まだまだ新生活にソワソワしながら過ごす毎日です。
なんとか時間を見つけて書いていきます。
誤字脱字報告ありがとうございます。
感想も嬉しく読ませて頂いています。
ウィンターとアイギスから小隊の兵士達へ立てられた仮説の説明がなされた後、最新の目撃情報の場所へと向かったラグナ達。そこから目撃証言から割り出した範囲の外に目を向け、捜索を開始した。棘や戦闘の痕跡がなく、きれいな雑木林を捜索していると、一人の兵士が声を漏らす。
「あ…」
「どうした?」
「見ろ、グリムだ…」
兵士が示した方向には、2匹のアーサが大木の近くに佇んでいた。兵士達の伝達によって、グリム発見の知らせはすぐさま、ウィンターとアイギスに届けられ、今まで姿形もなかったグリムの発見に、ラグナも仮説の信憑性と捜索の進展を期待せずにはいられなかった。
発見したグリムに気取られないように、兵士達に付かず離れずの距離で監視するよう指示が出される。仮説の内容から、そのアーサ達が囮として利用できないかという思惑からだ。そして、その思惑は見事に的中したのである。
しばらく、アーサを追跡していると、突然、様子が変わった。その体躯を強張らせ、グゥゥ…と呻くように警戒を露わにする。
「気付かれたか?」
「いや待て」
臨戦体勢をとろうとする兵士達へ向け、アイギスが制止を促す。アーサの警戒の先が、こちらではない事に気付いたのだ。そして、アーサが睨む茂みの中から、
「っ…!!
あれが…」
その姿に、兵士達は息を呑む。現れたそれは、シルエットこそ確かにベオウルフと似たフォルムをしている。しかし、目を引くのはその背から伸びる禍々しい棘。そして、白い仮面も通常のものよりも大きく頭部を覆い、描かれている紋様もより複雑に刻まれている。アトラス軍の驚きも束の間、特異なベオウルフは、近くにいた警戒していたはずのアーサの懐にするりと入りこんだ。アーサの胴体の陰にベオウルフの姿が隠れた次の瞬間、アーサの背部から
「……は?」
そう言葉にならない声を上げたのは誰だっただろうか。アーサの背部から突き出たそれは「腕」だった。アーサの体が傾き、力なく倒れるとそこにはアーサの腹部から前脚を引き抜く赤黒い棘のベオウルフ。あまりに衝撃的な目の前の現実に困惑したのは人間だけではなかったようで、茫然と立ち尽くすもう1体のアーサは迫りくるベオウルフの前脚に無抵抗だった。ベオウルフの前脚はそのまま、残されたアーサの頭部を地面に叩きつける。それだけで、アーサは頭部を潰れたトマトのように弾け、絶命した。
タール状の液体を前脚から滴らせるそのベオウルフは、動かなくなり、徐々に霧散し始めるアーサの胴体に、大きく口を開けて齧り付いた。話には聞いていたとはいえ、実際に目の前で起きたあまりにショッキングな出来事の連続と特異なベオウルフのプレッシャーに、兵士達はおろか、ウィンターとアイギスでさえ、言葉を失い固まってしまっていた。ただ一人を除いてーーー
「アイギス、ウィンター」
「…っ!!」
その呼びかけで、意識を持ち直したアイギスとウィンターは声の主の方へ視線を向けた。声の主、ラグナは真っ直ぐに2人を見つめながら続ける。
「どうする?
仕掛けるなら
「…うむ、そうだな」
「…はい」
ラグナの言葉に同意した二人の対応は迅速だった。
「第1、第2部隊はこの距離を保ったまま、万が一に備えいつでも対応できるよう陣を敷きます」
『Yes,Ma'am』
「第4部隊、陣形が整ったら仕掛けるぞ。戦闘準備だ」
『イ、Yes,Sir』
明確な指示が告げられたことによって、第1、第2部隊の兵士達もショックから立ち直ることが出来たようだ。冷静さを取り戻し、配置についていく。しかし、第4部隊に関しては、実際にアタックを試みるということもあり、特異なベオウルフの異様な雰囲気と行動によって、戦闘の準備の様子もどこか浮足立っているように見えた。
「配置、完了しました」
「よし」
陣形の構築が完了し、ウィンターとアイギスがアイコンタクトで頷きあう。アイギスと共に、第4部隊のメンバーが前へ出ると、相手も近づく人間のオーラに気付いたようで、捕食中の顔を上げ、第4部隊の方へ顔を向ける。
「第4部隊、作戦開始!」
アイギスの号令で、第4部隊の兵士達も武器を構え、ベオウルフへ向けて行動を開始した。第4部隊の構成は両手剣、片手剣と盾、槍、斧を獲物とする4名で、それぞれ遠距離攻撃のために、各々銃に変形するようである。
まず、両手剣と槍の長物を得物とする2人が、ベオウルフを挟み込むように迫る。それに対し、ベオウルフは跳躍することで両方の攻撃を避けるが、その着地地点を狙い、片手剣が変形したアサルトライフルによる銃撃を放つ。ベオウルフはその銃撃に対し、発達した前脚で防御体勢をとった。銃弾は、ベオウルフの前脚に阻まれ、ダメージを追わせるには至らなかったが、そのガードで動きが止まった隙をついて、側面から斧使いが重い一撃を振り下ろす。しかし、これも紙一重で避けられ、再び双方の距離が空いた。それから数度、攻勢に出る第4部隊だが、ベオウルフに有効打を与えるには至らなかった。
第4部隊の連携の組み立てや攻撃の練度は、数多の統制機構の兵士と戦ってきたラグナの目から見ても遜色ないと感じられる。だが、それ以上にその連携に容易く対応しきるベオウルフに対して、嫌な予感が拭えない。5度目の連携がいなされた辺りから、兵士達にも目に見えて焦りの色が滲むようになった。
「くっ…攻めきれない…」
「狼狽えるな、状況はこちらが優勢だ!
