元全世界の敵のなんだかんだ奮闘記   作:天然黒酢

9 / 53
今日のお昼休憩の時にちょっと覗こうとログインしたら、あまりのお気に入りの伸び率にびっくりと嬉しさで爆笑しました。なにやらルーキー日間ランキングの方に載せて頂いたようで…
読者さんに間違いを修正して頂いたりと、まだまだ未熟な身ですが、皆様のご期待に添えるように、日々精進していきますので、何卒よろしくお願い致します。
堅苦しくなってしまいましたが、続きです。どうぞ。


忍び寄る巨影

「オズピンの野郎…絶対今度痛い目見せてやる…」

 

 宙を舞うラグナはオズピンに絶対に仕返しする事を心に決め、とりあえず自身がどう着地するかを考えた。不慮の不具合(オズピン談)のせいで、体勢は崩れ、横向きに寝転ぶように落ちている状態。オーラによるバリアで怪我をすることは無いだろうが、それでも衝撃は食らってしまうので出来る限り避けたいところである。まぁ、ラグナにとってこのぐらい雑な扱いは慣れたもので、直ぐに解決策が見つかった。

 まずは体の向きを下にし、水平に保つ。目に入る中で一際大きな木の幹に狙いを定め、アラマサを抜き、剣を斜めに地面の方へ向け、剣の峰に乗る。この体勢ならば、1番最初に木に接触するのは剣先になるため、剣が杭の役割を果たし着地する事が出来る。しかし、現実は意地が悪く、丁度ラグナの目指した幹にはよく見ると蜜が滲み出ていた。それを目当てにした、熊型のグリムであるアーサが木のふもとにおり、近づいてくるラグナを敵とみなしたのである。しかもそのアーサは、皮膚の所々に白い外殻と棘を持った上位個体「アーサ・メジャー」。迫り来るラグナを返り討ちにしようと、爪を立て、牙を剥く。ラグナはそれに対し、脚力を強化して剣の背から跳んだ。それにより剣の軌道が微妙に変わった事で、アーサの爪は空を切り、重力の力を存分に乗せたアラマサはアーサを腹部から貫いた。

 腹部には外殻の装甲が無かったため、無残に貫かれたアーサはそのまま剣とともに地面へ落ち、ラグナも少し遅れて地面へと着地した。

 

「他の奴らとは随分離れちまったな…

すこし急ぐか、昼までには戻らねえと飯抜きだ。ったく面倒くせぇ…」

 

 毒吐(どくづ)きながら、ラグナは気持ち早足で森の北へと足を向けた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 ラグナが着地した頃、他の新入生の面々も各自上手く着地に成功し、ペアが着々と出来上がっていた。それをモニターで見ていた、グリンダはオズピンへと報告を伝える。

 

「オズピン教授、既にほとんどの生徒がパートナーを見つける事に成功し、各自寺院へ向かっています。早い者はあと数分で寺院に到達するでしょう」

「そうか、順調なようだね」

「…………」

 

 オズピンへと情報を伝達するグリンダは、疑問を感じずにはいられなかった。その疑問というのは、何故、オズピンはわざわざまだ15歳のルビーをスカウトし、アカデミーの定員上限を越してまで、あんなにも急に入学させたのかである。現にその弊害は、チームを決めるこの実力試験にも出る事が予測できた。

 「人数が合わない」のだ。ビーコン・アカデミーでは4人1組でチームを組む。そのため、新入生の定員も新入生全員がチームを組めるように人数が調節されていた。元々、オズピンよりスカウトによる新入生の人数は告げられており、それに合わせて、推薦枠、受験の合格者の数を決定したはずだった。しかし、ルビーの突然の入学決定により、それが狂ってしまったのである。

 オズピンは度々、グリンダの知らない考えを持ち、行動を起こす。それはいつも正しい方向へと皆を導き、結果的にはオズピンが誤った選択をした事などグリンダは見た事が無かった。だがしかし、今回に限っては長年オズピンに付き従ってきたグリンダでも受け流す事が出来ないほどに不可解だった。

