元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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新生活が始まり、およそ1ヶ月が経過しました。だいぶ慣れて来たと思います。都会暮らしは誘惑が多く気をつけないといけないですね。
主に美味しそうなお店とか…

そんな中、RWBY原作の制作会社であるRooster Teeth様が閉鎖されるとの知らせをDiscordで知りました。大変残念な気持ちでいっぱいですが、この作品はBLAZBLUEとRWBYという作品に敬意を忘れずに、これからも書き続けていければと思います。

感想、誤字脱字報告ありがとうございます。


静寂満ちる森

 

 任務2日目の朝、いつも通りの時間に目が覚めたラグナは、彼を囲むようにして眠る子ども達を起こさないようにしながら、自身の部屋を出る。顔を洗ってから孤児院の広間に行くと、神父であるグレイが子ども達の朝食の支度をしていた。

 

「おはよう、ラグナ君。集合は8時と言っていたのに早いですね」

「アカデミーでもこのぐらいの時間に起きてるから慣れちまってな」

「そうですか、もう少し待って下さいね。今、朝食を出すので、一緒に食べましょう」

「わかった。神父もコーヒーでいいか?」

「ええ。お願いします」

 

 ラグナはグレイの横でお湯を沸かし、2人分のコーヒーを準備する。その後、支度が出来た朝食を食べながら、グレイとラグナは会話を弾ませる。

 

「また、君と食卓を囲めるのは嬉しいです」

「そうだな。孤児院(ここ)も変わりないか?」

「ええ、おかげさまで、みんな元気にやってますよ。子ども達への寄付も十分に頂いてますし、村長代理をさせてもらってお給金もいただいていますから。あと、新しい孤児がいないのも、喜ばしい事です」

 

 現在、孤児院では4人の子供が院長である神父と共に暮らしている。名前はアレン、ロイ、リン、アイリといい、いずれも、村の外で孤児になってしまった子をグレイが引き取って来た子達だ。

 アレンは活発で責任感の強い男の子であり、昨日、ラグナに剣を見てほしいと頼んだのも彼である。4人の中で孤児院での生活が一番長く、年齢も正確な数字は分からないとはいえ、おそらく11~12歳と4人の中では一番の年長者だ。

 ロイは孤児院の中で最も幼い男の子で、冷静で大人びた雰囲気を持つが、その反面、年相応に少し寂しがり屋な面もある。剣はまだ危ないので持たせてないらしく、昨日もアレンを羨ましそうに見つめていた。

 リンは10歳前後の、その名の通り、凛々しい真面目な女の子だ。アレンと共に剣の訓練をしており、滑らかに剣を振るう姿はラグナを驚かせた。

 アイリはリンと同い年ぐらいの本を読むことが好きな女の子で、一見儚げに見えるが、その実、頑固な一面がある。剣は苦手らしいが、その代わりに4人の中で一番の物知りで、何か分からないことがあると頼られているらしい。

 

「それなら良かったよ」

「ラグナ君は今日から捜索開始ですか…

君であれば滅多なことはないと思いますが、くれぐれも気を付けてくださいね」

「ああ、気を付ける」

 

 そんな会話をしながら、ラグナは食事を済ませると、広間のドアがガチャリと開く。ドアの向こうからは子ども達があくびをしたり、目を擦りながら広間へとやってきた。

 

「あ~、ラグナ、まだいた。良かった~」

 

 寝起きの為か、リンの珍しくのほほんとした声と共に、ラグナの方に手を振る子ども達。起きた時にラグナがいないことを心配した様だった。

 

「みんな、おはようございます。朝ごはんの用意が出来てますので顔を洗ってきなさい」

『は~い』

 

 グレイの言葉に、異口同音にそう言って、広間から出て行った。ラグナは自身の朝食の食器を片し、神父と共に子ども達の朝食の準備をする。そのあとは、子ども達が食べている間に、シャワーで汗を洗い流し、いつもの赤いコートに身を包んだ。

