ハリー・ポッターと帝国元帥   作:おゆ

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第二章突入の切りのいいところで、原作カテゴリー変更いたします。
ハリー・ポッター世界の物語であるからには、そのカテゴリーでした。
内容は銀河英雄伝説8割なのですが。
読者皆様には迷惑かけまして申し訳ありません。よろしく変更お願いいたします。
 
 



第二章 覇気対覇気
第十四話 ディメンター


 

 

 ルドルフは更に考える。

 最初に行うべきステップは、こんな小さな組織でさえ裏切り者や非同調者がいるようなのだ。そういう分子を峻別し、逆に使える能力のある者は積極的に組み入れなければならない。

 

「よし、大帝として最初の命を下す。ここに集っていない者にも復活を知らせよ。そして行動を見極めるのだ」

 

 また、自分の前には二人ばかり銀河帝国の者がいる。

 一人は我が子孫の寵姫になっていた女らしい。気が強いことだけは確認済みの一級品である。

 もう一人はなにか頼りなげで、その父祖とよく似ている。それでも銀河帝国を知る貴重であることは確かだ。

 これらを使わない手はない。

 

「ベーネミュンデの子孫、フレーゲルの子孫、我に付き従え。大帝の命である」

 

 

 ここに至り、やっとシュザンナの方にも理解が進んだ。

 というよりフリードリッヒ四世陛下の寵愛のことで頭が一杯なためにそれ以外のことは脳まで浸透するのが遅過ぎるのだ。

 

「大帝? まことにルドルフ大帝なのか? ゴールデンバウム王朝全ての始まりの。なんとまあ驚いたものじゃ」

 

 器が大きいのか何なのか、シュザンナはそのまま事実を受け入れた。

 

「よもやそんなことがあろうとはの。妾を動かせるのはフリードリッヒ陛下の寵愛しかないわ。じゃが、確かに陛下の父祖ならば従うのも道理かもしれぬな。陛下のためになるというのもちと違う気がするが、全く違うものでもない」

 

 シュザンナがルドルフ大帝に膝を折った。

 彼女にとってゴールデンバウム王朝自体は、その存在が当たり前だったので忠義の意識もなにもない。空気のようなものだからだ。だがフリードリッヒ四世が大事であれば、その始祖であるルドルフが大事なのも当然ではないか。

 

「シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ、謹んで忠誠申し上げまする」

 

 慌ててフレーゲルも追従した。

 

「と、共に忠誠を誓う次第」

 

 

 

 一方の平和なホグワーツである。ラインハルトは無事に第三学年に上がった。試験は最上位ではないもののクリアしたのだ。もちろん学年一位はハーマイオニー・グレンジャー、もはや誰も一位を獲ろうと思わないほどにダントツである。

 ラインハルトはそこを気にしないが、悔しいことが無かったわけではない。

 第二位がロナルド・ウィーズリーことキルヒアイスだったからには。

 

「くそ、幼年学校でキルヒアイスに負けたことをまた繰り返してしまった。どうしてこうなるんだ」

「ラインハルト様、実戦ではまた異なるのですから、それでもいいではありませんか」

「良くない!」

 

 子供っぽく駄々をこねる。

 かつての幼年学校では格闘術、空戦術、射撃術でもキルヒアイスに敵わなかった。キルヒアイスの方はラインハルトにかなり気を使っていたのだが、そうはいっても試験でわざと手を抜くことはない。そんな不正義なことはしなかったのだ。

 もちろん二人が最も力を入れたのは戦術シミュレーションである。

 二人の使う戦法はかなり違うもので、戦理を押さえそこに天才の閃きを加えるラインハルト、勝機の掴み方と果断さのキルヒアイスであったが、付けられた点数としては同程度の良い成績だった。

 惜しむらくは幼年学校は士官学校よりも体術を重視する分だけシミュレーション授業数が少ないことだ。そのため生徒同士での総当たり戦はせず二人の直接対決もなかったことだ。

 ともあれラインハルトは成績そのものよりも勝ち負けや優劣を多少気にする。

 

 

