 グリムは魂を持たないと言われているが、そんなグリムも生態的には他の動物と変わらないとも言われている。そこで生き、活動しているグリム達が他の動物と同じように学び、生き残る術を見出すのは、考えてみれば当然だった。

 ラグナは眼から鱗が落ちるような心境に至り、自分もまたグリムに対する固定観念を持っていたのだと気付かされた。

 

「でも、そしたら何故、グリムは今も街の近くに居続けているんですか?

何をしているんです?」

「……待ってるんだ」

 

 ウーブレックの確信めいたような言葉に、「何を?」という質問は憚られた。グリムの存在意義は1つであり、グリム達の待つモノが「人類」にとって望ましくない事であると察するのは、そう難しい事では無かったからである。

 




ツヴァイ可愛いですよね。郵送に詰められてたり、ウーブレック博士に打たれたりと外国アニメ特有のぶっ飛び演出が目立ちますが、あの愛らしさは唯一無二、ワイスがメロメロになるのも分かります。
個人的に好きなのはRWBY Chibiで、本編ではあんなに避けてたブレイクがツヴァイに抱きつくシーンです。笑いながらキュン死しそうになりました。

RWBY雑談コミュニティ
https://discord.com/channels/995701581376925770/995701623517102230

Discordにて、RWBYに関する雑談コミュニティを作成しました。是非参加して下さい。念の為、最初にコミュニティの概要をご覧頂きますよう、よろしくお願いします。
一緒にRWBY作品を盛り上げていきましょう。

では恒例の謝辞を。
今回もお読み頂きありがとうございました。
また次回。

追記
読者の方からDiscordの参加の招待リンクに対する質問がありました。
私自身不慣れでDiscordの仕様がわからずに、招待リンクの設定を忘れていました。申し訳ございません。m(_ _)m
投稿から6時間程、「中々参加してくれる人いないなぁ」
(´・ω・`)ショボーンとなっていた私を、どうか笑って下さい。
下記に招待リンクを記載しますので、よろしければ参加していただければと思います。
RWBY雑談コミュニティ招待リンク
https://discord.gg/E23QJ2376t
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