ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
ベルが目を覚ますとソファーの上だった。昨日、確か【ソーマ・ファミリア】から帰る途中、背中に熱を感じ……そこから先が思い出せない。
「………ん?」
部屋を見回してみれば大量に転がる酒瓶とベッドで色気もヘったくれもない姿で寝るロキの姿が。おそらくあの後気絶して、ホームから距離もあったので運んでくれたのだろう。
「しかし酒臭いなコイツ」
この宿屋が時間によって金が増えるのか泊まる日数で金は決まっているのか知らないがとっとと出て行こう。心配かけてるだろうし。
「あら、もう帰るのかい?」
「世話になったな女将。この事、バレると面倒そうだ。泊まったことはバラして良いが部屋は別々だったことにしてくれないか?」
「解ってるよ。けど、あんまり火遊びしたら刺されるよ?」
「それはもう経験済みだ」
「んー? あり、何処やここ?」
「起きたかロキ。歩けるか?」
「おおベルっち、もう平気か?」
どうやらベルにオンブされているらしい。歩けるかという質問に足をプラプラさせながら考える。
「無理やな。メンドイ、このまま頼むでー」
「じゃあ、起きたし飛ばすぞ」
「ほえ?」
ベルの言葉に首を傾げるロキ。次の瞬間、ベルとロキは風になった。ロキの悲鳴がドップラー効果で街中に響くままベルは【ロキ・ファミリア】のホームで止まった。
「うえっぷ………気持ち悪!」
「よそのホームに行って何も言わず帰ってこなかったら下手すりゃ戦争だぜ?これぐらい我慢しろ。何も雷速で動いてる訳じゃねーんだ」
「んな速度で動けんのは雷の神ぐらいや!」
ベルはそっと目をそらし門を開けた。この時間はまだ門番もいない。
「やあ、戻ったね」
が、出迎える者が居た。フィンだ。
「良かったよ、戦争にならずに」
「悪いな。あの後何故か気絶して宿屋に泊まってた」
「気絶?」
「原因は分からん。それと交渉自体は成功」
「なら、後は君が僕との約束を果たしてくれ」
「リリを鍛えるんだろ? 解ってるよ」
その言葉にフィンが満足したように笑う。と、その瞬間……
「ロキィィィィィ!ベル君と朝帰りとはなんて羨ま……羨ましい事ぉぉぉぉ!!」
「どうわ! 何すんねんドチビ!?」
ロキにヘスティアが飛びついた。そのまま取っ組み合いを始める。
「どうしてだいベル君! 無乳か!? 絶壁が良いのかい!?」
「「………………」」
ベルとフィンは顔を見合わせその場から去る。好き好んで神々の戦いに巻き込まれるつもりはないからだ。
「ほんじゃまー……ベルっちとかアイズたんの件で先延ばしになったけど、リヴィラの街であったこと詳しく聞こか」
黄昏の館の会議室。フィン、ガレス、リヴェリアを集めロキが尋ねる。今回はガレスは知らぬ事なので聞く側だ。
「ほう、ベル坊の奴、アイズと互角以上に渡り合った相手の足を吹き飛ばしたか」
「そして帰りにゴライアスと………なる程レベルも上がるはずだ」
フィンとリヴェリアの報告を聞いたガレスは楽しそうに笑い、改めてその戦闘の後階層主に挑んだという事を思い出しリヴェリアは頭を抱える。
「まーま、あんま叱らんでやってーな」
「それは、無論だ………傘下とは言え他のファミリアの子だしな…いやしかし」
「まーそれは置いといて………『アリア』を知っとる女に、ベルっちとアイズたん狙ったモンスターか……」
「実際に二人を狙ったのか? 片方を狙って、もう片方は偶然の可能性も」
「けど、狙う狙わないは無しにしても二人があれを前に妙な感覚を覚えたと言ったのは確かだ」
「………………」
その言葉にロキはふとベルの魂を思い出す。無垢で真っ白な、何もない魂の中に埋め込まれたベルの肉体を操る主人格の黒い魂。フレイヤと違い直接ベルに触れなければ解らないが、触れた結果あれに関してはフレイヤより詳しく解る。