 他の人間では、やはりオーベルシュタインが最小限の労力で進級していた。実にオーベルシュタインらしく、無駄に目立つ好成績も危機的な悪成績も取ることはない。

 ファーレンハイトは科目ごとに非常にむらがあったがなんとかクリアした。

 そんな中でルッツが一番苦労した。本当にギリギリの線で進級している。直情で武骨なところが魔法に不向きなのだろうか。

 ただ一人教師職のロイエンタールがそんな試験に無関係でいられるのが皆にとって腹立たしい。

 

 第三学年は順調に日々を過ごしていった。以前のような怪物騒ぎとは無縁だ。

 しかし、そんな平穏な日々も半ばまでしか続かなかった。

 

 

 

 突然の異変が学校を襲う!

 

 学校の周りに影が忍び寄っている。

 それは正に影、人でも動物でもなかった。意識すらない。あるのはただ一つ、人の温かい感情を喰らい尽くしたい、そんな怨念だけである。

 

 その異形のものの名は吸魂鬼、ディメンターという。

 

 それはあってはならないことだ! ここホグワーツ魔法学校にとっては。

 ディメンターの影に校長アルバス・ダンブルドアがいち早く気付く。

 

「何とディメンターなどが。ホグワーツは敷地ごと強力な姿隠しの呪文が掛けられているというに。なぜじゃ! 魔法省が何か関与しておるのか」

 

 色々な可能性を考えたが、結論は一つしかない。

 

「明らかにホグワーツを狙うておる。おそらくは闇の帝王の力が増している結果なのに違いない。次第に完全復活に近付き、小手調べにディメンターなどを送っておるのやも知れぬな」

 

 ダンブルドアには闇の帝王との人知れない闘争に関して若干の後悔がある。

 

「賢者の石を盗まれたのは痛かったのう」

 

 それはホグワーツに保管された賢者の石を守るため、最後の強力な一手、みぞの鏡を使うのをためらった結果なのかもしれない。

 ダンブルドアはラインハルトとキルヒアイスに言われて、みぞの鏡をしまい込んでついに賢者の石の守りに使わなかった。邪悪な者から何かを隠すのには非常に有用な道具だったのに。

 その結果、賢者の石はホグワーツに潜入していた死喰い人クィレルに奪われてしまっていた。

 

「ただし闇の帝王はまだ完全に元通りではなく、充分に力を振るえるはずがない。先ずはこのディメンターをなんとかしようぞ。何としても生徒を守らねばならぬ」

 

 しかし時既に遅く、ディメンターは結界の穴を使い学校に忍び寄っていた。

 

 

 それを可能にした理由がある。

 学校の隣に広大な森林が広がっている。普段は人の入らぬ「禁じられた森」だ。そこには魔法生物だけが暮らしている。ところが今、多数の異形なる影、ディメンター達がその森の深部からやってきている。何者かがそこで密かに結界を破り、ディメンターのために抜け道を作ったのだ。

 初めに森に棲むヒッポグリフたちが異変を察知した。魔法生物といってもヒッポグリフほど高等なものには意識も感情もあるが、しかし幸いなことにディメンターはなぜかヒッポグリフを襲わず人間のみを襲う。そのためヒッポグリフたちは知らぬ顔をしてもよかった。普段人間とは接点を持たず、独立した生活圏を持って暮らしているからには。

 ただし、ヒッポグリフは他の魔法生物と違い人間を敵視しているわけではなかった。この事態は学校にとって大きな危機であることを理解し、森からディメンターが来ることをその門番ハグリッドに警告した。

 ハグリッドはもちろん直ぐに校長ダンブルドアに知らせた。

 それと同時に情報をうっかり生徒たちに漏らしてしまう! ハグリッドは口が軽いのではないが締められないのだ。

 

 ディメンターがホグワーツに来る!

