ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか?   作:超高校級の切望

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やったぜお気に入り三桁!(≧∇≦)b
感想は未だ一桁(´・ω・`)


ロキ・ファミリア

 ガツガツムシャムシャとベルは運ばれてくる料理を飲み込んでいく。

 キラーアントを使いチマチマ魔石を稼ぐのは時間はかかるが効率はいい。特にベルは収納スキル持ち。一度に換金できる金額も多く、頼めるだけ頼もうと注文する。

 

「すいませんドワーフの火樽酒追加で。後、このステーキ」

「は、はいにゃ!」

 

 スープを水でも飲むかのようにゴクゴク具ごと飲み干すベル。何を隠そうベルは大食漢である。前世から。前世の友人にはお前は不知火か、とか魔人と一緒に探偵やるのか?と言われたりした。

 と、そんなベルの大食いを見て賭事を始めていた冒険者達が不意に入り口を見る。ベルは気にせず食事を続けた。

 

 

 

「………………」

 

 何だろうあの机。

 アイズは大量の食器が積まれた机を見て首を傾げる。机は小さく椅子は一つ、一人用の席なのだろうが置かれている食器の数が尋常ではない。店員は慌てて食器を運び、新たな料理が追加される。

 

「ミア母さん!肉の在庫が無くなりそうです!」

「何だって!?くそ、追加を買ってきな!」

「「アイアイサー」」

「なんや今日は忙しそうやなぁ」

「シルが本当に大食漢を連れてきてしまって……」

 

 はぁ、と呆れたように言うのは金髪のエルフ、リュー・リオン。ここの店員の一人だ。

 

「ふーん。どんなデブなん?」

「いえ、見た目は可愛らしい少年です。少し目つきが悪くて傷が目立ちますが」

「あんな大食いやったら有名になりそうやけど、来たばかりか?ま、ええわ。案内よろしく~」

 

 今回【ロキ・ファミリア】は遠征後の宴できた。ならばそちらを優先する。それでなければエルフのリューが可愛らしいと称した相手に興味あったが今回は止めておく。

 

 

 

「なあアイズ!あの時の話してやれよ、ミノタウロスん時の身の程知らず!」

 

 酒が回ったのか陽気になったウェアウルフのベートがアイズに向かって叫ぶ。アイズは身の程知らず?と首を傾げた。

 

「声しか聞こえてこなかったけど、ミノタウロス相手に逃げるなとか啖呵切ってた奴だよ。お前、ボコボコにされてたそいつ運ぶために先に帰ったんだろ?はっ!雑魚が何調子付いてんだか」

「まじかよ!そんな奴が!?」

「蛮勇と勇気を履き違えてるね!」

 

 ケラケラ笑う【ロキ・ファミリア】のメンバー。小人族(パルゥム)の団長やハイエルフの女性、ドワーフの男は顔をしかめアマゾネス姉妹の片割れはどうでも良さそうに、もう片方は笑うことかな?良いと思うけど、と首を傾げているが。そして、アイズの一言で嘲笑が止まる。

 

「ベル君は雑魚じゃないよ」

 

 ブフゥ!と【ロキ・ファミリア】の殆どが口の中の物を吹き出した。ベルはん?誰か呼んだかと周囲を見回すが積まれた食器のせいで気づかなかった。

 シルやリューはチラリとベルの居る席を見たが食器のせいでどんな反応をしているのか解らなかった。

 

「な、なあアイズたん………その子、アイズたんの知り合いだったん?」

 

 散々笑ってしまったロキは恐る恐る尋ねる。知人を馬鹿にされて怒らない者はいないだろう。彼女に嫌われて、ファミリアから脱退されたらショックで死ねる。神だから死なないけど。

 

「違う」

 

 と、首を横に振るアイズ。ホッとしたが知り合いでないなら何故名前を知っているのだろうか。

 

「彼を運んだ時、担当の職員に聞いた」

「そっか。それで……」

「…………で、そいつの何処が雑魚じゃねーんだよ。ミノタウロス如きにボコボコにされてんだろ?」

 