 広間に戻り、出発することを伝えると、子ども達が寂しそうに声を沈ませた。ラグナは子ども達の頭を撫でながら、声をかける。

 

「今回の任務がどれぐらいかかるか分からねえが、村にいる間はここに帰ってくるからよ。その間、夜ならまた、剣も見てやれる」

「ほんと?」

「ああ、任務が終わっても、最後に顔は見せに来るし、黙って居なくなることはしねえ。だからお前らも、いい子にしてろよ?」

「うん、わかった!」

「ラグナに見てもらうまでに練習しておくね!」

 

 明るくなった子ども達の顔を見回してから、壁に立てかけてあったアラマサを腰に帯びる。神父と子ども達に見送られながら、集合場所となっている南門へと向かった。時刻はまだ集合の20分程前だったが、南門に着くと、既にアイギス、シュニーの姿があった。2人がラグナに気付き、ラグナが軽く会釈を返すと、アイギスに手首でクイクイと手招きをされた。

 

「早かったな、だが丁度良かった。シュニー中将と捜索エリアの相談をしていてな。君の意見も聞かせてほしい。

範囲内でグリムの根城になりそうなところ等はあるか?」

「根城……」

 

 捜索エリアで示されていたのは、目撃情報の中心地から半径約2km程の範囲だった。アーガルムの南は山となっており、傾斜の多い山道になっている。そのため、周辺には洞窟がいくつかあり、アーガルムにいた頃、洞窟がグリムの住処になっていたことがあったため、そのことを2人へ伝える。

 

「なるほど、洞窟ですか…

ではひとまず、洞窟とその周辺をメインに捜索を開始します」

「そうだな。よろしくお願いします」

「ラグナ、案内は任せましたよ」

「了解。とりあえず近いところから回りますか」

 

 そうこう話をしているうちに、8時が近づき、全てのアトラス軍の兵士が集合した。先日の話の通り、二手に分かれて捜索が開始となり、ラグナはウィンターと第1、第4部隊を伴って、森へと足を踏み入れた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 捜索開始から約4時間が経過し、太陽からの光が、木々の葉の隙間から差し込んでいた。その木漏れ日の明るさとは裏腹に、捜索は難航中である。

 手がかりが無い訳ではない。むしろ逆である。捜索を開始してからすぐに、ラグナにとって見覚えのある赤黒い棘の一部や、何やら争った形跡が発見された。その痕跡をたよりに、警戒を怠ることなく捜索を続けてきたが、洞窟やその周辺、また今進んでいる獣道の途中でさえ、行く先々至る所で似たような痕跡が見つかったのである。発見される数多の痕跡にずっと気を張り詰めている兵士たちの顔にも、疲労の色が見え始めてきてしまった。

 

「ここにも…」

「こっちもだ…」

 

 現在、ラグナが知る3つ目の洞窟を調べ終えたが、洞窟内は案の定痕跡の山だった。今移動している獣道においても、続々と痕跡が発見されており、最初に痕跡を見つけた時は、兵士達のハキハキとした声が聞こえたものだが、それとは正反対の力のない発見報告が耳に届く。

 

「一度村に戻ります」

 

 著しい士気の低下に、ウィンターがラグナへ向けて声を掛けた。疲労が顕著に表れ始めている兵士達では、仮に目標を発見できたとしても、十全に戦えないと判断だろうと、ラグナもウィンターの言葉に同意し、頷く。

 

「それに、気になることがあります」「気になることが…」

 

 村への帰り道を歩きながら、2人の声が重なる。ウィンターはラグナへと視線を向け、ラグナは少し気まずそうに肩を竦めた。

 

「貴方もですか?

