元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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RWBYキャラクターはオリジナルが英語なので、口調は日本語吹き替え版を参考にしています。違和感や誤字脱字報告をして頂けると助かります。



力の種類

 ラグナがビーコン・アカデミーへの入学を決めた後、ラグナは世話になったアーガルムの町の住人達に町を出る事を伝える為に、挨拶してくる人を呼び止めては別れを言っていた。

 それを聞きつけた、特にラグナを懇意にしてくれたカインとその婚約者や町の孤児院の神父と子供達、商店街の商人達などが食堂に押し寄せた。

 

「ラグナ!ビーコン・アカデミーにスカウトされたんだって!?良かったな!」

「ああ。カイン、今まで世話になったな」

「何言ってんだ!主に世話になったのはこっちだろうよ!」

「ラグナのにいちゃん、ホントに行っちゃうの?」

「にいちゃん!行っちゃやだ!」

「おいおいガキども、今生の別れって訳じゃねえんだからそんな顔すんじゃねぇよ」

「ラグナ君、君には何度助けてもらったかわからない、本当に感謝している。この町を出ても、私達は君を応援しているよ」

「おう、ありがとよ、神父」

「ラグナ!ビーコン・アカデミーなんてすげえじゃねぇか!ガハハハハ!ラグナの出世祝いだ!飲め飲めぇ!!」

「たく…あんたらこの時間はまだ仕事じゃねえのか?」

「んな事はどうでもいいんだよ!せっかくのラグナの門出だ。祝わないわけにいかねえだろう!」

「俺たちの事は心配するな!町の若い衆をお前が鍛えてくれたお陰でグリムに一方的に襲われる事なく、逃げられるぐらいは出来るようになったからな」

 

 やれやれと呆れるような仕草をしながらも、まんざらでも無い表情で周りからの激励を受けているラグナ。以前、犯罪者として追われていた頃は、周りから礼を言われ、別れを惜しまれる事など無かったため、内心はとてもこそばゆい思いをしていた。

 結局、ラグナの激励会という名の宴は昼過ぎから始まり、夜が更けるまで続いた。町にはラグナの世話になった人がいないと言っても過言では無いほど、様々な依頼を受けてきた。そんなラグナを快く送り出そうと、食堂は類を見ないほどに人でごった返し賑わった。

 飲めや食えやの大騒ぎが落ち着き、食堂では酔い潰れた大人達や帰る事を嫌がり、疲れて眠ってしまった子供達が雑魚寝の状態で眠りについていた。

 

「あーあー、全くこいつらは…

悪いな…親父さん…」

 

 そんな中ラグナは疲れて寝てしまった子供達に自分のコートをかけてやり、この大騒ぎを受け入れ動きっぱなしで酒や料理を提供してくれた食堂の料理長に礼を言った。

 

「いやいや、良いってことよ。ラグナがこの食堂を使ってくれたお陰で、客も増えたし、何より俺も食材の護衛とか何度頼んだかわかんねぇ。こちらこそ、ありがとよ。

まだ飲めるか?」

「おう」

「じゃあちょっとばかし付き合ってもらうか」

 

 そう言いながら、料理長はビールを2つ注ぎ、ラグナの前に1つを置いた。

 

「乾杯だ、ラグナ。お前なら大丈夫だろうが、元気でやれよ」

「途方もなく遠くに行くわけじゃ無えんだから大袈裟なんだよ。また、近くを通ったら寄らせてもらうからよ。そん時は安くしろよな」

 

 カチンとジョッキを交わし、一気に飲み干す料理長。少しばかり言葉を交わしていたが、今日は凄まじい激務をこなしただけあり、すぐに眠ってしまった。

 

「本当に町中の人々から慕われていたんだね」

「ああ、俺なんかを受け入れてくれたこの町の奴らには感謝してるよ」

 

 その宴の様子をずっと見ていたオズピンは、ラグナのこの町での人望に素直に驚いていた。ラグナの評判をリサーチしてはいたが、ここまでの存在であるとは予想していなかったのである。

 

「明日出発ということだが良いのかい?まだ入学までは時間があるし、もう少ししてからこちらに来ても良いんだよ?」

「いいんだ。元々そろそろこの町を出ようと思ってた。商店街の奴らも言ってたように、町の若い衆が力をつけて来て、普通のグリムぐらいなら物を持ちながらでも逃げ切れるようになったから、普通に生活する分には問題ねえ」

「そうか…

しかし、ラグナ君のいう『若い衆』よりもラグナ君の方が若いんだけどね。とても君は16歳には見えないから、君が歳をサバ読んでるんじゃないかと思うよ。まあそれも、君の歩んで来た過去故なんだろうけどね」

「…そうかもな。明日昼前には出るんだろ?俺も休ませて貰うぜ」

「ああ、そうしなさい」

 

 流石のラグナも半日以上騒ぎの中心にいただけあり、疲れが溜まっていたのか欠伸を噛み殺した顔をしていた。店の壁に背中を預けて座り込み、あっという間に寝息が聞こえてくる。

 