 ベートが不機嫌そうに言う。アイズが知ったばかりの男を庇うのが面白くないんだろう。

 

「そのミノタウロス、片腕と片目を失った。全部その人がやった」

 

 と、アイズの発言に周囲がざわめく。ミノタウロスはLv.2が適正とされるモンスターだ。七階層に居るはずの冒険者が相手できるとは思えない。

 

「けっ!だからどうした。なら其奴も下に向かう途中のLv.2だったってだけの話だろ」

「その人、冒険者になって半月だって」

 

 再び動揺する周囲。ベルは信じられないものを見る目でみているシルに首を傾げながらお代わりを注文する。流石に腹も落ち着いてきたのかペースが落ち、食器の山も消えていく。

 

「いやいや流石に冗談でしょ」

「確かに言ってた………私もその戦い、見てたし」

「見てた?直ぐ助けなかったのかい?」

 

 と、団長のフィンが首を傾げる。彼女らしからぬ行動に疑問を持ったのだ。と、アイズは言いづらそうにモジモジする。

 

「……その、見惚れてて。あの子とミノタウロスの戦いに」

 

 もちろん一級冒険者であるアイズからすれば、あの時のベルとミノタウロスがもし同時に自分に襲いかかってきても倒せただろう。が、ベルが見せたのは不屈の闘志。

 

「左肩が外れて、右腕が折れてても諦めてなかった。私がいなかったら確かに死んでたけど、あの子は立派な冒険者」

「ほう、今時珍しい。そんな者が………」

「興味深いね。しかも、半月か………」

 

 半月、半月となると文字通り駆け出しだ。今でこそオラリオトップクラスの実力者であるフィンにリヴェリア、ガレスは果たして自分が半月でミノタウロスの腕と目を奪えたか?と考える。無理だろう。膂力に優れたガレスや魔法を使えるリヴェリアなら可能性はある。尤も、リヴェリアの場合詠唱する時間があれば、だが。流石に半月の時点で並行詠唱は覚えていない。

 フィンは、論外。叩き潰されて終わりだ。

 

「どんな子なんだい?」

「えっと、顔に傷跡が在ったけど……可愛い?髪が白くて目が赤くて………兎みたい。あ、あんな感じ…………あ」

「あん?」

 

 食器の山があった机はだいぶ綺麗になっており、そこに座っていたデザートを食う少年の赤い瞳と目があった。

 頬に走った三本の爪痕、鼻に刻まれた横線の切り傷、間違いなく彼だ。

 

「……………………誰だ?」

 

 しかしベルはその時ミノタウロスしか見ていなかったし直ぐに気絶したので覚えていない。取り敢えずデザートを食い終え【ロキ・ファミリア】に近づく。

 

「で、誰だお前」

「アイズ……」

「………ああ、アンタが。ありがとな。あのままだったら死んでた」

「気にしなくて良い。私もあの時良いモノを見たから」

 

 レベルが上がる内に、単身で潜る回数が減った内に行えなくなった強敵との戦闘。追い込まれ、傷付いても諦めない精神。あれは素晴らしい光景だった。

 

「良いモノ?よく解らねーが、礼には期待しないでくれ。駆け出しなんでな、大手ファミリアに返せる恩と言ったら俺の体で払えるものか」

「体?」

「ああ、労働力だ………まあLv.2や3も多くいるファミリアじゃ邪魔になるだけだろうが」

 

 後は夜の相手とか。金のために護衛していた商隊の女とかから金を貰って相手してた。おかげで短剣なんかも安く手に入れる事が出来た。まあ、これは目の前の純粋そうな少女に言うことではないだろう。

 

「ほー、自分がベルか。なあ恩恵貰って何年なん?」

「半月だ。戦闘経験自体は六年前、八歳から雇われ護衛をしていた」

「「「……………」」」

 

 ベルの言葉にロキへと視線が集まる。ロキは細い目でジッとベルを見つめる。

 

「ほーう。半月前、それって恩恵そのもの?それとも今の神から?」

「恩恵そのものだ」

「………嘘やないね」

 