 情報は生徒たちに出回り、あちこちで恐慌をきたす。特にディメンターに対抗する唯一の手段である守護霊を作る魔法に習熟していない生徒にとっては死活問題である。

 

 もちろんディー・エーの皆は身構えた。

 自分らは学校を守るための組織なのだ。またしても出番がやってきたのか。ここで立ち上がるべきなのか。

 しかし今度は蛇の怪物などではない。もっと性質が悪い。

 吸魂鬼ディメンターとは人の温かい感情を吸い尽くし、廃人に変える魔物だ。その名の通り魂を奪い取り、死よりもひどい状態にする。もちろんそうなってはどんなことをしても回復できることはない。アズカバンの囚人のために使用され、魔法省によって厳重に管理されているはずなのに。よりによって魔法学校に出現するなんて。

 

「ラインハルト様、今度はいかがなさいますか」

 

 キルヒアイスは正義感をもって相談する。

 

「もちろん学校の危機をほっておくことはできない。ついでにディー・エーの実力を試す意味もある。その魔物を退治しよう」

 

 やはりラインハルトだ。敵には立ち向かう。

 

「では、またディー・エーの各員を招集して」

「いや待て、未だ情報は不足している。先ずは敵勢力の偵察をせねばならない。俺とキルヒアイス、ルッツ、ファーレンハイトで偵察をしてこよう」

 

 さっそく次の日、ハグリッドから漏れた情報を手掛かりに四人は禁じられた森に入ろうとした。ディメンターの数や出所をできれば突き止めたい。

 さすがに夜の暗闇では危険過ぎる。放課後のまだ陽が残る夕方にした。

 森に入ってしばらくは何事もなく進めた。

 

 

 森に入ったのはその偵察隊だけではなく、後をつけていった人間がいる。

 それは今度もセブルス・スネイプだ。

 

「ハリー、またもお前のことだ、何かしでかすだろう。その現場を抑え、規則違反で今度こそ必ず捕まえてやるぞ!」

 

 スネイプは自分の予想を信じ、見廻りを買って出ていたのだ。

 ダンブルドアの命により教師たちは普段より厳重にホグワーツを見廻っているのだが、ミネルバ・マクゴナガルが禁じられた森方向の当番であったのにも関わらず、スネイプが半ば強引に自分の役割にしてしまった。マクゴナガルは不思議に思っても特に拒む理由もない。

 

 そして予感は見事的中し、スネイプは森に入っていこうとしているハリー・ポッターらを見つけ出した。心は歓喜に震え、跡をつけて自分も森に入っていった。後はタイミングを見て追い付き、規則違反の現場を押さえれば勝ちだ。懲罰は教師権限で好きに選べる。

 だが森を進んで間もなく、スネイプは逆に自分の後ろに誰かいるのを気付いた。

 

「そこにいるのは誰だ!」

 

 その人間は冷めた声で返してきた。

 

「またしても奇遇だな。散歩の途中で合うとは、気が合うのだろうか。実はそんなこと思ってもいないが」

「またもお前か、ロックハート!」

 

 今度は最初から敵意の目でスネイプが見る。

 気軽な散歩のように言う。しかし禁じられた森の中ではないか。もちろん偶然などではない。

 スネイプはここで確信を持った。

 

「散歩か、ふざけるな! 二度目になれば奇遇などではない。ハリーを追うとお前がいる、ということはハリーとお前はつながりがある」

 

 スネイプは思う。ハリーはどうやったのか知らないが、行動の邪魔をされないためにロックハートを配しているのだ。なぜロックハートがそんな手下のようなことをしているのかは分からないが、おそらくハリーが何か悪辣なことをしているのだろう。

 どんな経緯があるにせよ、ここで邪魔してくるのは許さない。

 杖を高く掲げ、戦いの間合いをとる。昨年と同じ失敗はしない。警告なしに撃つつもりだ。

 

 ところがその杖を使って思わぬ方向に魔法を使うことになる。

 ここで二人の近くに忍び寄って来た影があったのだ!

 それは禍々しい姿をした魔物、ディメンターだった。しかも三体同時に迫ってきていた。

 

「な、なに、ディメンターがこんなところに! ここは森に入ったばかり、学校の敷地からすぐの場所ではないか。どうしてだ!」

 

 驚きから覚めると、さすがに強い危機感がスネイプを包む。

 教師はホグワーツの危機に際し、すぐに行動しなくてはならない。こんな教師同士の諍いなどしている場合ではなかった。

 

 

 

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