………言ってみなさい」

 

 ウィンター自身も、表には出さないが疲労が蓄積しているのだろう。隠し切れずに滲んだ苛立ちが、言葉を強めた。

 

「棘とかの痕跡が多すぎるのはいったん置いておくとして、一番気になるのは、『グリムを1匹も見ていない』事…です。ここのグリムはそこまで強くはなかったが、数が少ない訳じゃなかった。それこそ、防護柵から出ればすぐに鉢合わせるぐらいには。そのグリム達が、こんな長い時間森をうろついてる俺達の前に、1匹たりとも出てこないのは異常だ。方針を変えたほうがいいかもな…」

「………」

 

 ラグナの意見に、ウィンターは少し驚いたように目を見開いた。その後、黙ったままラグナをまじまじと見つめる。睨まれているように感じたラグナは、口を開かないウィンターに冷や汗を掻きながら、ウィンターの言葉を待つ。

 

(やべ、学生の分際で生意気だとか思われたか?

途中から敬語も忘れてるし、やっちまったかもしんねえ…)

 

「……私も同じ意見です。一旦戻ってアイギス中将と方針を練り直します」

「了解っす。ここからなら…少し下れば街道の防護柵が見える。そこから帰った方が早いか…と思いますです」

 

 変わらぬウィンターの様子に、ラグナは胸を撫で下ろした。しかしーーー

 

「あと、私との会話で敬語は不要です」

「へ?良いの?」

 

 不意にウィンターから告げられた言葉に、ラグナは素っ頓狂な声を上げ、思わず素で聞き返す。ウィンターは表情を変えないまま言った。

 

「貴方の敬語は聞くに堪えないので」

「……ごめんなさい」

 

 もっともな言い分にラグナは平謝りするしかなかったのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 村へ戻る途中で街道の防護柵にたどり着いたラグナ達。程無くして、防護柵の周囲を調べていたアイギスとも合流し、ウィンターがこれまでの捜索結果を伝えた。

 村へと帰還すると、拠点には昼食としてサンドイッチが用意されていた。酒場の女将やカインの奥さんなどが協力して用意してくれてたものらしく、捜索開始からずっと神経と尖らせ、緊張感と戦っていた兵士達は、ほっと一息ついたように座り込み、サンドイッチを口に運ぶ。ラグナも懐かしい味に、気持ちが落ち着くのを感じた。

 

(あんなにも痕跡が散らばってるってのはさすがに予想外だったが…)

 

 さくっと腹ごしらえを済ませたラグナは、午前中に得た情報を思い返しながら、それの意味を考え、整理していく。

 

(妙な仮面のグリム…村人を襲わなかった…棘…争った形跡…見当たらない普通のグリム…

……あ…もしかして…)

 

 ラグナの頭の中で、一つの推論が立ち、自身の考察を伝えるために本部にいるであろうアイギスとウィンターのもとへと向かった。本部の中では、アイギスが難しい顔を浮かべながら、地図を見つめている。

 

「そこまで痕跡が散らばっているとなると、捜索にも時間がかかりそうだな。兵士達の消耗が激しいのも頷ける」

「この分だと、目撃情報のあった範囲内はどこも同じような状況だと思われます。これではキリがない…」

「それと、話に合った『グリムを全く見なかった』というのも気がかりだ」

「ええ、ラグナの話では、この村周辺のグリムは少ないという訳でもなかったと」

「うむ…」

 

「ちょっといいか?」

 

 2人の話し合いでも、情報から次の方針を決めるには、決定打にかけているようだった。ラグナは悩む2人の元へ歩み寄り、声を掛けると、2人はラグナの方へと顔を上げた。

 

「どうした?」

「行き詰まってるみたいだったから、試しに俺の考えを聞いてみる気はねえかと思ってな」

 

 一学生の身であるラグナの申し出に、2人は怪訝そうに顔を見合わせる。しかし、方針を決めかねているのは事実だったため、ウィンターから「続けなさい」と許可が下りた。

 