「……まさか、精霊の力に反応してるんか?」
「精霊? アイズはともかくベルは………いや、まさか」
「ああ。ベルっちも持ってるんよ。精霊の血なのかは知らんけど、少なくとも気配を」
「それは───」
「ロキィィィィィ! どういうつもりだい!」
バーン!とドアが勢いよく開き涙目のヘスティアが入ってきた。
「どうしてベル君に君の恩恵が混じっているのさぁぁぁぁ!」
「…………ロキ?」
「………あー……」
ロキは集まる視線に頭を押さえた。
「ステイタスに外部干渉? それ、本当だろうね」
「ホンマや。ウチだって信じられへんかったんやで? せやけど、あのままベルっちに何かさせる訳にはいかんやろ」
「むう……」
ロキの言葉に疑いを持ちながらもベルの魂深くには神である自分たちすら干渉できない何かがあることを知っているヘスティアは押し黙った。
「解ったよ。君を信じることにする………あ、それとこれが言われてたベル君の新しいステイタス」
と、ヘスティアが羊皮紙を渡す。どうやらランクアップした時に気付いたようだ。当然三人とも興味あるのでロキとヘスティアのみが知る早熟スキルを消されたステイタス情報を覗く。
『Lv.1→Lv.2
力:SS1099→I0
耐久:SSS1199→I0
器用:SSS1297→I0
敏捷:SSS1459→I0
魔力:SSS1298→I0
対異常:F→E
精神安定:D→C
技能習得:C→B
鍛冶:E
精癒:I
幸運:I
思考加速:I
狩人:I
《魔法》
・
・発動対象は術者限定
・発動後、半日の
・詠唱式【呪われろ呪われろ偽りの英雄。救えもしない無力な力で試練に抗い煉獄へ堕ちろ】
【エルトール】
・
・雷属性
・速攻魔法
【アンチ・カース】
・解呪魔法
・呪詛、結界魔法の破壊
・詠唱式【砕け散れ邪法の理】
《スキル》
・早熟する。
・羨望の続く限り効果持続
・無力感を感じるほど効果向上
・敵対時に於けるチャージ実行権
・敵対時に於ける相手のステイタス一時簒奪
・自己ステイタスの閲覧可能
・討伐モンスター図鑑自動作成
・マップ表示
・索敵
・アイテム収納空間作成
・肉体の修復
・体力、魔力を消費する
・精神への干渉を拒絶する
・術者との実力差によって変動
・受ける、受けない選択可能 』
「………うん、少し待とうか」
「………ロキ、
「いんや。量を幾ら与えようと変わらん。これはあくまで
「ワシはそれよりこのアビリティSオーバーが気になるんじゃが」
フィンは頭を押さえ、リヴェリアはロキに尋ねガレスは髭を弄る。
アビリティが軒並みSを文字通り越えており、発展アビリティを一度に四つも習得している。いや、Lv.1の時点で持っていることから十分おかしいのだが。
「………箝口令を敷く。ベルのステイタスはこの場に居る者だけの秘密だ。異存はないな?」
「ああ」
「うむ」
「それで、本人は何処や?」
「リリ君連れてダンジョンに潜ったよ」
因みにリリの現在のステイタスは
『Lv.1
力:G282
耐久:A904
器用:B822
俊敏:B849
魔力:C749
《魔法》
【シンダー・エラ】
・変身魔法
・変身像は詠唱時のイメージに依存。
具体性欠如の際は
・模倣推奨
・詠唱式【貴方の
・解呪式【響く十二時のお告げ】
《スキル》
・一定以上の装備加重時における補正
・能力補正は重量に比例 』
というものだ。殴られ蹴られ暴行を働かれていたり自分でアイテム作ったり逃げ回ったり魔法で変身し続けていたりしただけあり中々伸びている。
「ベル君、Lv.2になったから勘を知っておきたいんだってさ」
「そのついでにリリの修行か………彼、世界中を回り色んな人の師事を受けてたらしいけど、鍛えるのは初だよね? 大丈夫かな」