元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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少し遅くなりました。少し忙しかったのと……
モンハンやってました。お待たせして申し訳ない。m(_ _)m

今回は原作とは大きな違いは無いかな。次の話で介入するための繋ぎのような感じになってしまいました。


凶行

 

 地下へと続く階段を降りると、またも扉がラグナ達の行く手を阻んだ。しかし、その扉は仕切りのような役割しかないのか、外の堅牢な防壁と違って薄い造りであり、〈RWBY〉内で一番のパワーを誇るヤンによって破壊された。その向こうは地下鉄の駅の構内が広がっていたが、ツヴァイの嗅覚によって、微かなヒトの臭いを追う事が出来た。

 ツヴァイの案内で、駅内のほぼノンストップで駆け抜ける一行は改札の向こうにある、駅の奥にある閉鎖された場所に到着した。ヤンの拳が降ろされたシャッターをこじ開けると、ホームへと続く階段が現れる。それを下ると駅のホームと列車の待機所があったであろう場所に出るが、そこには当たりを埋め尽くす程の無数のコンテナが積み上げられていた。コンテナにはシュニー・ダスト・カンパニーの文字が印字された物が複数あり、ラグナ達はコンテナの中身が何であるかを察する事が出来る。

 

「こりゃあ…凄まじい量だな…」

「一体…どれだけのダストを集めているの…?」

 

 あまりの量に言葉を失う一行の前に、コンテナの影から人影が現れた。その人影は、特徴的な仮面を身に着け、獣と爪痕の紋章を背負っている。〈ホワイト・ファング〉の構成員の姿を捉えたラグナ達は、すぐさまその制圧に取り掛かった。速度自慢のブレイクと、ダストの中でもとりわけ氷のダストの扱いを得意とするワイスは、構成員の足を崩し、そこにラグナとヤンの高火力の突貫が突き刺さる。

 〈ホワイト・ファング〉のファウナス達は、急な襲撃になす術なく吹き飛ばされ、状況を察した者達がこちらへ銃を向けつつ牽制しながら、奥へと逃げていく。それを追いかけるとコンテナの山が途切れ、少し(ひら)けた空間が存在した。その奥には、アトラス軍の搭乗型ロボットが並んでおり、その傍らの線路には黒い貨物列車が鎮座している。

 

「ルビー!!」

 

 ヤンが愛する妹の名前を叫ぶ。まだ、少し距離があるが、列車とロボットの間に特徴的なシルクハットの男とそれに囚われるルビーの姿が見えた。ルビーもこちらに気付いたのか、男、トーチウィックのシルクハットを上から抑えつける事で視界を潰し、こちらへと駆け寄ってくる。ルビーの背後では、トーチウィックやファウナス達が銃口を向けているが、ルビーが銃弾を躱しつつヤンの胸へと飛び込んだ。

 

「無事で良かった!」

「大丈夫か?」

「私は全然大丈夫、でも大変!

トーチウィックが〈ホワイト・ファング〉と一緒に武器やダスト、ロボットとかを集めて、山程列車に積み込んでるの!」

「しかし、この線路のトンネルは既に封鎖されている。この先は行き止まりだ。いったい、どこに向かうと言うんだ?」

「分からねえが、奴等はもう何処かへ向かうみたいだぞ?」

 

 銃撃を避けられた事で、ルビーの事を諦めたらしいトーチウィック達が、次々と列車に乗り込んで行くのが見えた。列車の上にはルビーの言う通り、複数のロボットが積み込まれているのが見えたため、何処かへ向かおうとしていると予測出来る。

 ラグナが呟くや否や、拡声機越しのトーチウィックの声が反響した。

 

『総員戦闘配置に付け、野郎ども、すぐに出発だ!乗り遅れるなよ!』

 

 その号令から間もなく、プシューという空気音とキィーという金切り音と共に列車が動き出す。

 

「ちなみに、その閉鎖されたトンネルは何処に繋がってたんだ?」

「ヴェイルの市街の中心地にある広場が、元々地下鉄の駅になっていた。そこまでほぼ直線の長距離地下トンネルが通っていたんだが、現在は駅は取り壊され、線路も一部埋め立てられて広場になっている」

「連中の狙いはまだわからねえが、とりあえず碌な事考えてなさそうってことだけは確かだな」

「ジョーンに連絡する!まだビーコンにいるはず!」

 

 ルビーは自身のスクロールで電話を掛けるが、画面に「LOW SIGNAL」の文字が表示され、通信は叶わなかった。

 

