ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「じゃあそっちのヴァレン某達はもう一人のベル君の世界のヴァレン某達なんだね」
と、こちらのヘスティアが『アイズ』達を見て口を開く。
「それにしても『ベル』君はずいぶん【ロキ・ファミリア】と仲がいいじゃないか……」
「まあ、一応俺の所属している【ヘスティア・ファミリア】は【ロキ・ファミリア】の傘下だしな」
ブッ! と此方の世界の【ヘスティア・ファミリア】とロキが吹き出した。
「さ、傘下ぁ!? 何で僕がロキなんかの傘下に!」
「せやせや! どうしてウチがドチビを傘下に入れてやりゃなあかんねん!」
どうやら此方のヘスティアもロキもお互いを嫌いあっているらしい。とはいえ憎むほどでもなく、いわゆる悔しがる顔を見たい程度だが。
「俺のスキルがレアスキルだからな。それをたまたま知った『ロキ』が、他の神の玩具にされるのもって保護するためだよ……あれ、これ『レフィーヤ』達の前で言って良かったんだっけ?」
と、今更ながら考える『ベル』。まあスキルの詳細についてバラさなければ平気だろう。
「……………」
此方のヘスティアにも心当たりがあるのか黙り込む。『ベル』はベルを見るが本人は首を傾げているところを見るに存在しないか知らぬのだろう。ヘスティアの反応からして後者か。
「なんや、レアスキル?」
「ああ、もう消えてしまったが」
嘘ではない。変化し、別のスキルになったのだから彼女達が隠そうとしたスキルは最早存在しない。
神は嘘を見抜ける故にベルの言葉に嘘がないと判断。ロキは言葉に裏があると見抜いていたが平行世界とはいえ自分の子供達と仲がいい『ベル』を問いつめる気は起きなかった。
「ついでに言えば、ヘスティアがメイド服なのはロキの趣味だ」
「これ胸が結構きついんだよね………」
『ヘスティア』がそう言って胸元に手を当てる。言われてみれば、ヘスティアと『ヘスティア』の胸囲が少し違う。『ヘスティア』がメイド服に抑えられているからだろう。
「まあ僕は、ロキより胸があるからねぇ!ロキが嫉妬して小さく見えるようにするのも仕方ないかー!」
「なんやとこらぁ! チッ、ドチビは何処行ってもドチビやな!」
「ふん! 君こそロキはどこのロキだってロキだね!胸がないところまで同じじゃないか。どうせ君が男の世界でも気づけないだろうね、その胸で!」
「上等やこら、その喧嘩買ったで!」
「いだだだ! こにょぉ!」
「んぐ!?」
ベル達が慌てる中『ベル』と『ロキ・ファミリア』は慌てない。よくある光景なのだ。気にしても仕方ない。そして、店で暴れれば───
「二人とも、いい加減にしないか! 店にも他の客にも迷惑だ!」
リヴェリアが諫める。神にも劣らぬ美貌を持つエルフの女王の怒りにさすがの神々もビクッと震え大人しくなり、お前のせいで怒られたじゃないかとお互いを睨む。
「すまないな、ロキが迷惑をかけた」
「向こうじゃそもそも同盟関係だし、何時もの光景だよ。あんたが止めるとこまで含めて──しかしロキとヘスティアもそうだが、あんたも何処に行ったって母親やってるんだな」
「余所のファミリアまで私を母と呼ぶか───ん、いや、黄昏の館に住んでいるのだったな」
異なる世界においても母親扱いされるほど苦労しているもう一人の自分に同情するリヴェリア。
「アイズと一緒に怒られたこともある」
「えっと………確かウダイオスを一人で倒した時……」
「あ、『私』もやったんだ」
「そちらの『アイズ』もやっていたのか………」
どちらの世界でもアイズはアイズらしい。無茶ばかりする娘にあきれながらもん? と『ベル』を見る。『アイズ』が叱られた理由は解ったが、『ベル』まで叱られた理由は何だ?
