ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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温泉

「そういやよぉ、結局今走ってた奴含めて此奴等誰だ?」

『怪物進呈』(パス・パレード)してきた【ファミリア】だよ。極東の土下座を披露して謝罪してきた」

「ふん。誰かに押しつけなけりゃ逃げることもできねー雑魚かよ」

 

 ベートはケッと【タケミカヅチ・ファミリア】の団員達を睨む。

 

「俺は雑魚だろうと役に立つって理由で戦場にたたされてた奴らを知ってるが。ベートは嫌いなんだな、そういうの。優しい奴だ」

「あぁん? ふざけたこと抜かすな。第一てめーは雑魚がのさばることに何か思わねーのかよ」

「どんな雑魚で役立たずでも戦場で一人殺せなくても、向かえばそれだけで讃えられる。なかなか気持ち悪いところだぜ戦争も、笑顔で死んでく弱い奴も」

「よーするにてめーも雑魚が嫌いなんじゃねーか。回りくどい言い方すんな」

 

 未開拓領域を歩きながらベルと話すベート。ベートは不意にベルを睨み付ける。

 

「………おい、お前………覗いたんだよな?」

「ん? ああ、まあ……あそこの馬鹿に付き合わされた」

「ど、どうだった………?」

「…………それは流石に俺の口からは言えんだろ」

 

 顔を赤くし、声を小さくして聞いてくるベートにそれだけ返すベル。それに、と付け足す。

 

「今更興奮したりはしねーが俺にだって好みはあるし、その好みを優先するのは当然だろ? ぶっちゃけアスフィしかよく覚えてない」

 

 ベルの性欲は度重なる経験から薄くなっているが枯れているわけではない。もちろん異性の裸体を見て多少刺激を感じる。あの場でベルのタイプはアスフィだったしそちらを優先するのは性だろう。ベートだってその場に居たならきっとアイズしか見ていなかった事だろう。

 ちなみに()()()()()()のではアスフィだけだがその後の事件でリューの裸も見ている。それ以前にアイズとティオナの裸も風呂場で見ている。

 最低限の興味はあるし僅かだが刺激される。しかし一般的な男性が水着を見た程度の反応とそう変わらないだろう。

 洞窟を抜けると竹が生え、湯気に包まれた空間に出る。

 

「はぁぁぁ………」

 

 と、幸せそうな顔をして放心している命。

 

「温泉……?」

「はいー! 間違いなく温泉です!」

 

 お湯を掬い首を傾げたフィンに命が元気良く叫んだ。

 

「自分、温泉のことには自信があるんです!」

「他には特に何もないようです」

「どうかな………ベル」

「何匹か潜んでいるな」

「なら、そちらを先に対処しようか………」

 

 提灯アンコウのようなモンスターは、哀れ数秒で全滅させられた。倒したことによりベルの【操作画面】(メニュー)にその情報が刻まれる。

 

「ええっと……どうやら布を溶かす粘液を温泉に混ぜ、羞恥で動けなくなった獲物を狩るのが主な狩り方みたいだな」

「へぇ、何というかお約束なモンスターだねぇ。残ってない?」

「……………」

 

 ヘルメスの言葉にベルは絶対零度の視線を向ける。と、不意に命が温泉に顔を突っ込む。

 

「湯加減、塩加減、申し分なし! 是非入っていきましょう!」

「とは言うが、覗いた俺が言うのも変な話だが男もいるんだぞ?」

「そーですよ! 貴方、アイズさんの裸見たの謝ったんですか!?」

 

 ベルの言葉に思い出したように言うレフィーヤ。ベルはそう言えば、とアイズ達を見る。

 

「遅れてすまない。考えてみれば、ティオネやティオナはともかくまだ若いお前等にとって裸体を覗かれるというのは屈辱だったろう」

「まあ、彼処までどうでも良いって顔されると別の意味で………」

「いや、どうでも良いとは思ってないぞ? 一応は異性の裸体だ。興味はあるが………ぶっちゃけ見飽きたし眺め続ける必要は感じ得なかった」

 

 実際アスフィを見てたのも、どの体が好みかで問われたからだし。

 

『………………』

 

 女性陣のベルを見る目が冷たくなった。怒りを含んだ冷たさだ。

 

「あのベル、流石に女性の前でお前等の裸に興味ないというのは失礼だと思うよ?」

 

 フィンの言葉に事実だしなぁ、と頭をかくベル。ここにリヴィラの冒険者達(男性)がいたら間違いなく再びヘルメスからハデスヘッドを借りて襲いかかってきたことだろう。

 

「まあだが、確かに混浴というのはな……」

「では水着はどうでしょう? 水着を使えば混浴し放題です」

「ふっ! こんな事もあろうかとロキから借り受けていた!」

「きゃあああ!?」

 

 ヘルメスはどや顔でアスフィのマントと何故かスカートを捲る。スカートのガードは間に合ったがアスフィはもうやだ、と涙目で呟いた。

 

