元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

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難航

 

「やあぁあ!!」

 

 酒場での食事が終わり、昨日に引き続き、アレンとリンの剣を見ることになったラグナ。昨日は2人の素振りを見たので、今日は実際にラグナに対して打ち込みを行っていた。

 リンが勇ましく声を挙げながらラグナへと斬りかかる。ラグナはリンの木刀を捌きつつ、リンの戦い方を観ていた。リンはラグナへの攻勢を仕掛けるが、自身の動きを止めないように、ヒット&アウェイをメインに立ち回る。滑らかに剣を操るリンに合っているなと、ラグナも感じていた。

 そして、リンの息が切れており、焦りが見え始める。そして、ラグナは鍔迫り合いの最中にリンの木刀を滑らせるように受け流し、体勢を崩したリンを捕まえ抱え上げた。

 

「わわっ!」

 

 リンは体勢を崩したこと、そして、抱え上げられたことに二重に驚きの声を挙げた。

 

「リン、息が切れたまま攻めるのは良くねえ。相手のテンポに乗せられてるだけになっちまうからな。

時には『待ち』を作って、自分のリズムを崩さないようにするんだ」

「はぁはぁ…そっか…」

「だが、戦い方自体は悪くねえ。自分で考えたのか?」

「うん。アレンとの試合でも、力勝負になると負けちゃうから」

「そうか。よく考えたな」

 

 ラグナがリンを降ろして頭を撫でると、リンは照れながら嬉しそうに顔を赤らめた。すると、威勢良く剣を振り回しながら、アレンがラグナの前に躍り出る。

 

「ラグナ!次俺な!」

「待て待て、リンへのアドバイスが途中だ」

「そんなの後でいいじゃん!行くぞぉ!」

 

 有無を言わさないアレンに、ラグナは「やれやれ」とため息を吐きながら、リンを離れさせる。剣を大きく振り上げるやんちゃなアレンの突貫を、一歩足を引くことで避けると、大振りなアレンの剣が地面に叩きつけられた。それと同時に、ラグナはアレンの頭を木刀で小突く。

 

「いでっ!」

 

 木刀が地面を打った事で、アレンの手には痺れのような痛みが走り、さらにラグナからの攻撃が頭にも痛みを生んだ。尻もちをついて、二重の痛みにアレンは頭を押さえながら、潤んだ目でラグナの方を見つめる。

 

「剣を練習するのはいいが、それで増長して、強くなった自分に酔ったみてえにはなるな。無闇に剣を振り回すのは弱え奴のすることだぞ?

何のために戦う訓練をしてんのか、それだけは忘れんな」

「う…はーい…」

 

 未だ痛む頭をさすりながら、しょぼんと落ち込むアレン。ラグナは、そんなアレンに手を伸ばし、手を取ったアレンを立ち上がらせる。

 

「だがまあ、剣の振りや踏み込みは結構いい感じだな。筋は悪くねえんだから、自分を買い被らずに訓練を続けるんだぞ?」

「うん、わかった!」

 

 ラグナの言葉にアレンも顔を輝かせ、嬉しそうに頷いた。

 

「そしたらリンとアレンは体力づくりのために孤児院の周りを走ってこい。リンへのアドバイスの続きに言おうと思ってたが、さっきみてえに息が切れてると焦りにもつながるし、丈夫な身体は何よりの武器になるからな」

「わかった。ほらアレン、行くよ」

「うへぇ、ランニングかぁ~」

「お前らの様子とタイムを見て何周させるか決めるからな。しっかり走れよ」

 

 リンとアレンが走りに向かったのを見届けたラグナは、2人との稽古をずっと眺めていたロイへ声をかける。

 

「さて、お前も剣の稽古をやってみたいって?」

「うん」

 

 孤児院最年少のロイには、まだ危ないという理由で、神父が今まで剣の稽古をする許しを出していなかった。しかし、いつもアレンとリンを羨ましそうに見つめていた姿や、本人の強い希望に神父が根負けし、ラグナの判断次第で、剣の稽古を始めても良いという事になったのだった。

 

「お前はまだ幼いし、木刀とはいえ、扱いを間違えれば簡単にケガをする。神父も心配だから、今まで許してなかったんだぞ?」

「それはわかってる」

「じゃあなんだって、そんなにやりてえんだ?」

 

 ラグナの問いに、ロイは真っ直ぐな目で応える。

 

「守られるだけの僕は…嫌だ…

まだ小さいからって何もしないのは嫌だ。何もできない僕を、少しでも変えたいんだ」

「…そうか」

 

 ロイの言葉にラグナは少し目を見開いて、そして優しく微笑んだ。自身の無力を悲観する気持ちも、変わりたいという想いも、ラグナには痛いほど良く分かる。ラグナがその想いを抱いたのは、奪われてしまった後であり、後悔を伴っていた。しかし、ロイはラグナや村の自警団、孤児院の兄妹達が戦う訓練をしているのを間近に見ている中で、その心を抱いたのだ。後悔しないように。

