仕事に忙殺されておりました。少し体調を崩してしまったりしたこともありましたが、なんとか元気になりました。
時間を見つけて書いていきますので、またよろしくお願いします。
列車の上を駆け抜けながら、ロボットの巨体を鎌で薙ぎ払っていくラグナは、その背後から襲い来るファウナスに対し、アラマサを変形させ、大剣で応戦する。ファウナス達の爪を弾きながら、片方に蹴りを見舞うと、的確に鳩尾を突かれたファウナスは膝から崩れ落ちた。その横を流れるように奥にいたもう1人の敵に接近し、アラマサを振り上げる。
「へへ…くたばれ…人間…」
頭部に一撃を喰らったファウナスは、その言葉を最後に脳震盪により気を失った。
「こんな事すりゃあ、自分達もただじゃすまねえって分かるはずだろうが!」
後ろで絶え間なく聞こえるグリム達の地響きのような足音と鳴き声が、ラグナの心に焦りを生み悪態を吐いた。それはこの状況下で向かってくる〈ホワイトファング〉のファウナス達が、ラグナ達に倒され列車から落ちた後、どうなってしまったのかが想像出来てしまうからでもあった。
「彼らの怒りや憎悪は、それほどに根深いという事だろう。だからと言って、こんな凶行を許す事は到底出来はしないが」
そう話すウーブレックの目には、怒りの他に悲しみの色が見てとれた。以前授業も行っていたように、ウーブレックはファウナスの差別に対しても苦言を呈していた。この〈ホワイトファング〉の活動を阻止する任務は、人間にもファウナスにも分け隔てなく接してきた彼にとっても、成し遂げたいものであったのだろう。
列車の上を埋め尽くす程にいたファウナス達も、後はロボットに乗った数人とその他にまばらに残るのみ。爆発が止んだことを考えると、内部へと向かった3人が有効に作用している事は解る。しかし、列車自体はみるみるスピードを上げ、既に最高速度に到達していた。
「まずいな、間に合わない…」
ウーブレックのか細い呟きがラグナに届く。ここまでの速度を出した物体が止まるには、速度に応じた相応の距離が必要になる。ウーブレックは、マウンテン・グレンからヴェイル市街までの距離と現在の速度・発進した時間を計算すると、今から運転室に行きブレーキをかけても、間に合わないという結論に至ったのである。街のど真ん中に、これほどのグリムの大群が押し寄せるなどと夢にも思わないヴェイルの街は、このままでは為す術なく蹂躙されてしまうだろう。それこそ、かつてのマウンテン・グレンのように。
「博士、街まであとどのぐらいだ?」
「このトンネルは直線距離を突っ切っているからな。おそらく、あと5分と待たずに閉鎖された場所に激突し、街へ侵入を許してしまうだろう」
「そうか…」
ウーブレックもマウンテン・グレンの有様を未来のヴェイルに重ねたのか、沈んだ声音でラグナの問いに答える。負の感情に引き寄せられるグリムにとって、パニックに陥った人々で溢れかえった都市は、引き寄せる要素の塊でしかない。最高速度で疾走する列車の速度には付いて来られないため、現在グリムの大群は後方にほんの小さく見えるのみだが、未だに大きくなる無数の音からは、大群がどれほどの規模のものになっているか想像も出来なかった。
ラグナは後方をじっと見つめた後、覚悟を決めたようにウーブレックに背を向けた。
「博士、街の方は頼む」
「何?
ラグナ、いったい何をする気だ?」
「俺はここで降りてグリム共の勢いを削ぐ」
「なっ!!??」
ラグナの言葉にウーブレックは眼鏡の奥の目を見開き、絶句する。
「全部を止めるのは流石に無理だろうが、少しでも街に流れ込む数を減らせば、その分被害は抑えられる」
「そ、そんなことは許可できない!死にに行くようなものだぞ!?」
「大丈夫だ、死にはしねえ」
「ダメだ!そう言って戻らなかったハンターを私は数え切れないほど見てきた!
それに君はまだ生徒だ。正規のハンターではない君にそんな危険は背負わせられない!」
ウーブレックはラグナのあまりにも危険な言動に、頑として首を縦に振る事は無かった。
「博士、すまねえ。罰は帰った後、いくらでも受ける」
「おい、待ーーー」
しかし、ラグナはウーブレックの方へ振り返ると、そう言い残して電車から飛び降りた。ウーブレックの静止も間に合わず、ラグナの姿はあっという間に遠ざかっていく。
「…………帰ったら補習だぞ、ラグナ」
列車の上で、ウーブレックはラグナがいる後方へ語りかけ、無事を祈る事しか出来なかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
列車から飛び降り、線路の上へと着地したラグナはアラマサを納める。ラグナ自身も自殺行為を行うつもりは毛頭無い。ウーブレックへの提案も、十分に勝算が得られたからこそのものであった。
「余裕がねえからな、出し惜しみは無しだ…
第666拘束機関開放。次元観象虚数方陣展開。イデア機関接続。『
一呼吸置いた後の開放の文言と共に、右腕である「
トンネル内に反響する地響きが徐々に大きくなり、迫り来るグリムの大群がラグナの目に飛び込んで来た。ラグナはアラマサを鎌に変形させ、ソウルイーターの波動を纏わせる。波動により増大した刃は三日月の形を成し、眼前に押し寄せる津波を迎え撃つ形をとった。
「厄介そうなやつは出来る限り此処で潰しておかねえとな!
