いずれ刃が届く日を……   作:ケツアゴ

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魔力はオーラを内部で変換してる 一度に貯めておける量は少ない 原作で一誠が言った事

多分倍加って腕力とか魔力など種類別蛇口が付いたタンクの中身を増やすとかじゃないかな? タンクの大きさが倍加の限界 中身に伴って蛇口からでる量も増えるけど増加量は倍加という程ではない。但し中身を一カ所に集中させて一気に流す(譲与からのぶっぱ)は可能

だから数十万倍にしても他の仲間と天と地ほどの差が出ない 八個分の女王で強化されて倍加なしである程度特訓についていけたのに数十数百万倍しないと役に立たないってのはおかしいし、その倍にしては威力が低い




第十四話

「うーん。やっぱ俺達だけじゃ難しいよな」

 

 夏休み間近に行われる公開授業を数日後に控えたある日の事、ギャスパーの神器の制御訓練をしていた一誠は困ったように呟く。それなりの対価を貰って制御訓練に協力している匙も同意見だ。

 

 普段の生活は魔眼殺しによって困らず、一誠の血を飲めば有る程度の時間は制御が完璧になる。匙の神器も教えて貰った様に一誠の血を吸って変化し強化されていた。なので一定の段階まで行ったのだが、そこから先は行き詰まっている。

 

「も、もう良いじゃないですかっ!? ぼ、僕もこれ以上は無理だと思いますし」

 

 原因は本人にある。魔眼殺しや一誠の血といった特訓から逃げる言い訳になる物の存在、未だ払拭できない神器への恐怖。それが影響して完全制御へと至らない。このままでは何れ増え続ける力によって前の状態に戻ってしまうのだろうが、それから目を逸らし逃げようとしていた。神器も吸血鬼の力も、ギャスパーにとってはトラウマの要因でしかないのだ。彼に必要なのは共に訓練する仲間ではなくカウンセラーではないのではろうか。

 

「なあ兵藤。確か魔眼殺しって他の奴にも作ったらしいじゃんか。同じ系統の能力者なら何かアドバイスしてくれるんじゃねぇの?」

 

「確かにな。出来れば女の子が良いよな……」

 

 匙の提案に頷きながら一誠は妄想を始める。浮かんだのは眼鏡が似合う美少女で、共にギャスパーの特訓を手伝う内に愛が芽生えるのではと都合良く考える。どっちにしろどの時間帯に何処にいるか下調べは済ましてあるので、ギャスパーの制御が成功すれば停めて貰った女子生徒にセクハラがし放題だと気合いを入れていた。

 

 

 

 

「ちょっと難しいかも知れないわね。グシャラボラス家は少しゴタゴタしているから……」

 

 リアスを通して頼もうと思った一誠だが、提案されたリアスは残念そうに首を横に振る。グシャラボラス家の次期当主が急死したという情報は既にリアスも掴んでおり、それに伴う作業を行う為に暫く休むとエルからの連絡があった。

 

 当然別の家のリアスに教えていない事だが、新たな次期当主に取り入ろうとする者、前次期当主を暗殺したのではと疑う者、それに便乗して自分達が担ぎ上げる者の為に蹴落とそうとする者、そんな相手の対処に追われていた。今までで最も多忙だと虚ろな目で呟いているらしい。

 

「あっ! あのアズリィさんに頼んだらどうっすかね? 同じ様な能力を持ってる人を知ってるかも知れないっすし」

 

「そうね。じゃあ、今から家にお邪魔して頼んでみましょう」

 

 街の管理者であるリアスは当然の様に住んでいる異能力者をある程度把握している。一覧が書かれている資料からアズリィの名を探し、住所を確かめると一誠とギャスパーを連れて家へと向かっていった。

 

 

「此処っすか? 魔法使いの家っていうよりは……」

 

 やって来たのは少々庭が広い普通の一軒家。ビニールハウスの家庭菜園に花壇。塀越しに覗き込めば麦わら帽子を被り首にタオルを巻いて花の世話をしているアズリィの姿があった。声が聞こえたのか振り返り、リアス達だと認識すると立ち上がって汗を拭きながら近寄って来た。

