ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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案内状

「ほーん。ベルっち侮辱したあげく殴ったと。命知らずも居たもんやなぁ」

 

 レフィーヤが何やら不機嫌な様子で帰ってきたので理由を聞くと酒場でベルを馬鹿にする者と襲ってきた者が居たという。

 暴力に関してはまあ、ベルが先に手を出したのは事実なので仕方ないと割り切る。

 

「終わったで」

 

 と、レフィーヤに羊皮紙を差し出すロキ。レフィーヤは早速その内容に目を通す。

 

『Lv.3

 力:F386

 耐久:E458

 器用:E484

 俊敏:D502

 魔力:S957

 魔導:H

 耐異常:I

《魔法》

【アルクス・レイ】

・単射魔法

・照準対象を自動追尾

【ヒュゼレイド・ファラーリカ】

・広域攻撃魔法

・炎属性

【エルフ・リング】

召喚魔法(サモン・バースト)

・エルフの魔法に限り発動可能

・行使条件は詠唱文及び対象魔法効果の完全把握

・召喚魔法、対象魔法分の精神力(マインド)を消費

《スキル》

【妖精追奏】(フェアリー・カノン)

・魔法効果増幅

・攻撃魔法のみ、強化補正倍加

【魔法維持】(エンチャント・チャージ)

・詠唱の終わった魔法の保管

・発動の際の精神力(マインド)

は詠唱中に消費

・Lv.に合わせて保管数変動   』

 

「………凄い上がってますね」

「成長期なんやろ」

 

 と、適当に返すロキ。それで、どうする? と尋ねる。

 

「ランクアップする?」

「………いえ、折角の成長期なんですからもう少し」

「そか」

 

 向上心があるようで何より、と笑うロキ。その向上心の理由もベルに負けたくないというモノだろう。実に微笑ましい。

 

 

 

 翌日。ベルは1人で街中を歩いていた。

 下手をすれば毎日ダンジョンに潜りそうなアイズやベルはリヴェリアからきっちりダンジョンに潜ってはいけない日が決められているのだ。

 

「……………」

 

 不意にベルは足を止める。尾けられている。数は2人。走り出し路地裏に向かうと直ぐに足を止め振り返る。そこには驚愕した顔の短髪の少女と腕を掴まれ無理矢理付いてこさせられている長髪の少女が居た。

 

「や、やだぁ………帰るの~! 私、帰る~…………放してダフネちゃん」

 

 泣き出してバタバタ暴れる少女にはぁ、とため息を吐く短髪の少女。泣いてる少女の懐から一通の招待状を取り出しベルに渡してくる。刻まれたエンブレムは【アポロン・ファミリア】の物。

 

「ウチはダフネ。この()はカサンドラ。察しの通り【アポロン・ファミリア】よ。それはアポロン様が開く宴の案内状。いい、渡したからね?」

「来ないでください来ないでください来ないでください来ないでください………」

 

 プルプルと震えてダフネの後ろに隠れて呟くカサンドラ。流石に訝しむベルが視線を向けると「ぴぃ!?」と猫を前にした小鳥のような悲鳴を上げる。

 

「た、食べないでください!」

「食べるかよ……」

 

 涙目で怯えまくる少女に面倒くせぇと頭をかくベル。

 

「そ、そんな事言って黒い雷で皆焼くんだ。焼いて食べる気なんだ………」

「だから食べねぇよ。何だ此奴………」

「夢よ夢。この子、夢でお告げがあるって言うの」

「へぇ、予知夢ってやつか?」

「スキル欄にも乗ってないし、この子の勘違いよ」

「そうか……」

 

 ベルが黒雷を放った時、【ロキ・ファミリア】以外の面々が居たのは18階層でのミノタウロス戦ぐらいだ。そしてもしあの時の戦闘を見ていたならベルの襲撃にあの程度の輩を使うとは思えない。

 まあ聞いた話によるとあれが団長、最強らしいから彼しかいないという可能性もあったが【アポロン・ファミリア】に目撃者が居たら止めるだろう。

 箝口令が敷かれているのでわざわざ他の【ファミリア】に言う馬鹿は居ないだろうし………いや、ヘルメスなら或いは言うかもしれないが………。

 まあただ、そう言う理由を抜きにしても彼女は何というか、そう言う不思議な力を持っていたとしても可笑しくない不思議な気配を感じるのだ。

 

