ベル君に憑依して英雄を目指すのは間違っているだろうか? 作:超高校級の切望
「私レナ・タリー! ベート・ローガの女になるんだぁ!」
「そうか……」
「おいふざけんじゃねーぞ。何勝手に話し進めてやがる! てめーも流してんじゃねー!」
ああ、成る程。これは大変そうだ。
ベートが叫ぶのを見てベルはそう感じた。
哀れな、アマゾネスに目を付けられるとは。しかも単純に強い雄を求めるタイプではなく敗北をきっかけに運命を感じるタイプ。こういったのはまず諦めない。
「ふふふ。さっきもお腹にいいの貰ったしきっと妊娠してるよ!」
「んなわけねーだろ」
はぁ、と疲れたようにため息を吐くベート。そんなベートにリーネがクスクス笑うとティオナもつられて笑う。ベートはジロリとベルを見る。
「? 愉快とは思ったが俺は笑ってないぞ」
「愉快だと思ってんなら笑え」
「………?」
ゴン、と頭を叩かれ首を傾げるベルにベートはチッと舌打ちした。
似ているから強くなると解っていた。自分のようになると思っていた。事実想像以上に強くなった。
負けてられないと思ったが、あの宴の時のミアとの会話を聞いて、その時の目を見て考えが変わった。
此奴は本当の意味では少ししか自分に近づいていない。あの頃の、【ウィーザル・ファミリア】を失ったばかりの自分から、殆ど進んでいない。
在り方を示すのも忘れただただ強くあり続けようとしている。しかも質が悪いことに、自分とは方向性が違う。
弱者が許せなかった自分と違い、弱者を守るのを選んでしまった此奴は自分への優先順位が低い。
だから簡単に身体を女に売れる。男には売らなかったらしいが、祖父の影響だろう。話に聞く女好きの祖父が其方にも寛大だったらきっと違っていた。
そういうレベルだ。きっと自分が、父親から弱肉強食の掟ではなく
「………………」
なし崩し的に共に歓楽街跡地を回ることになったベルを不意に見る。ティオナに腕に引っ付かれて、アイシャとかいう名のアマゾネスに引っ付かれていた。
出会った頃に比べればだいぶ今の自分に近づいている。
ならば此奴に『牙』を教えるのは自分の役目だろう。嘗て何かを失った証である
何処までも昔の自分にそっくりで、でも此奴の『牙』は傷つけることしかできない自分とは違う。守ろうと振るえる
自分は今更変わる気はない。だが、此奴はまだ変われる筈だ。だから──
「………ベル」
「ん?」
「お前はそのままでいるな」
グシャリと乱暴に頭を撫でる。
失いたくないと思った
妹、幼馴染、恋人、惚れた女の4人と同様に気にかかる
何時だったかラウルの馬鹿筆頭に何名かが顰めっ面兄弟とか呼んでいたのを思い出す。
(………弟だぁ?)
こんな手のかかる弟は御免だな。と、不意に横を見ると顔を真っ赤にするリーネと拗ねた様子のレナ。
「何なの此奴! いきなりベート・ローガに頭撫でられるとか羨ましい! はっ、まさかベート・ローガが私に靡かない理由って───!」
「や、やっぱりラウルさん達が言ってたあの噂は……うぅ、で、でも私必ずベートさんをキチンと異性に興味がある方にして見せます!」
取り敢えずレナはベートとベルが同時に蹴った。幸せそうな、しかしベルにも蹴られたため複雑そうな顔をして吹き飛んでいくレナは最終的にはベート・ローガの子を妊娠したぁぁぁぁ! と叫んで笑顔で頭から落ちた。が、直ぐに跳ね起き戻ってきた。
「取り敢えず後でラウル殺すぞ」
「殺すのは流石に……百回程殴るので許してやろうぜ」
後で余計な噂を広めたラウルは確実に報復することを決めた二人。というかリーネも信じるなよと頭をかく。
「なんだいアンタ、春姫に手を出さないと思ったら……」
「んなわけねーだろ」
「そうかい、なら今夜どうだい私と?」
と、色っぽい視線を向けてベルの顎に手を這わせるアイシャ。
「離れてください! ベル、私達は遊んでいるわけではありませんよ?」
「そーだよー! ベルはあたしんだー!」
「それも違います!」
女に囲まれるベルを見て何やってんだ此奴はと呆れた視線を向ける。しかしこれを客観的に見るのが数こそ違えどレナに言い寄られるベートの図なのだろう。成る程愉快で滑稽だ。
「ねえねえベート・ローガ。結局あの白兎なんなの?」
「【アポロン・ファミリア】との
「アポロン? ああ、殺されたギルド職員の敵をうって皆殺しにした……」
どうやらキッカケがだいぶ脚色されてるらしい。
何時の間にか故人にされてたエイナ、彼女はきっと今日も元気にギルドで働いていることだろう。
「ねぇそれよりベート・ローガ、子供作ろう!」
「ざけんな」
「………何であの人あれだけ殴られて元気なんでしょう」
「恋する女は甘く見ちゃ行けないらしいぞ………」
と、ある女神の言葉を思い出すベル。成る程アレは確かに甘くない。
「それにアマゾネスってのは自分を負かした雄に落ちるんだろ? ああ、だからア
「そんな訳ないじゃん!」
心外だぁ! と叫ぶティオナ。アイシャもレナもうんうん頷いている。
「だいたいそれならアイシャが貴方狙う訳ないじゃん。戦ってもいないんだし」
「けど【アポロン・ファミリア】との戦いは見てたはずだろ?」
「あー………あ、でもほら! Lv.4のタンムズは全然モテないよ! 今も行方不明だけどだぁれも心配してないもん!」
「誰だよタンムズって………」
Lv.4なら恐らくイシュタルが死んだあの場に居たのだろう。あの時殺されたのはフリュネとイシュタルだけだったが何処に逃げたのだろうか?
「私はね、ベート・ローガにお腹殴られた時運命を感じたの『あ、この雄だ』って!」
「やはりマゾ……」
「だから違うって! 私はベート・ローガと結婚したいの! 子作りしたいの! 殴られたいわけじゃないの!」
「寝言は寝て言え。俺は弱い女が嫌いなんだよ」
「はい。だから強くなります」
「あ、ずるい! 私も私も!」
リーネが宣言すると張り合うように挙手するレナ。ベートは面倒くさそうにため息を吐く。本日何度目だったか………。
「だって強くなればベート・ローガと結婚できるんでしょ?」
「け、結婚できる訳じゃありません! 候補になれるだけです!」
満面の笑みを浮かべバンザーイと叫ぶレナに顔を赤くして噛みつくリーネ。
「…………モテるな」
「雑魚にモテても嬉しくねーよ」
「失いたくないものな」
「………………」
ベルの言葉にベートが蹴りつけてくる。
「安心しろ、お前が守りたいモノを守るのは手伝ってやる。仲間だからな」
「………じゃあ、てめーの身を守れ。そもそも敵が呪術道具持ってんだから今失っちゃならねーのはてめえ自身だろうが」
「
「ああ。やはり異常か?」
「その子
アミッドの真剣な言葉にリヴェリアも同意する。
アミッドですら多大な
「だが、あの子は首を縦に振らないだろうな………」
「………そうですか。その──」
「ベルだ。ベル・クラネル」
「ありがとうございます。ベル君が