 

「あら、こんにちわ。私に何か御用ですか?」

 

「ええ、実は折り入って頼みたい事が……」

 

 リアスはギャスパーの特訓が上手く行かなくなった事を話し、同じ様な能力の持ち主を指導員として紹介してほしいと説明する。研究内容についての頼みであれば契約者であるエルゥに文句を言われるが、その程度ならば問題はない。だが人脈を使う事に躊躇があるのか顎に手を当てて暫し考え込むアズリィ。

 

「そうですね。何人か心当たりがありますが……」

 

「なら私に任せたまえ! 魔眼なら持っているし、制御も完璧だとも!」

 

 人脈を作ったのがグシャラボラス家経由だからか抵抗がある様子を見せた時、ドアが内側から勢いよく開いて陽気そうな声が聞こえて来た。如何にも英国紳士といった姿でステッキ片手にステップを踏みながら向かってくる老人に戸惑うリアス達。そんな彼女達の前で立ち止まった彼は恭しくお辞儀をする。

 

「初めまして。私の名はガギラ。グシャラボラス家の研究所で働いてはいるが長期の有休をとっていて暇でね。小遣い稼ぎに協力しようじゃないか」

 

 好々爺を思わせる笑顔でリアスに握手を求めるガギラ。素直にその手を取るリアスだったが、アズリィは胡散臭そうな視線を彼に向けていたのに誰も気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「良いかね、ギャスパー君。覚悟と考えるから無理だと思ってしまう。そもそも、覚悟とは何か。それは行動の結果を受け入れる事だ。つまり、もうどうなっても良いとの諦念と何一つ変わらない。君が今までやって来た事と何一つ変わらない。怖がる必要などないのだよ」

 

 リアスからの依頼を受け、カウンセリングの名目でギャスパーと二人っきりになったガギラが優しく諭す様に話し掛けている。勇気を出せ、と叱咤しない。君なら出来る、と激励もしない。彼がするのはただ肯定する事。逃げる事を認め、勇気を出さなくても良いと囁く。

 

 最初は怖がっていたギャスパーだが、自分の恐怖を否定せず弱さを認めてくれるガギラを徐々にだが信用して行く。結果、彼の訓練は少しずつであるが再び前進していくのであった。

 

 

 

 

 

「……ふぅん。どうやら彼……彼だよね? 彼は随分と高い素質を持っているらしいね」

 

 目元に隈ができた状態で書類作業を続けながらもエルゥは画面に視線を向ける。日を追うごとにガギラを信用……いや、依存していくギャスパーの姿。彼の異様に似合う女装姿に戸惑いながらもガギラが動いた理由を直ぐに見抜く。将来的に自らの駒に出来る相手を増やすつもりなのだ。

 

「さて、仕事仕事」

 

 ゼファードルの正式な次期当主就任に関わるゴタゴタの後始末だけでなく、家の事業、特に新規に始めようとしている催しに関する書類作業が山積みであり、こんな時期に群がって来たハイエナ達に心中で悪態を付きながらもペンを走らせていると背後から重厚な金属を引き摺る音が聞こえて来た。

 

「どうかしたかい、リップ? 手でも繋いで欲しくなった?」

 

 右手でペンを動かしながらも左手を背後から忍び寄ったリップに向ける。無機質な音を立てながら変化して行く手はリップの物と酷似した姿になった。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 嬉しそうにはにかみながら手を繋ぐリップ。異形の凶器の腕を持つ彼女にとって誰かと手を繋ぐのは困難だが、人一倍誰かと触れ合いと彼女は願っている。だからこそ今の様にエルゥが手を繋いでくれるのが嬉しかった。

 

「あの……メルトや姉さんと、その……」

 

 故にその言葉は不意打ちで有効的だった。モジモジとしながら言いにくそうに言葉を途切れさせているが、何を言いたいかは簡単に予想が付く。二人といたしただろう、リップはそう言っているのだ。

 

「あっ、平気だから。悪魔は一夫多妻OKだし、姉さんやメルトなら側室にするのに文句ないから……」

 

「君が正室なのは決定なんだ」

 