「だめだ、繋がらない!」

「だろうな。地下ってものあるし、ここら辺は廃墟で電波塔もないだろうから望みは薄いだろう」

「じゃあ、どうしますの?」

「方法は一つしかない…」

「私たちであの列車を止める!」

 

 ルビーの言葉を皮切りに、全員が列車の最後尾に飛び乗る。まだ加速半ばだった列車に乗る事自体は容易だったが、恐らく乗り込んだことが敵にバレているということは予測できた。

 案の定、最後尾の車両に乗っていたファウナスがトランシーバーで連絡を行っているのを発見したウーブレックが、そのファウナスの頭に一撃を見舞う。ファウナスが気を失ったのを確認すると、ウーブレックはルビー達を見まわして言った。

 

「行くぞ、先頭車両に向かい列車を止める!」

「あの~、教授?」

「博士だ」

「こんなものが…」

 

 ワイスが車両の天板にある取っ手に手を掛け、それを開くと赤と青の物質が入れられ、同じ色の配線が繋がっている物体を指す。ウーブレックはしばらくそれを見つめるとーー

 

「これはだな…爆弾のようだ…」

『ええぇ!!??』

 

 ウーブレックの予測した答えに全員が驚愕の声を上げる。

 

「なんでそんなもんが後ろに積まれてんだ!?」

「わからないが、このままでは我々も木っ端微塵だ」

「あ!前から敵が!」

 

 ルビーが列車の前の方を指差し叫ぶ。前の車両からぞろぞろと仮面の者たちが列車の上へと上がってきて、こちらに向かってくる。

 

「簡単に引き下がる(やから)ではないな。ん?」

 

 ピピっという音が足元で鳴る。下に目を向けると、先ほどの爆弾の液晶部分が赤く点滅し、爆弾が作動してしまった事を示していた。

 

「彼等を蹴散らしながら前に向かう」

 

 ウーブレックの言葉に〈RWBY〉の4人とツヴァイは前の車両に飛び移る。続けてウーブレックは、ラグナに向けて指示を出した。

 

「ラグナ、爆発する前に連結部を破壊し、この車両を切り離してくれ」

「いや、恐らくその必要はないと思う」

「何故だ?」

「車両を連結したまま爆破すれば、爆発の余波で脱線する。だから爆弾を作動させたってことはーー」

 

 ラグナがそこまで言うと、ガシャンという音と共にラグナ達の乗っている車両が減速し、前の車両との距離が開き始めた。ラグナは少し慌てるウーブレックと共に前の車両へ跳躍する。

 

「あっちも連結を外すつもりだろうからな」

「…なるほど」

「あいつら、よっぽど私達が邪魔なんだね」

 

 切り離された車両がグングンと離れていく。牽引を失ったそれは、慣性が薄れていく最中(さなか)に凄まじい爆発音と爆風を伴って飛び跳ねた。列車の車両をいとも簡単に吹き飛ばす爆弾は、威力がかなり高いことが窺える。

 

「そんな、こっちにも!?」

「同じものみたいです!」

 

 ルビーとブレイクの叫びにウーブレックは最悪な予感を抱きながら、「まさか…まさかまさかまさか」と繰り返し、数両先の車両に移動する。自身の予感に対して、言外に「間違っていてほしい」という思いが胸を埋め尽くしているのが端的に表れていた。

 ウーブレックがその車両の天板を開けると、ルビー達に向かって叫ぶ。

 

「恐らく全車両に爆弾が仕掛けられている!!」

 

 その後、またも車両が切り離されたため、ラグナ達も前の車両へと移動する。背後で爆発が起き、その音に耳に耳を塞いだ。

 

「もう訳わかんない!」

「………」

 

 ヤンが自身の混乱を言葉にするが、ラグナは無言で、あることについて考えを巡らせていた。前からはファウナス達が軍勢となって押し寄せており、「人間を殺せ!」と強い憎悪を向けている。〈RWBY〉がファウナスと応戦し始めた時、ラグナはウーブレックへ向けて、自身の疑問を示した。

 

「博士、奴等の目的は何だ?

俺達を排除するためだけに、こんなもんをこんだけ使うとは考えにくい。それに、奴等は俺達が調査に来ることなんて知らなかった筈だ」

「他に爆弾を使う目的がある…と…?」

「ああ、その目的が何なのかは分からねえがな」

 

ドォン!!