反撃に転じれないのを見るに、奴も我々の攻撃を捌くので手一杯、このまま攻め続ければ、いずれーーっ!?」
メンバーの不安を拭うように、片手剣使いの第4部隊リーダーの兵士が鼓舞するように声を上げる。しかし、その言葉は最後まで告げることは叶わなかった。第4部隊と対峙したベオウルフが、先日のアーサと同じようにニタリと薄気味悪い笑みを浮かべたように見えたからである。少しだけ開かれた口元からは、鋭い牙が怪しく光り、人狼はそのまま、四つ足で地面を踏みしめる。
「来るぞ!」
ベオウルフの雰囲気が変わった事を感じ取った、第4部隊の面々も身構え、敵からの攻撃に備えていた。だが次の瞬間ーーー
『え…?』
眼前に捉えていた筈のベオウルフの姿がブレて見え、兵士達の戸惑う声が木霊した。それと同時に、轟という音が荒々しく森を揺らしたかと思えば、ベオウルフはいつの間にか、槍を構える兵士の眼前に迫っており、槍使いの兵士へ向け、強靭な前脚による薙ぎが放たれる。兵士の体は軽々と弾き飛ばされ、そのまま木へと激突した。
「グハッ…」
「き、貴様ぁ!!」
バキバキという木がへし折れる音と土煙と共に、槍使いの苦悶の声が他の兵士達の耳に届き、それによって込み上げる怒りを乗せ、槍使いと近い位置にいた両手剣使いの兵士がベオウルフへと斬りかかる。重みのある斬撃を幾度となくベオウルフに浴びせるが、その刃はベオウルフは爪によって弾かれてしまう。両手剣使いは渾身の力を込め、両手剣を振り下ろすが、それもベオウルフの右前脚によって受け止められてしまった。両手剣使いとベオウルフは、刃と爪を交わしたまま膠着する。
「ぐっ…こんの…!」
「任せろ!」
力を込め、ベオウルフの前脚との均衡を保つ両手剣使いの左側から、リーダーの片手剣がベオウルフの右の脇腹に突き立てられる。
「っ!?硬ーー」
剣は人狼の右腹部へ浅く刺さるが、その異常な硬さにリーダーの顔が驚愕に塗り潰された。ベオウルフはこれ以上深く刺さらないことを感じ取ったのか、リーダーと同じく驚きを隠せずにいた両手剣使いの剣を上へと弾く。その勢いのまま左回りにその体躯を回転させ、今度は左前脚を裏拳の様に振り、片手剣使い両手剣使いとをまとめて吹き飛ばした。リーダーは上手く盾を割り込ませて左前脚の攻撃自体は何とか防ぐも、両手剣使いと共に10メートルほど地面を転がる。オーラによる防御が2人を守ったため、すぐさま立ち上がる事が出来たが、2人の懸念は最初に攻撃を受けた槍使いの安否だった。
「大丈夫か!?」
「あ、ああ…なんとかな…」
リーダーの声掛けに、槍使いはぐぐっと体を起こすが、その顔は痛みに歪んでおり、オーラの防御を貫通するほどの攻撃だったという事を表している。傍に駆け寄った斧使いの手を借りて、何とか立ち上がることが出来ていた。
赤黒き棘のベオウルフは、自身を囲う4人の顔をキョロキョロと見た後、まるで嘲るかのようにケタケタと喉を鳴らした。邪悪に笑う目の前の獣に、兵士達の恐怖が掻き立てられるのも、無理のない事だった。
「想像以上だな…これほどとは…」
そう呟きながら、アイギスは自身の装備である巨大な斧と盾を展開し、ベオウルフへと近づく。
「た、隊長…」
そう縋るような声を上げたのはリーダーの兵士だった。他の4人も同様に、眼が赤黒き棘のベオウルフによる想定以上の強さに気圧されてしまい、士気の低下が著しい第4部隊の兵士達を見て、アイギスはスゥーと息を大きく吸いこんで言った。
「昨日の自信はどうした!?