「え? だって当然ですよね? あ、あの、それで、私…して……」

 

 微塵も疑っていないリップの態度にエルゥは何も言えない。多分言ったら面倒なことになると問題を先延ばしにする。そんな事など知らずにリップは顔を赤らめながら何か言いたそうだが小声で聞き取りにくい。だが、エルゥは大体の内容を察し、繋いだ手を引っ張ってリップを引き寄せると右手で体を受け止める。必然的に巨大な胸を掴んでいたが、下心とかではなく、其処しか掴めなかっただけだ。

 

 

「ねぇリップ。僕、君が欲しいな」

 

「は、はい! よ、宜しくお願いします……」

 

 胸を掴んだ手を今度はリップの腰に当てベッドへと連れて行くエルゥ。メルトはベッドの上に自ら仰向けに寝転がるとそっと目を閉じた。

 

 

「い、痛くしないで下さいね……」

 

 

 

 

 尚、書類の締め切りはギリギリ間に合ったが、今度は別の修羅場になるかも知れない……。

 

 

 

 

 それから数日後の事だ。公開授業は生物学的な親は居ても今何処で居るのか、生きているのかさえも知らないエルゥには特に関係なく、精々が魔王が二人来ていたり隣のクラスからオークションの声が聞こえただけで特に気になる事はなかった。派閥も違うので挨拶はしたが魔王と特に言葉を交わす事はない。

 

 問題は更に数日後、アズリィの家での事だ。この日、研究所から脱出したメンバーが一部を除いて揃っていた。エルゥやヴァイオレットにエリザベート。狐の耳が生えたピンク髪がテンション高めに厨房で動き、そわそわしている狼の獣人の様な少年、落ち着いた様子の紫の髪をした少女、そしてガギラ。全員神妙な顔付きで来客を待っている。そして、チャイムが鳴るなり視線が玄関の方向に一斉に注がれ、アズリィに連れられて一人の青年がやって来る。

 

「皆さん、初めまして。私がミカエルです」

 

 黄金色の羽を広げた彼こそ神の死後、残ったシステムを運営していた大天使であり、教会が行った事全てに責任を負うべき存在だ。神の死を公表しなかったからこそ行き過ぎた信仰心や神を口実にした欲望によって犠牲者が出た。本来なら止めるべき立場だが、彼の力が足りない故に止められなかった。

 

 そして犠牲者にとって無能は何一つ理由にならない。エルゥ達は被害者で、ミカエルは間違いなく加害者だ。この日、聖剣奪還のお礼と共に彼らの話を聞く義務があるとミカエルはやって来た。精神的に危うい者達を除き、此処に集合した理由はそれだ。

 

「……先ず聞かせて欲しい。魔人計画について何処まで知っている?」

 

「他の神話の怪物、そして神の力を遺物や神器から抽出し、適合する子供に注入して強力な兵士を作る、そうとだけ聞いております。だから何を敵として想定していたのかは……」

 

 誤魔化しは許さないと声で告げるエルゥにミカエルは真剣な声で答える。ただ、彼はこれ以上の事は本当に知らない。教会の一部が極秘に行った事であり、関わった上層部が隠蔽していたからだ。そんな彼に対してエルゥは嘲笑う笑みを向けた。

 

 

 

「ああ、簡単だよ。唯一神を崇拝する聖書の信奉者にとって目障りなのは何か、少し考えれば……」

 

 知らない事がどれだけ愚かだったか、それを告げようとした時、突如デパートで迷子のお知らせの時に鳴らすようなピンポンパンポンという音が鳴り響く。戸惑うエルゥ達だが、驚きは更に加速する。

 

 

 

 

「はぁ~。天界の事実上のトップの無能さに流石の私も失望を隠し切れません。これは低学年向けの教育番組が必要なレベルですね。っと言う訳でぇ……」

 

「え……?」

 

 成長してはいるが、この声をエルゥ達が忘れるはずがない。絶対に忘れなどしない。十年たった今でも確かに覚えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BB(ビィビィ)ー! チャンネルー!!」

 

 妙にハイテンションなその声と共に景色が切り替わった……。




本当は会談の時に出す予定だった だが、気が変わった


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