『ベル』に尋ねると『ベル』はああ、と呟き応える。
「Lv.1でゴライオスに単独で挑んだから」
「…………誰が?」
「俺が」
「『ベル』すっごかったんだよ~!もう全然目に留まらない速度で動いてたの!」
「………ほう、ゴライオスに……単独で? 『ティオナ』も居たようだが」
「フィンも居たが、手出し無用で頼んだ。一人で挑まなければ殻が破れないと思ってな」
「「うんうん」」
アイズと『アイズ』が同意するように頷き、リヴェリアが頭痛がするとでも言うように頭を押さえる。
「お前達、そこに直れ!」
「「「───ッ!?」」」
条件反射で正座してしまう『ベル』と二人のアイズ。
「お前達はいったい何をしているんだ!? よりにもよって、階層主に単独で挑むだと!? お前に至ってはLv.1でゴライオスに挑むだと? 何故そう危険な事を行うんだお前等は、心配する方のみにもなれ………」
「「もう怒られた」」
「同じく………」
むぅ、と不満そうに頬を膨らませるアイズ達とその言葉に同意する『ベル』にリヴェリアはほう? と凄むような笑みを浮かべ三人が肩を震わす。
「アイズの事だ、他にもやっている者が居るのだから、もう一度ぐらいと考えているのではないか? 同じようなことをする貴様も……」
「「そ、そんなこと無いよ………?」」
「ははは。そんなまさか………」
「目を合わせろお前等」
息ぴったりに顔を逸らすアイズ達と目を天井に向ける『ベル』。
「「「でも実際Lv.はあがった。心配をかけた事には反省はしている。後悔はしていない」」」
「黙れ! …………はぁ、この問題児が二人も……向こうの私も苦労していそうだな」
リヴェリアが大きく溜息を吐く。一人だけでも大変だったのに、二人も………。向こうの自分は本当に苦労していることだろう。と、『ベル』が此方を少し微笑み見てくるのに気付く。
「………何だ?」
「いや……向こうでも、此方でも、心配してくれるんだなって………それが素直に、本当に嬉しくて………心配してくれて、ありがとう」
「…………そう思うなら自重しろ」
そう言って『ベル』の額をこづくリヴェリア。どうやら説教は終わったらしい。リヴェリアに見つからぬようにハイタッチする三人。リヴェリアが振り返るとすぐに正座し直す。
「Lv.1でゴライオスを……? そっちの『僕』、すごいんだなぁ」
「スキルに恵まれていただけだ」
「ベル様だって負けてませんよ! 半年でLv.4じゃないですか!」
「ふっふぅん! そうさ、こっちのベル君だって君にも負けてないだろ! 僕のベル君は凄いんだ! ぼ・く・のベル君は!」
『僕の』の部分を強調するヘスティア。『アイズ』と『レフィーヤ』がムッとする。
「『ベル』だって凄い。半年でLv.7」
「へ?」
「まあ、そのために何度も死にかけてるんですけどねぇ………」
『アイズ』の言葉に固まる一同。『レフィーヤ』が呆れたように苦笑する。
「す、すごい………」
「俺に出来たんだ。お前も出来るさ」
尊敬の目を向けてくるベルに『ベル』はそう言って笑う。
「なれる、かな……僕もLv.7に………」
「……………」
チラリとアイズを見るベル。なるほど、彼の目標はアイズなのか。解りやすい奴。
「しかしゴライオスって……てことは君の二つ名物騒なことになったんじゃない?」
「ああ
「本当に物騒だね!?」
「なんだ、そっちの『ベル』はモンスター撃破数が半端なかったのか?」
と、ヴェルフが尋ねる。殺戮なんて物騒な名が付く理由がそれぐらいしか思いつかなかったからだろう。アイズだって昔は二つ名こそ『剣姫』だったが執拗なまでのモンスター殺しで剣鬼などと揶揄されていた時代もあったのだ。
「いや、俺は幼少期傭兵やっててな。その後オラリオに来たんだよ。で、外での俺の話を聞いたヘルメスの野郎が名付けやがった」
「「「傭兵!?」」」
『ベル』の言葉にベルに振り返る【ヘスティア・ファミリア】の面々。ベルは慌てて首を横に振る。
「ぼ、僕はそんなことしてませんよ!」
「そりゃそうだ、お前からは人を殺した奴特有の臭いがしない」
酒をあおりながらベルを見つめる『ベル』。自分と同じ見た目なのに、何故だろうか? 大人っぽい雰囲気に加えどこか妖しげな気配で全く別の顔に見える。
「怖いか、俺が?」
「い、いえ……悪い人では、ないと思うし……誰かを助けるため、だったとかだよね?」
「へぇ、その根拠は?」
「え? ええっと……その、君も『僕』だから……じゃだめかな?」
「………………」
聞きようによっては自分を信じたいだけのただの屁理屈。だが───
──そうだよ。それでこそ
変わらない。
向こうがただ世界を見てきただけの存在で、此方が世界を味わえた存在だとしても、やはりベル・クラネルは『ベル・クラネル』だ。
「あははは!俺とお前は違うのに、やっぱりお前は俺を
「わ、笑わないでよ!」
「すまんすまん。けど、ま……交友関係が殆ど変わらない理由も解った。リリや春姫を助けて、ヴェルフには魔剣なんて興味ないから防具くれとでもいったか? 命は……何故だ?」
「よくわかるな」
「俺も似たようなことしたからな。剣はこれと『ヴェルフ』が造ってくれたのが、あとは投擲用のがあれば問題ない」
と、ヘスティア・ソードを見せる『ベル』。自分のより少し長い剣をベルは物珍しそうに見ていた。
「まあ所属は違うがな………『ヴェルフ』は【ヘファイストス・ファミリア】のままだし『リリ』は【ロキ・ファミリア】で『春姫』と『命』は普通に【タケミカヅチ・ファミリア】………って、どうした春姫、リリ………」
「や、なんかベル様の見た目と声で気の強そうな声で喋られるとなんだか……」
「こっちのベルはなよなよしいからなぁ」
「『ベート』、失礼だろ」
『ベート』の言葉に『ベル』がむっとしたように言う。仮にも『自分』が馬鹿にされていると思って怒ったのだろうか? いや、ベルと『ベル』は別人だ、同一視されるのを一番嫌うのは『ベル』本人のはず。
「……悪かった」
「ん、許す。それより飯食おうぜ飯。ここは飯屋だ……とはいえ客が多いな、ミア母さん、手伝おうか? 向こうでも手伝ったりしてたんだぜ?」
「それは客としてきた時かい?」
「いや……」
「なら今日は客なんだ、座りな」
そう言われては仕方ないか、と席に座る『ベル』。
「じゃ、メニューにかかれてんの全部五人前ずつ」
「「「………は?」」」
「………こっちの『ベル』……すっごい大食漢なんですよね」
と、『レフィーヤ』が呆れたように呟いた。
アルテミス様とフィルビスをどうしよう
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アルテミス様だけ救おう
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フィルヴィスだけ救おう
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どちらも救おう
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どちらも救ってフラグを立てよう