 このままではチームに入れない子が出てしまう、それが子供達の為になるとはとても思えなかった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 一方その頃、森を進むラグナは退屈していた。元々アーガルム周辺の森でグリムを狩って生活していたラグナにとって、この森のグリムは比較的幼く、小さい個体ばかりだったからである。それもそのはずだ。この森は毎年新入生の実力試験で使われ、グリム達は新入生に毎年倒されてしまう。更に、おそらく教師陣の手によって、ビーコン・アカデミーに入学した生徒が命を落とさないように、グリムのレベルを調節しているのだろうとラグナは考えていた。オズピンはあえて厳しい言葉をかける事で、生徒の気を引き締めたに過ぎないのだろう。

 先程のアーサ・メジャーのように、この森で強大な力をつけたグリムは長年教師陣の目を掻い潜った個体であり、この広い森でその個体に遭遇する確率は限りなく低いのだろうと。

 

「ふぁ〜…

今日はせめてマットレスで寝たいもんだな。思った以上にあのフローリングは硬かった」

 

 欠伸をしながら森を進む。なんとも緊張感のない姿だが、ラグナは遭遇した殆どのグリムがたったの一振りで倒してしまっているので、この姿も仕方ないといえば仕方ないといえるのかもしれない。加えて、ペアを組む相手と全くもって巡り合わないのだからこれでやる気を出せというのは、ラグナにとってあまりにも酷であった。

 

グォォオオ…

 

 またも現れたベオウルフに走りながら、横を通り、剣を振る。それだけで悲しい程に生き絶えて行くベオウルフにため息を吐き、アラマサを握る。

 

「新しいこいつも試したいんだが…

どっかに上位個体いねぇもんかな…」

 

 ラグナは入学に際して、アラマサを少し改良していた。それはラグナが望んだ訳ではなく、ヴェイルに来て、アラマサのメンテナンスを頼んだ武器屋の店主がアラマサに惚れ込み、頼み込まれたからである。ラグナにとっても、アラマサの改良は有難い事であるので、断らなかった。

 しかし、ヴェイルの街はグリムがいる訳でもなく、今まで試す機会が無かった。

 

ギィヤァァァァ………

 

 そんな事を考えていると、大分遠くではあるが、グリムの鳴き声のような者が耳に入った。

 

「ん?この声…ネヴァーモアみてえだが…

少し違うような…確かめるか…」

 

 その鳴き声に不穏な予感を抱いたラグナは、走行する速度を少しだけ上げた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 時は少し遡り、ルビーはガンブラストによる逆噴射で落下速度を緩和し、木の枝にクレセントローズを引っ掛け、大車輪の要領でクルクルと回転し着地した。着地してからすぐに、自身のセンブランスを使い、森を駆ける。

 

(お姉ちゃんを見つけなくちゃ…!)

 

「お姉ちゃん!お姉ちゃーん!」

 

(ああ、もう本当に最悪!もしもお姉ちゃんが見つからなかったら?誰かに取られちゃったら!?

ジョーンがいるじゃん。良い子だよ、面白いし。でも戦うのは得意じゃなさそうだよね。

そうだ!ブレイクは?ミステリアスでとっても大人っぽい…私と同じで本が好き。でも、ブレイクと2人じゃ会話が続かなくて微妙な空気になりそう。

あ!ラグナは!?ちょっと怖いけど、優しいし、お兄さんって感じ!話せばちゃんと受け答えしてくれるし良いかも!あと、武器が超クール!クロウおじさんよりも大きな大剣なんて始めて見た。

よし!まず候補2人!他には誰か居たっけ?お姉ちゃんでしょ?ジョーンでしょ?ブレイクとラグナ…

あとは…)

 