「今回の捜索でわかったのは『至る所に残された棘や争った形跡』と『これまでいたグリムがいない』って事だ。だが、この情報だけだと、目標の居場所に目星をつけるのは難しい」

「それはわかっている。しかし、それしか情報がない以上、このまま捜索の続行するしかないのではないか?」

「いや、確かに直接的に読み取れる事はないかもしれねえが、もう1つ考えてもらいたい」

「なんだと?」

「何故、『あんな痕跡達が残されたのか』、そして、『グリムがいなかったのか』だ」

「!………確かに…」

 

 ラグナの言葉に、アイギスとウィンターはハッと息を呑んだ。2人は考え込むように地図をもう一度見つめながら、ぽつぽつと呟く。

 

「人的被害が出ていないにも関わらず、発見した痕跡には戦闘の形跡が色濃く残っていました」

「戦闘に関しては証言の中に、『グリム同士が戦っている』というものがあったな。だとすると、その痕跡はグリム同士の戦闘で残ったものということか?」

「先日、ラグナが遭遇した個体は『グリムを喰っていた』という話がありましたね。その話が事実なら、争う理由にもなります」

「だが、何故そんなことをする必要がある?グリムは生命活動としての食事は必要ないという話ではなかったか?

人を捕食するのは聞いたことがあるが、それもあくまで人類の創造物に対する破壊行為の一環なだけだ。共喰いなどする必要があるとは思えん」

「目的まではまだわからねえ。だが、状況証拠から考えると、目標である特異なグリムが、普通のグリム達を喰って周ってる可能性がある。そして、グリムの姿が全く見られないということはーー」

「もしや、狩り尽くされたというのですか?」

 

 ラグナの言葉を察知したウィンターの戸惑いの声に、ラグナは肯定を示した。

 

「あくまで仮説に過ぎないが、そう考えると辻褄は合うし、捜索範囲が変わってくるだろ?」

「む…そうか。

今も尚、狩りを続けているというのなら、狩り尽くした場所に居続けるわけがない。次の獲物を求めて移動していると考えられるな」

「ああ。だとすると、目撃証言のあった範囲を闇雲に捜索するのは悪手だ。最新の目撃情報の付近、それも、まだ目撃情報がない当たりを探した方が良いんじゃないか?」

「なるほど。理にかなっています。

私たちは標的がグリムであるということで、思考が止まっていたのかもしれませんね。

グリムの目的…人の負の感情に引き寄せられ、災禍をまき散らす存在としか認識してきませんでしたが、貴方が『行動原理が違う』とも言っていましたし、私達も認識を改める必要がありそうです」

「最新の目撃証言は、村から南東に進んだ先だったな。午前中、街道は問題なさそうであると確認がとれた。村の警護には機械兵と第3部隊を残して、自警団と連携して当たらせる。私と第2部隊も捜索に加わろう」

 

 そうして、午後からの捜索の指針が定まった事で、アイギス、ウィンターは兵士達への集合をかける。食事と休息をとったことで、士気を持ち直した兵士達と共に、ラグナも目撃証言の場所への案内に向かった。

 

 




「おいおい、見ろよ!
あの作者、ラグナの敬語しんどいからって無理やり使わなくていい方向に持っていったぜ!」
「それは言わないで~!( ;ω;)」

ウィンター側の心情も考えて、違和感ないように書いたつもり…

追記:今後の話を書いていく展開上、神父にも名前が必要だと思ったので「グレイ・アンデルセン」という名前をつけました。
名前の表記が変わっているだけで話の内容は変わっていません。

RWBYの雑談コミュニティにも是非、ご参加下さい。
RWBY雑談コミュニティ招待リンク
https://discord.gg/E23QJ2376t

私自身のキャラ理解向上の為、コミュニティにて皆さんのRWBYの推しキャラと推しポイントを書いて頂けると嬉しいです。同時に、皆さんの交流の一場所になれば幸いです。

では、恒例の謝辞を。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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