 

 

「これはロキの言葉だけどね。娯楽に飢えた神に一々粛清しても仕方ない、ってさ……」

 

 アスフィにボコボコにされても笑みを崩さぬヘルメスを見ながらフィンが言う。ベルは成る程、反省はしないと、と納得する。やはり何時か必ず天に帰そう。勘だが、今後絶対何かしてくる気がする。

 

「ベート君、興味ないかい? 向こう側に」

「あん?」

「アイズちゃんの全体的に細いからだに張り付く金髪、そして細身の体の中膨らんだ胸……」

「………………」

「顔はともかくアイズ程度の体つきなら探せば幾らでもいるぞ?」

「君は黙ってろ非童貞!」

 

 ヘルメスが叫びベルは小岩に腰掛ける。暫くして女性陣が岩陰から出てきたので交代し着替え始める。

 

 

「お前、結構鍛えてんだな」

「何を今更。俺は散々言ってたぞ? オラリオ来る前に傭兵として戦場を渡り歩いていたって」

「しかしすごい傷の量だね。これは治らないのかい?」

 

 ベルの傷だらけの体を見て感心するベートとフィン。と、一つだけ妙な傷を見つける。背中の刺し傷。それもかなり不味いところに。普段の彼を見るに、いかに恩恵を持っていなかった時代とはいえこういった致命傷を恩恵を持たぬ外の人間に付けられるとは思えない。

 まあ、外にも恩恵持ちはいるだろうし未熟な時に付けられたのかもしれない。

 

「ん?ああ、その傷は旅を再開する前日に、寝ていた女から貰った。旦那の居る人だったし単なる火遊びのつもりなのかと思っていたが思いの外執着心が強くてな………」

 

 とはいえ金払いが良く、あの頃まともに給金ももらえなかったベルは旅に出るための貯蓄を作るために彼女は必要な相手だった。

 

「おいおい男共よ、昔の女の話より今目の前にいる女の子の話をしようぜ?」

「………………」

 

 ベルは無言で裏拳を放ちヘルメスを気絶させた。会議の結果、彼には水着を見せることすら禁止にした。

 ベートは横目で女性陣を見る。ワンピースタイプの水着を着て肌の露出を抑えたエルフの師弟。レフィーヤは黄色でリヴェリアは黒。

 瑞々しく健康そうなレフィーヤの肌と白く成熟した張りのあるリヴェリアの肌、どちらも水着に良く引き立てられていた。

 リリやヒリュテ姉妹はツーピース。リリはピンク、ティオナとティオネは青でフリルが付いている。これも似合っていた。

 そして、アイズとアスフィは何故かスク水だった。アイズに至ってはわざわざ拙い文字で『あいず』と書かれている。

 

「………………」

「………マニアックだなお前」

「ばっ! ちげぇよ!」

「ああ解ってる。アイズならどんな格好でも似合うよな」

 

 と、ベートを無表情でからかうベル。

 

「団長! ここ広いみたいですよ、奥に行ってみましょう!」

「ははは。僕を人気のない場所に連れて行ってどうするつもりだいティオネ」

「ぶれないなー」

 

 意中の相手を奥へと連れていこうとする姉に呆れるティオナ。

 

「ん、ふぅ………これは良いな………」

「ああああ」

 

 滝湯に打たれながら頬をゆるめるリヴェリアの横ではレフィーヤがとろけるような顔をしていた。

 

「………………」

「何やってんだ?」

 

 リューは蓮の葉のような物に座りドングリのウキを使った釣り竿を温泉に垂らしていた。魚など住んでいるようには見えない。

 

「精神統一です」

「お前は入んねーの?」

「私はエルフの中でも特に凹凸に乏しいようですから、着ても似合いませんよ」

「そうか? 俺は見てみたいけどな」

 

 ドボン! と音がしたので見てみればリューが温泉の中に落っこちていた。

 

「大丈夫か?」

「………はい」

 

 

 

 その後温泉で疲れを取った一同は無事地上に戻った。ヘルメスがロキに渡すつもりだった映像を記録するマジックアイテムによる盗撮の記録媒体はもちろんアスフィにばれ破壊されていた。

 

 

 

「なんだいなんだい! 心配したって言うのにベル君は水着の女の子達と楽しく遊んでたって事か!」

 

 ぷんぷんと擬音をつけながらベルの背中をベシベシ叩くヘスティア。

 

「こうなったら僕とも水辺にいこう! 僕の水着姿でベル君を悩殺してやる!」

「はいはい。解ったよ……そういやロキは?」

「何か話があるとかでヘルメスとウラヌスの所に行ったよ。よし、更新終わ────」

 

 ピタリとヘスティアが固まる。そして───

 

「またLv.が更新できるようになってるぅぅぅぅぅ!?」

 

 思いっきり叫んだ。

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