ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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事後処理

「知らん」

「………はぁ?」

 

 食人花について尋ねるもカーリーが返した。ベルは己の頭に引っ付いたままの幼女に再び問いかけるが返答は同じ。

 

「嘘はねーか?」

「妾がお主に嘘を吐くわけ無かろう?」

 

 ベルとて嘘を見抜けるがそれは観察眼故。本当に騙すのが得意な者には騙される。そう自覚するからこそ問い返すがカーリーはベルの髪に頬をすり付け返す。

 

「なんだいなんだいさっきから! どうしてベル君に引っ付いているんだ君は! 離れろー!」

「嫌じゃ離れん!」

「離れてください!」

 

 同じ神同士の引っ張り合いなら抵抗していたカーリーであったが『力』補正のスキルを持ったリリまで加わりとうとう引き剥がされる。

 

「ちぃ。まあ良いわ。で、ベルの質問には答えたぞ。次は何じゃ?」

「とりあえず、ティオネ達にはもう関わらんことを約束しろ。あのアルガナっちゅう戦闘中毒者(バトル・ジャンキー)にはよく聞かせて──」

「アルガナはもう使い物にならん」

「あん?」

「アルガナだけではなく他の者………お主の男共(子等)にやられたもんは全員そうじゃ……」

 

 強い男に惹かれるアマゾネス達は自分達をボッコボコにした【ロキ・ファミリア】の面々に惚れ込んだのだ。

 その言葉にベルはん? と首を傾げる。

 

「ベート、お前ヒキガエルみたいなアマゾネス倒しちまったらしいけど大丈夫か?」

「勘違いすんな兎。ありゃアマゾネスみたいなガマガエルだ」

「そうか。なら問題ないな」

「ないの?」

 

 二人のやりとりに首を傾げるヘスティア。しかしガマガエルが立って喋って人に見えなくもない姿に化けるとは下界は本当に可能性に溢れているんだなぁ、と感心する。

 同時刻、何処かで醜いアマゾネスみたいなガマガエルが汚いクシャミをしたとかしてないとか。

 

「それで、自分何しにメレンに来おった」

「言わん」

「おいコラいい加減にせえよ?」

「言え、カーリー」

「イシュタルの奴がフレイヤを潰したがっておってな。その手伝いじゃ。東西からの挟み撃ち。妾は噂の猪人(ボアズ)を一目見たくてのう」

 

 その言葉にベルとベートが顔をしかめる。

 オッタルの事をベルもベートも嫌っている。他のファミリアだし、頂天なんて言われてるし、何より()()()()()()()()()()()。今の力で満足し、敬愛する女神の剣であり続けている。

 強さを求める理由なんざ知ったこっちゃ無いが明らかにまだ強くなる余地を持ちながらこれで十分であると言いたげに居座るオッタルは強さを追い求める二人からすればそこが強さの終着点であると言われているような気になり受け入れがたいのだ。

 

「あっさり教えたのぉ。ええんか?」

「もう協力する気は失せた。先程言ったように妾の眷属達(子等)も使えんし、何より必要なくなった」

「どういう事や?」

「ベルがその猪人(ボアズ)を超え、最強を手にするそうじゃ。今はそうでなくても何れ到るなら、妾はそれを近くで見ることにする」

 

 と、ベルを見るカーリー。ロキが目尻がピクピクひきつる。

 

「お前、まさか………」

「うむ。オラリオに移り住むことにする……当然『儀式』は行えんが、まあ今は関係ない。と言うわけでよろしく頼むぞ」

「おい待てや。つまりアレか、絶賛恋の病中のアマゾネス共が来るっちゅう事か!?」

「何か問題が?」

「大ありじゃボケぇ!」

 

 ティオネ1人ですら厄介なのにそれが大量に。オラリオは地獄と化す。

 ベートはガマガエルしかぶちのめした覚えはないので我関せずという顔をしているがベートの事だ、覚えてないだけで絶対誰か1人ぐらいは惚れさせている。

 

「とにかく決めた事じゃ。その辺はギルドと話し合うからお主等には口出しする権利は無かろう?」

「ぬ、ぐ……」

 