 そこまで思考を巡らせた時、目の前に人影を見つけた。センブランスを解き、急停止を試みる。相手も後ろから何かが近づいて来たことに気づいたらしく、振り返った。ちょうどその人物の目の前で停止することが出来、目線を上げる、白く美しい装飾があしらわれた靴。スラッとした脚。靴と同じ色のドレスとレイピア。そして顔。ルビーが昨日から散々喧嘩を繰り返してきた相手、ワイスであった。

 「目が合う」。数秒見つめ合ったあと、ワイスは何事も無かったように再び歩き出した。

 

「待って!……私達ペアを組むんじゃないの……」

 

(ああ、よりによってワイスと会っちゃうなんて…昨日からワイスとは散々だし…

ラグナが言ってたことって本当なのかなぁ…私達が友達になれるって…

とてもじゃないけど想像出来ないよ…)

 

 項垂れるルビーを他所に、ワイスはこの後少し進み、ピュラの槍によって、木に貼り付けにされているジョーンを見つけ、苦渋の決断でルビーの元へ戻ってきた。

 見捨てられたジョーンはというと、その後すぐに槍を回収しに来たピュラに誘われ、ペアを組むことになる。

 

 ワイスとペアになったルビーはその後ベオウルフ数匹に囲われ戦闘を行ったが、空回りする両名は全く連携が取れず、森を赤いダストで燃やしてしまった。その事でまた言い合いになり、ワイスは憎まれ口を叩きながらどんどんと先へ行ってしまう。憤ったルビーは手近にあった木をクレセントローズで切り株に変え、怒りの捌け口にした。そして、顔をうつ向けトボトボとワイスの後を追う。

 

故に気付かなかった、自分の頭上にいた、巨大な黒い影にーーー

そしてそれが、更に大きな危険を呼び込んでしまう事にーーー

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「最後のペアが決まりました。ノーラ・ヴァルキリーとライ・レン。レンも気の毒に…

この2人が上手くいくとはとても思えません。それでもピュラ・ニコスよりはマシでしょうけど…

提出された成績表がどうであれ、ジョーン・アークは必要とされる戦闘レベルに達していません。結果はすぐに分かるかと…

それと、最後ペアの決定により、チームからあぶれてしまう生徒が決定しました。ラグナ=ザ=ブラッドエッジです。この子も貴方がスカウトして入学が決まった生徒でしたね?」

「…………」

「オズピン教授?」

 

 声をかけられたオズピンは返事をせず、監視用の映像が流れるスクリーンをじっと見つめていた。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 正直に打ち明けるとラグナは迷っていた。北へ北へとと向かっても一向に寺院に付かないのである。考えてみればそれもそのはずだった、他の生徒はビーコン・クリフから北へ迎えとの指示を受けていて、そのまま前方へと飛んで行った。しかしながら、ラグナは他の生徒と違い、右、つまりは東方向へ飛んだのだ。ならば、ラグナはただ北へ進むだけでは無く、北西方向に進むべきである。それに気付くのが少し遅かった。

 

「参ったな…

今からビーコン・クリフまで戻るのも無理があるし、だからといってこのまま勘で進んでも着く気がしねえ…

どうすっかな……お…?」

 

 頭を抑えながら進むと、閑散とした森の中でも一際大きい樹が(そび)え立っているのが目に入った。これは僥倖とばかりに、木の枝に飛び乗り、視力と聴力の強化によって森を見渡す。寺院が見えればそれで良し。戦闘音が聞こえれば、それが生徒による可能性が非常に高いし、それが無くても、グリムは人間を優先的に襲う習性があるので、グリムが何かに向かっていれば、その先に生徒がいるはずだと考えたのである。

 

「キャアアァ……」

 

 丁度西の方角から微かにだが、女の悲鳴が聞こえ、更におなじ方向に、本当に小さくだがネヴァーモアの姿も確認出来た。ラグナは大樹から飛び降り、ネヴァーモアを目印に地面を蹴った。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「不具合により遅れているラグナ=ザ=ブラッドエッジ以外は、無事、遺物(レリック)を確保出来たようです。そのブラッドエッジも寺院の方向へと向かっています。