シードオブタルタロス!!」
大鎌から放たれた一撃は衝撃波を伴い、グリム達を薙いでいく。最前線を走っていたグリム達は塵となって消滅し、その後ろのグリム達も足を止めた。グリム達は突然現れた脅威にたじろぎ、ラグナに対して威嚇を向ける。ラグナの目的は街へ向かうグリムを少しでも減らす事、自身を脅威に思ってくれるのなら、ラグナにとっては好都合であった。しかしその時、地鳴りのような低い轟音が耳に届き、続けてトンネル内が揺れるような感覚がラグナを襲った。
「っ……やっぱり止められなかったか…」
列車が街に突入してしまった音だと察したラグナは、肩を強張らせる。ウーブレックの予測を聞いていたとはいえ、一縷の望みを捨てきれない自分がいたのである。そんなラグナの思いを知ってか知らずか、グリム達は遠吠えをあげ、その顔はどこかあざ笑うような表情を浮かべているような気がした。
グリム達はひとしきり吠えると、再び侵攻を開始したが、ラグナは気持ちを切り替えてグリムの群れを迎撃する。しかし、ラグナに目の前に立ち塞がれたグリムはラグナを排除しようと攻撃を仕掛けるが、その他のラグナから少しでも逸れているグリム達は、ラグナの事は意にも介さない様子でラグナの横を通り過ぎていく。
ラグナの勝算の要因の一つ目がこれである。列車が街へと突入した場合、街は少なからずパニックに陥る。負の感情に引き寄せられるというグリムの性質上、目の前の
グリムは長く生きるほど大きくなり、その分強力になる。ラグナはグリムの群れの中でも、大型種に当たるキングタイチートゥやアーサ・メジャー、アルファ・ベオウルフ等の上位種、または体格の大きい個体に狙いを定め、街の被害を最小限に留めようとアラマサを振るう。通常ならすぐにでも体力の限界が来てしまいそうな戦い方だが、ここでラグナの勝算の二つ目が活きてくる。
それは「ソウルイーターによる生命力の回復」である。グリムを狩ることで得られる生命力で体力を回復し、長時間の戦闘を可能にする。ラグナの目論見通り、グリムから得られる生命力を糧とし、ラグナはアラマサを振るう。
しかし、ラグナも口にした通り、ラグナが止められるのはほんの一部である。ラグナは狩り切れずにヴェイルへと向かうグリム達の背を見つめながらぼやく。
「街の方は頼んだぞ、お前ら」
グリムの大群へと向き直り、アラマサを振るいながら食い止める対象を見定めていると、奥の方に一際大きな体格を持ったグリムの姿があった。
「ゴライアス…」
マンモスのような体を揺らしながら、その巨躯からは想像もつかないスピードでグリム達を掻き分けるように走る。厄介な事にそれが3頭、連なる形を取っていた。ウーブレックの話からも、ゴライアスは力、知恵共に他のグリムよりも優れている事を知っているラグナは、すぐさまゴライアス達の進路上に立ちはだかる。
ゴライアスはラグナの姿を目に留めると減速し、足の動きを止めた。長い時の中で「学び」を得たゴライアスは、ラグナの事を脅威として認識したのである。先頭のゴライアスが警戒するように鼻を鳴らした。それに対しラグナも、大剣に直したアラマサを構え、戦闘態勢をとる。
「グオオォォォオオ!!」
「うおおぉぉぉおお!!」
低く、くぐもった咆哮と共に先頭のゴライアスが突進を繰り出す。後ろに通す訳にはいかないラグナはゴライアスの象牙のに向け、大剣を右へ斬り上げる。
鈍い金属音が響き、ラグナの全身に痺れるような衝撃が走る。そして次の瞬間には、ラグナの身体が弾き飛ばされた。
「くっ!」
ラグナは空中で回転し、無事地面へと着地する。しかし、その横腹へと別のグリムが突撃を仕掛けていた。
「うぉ!?」
間一髪の所でラグナは後ろに跳躍する事で回避。足の踏ん張りを聞かせて体勢を整え、すぐさま周りを見ると、ゴライアス3頭が既にラグナを包囲していた。
「力の強さはある程度予想してたが、当たり前のように連携までしてくるのかよ…」
通常のグリムは人間を無秩序に攻撃する。しかし、このゴライアス達はラグナを無視せず、闇雲に攻撃する訳でもなく、3頭で対処し確実に排除しようとしている。出来るだけ多くの強力なグリムを食い止めたいラグナにとっては嬉しくもあるが、同時に厄介極まりない誤算であった。
再び襲い来るゴライアスの突進を今度は横にステップする事で躱す。ゴライアスがすぐに街へ向かわず、自身の排除に動くのであれば、全ての攻撃を受け止める必要が無くなったからである。