「さて、私も休むとしようか。しかし、流石に食堂をこのままにして眠るのは忍びないね」

 

 オズピンは自身の持つ杖を1度振った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 翌日、食堂で目を覚ました町の住人達は町の門までラグナを見送った。

 

「じゃあ、またな。お前ら」

 

 ラグナは1度手を挙げると背を向けて歩きだした。後ろから聞こえる様々な声を背中に受けながらも振り返る事はなかった。

 

「では、行こうか」

「ああ、そのビーコン・アカデミーとやらまではどのぐらいかかるんだ?」

「すぐに着くよ」

 

 そういうと、オズピンの目の前の空間が歪み、裂け、暗い空間が現れた。

 

「ここを通れば、もうアカデミーはすぐそこだ。私の家もアカデミーの敷地内にあるからね」

「会った時から思ってたが、あんたも大概只者じゃねえな。あの食堂を片付けたのだってあんただろ?みんな驚いてたしな」

「さぁ?なんのことかな?」

「…食えねえ野郎だ……」

 

 ラグナはフッと小さく笑うと空間の裂け目の中へと入った。その瞬間、暗い所に入ったという認識を覆すように眩い光が目の前に現れ、目を眩ませた。

 目が光に慣れ、そこの光景が目に映る。目の前には巨大な建造物が佇んでおり、その大きさは統制機構の支部程の大きさを誇っているように見えた。

 

「アカデミーを見るのは初めてかい?」

「ああ、旅してる間はあんまり都市部にいる事はなかった。性に合わなかったってのもあるが、昔の癖で人の目につかないようにしてたから」

 

 都市部はどうしても人口が多くなり、人の目が多い。現在は大分薄れて来たものの、この世界に来たばかりの頃のラグナは、賞金首時代の癖が抜けず、都会を避けていた。

 オズピンはその発言は孤児であった故のものだと思い、特に何も言う事はなかった。

 

「そうか、これからここで過ごすわけだから慣れてもらわないとね。私の家はこっちだ」

 

 オズピンの後ろをついて歩く。その道中、学園の敷地内であるためか、生徒から挨拶されるオズピンと奇異な目を向けられるラグナ。どうしても注目を集めるその状況に、ラグナはひたすら耐えていた。

 

「さて、アカデミーの入学まで少し時間があるが、君にはその間好きに過ごして貰って構わない。何か必要なものはあるかい?」

「別にテキトーに過ごす。

………」

 

 そう言ったあと、ラグナは考え込むように黙り込み、そして、前の世界の事を思い返した。それはラグナが「守り切れなかった」者達だった。

 

(セリカ…俺がもっと早く気づいていれば、あいつに無理をさせる事はなかった。

ナイン…あいつの怒りは理解出来る。もっと俺がしっかりしていれば、暗黒大戦の時も、あの時も…

ラムダ…俺が突っ走ったせいで、あいつには逆に助けられた。その後また会えたが、結局礼は出来なかったな。

ニュー…あいつにも黒き獣の事を押し付けちまって、助けるまで時間がかかった。

サヤ…俺にもっと知識があれば、もっと早く結論にたどり着いて、助ける事が出来たはずだ。

…あいつらはもっと別の結末を迎える事が出来たんじゃないか?

戦う力だけじゃなく、考える力が…俺にもっとあれば…)

 

 前の世界では、自分は前に出て戦えば良かった。それは奇しくも、素直じゃないウサギ(レイチェル)マッドサイエンティスト(ココノエ)がラグナのやるべき事を少なからず示してくれていたからであった事に、ラグナは気付く。

 

(難しい事を考えるのが苦手とか、そんな事言ってる場合じゃねえかもしれねえな)

 

「いや、オズピン」

「なんだい?」

「俺はこの世界について知らな過ぎる。これから生きていくうえで、俺はもっと知識が欲しい。あんた、学校の校長って事は頭良いんだろ?俺にこの世界の事を教えてくれ。頼む」

 

 オズピンは驚いた。贔屓目に見ても、勉学に対しては不真面目そうなラグナがそんな事をいうとは想像もしていなかったのである。しかし、ラグナの決意に満ちた眼にその考えを振り払い、快く頷いた。

 

「そんな事でいいなら、任せなさい。君にこの世界の成り立ちから魔法技術の最先端まで、私の持つ全ての知識を持って君に教えよう」

「恩に着る」

「いやいや、お安い御用さ」

 

 オズピンはラグナのあの決意に満ちた眼を見て、ラグナに対する関心を更に強めたのだった。それは1人の教育者としてか、それともーー

 

 

 その後、ラグナはオズピンの生徒として、勉学という慣れない分野でオズピンにコテンパンに扱かれる事になり、悲鳴をあげるのだが…

それはまた、別のお話。




ラグナは頭の作りは悪くないと思うんですよ。弟なんて生徒会長やっとりますし、ラグナにはそれを鍛える機会が無かっただけで…
という妄想が含まれております。
頭良くなったラグナ…カッコいい兄成分増し増しで良いと思います。

では恒例の謝辞を
今回も読んで頂きありがとうございました。
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