しかし、ジャイアント・ネヴァーモアとデスストーカーとは…

新入生には荷が重いかも知れませんね」

「万一の為の医療班も用意してあるからね。もう少し、若きハンター達の奮闘を見守るとしよう」

 

 現在、オズピンとグリンダは、ネヴァーモアとデスストーカーに追われる8人をスクロールで監視していた。何故こんな事になっているかというと、ネヴァーモアは先程ルビーの怒りの捌け口となった木に留まっていたもので、ルビーを追っていた。だが、道に迷ったルビーが「道が分からないなら、あれに乗って空から寺院を見つけよう」と提案し、運び屋代わりに使われてしまったのだ。

 対して、デスストーカーはピュラ、ジョーンペアがデスストーカーの巣である洞窟へ足を踏み入れてしまい、怒りを買ってしまった。

 2匹とも怒り心頭である。そこに運悪く居合わせたヤン、ブレイクペアとノーラ、レンペアがとばっちりを喰らった形になっていた。

 実をいうとノーラも、アーサに乗って寺院まで来たという中々にとんでもない事をしているのだが、それを知っているのはレン、ヤン、ブレイク、そして教師陣だけであった。

 

 8人はネヴァーモア、デスストーカーを引き連れ、環状列石の遺跡まで逃げ延びた。しかし、環状列石の橋を破壊され、戦いを余儀なくされる。列石の周りは深い崖になっており、圧倒的に不利な状況の中、8人の戦いが始まった。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 時を同じくして、ラグナはネヴァーモアを追い、ひたすら西へ走っていた。ネヴァーモアはラグナが見つけてから今まで、移動するわけでもなく延々と旋回を続けていた。

 そして、まだいくつか奇妙な点があった。ネヴァーモアは通常、黒い羽毛のような物に覆われており、他のグリムと同じように仮面のような顔をしているのだが、黒い羽毛を掻き分けて()()()棘のようなものが、翼の所々から生えている。通常のグリムの中にも棘が生えているものが存在するが、その棘は白いはずだった。さらに仮面も他のネヴァーモアとは明らかに異なっており、(くちばし)の上側まで覆われ、紋様もより禍々しいものが描かれていた。さらに、近づいてみて気付いた1番の違いは、その大きさだった。ジャイアント・ネヴァーモアよりも一回り大きく、何故今まで見つからなかったのか疑念を抱く程だ。

 その異質なネヴァーモアは木の枝に止まると、ある一点に視線を注いでいた。ラグナもネヴァーモアに気取られぬように距離を取り、その視線が注がれる先を見た。そこでは、環状列石が並ぶ場所で、ルビーがネヴァーモアの首に鎌を当てがい、崖を駆け上がっているところだった。ルビーは崖の頂上で一気に鎌を引き、ネヴァーモアの命を刈り取った。

 

「へぇ…ネヴァーモアをか…やるじゃねえか…」

 

 ラグナは素直に感嘆の声を上げる。その時、ブワッと強い風が吹き、ラグナは不吉な予感を胸に抱き、慌ててその風上に振り返る。

 ラグナの予感通り、ラグナと共にその戦いを観ていた異質なネヴァーモアが翼を扇ぎ、上空へと飛び立つ。そして、そのまま戦いの勝者であるルビーをその赤い目に映した、次の瞬間、そのネヴァーモアはルビーへ向け、一直線に飛行を開始した。

 

「しまった!!あいつらが戦って消耗するのを待ってたのか!?」

 

 今頃ルビー達は、勝利の余韻に浸っている頃だろう。次なる脅威など、予想だにせずにーーー

 

 




RWBY世界にラグナがただいるだけで他が何も変わってなかったら面白くないですしね。神様はそんなに甘くありません。
ま、ラグナは神様倒してきたんですけどね!

では、恒例の謝辞を
今回も読んで頂きありがとうございました。
また次回。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。