 神は嘘を見抜く。つまり彼は、本当に僅か半月のダンジョン攻略でミノタウロスと渡り合ったのだ。

 

「へー、凄いね!」

 

 と、興味津々にベルに近付くのはアマゾネス姉妹の妹ティオナ・ヒリュテだ。

 

「凄くねーよ。結局俺は負けた……彼奴みたいに、勝てなかった」

 

 ギリィと歯軋りするベルを見て、アイズは何となく親近感を覚える。彼もまた強さを渇望しているのだろうか?目的は解らないが。

 

「ねえねえ!オラリオ来る前はどんな事してたの?」

「主に商隊の護衛。後はアジトが解った盗賊の殲滅……ダンジョンの外のモンスター退治。まあ、恩恵持ちは居なかったから生きてこれただけの凡夫だよ」

「Lv.1でミノタウロスと渡り合った君が凡夫なら大半の冒険者が無能になる。すぎたる謙遜は嫌味だよ」

 

 と、フィンが言う。ベルはそうか、と興味なさそうに呟く。と、その時ガン!と机がジョッキで叩かれる。

 

「気にいらねーな……」

 

 そう呟いたのはベートだ。ギロリとベルを睨み付ける。

 

「そう怒るな。意中の相手が他の男に興味持ったってその責任はその男にねーだろ」

 

 と、面倒くさそうに言うベル。これでも数年傭兵をやっていればそれなりにモテる。主に年下好きに。その事でやっかみも買ったりしたからベートが何を気に入らないのか解るがベルからすれば面倒事でしかない。

 

「ぶっ殺す!表出ろ!」

「落ち着け馬鹿者」

 

 ドガ!とガレスに叩かれ机に突っ伏すベート。

 

「Lv.1相手に何ムキになっとるか………すまんな坊主」

「良い。慣れている……」

「ほう、なかなか肝が据わっとるな」

 

 ニヤリと笑うガレスは酒の入った杯を渡してくる。

 

「ほれ、お前も飲まんか。どうせならオラリオに来るまでの武勇伝を聞かせろ」

「冒険者に話すような内容ではないが構わないか?」

「おう!構わん構わん!」

 

 

 

「じゃーね!ベル!」

「また飲み比べようぞ坊主!」

 

 ティオナは笑顔で手を振りガレスは再び飲み比べようと笑い【ロキ・ファミリア】と別れる。ロキに【ヘスティア・ファミリア】であることを知られると驚かれ、その後一年後に改宗しないか聞かれたが取り敢えず保留。

 強くなるために【ロキ・ファミリア】に所属するのも一つの手だろう。だが、ヘスティアに恩義を少なからず感じている。故に保留。恩恵自体はどの神に貰おうと変わらないのだ。

 

 

 

「おかえりーベル君。って酒臭い!」

「ん?ああ、少し飲み過ぎたか」

 

 出迎えるなり距離を取ったヘスティアに傷つくことなくベルは自分の臭いを嗅ぐ。そして、ふと気になることを尋ねる。

 

「ヘスティア、お前ロキと仲悪いのか?」

「…………何だって?」

「ロキだ。胸がなくて目が細い女。俺がお前の眷属と知るとあんなおチビよりウチのとこおいでやぁ、と言ってたから」

「………改宗しないよね?」

「取り敢えず保留と言っておいたが、7:3で改宗する気はない」

 

 三割はあるんだね、と落ち込むヘスティア。まあ、こればかりはベルの意思だ。仕方ない。

 

「時にベル君。ベル君ってどんな武器が欲しい?」

「藪から棒だな…………切れ味のある少しリーチの長い剣だ。ミノタウロスには僅かな傷しか与えられなかったしな」

「ふむふむ……解った!あ、それと僕明日から三日ほど出掛けるけど、良い子にしてるんだよ?」

「………つまり五層以下に行くな、と。解ったよ……」

 

 舌打ちしそうな顔で、ベルは嫌々同意した。




ウチのベル君は逃げ出すようなたまじゃないからね!
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