ゴライアスのすれ違いざまの胴体に、大剣の攻撃を見舞う。しかし、ラグナの渾身の一振りをもってしても、ゴライアスの巨躯を両断する事は叶わず、胴体に切り傷をつけるのみに留まる。それでも、ゴライアスは痛みからか一度大きく吼えると怒りを溜めた赤い瞳でラグナを睨み付けた。
「ちっ…皮の部分も硬えな…」
ゴライアスに対して、ラグナも舌を打ち睨み返す。突進ではラグナを仕留められないと判断したのか、今度は他2体のゴライアスが同時にラグナへと近づき、前脚を上げてのしかかるように上から襲いかかる。ラグナは片方のゴライアスの後脚の隙間に滑り込むようにして避け、後脚の膝裏を斬りつける。関節の裏側は伸縮性が求められる為、他の部位よりも脆い事が多い。更に、通常の動物には重要な血管や腱が通っている為、急所の一部として区分される。それはグリムにとっても同様で、血を流す事は無くとも、関節が体を動かす重要な役割を担っていた。その関節にダメージを負ったことで、前脚を上げていたゴライアスは体勢を崩して倒れ込む。そのままアラマサを大鎌に変形させ、地面を揺らして倒れ込んだゴライアスの首元を刈り取ろうと振り上げる。しかし、またもやもう1頭のゴライアスが大きな鼻をラグナに向けて薙いだ。不意を突かれたラグナは、鎌の柄で攻撃をガードしながらも吹き飛ばされた。
助けに入ったゴライアスは膝裏を負傷した1頭を庇うようにラグナとの間に割って入り、鼻を大きく振り回して威嚇を続けている。
「やっぱまず全員の足を奪わねえとな」
ラグナはジーンと痺れる手を一度振り払い、鎌を握り直した。今度はラグナの方から横へ回り込み、倒れ込んだゴライアスへ接近する。未だ立ち上がれない1頭の盾になるように動くゴライアスの動きを読み、鞭のような鼻を弾く。そのまま足元に飛び込んだラグナは、右の前脚を再び膝裏から攻撃した。鎌となって重さを増した一撃はしかとゴライアスの皮を斬り開き、その脚を両断した。右前脚を失ったゴライアスは残った3本の足ではその巨体を支えきれず、頭から地面に突っ込む。前に倒れ込んだゴライアスの頭を踏み台にし、空中へと飛び上がる。ラグナの予想通り、眼下では前の1頭を壁とした死角から、最後の1頭がその牙でラグナを串刺しにするべく、下から上へと突き上げていた。
「ナイトメアエッジ!」
空中で剣形態に戻したアラマサが赤黒い波動を纏って、ゴライアスの胴体に叩きつけられる。攻撃の後隙で力が抜けた体幹では、ラグナの上空からの攻撃に耐えられず、ゴライアスは腹を地面に打ち、その巨体はボールがバウンドするように跳ねる。
「吹き飛べ!」
叩きつけた大剣を身体を軸にして1回転させるように薙ぎ、纏った波動と共にゴライアスが宙を舞う。その大きな体は周りのグリムを巻き込みながら、数メートル転がった後に停止した。ラグナの後ろでは、脚を負傷した2体が必死に立ち上がろうとするが、残りの脚をガクガクと震わせながらも遂に立ち上がる事は叶わなかった。ラグナが頸部に剣を突き立て、ゴライアス達の身体は塵となって四散したからである。
差し当たって1番の脅威であったであろうゴライアスを食い止めた事で、ラグナは短く息を吐く。その背後で、重く重厚な足音が鳴った。ラグナのナイトメアエッジによって吹き飛ばされたゴライアスが傷だらけになりながらも、体に鞭を打って立ち上がっていたのである。
「お前達が待ってる時は、今じゃ無かったみてえだな」
満身創痍のゴライアスにラグナが皮肉気に告げる。ゴライアスは鼻を一度鳴らすと、諦めたように
「っ!!??」
尋常ではない殺意を察知し、ラグナはすぐさまその場を飛び退いた。その殺意の元は飛び退いたラグナの場所を通り過ぎ、瀕死のゴライアスへと突貫する。
その後ろ姿には、背を埋め尽くす程の赤黒い棘のようなモノがその鋭さを示すように、決して明るいとは言えないトンネル内のライトを受けて、妖しく光沢を放っていた。
コミュニティのメンバーさんから教えて頂いたのですが、この小説よコピペと思われる小説が他サイトに存在しているとの事です。
本サイトの利用規約の一部に無断転載の禁止がありますで、ご自重下さいますようよろしくお願いします。
本音を言うと、転載しようと思われる程、面白く書けているという事かな?と少しばかり嬉しく思ってしまった事はここだけの話です。笑
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コミュニティの方も自分は忙しかった事もあり、あまり浮上出来ていませんが、参加して頂いた方々の交流の場になっていれば幸いです。
では恒例の謝辞を。
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回。