 今オラリオで何かが起こっている以上ウラヌスは少しでも多く戦力を求めるはず。Lv.6が2人も居る【カーリー・ファミリア】はお眼鏡にかなう。

 

「せやったら【イシュタル・ファミリア】が潰れるまで待て」

 

 もう彼女達が協力する気がない以上【フレイヤ・ファミリア】に挑んだところで勝てないだろう。この情報も、フレイヤに恩として売れるし、それで良しとするしかないか。

 流石に国家ファミリアの主神を強制送還したとなるとそれを口実に何処が攻めてくるか解らない。大手ファミリアというのはその分敵も多いのだ。アイズも偶に闇討ちされるらしいし今回の【イシュタル・ファミリア】も私怨が混じってはいるし。

 まあ【ロキ・ファミリア】が幾ら文句を言ったところで何らかの対策は必ず残しているだろうし、フレイヤがペナルティーを恐れず向かうことを切に願おう。

 

「くふふ。わかったわかった。ではなベル、【イシュタル・ファミリア】が潰れたら真っ先に会いに行くぞ」

「ほんまにベルっち気に入ったんやなぁ」

「当然。妾は殺戮と闘争の末に生まれる『最強の戦士』がみたいのじゃぞ? そこの狼も向上心はあるが目覚めた魔法とスキルからしてどちらがより本気で素質があるか較べるまでもない」

 

 カーリーの言葉にベートが忌々しげに舌打ちする。

 

「それに二つ名も殺戮と来た。これは最早運命とも言って良い」

「そんなわけ無いだろう! ベル君は僕のだ!」

 

 と、ベルを抱きしめ威嚇するヘスティア。が、カーリーはふふん、と笑いベルをみる。

 

「ベルよ、お前の心はまだ強さへの渇望に縛られておる。弱い自分が憎くて仕方ないという顔をしておる。強さに限界を感じたら何時でも妾の下に来い。テルスキュラで、Lv.があがるまで殺戮の限りを尽くさせてやる」

 

 ベル君がそんな事するもんか! と叫びたかったヘスティアだがベルの過去を思い出し言葉に詰まる。

 

「………………」

 

 だから言葉を発しないベルが何を思っているのか解らない。と、そんなベルの頭をベートが叩く。

 

「てっ──?」

「揺れてんじゃねーぞバカ兎。強さに限界を感じたらだぁ? そんときゃてめぇがそんだけの器って事だ」

「…………」

「そこで諦めなきゃ良いんだよ。わざわざ雑魚女共を殺しに行かなくても、階層主やミノタウロスの強化種とやらと戦った時みてえに冒険しろ」

「…………ああ。そういうわけだ、悪いなカーリー」

「ふむぅ………まあ、良いか。どのみち最強へと到ろうとするなら同じ事よ」

 

 

 

 

「それは、確かか?」

「はい。【殺戮兎】(ヴォーパル・バニー)と神ロキが宿屋から出るのを目撃したと」

「しかし、弱いな」

「脅してみたところ、同じ部屋に泊まったようです」

「ふふ。そうか、ロキの奴め。狡いじゃないか、先に………まあ良い。傘下の眷属に手を出した、これで向こうも強く出れないはずだ」

「では……?」

「ああ。ベル・クラネルはこのアポロンが頂く」

 

 

 

「…………ッ!」

 

 【アポロン・ファミリア】のカサンドラは勢いよく飛び起きる。全身ぐっしょりと汗に塗れ、服がピッチリ張り付いている。

 目尻には涙が溜まりはぁはぁと荒い呼吸を繰り返す。

 

「こ、殺されちゃう………皆、兎に食べられちゃう……!」

 

 彼女は夢を見た。黒い雷が落ちる嵐を纏った巨大な兎が太陽を喰らい、守ろうとする人間を、亜人を等しく喰らい尽くし殺し尽くす夢を………。

 兎。太陽。

 思い付くのはアポロンが欲しがった【殺戮兎】(ヴォーパル・バニー)

 アポロンが馬鹿をする前に、絶対止めなくては………!

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