 

「まあ、身を守れるに越したことはねえしな。だが、危なくないように基本から少しずつな」

「うん!」

 

 ラグナはロイの手に木刀を差し出すと、ロイはぱあっと眼を輝かせ、勢い良く頷いて木刀を握りしめる。

 

「今日は木刀しかないからとりあえず剣からやってみるか。だが、アレンとリンにも言ってるが、お前も剣に固執する必要はねえ。お前に合った武器を見つけるといいぞ」

「わかった」

「明日の夜は自警団から、槍の訓練用の棒を貰ってくるかな。ちょうどいいから、アレンやリンにも触らせるか」

 

 その後、ロイに剣の振り方を教え始めたラグナは、しばらくして走りこんでいるアレンとリンを呼び戻してから孤児院へと帰るのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 孤児院に戻ったラグナは、訓練で汗をかいた子供たちに入浴を促した後、リビングで椅子に腰を掛けた。するとそこへ、子供たちの部屋へと続く通路のドアから、少女がひょこっと顔を出した。

 

「おう、アイリ、何してたんだ?」

 

 ラグナに名前を飛ばれた少女、アイリはトテトテとラグナの方へと歩み寄った。その腕には一冊の本が抱えられている。

 

「こりゃあ、『光と闇の兄弟神』じゃねえか」

 

 アイリが持っていた本はラグナにとっても馴染みの深い本である『光と闇の兄弟神』であった。元々はオズピンから勧められた本であったが、更には「単なる物語ではなく史実である」と告げられたこともあって、この世界について知るための重要な書物になると認識している。物語としては少しばかり暗めな内容のため、アイリが大事そうに抱えていたのは、少しばかり意外だった。しかしーー

 

「うん。この本に、人とグリムが生まれたことが書いてあったから読んでみた。私はみんなみたいに武器を持って戦うのは得意じゃないから、お勉強でみんなを助けられたらいいなって」

 

 アイリの言葉に、ラグナはジンと目頭が熱くなるの感じた。アイリも自身の得意な分野で、みんなのためにと努力を重ねている。4人の成長を実感しながら、アイリの頭を優しく撫でる。

 

「そうだな。それはお前だけの武器になるだろうよ。みんなが困ってるときは助けてやってくれ」

 

 アイリはコクリと頷き、「今度オーラについて教えてほしい」というアイリに、ラグナは快く返事をするのだった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 ファーストコンタクトから一夜明け、さらに範囲を広げながら、捜索に当たったラグナ達だったが、先日までとは打って変わって、棘や戦闘の痕といった痕跡すら見つけられず、文字通り「影すら見せない」という状況であった。

 その翌日も捜索を続けたが、捜索範囲内で、通常のグリムを何体か発見したものの、昨日のようにターゲットが現れるということはなく、何の手掛かりもないまま、4日目の捜索が終了した。

 

「昨日の戦闘の後、何処か遠くへと居場所を移したのでしょうか?」

 

 アトラス軍の軍人の1人がそう口にするが、なんとも言えない不気味さを感じているのか、その表情は険しい。

 

「わからん。周辺各所に連絡は回しているため、目撃情報があったならば、移動し拠点を変える事になるだろうが、現時点ではまだ近くに潜んでいると仮定して捜索を続ける他あるまい」

「しかし、ここまで影も形もないとなると意図的に隠れているという事になりませんか?」

「前の戦闘時に数的不利を悟ってか、撤退を選択したのだ。潜伏が可能な程の知性があってもなんら不思議ではない」

「もしかしたら人目に付かないように移動している可能性も…」

 

 アイギスの言葉に軍人達は口々に声を漏らす。

 

「もしそうだとしても、新たな情報が無い以上、手の打ちようがありません。姿が見えない以上は現在の方針を貫く他ない。

………今日はここまでとしましょう」

 

 浮き足立つような焦燥感に包まれる会議に、ウィンターがピシャリと終止符を打つ。解散後、ウィンターからラグナへ声をかけた。

 

「ラグナ、明日からはまた潜伏に向いていそうな洞窟などの捜索をします。案内を頼みます」

「ああ、わかった。と言っても、洞窟やらはそこかしこにあるからな…

とりあえず、逃げた方向に向かって当たりは着けておく」

「ええ、それで十分です」

 

 ウィンターの応えを聞いたラグナは、周辺の地図と自分の記憶を擦り合わせながら、潜伏場所になりそうな場所に目星を着ける。

 

 しかし、それも虚しく次の日も、そのまた次の日も赤黒い棘のベオウルフが姿を現すことはなかった。

 

 




東京ゲームショウに参加してきました。
モンハンは出来ませんでした…
整理券無くなるの早すぎ…

PS5くんはまだ帰ってきません。

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私自身のキャラ理解向上の為、コミュニティにて皆さんのRWBYの推しキャラと推しポイントを書いて頂けると嬉しいです。同時に、皆さんの交流の一場所になれば幸いです。

では、恒例の謝辞を。
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回。
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