お前たち自身で言っていた通り、お前達は厳しい訓練を積んで来たはずだ。誇り高きアトラス軍の兵士ならば、その矜恃と訓練の成果を、私に示して見せろ!!」
『……はい!!』
アイギスからの檄で、瞳に輝きを取り戻した第4部隊の兵士達は、再びそれぞれの武器を構え、赤黒き棘のベオウルフと対峙する。
「行くぞ!お前達!」
『Yes,Sir!!』
敬愛する隊長の号令に、第4部隊は士気を奮い立たせ、アイギスの後に続く。
アイギスが先陣を切って突撃すると、ベオウルフは右の前脚を振りかぶり、アイギスへと振り下ろした。アイギスは左手に携えた巨大な盾で、その攻撃をしかと受け止める。森に響いた甲高い音がアイギスの盾はもちろん、ベオウルフの強靭さをも示していた。右前脚を受け止められたベオウルフはアイギスの盾に対して、爪を立てた左前脚も使って押し込もうとしているが、アイギスの守りは揺らがない。
アイギスとベオウルフの硬直状態に次の一手が放たれる。
「撃て!」
ベオウルフの両側面へ回り込んだ槍使いとリーダーが、変形させた武器で銃撃を行ったのである。アイギスを巻き込まないように狙いすまされた精密な射撃が、無防備となったベオウルフに浴びせられる。
ベオウルフは「グゥ…」と鬱陶しいとでもいうように小さく呻き、アイギスの盾に四つ足を全てかけ、盾を踏み台にして距離をとろうと後ろへ跳躍した。しかし、読み通りと言わんばかりに、着地した場の近くには、第4部隊の斧使いが待ち構えており、斧の刃が人狼へと迫る。
ガギィィン!
斧使いの一撃と、着地後すぐさま振り上げられたベオウルフの左前脚がぶつかり、両者が互いに弾かれたように後ろへとよろめく。
数瞬の後、ベオウルフが体勢を立て直した時には既に、同じく体勢が崩れた斧使いの前にはアイギスと両手剣使いが立ち塞がっていた。抜け目ないフォローに、ベオウルフが攻めに転じれずにたじろぐ。その間に、ベオウルフの後方には盾と剣を構えたリーダーと、銃のスコープを覗き込む槍使いが陣取った。
ベオウルフは状況を打開しようと、アイギスの方へと突貫するが、アイギスとの拮抗勝負中に放たれる、銃弾や斬撃によって、包囲が破れずにいる。
(硬い前衛が入ったことで、安定感が増したな)
ラグナが戦闘を注視し、そんな分析をしていると横から澄んだ声がかけられた。
「アイギス中将のセンブランスが有効に機能しているようですね」
「そうなんすか?」
ウィンターの言葉にラグナが聞き返すと、ウィンターは戦闘から目を離さずに頷く。
「中将のセンブランスは『ヘイト』、相手の意識を意図的に自分に向けさせる能力だと聞いています。一見地味な能力のようですが、彼は能力の調節をすることで敵の意識をコントロールできる。民の盾として敵の攻撃を一身に請け負う、あの方らしいセンブランスです」
「…確かに…」
ラグナはウィンターの言葉と目の前に戦いを見て、納得したと頷いて返した。確かに、アイギスが加わる前の戦闘の状況から、包囲されている状況でもアイギス以外に対して攻めていれば、包囲を崩せる可能性がある。しかし、他の者がターゲットになるのをアイギスのセンブランスが妨害することで、アイギスに向かって行かざるを得なくなり、徐々にベオウルフは体表に傷が増えていく。
ベオウルフも自身が無意識のうちに誘導され動かされている事を察し始めているのか、鬱陶しそうにアイギスを睨み付けていた。
この頃で1番嬉しかったのはRWBY公式Xで「We are SO back. 」という投稿があった事です。期待するのだけはタダなんでね。
RWBYの雑談コミュニティにも是非、ご参加下さい。
RWBY雑談コミュニティ招待リンク
https://discord.gg/E23QJ2376t
私自身のキャラ理解向上の為、コミュニティにて皆さんのRWBYの推しキャラと推しポイントを書いて頂けると嬉しいです。同時に、皆さんの交流の一場所になれば幸いです。
では、恒例の謝辞を。
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回。