 

 背後でまた1つ、切り離された車両が爆発する。爆発によって飛び跳ねた車両がトンネルの天井を破壊し、ガラガラと音を立てて瓦礫が線路に落ちる。しかし、それはただの瓦礫だけでなく、黒い獣達、グリムを伴っていた。

 瓦礫の陰から姿を現したグリムは、アーサ、ボーバタスク、ベオウルフ、クリープ等といった小型のグリムから、デスストーカー、キングタイチートゥといった中・大型のグリムまで様々だ。それらの無数のグリムが列車を追うように駆けてくるのが見える。

 

「クソが!これが目的かよ!」

「グリムを街に呼び込むつもりだ!!」

『ええ!!??』

 

 ラグナとウーブレックの叫声(きょうせい)にルビー達も再び絶叫し、振り向く。あまりにも衝撃的な内容に脳が理解を拒んでいた。

 

「車両を切り離して、爆発させているのは、グリムの通り道を作るためだ!!」

「どうかしてる!!」

「まったく同感だ!」

 

 理解を拒んだ脳にウーブレックの解説が突き刺さり、顔を蒼ざめさせながら、ブレイクが嘆く。ラグナも苛立ちと共に同意しながら、迫るファウナス達をなぎ倒していく。

 しかし、奥からは以前ルビー達が一度戦ったというアトラス製の騎乗式ロボットが数体、金属音をかき鳴らして列車の上へと姿を見せており、行く手を阻もうとしていた。

 

「あんなもんまで出してきやがって…」

 

 ラグナがげんなりとする横で、ウーブレックは一拍の間で状況を整理し、自身の生徒達への指示を行う。

 

「よし、二手に別れよう。ワイス、ブレイク、ヤン、お前達は内部へ降りて、おそらく爆弾を操作しているであろうトーチウィックを止めろ!

このまま列車で閉鎖を突き破る気なら、トーチウィックは衝突の衝撃をモロに受ける先頭車両付近にはいないはずだ!

ルビー、ラグナは私と来なさい!このまま最短距離で先頭車両へ向かい、列車を止める!」

『了解!』

 

 全員が指示に応え、内部に向かう3人へ、ラグナが声をかける。

 

「お前ら気を付けろ。トーチウィックもそうだが、ニオとかいう仕込み刀の傘使いの女も厄介だぞ」

「わかった。ラグナ達も気を付けて!」

 

 ヤンと共に他の2人も頷き、3人が列車の内部へと突入した。

 それを見送りながら前方に目を向けると、ラグナ達の前には既にズラリとロボットが並んでおり、アームに付いている銃をこちらへ向け迫ってきていた。

 ウーブレック、ルビー、ラグナがそれぞれ戦闘態勢に入ると、ツヴァイが「自分も戦う!」とでも言うようにラグナ達の前に躍り出る。

 

「ツヴァイ、危ねえから下がってな」

「あ、ラグナ、一応ツヴァイも戦えるよ?」

「そうなのか?」

「うん、昔から私やお姉ちゃんと一緒に訓練に付いてきてたら、いつの間にかツヴァイもオーラを使えるようになってた。物凄く打たれ強くなるんだよ」

「…そりゃあ、賢いとか言うレベルの話じゃねえな」

 

 ラグナはツヴァイの予想を遙かに上回る能力に舌を巻く他なかった。

 

「まあなんだ、お前も無理はするなよ?」

 

 そう声をかけると、ツヴァイは1つ吠える。そしていつの間に打ち合わせたのか、ツヴァイはウーブレックによってベースボールのバッティングの如くぶっ飛ばされ、ロボットの一機を粉砕した。

 あまりのシュールさと荒々しさにラグナはツヴァイの身を案じたが、当のツヴァイはケロリとしている。ルビーの話の通り、打たれ強さは尋常ではない物があるようだった。

 ツヴァイに続く様に、ウーブレック、ルビーがロボットへと突撃していく。ラグナも力が抜けた気を引き締め直し、ロボットを迎え撃つ為、アラマサを大鎌の形に持ち替えてそれに続いた。

 




おかげさまで、本作のお気に入り登録が1800件を突破しておりました。
いつもお気に入り、感想、評価、誤字修正ありがとうございます。
これから戦闘描写が増えていく事もあり、拙い点もあるかと思いますが、少しでも読みやすく、面白い物語を描けるように努力して参ります。

RWBYの雑談コミュニティにも是非、ご参加下さい。
RWBY雑談コミュニティ招待リンク
https://discord.gg/E23QJ2376t

では恒例の謝辞を。
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回。
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