「ひぃぃん。み、見られてる。柔らかくて食べやすいお肉か見られてる~……」

 

 どんな夢を見たのだろうかこの女は。去っていくカサンドラに呆れた視線を送りながら見送った。

 

 

「ほーん、『神の宴』のお誘いなぁ……」

「騒ぎ起こした後だと流石に断りにくいなぁ。でも僕アポロン苦手なんだよね」

 

 ヘスティアに渡すとどうやらロキも同様に手紙を受け取っていたらしく、同時に開いてしげしげ眺める。

 

「なんやきな臭いなぁ……」

「何が?」

「脳味噌つまっとんのかドチビ」

「なんだとぅ!?」

 

 ロキの言葉に反応するヘスティア。ベルは案内状の内容に目を通す。

 本来は神のみで行われる『神の宴』だが、今回は眷属を1人連れてくると言う異例の宴。

 

「これの何処が変なのさ? 確かに珍しいけど……」

「ヘスティア、お前んとこの団員、俺以外居たか?」

「おいおい忘れたのかい? 僕の眷属はベル君だけだぜ?」

「そう。つまり()()()()()()()()()()()()()()()というわけだ」

「な、なるほど……?」

「そしてこのタイミングの騒動だ。先に手を出したのは俺、その事実は変わらない」

 

 ベルの言葉にヘスティアがハッと気づく。

 

「まさか、それを理由に『戦争遊戯』(ウォー・ゲーム)を開く気かい?」

「可能性としてな……まあ俺等みたいな零細ファミリアから何を貰いたいのかは知らねーが」

「そりゃベルっちやろ」

「ベル君だね」

「あ? ああ、そういや俺世界最速兎(レコードホルダー)だった…………のは関係なさそうだな」

 

 ロキとヘスティアの視線から何となく察したベルは眉間を揉みふぅ、とため息を吐く。

 

「………念のため聞くが、アポロンって男神だよな? その上で………()()なのか?」

「「うん」」

「ヘスティア、実は俺の下に付きたいって言う……ていうかぶっちゃけ既に俺の使いっぱしりのLv.5冒険者が居るんだがそいつ改宗させて代わりに出そう」

「や、それぐらいじゃ諦めんと思うで?」

「チッ、無駄か……なら良いや」

「待ってくれベル君! 僕はその冒険者に興味があるんだが!?」

「今回使えないならまだ改宗しねーよ。裏に関わってるから色々使えるし」

「そいつ、信用できるんか?」

「出来る。俺が尋ねりゃ嘘は吐かねーだろ。まあ隠し事はしてるだろうが……」

 

 ベルは自分に恩義こそ感じているものの金になる仕事は出来るだけ隠して自分だけで行う部下の顔を思い出す。少し前、自分とオッタルが破壊した跡を確認しに向かったダイダロス通りで偶々出会い魔法の実験台になってもらった男の笑みを思い出しため息を吐く。

 まあ、裏に関わるだけあり色々知ってるから役に立つんだが。いっそ彼奴にアポロン暗殺させようかなぁ、と考え始めるベル。

 

「まあまあベルっち落ち着き……まだそうやと決まった訳じゃないんやし、普通にパーティー楽しもうや。そうやったとしてもウチが睨めば大人しくするやろ」

「傘下とはいえ余所の【ファミリア】の子を贔屓しすぎって言われるんじゃねーか?」

「それ言われたら確かに何も言えんようになるかもやけどウチの眷属愛は周知やしな。ベルっちを特別贔屓してるって言われてその証拠さえ用意できなければ大丈夫だと思うで」

 

 

 

 

 そして当日。

 

「ベル、中々似合っているな。と言うか着慣れているな?」

「こういう服は初めてじゃねーんで」

「リヴェリア、私も変なところ無い?」

 

 礼装に着替えたベルとアイズはリヴェリアに最終確認をしてもらっていた。リヴェリアはアイズの髪を櫛ですき、整えてやる。

 

「よし、では自信を持って行ってこい」

「「行ってきます」」

 

 リヴェリアがトン、と背中を押す。外にでるとドレスに着替えたロキとヘスティアが乗る馬車が見えた。

 

「ほな、『神の宴』に出発進行やー!」

「やー」

「や、やー……?」

「…………やー」

 

 ロキが腕を上げアイズも続く。ヘスティアも困惑しながらやり、視線が集まったのでベルもやった。こうして一同を乗せた馬車はゆっくりと動き出した。

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