ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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書きたいことがきちんと伝わっているか不安になるとき『君にできるなにか』を聞いて気持ちを切り替えてます。


ゼロの使い魔~真心~第9話

 才人とルイズの演奏が終わると生徒たちは静まり返っていた。才人は滑ったか…?と不安になるが特別席で見ていたアンリエッタの拍手で生徒達も拍手をする。

「素晴らしい演奏でした。初めて聞く異国の歌でしたが、不思議と力の湧いてくる良い曲ですね」

 泣いている生徒もいるのか嗚咽が聞こえる。感動してくれた事を嬉しく思う才人だが、一番の嗚咽は隣から聞こえた。

「ルイズ…」

「だって…だってぇ…グスッ…ウエッ…歌詞は練習じゃ無かったじゃない…!」

「いや…そうだけど…」

 

 

ドゴォォォォォン!

 

 

 そんな時突如として轟音が鳴り響く。ある者はその場にうずくまりある者は杖を抜く。アンリエッタの周りには護衛のメイジが一瞬で集まる。才人も驚くがルイズの前に庇うように立つ。

「大変だー!宝物庫に巨大なゴーレムが!」

 生徒の一人が駆けてくる。一番に動いたのはルイズだった。才人の制止を聞かずに走り出す。慌てて才人も後ろから追いつき現場に向かう。そこでは巨大なゴーレムが棍棒を振り回し宝物庫の壁を破壊していた。

「何じゃありゃ!?」

「ゴーレムよ!しかもサイズから見てトライアングルクラスのメイジよ!」

 解説するルイズめがけ振り下ろされる棍棒をデルフリンガーで受け流し、後ろまで跳んだ才人はゴーレムの上に人影を見つける。

「誰だっ!」

 影は待ってましたとばかりに答える。

「ギャハハハ!私か?私はフーケ!土くれのフーケ様だ!」

「土くれのフーケ!?」

 驚いたのはいつの間にか集まっていたタバサやキュルケなどの面々だ。才人は分からず不思議そうな顔をしているがキュルケが教えてくれる。

「最近噂の貴族専門の盗賊なのよダーリン!」

 キュルケは自分が言い終わる前に「ファイヤーボール」、タバサも続いて「アイスジャベリン」を放つが直撃したはずのゴーレムはびくともしない。フーケは高らかに宣言する。

「破壊の杖並びにその他宝物、すべて領収させていただきますよ…ギャハハハ!」

 フーケが杖を振るとゴーレムが崩れ、爆散する。

「うっおりゃぁぁ!」

 才人は学生の方へ飛んでくる岩を全てデルフリンガーで弾き飛ばす。

「相棒っ大丈夫か?」

「ああ、何とか」

 生徒達には被害は無かったが土くれのフーケは混乱の中で逃げられてしまった。

 

 

 その後品評会は中止となりアンリエッタは王宮に報告の為に戻っていった。学長室では今後を話し合うため教師達が集まっていた。皆口々に好き勝手な事を言う。「衛兵は何をしていた、警備はどうなっていたんだ」等と。そんな教師たちを制しオスマンはコルベールに向き直る。

「フーケと対した彼女らは?」

「三人はこちらに」

 キュルケ・タバサ・ルイズの三人である。才人も側にいるのに使い魔だからと数に入っていない。一番頑張ったのは自分だと才人は不機嫌になるが深く考えないようにする。

「私たちは到着が遅れフーケをしっかりとは見れていない。詳しく状況を教えてくれないかね?」

 ルイズ達はフーケが現れた時の事を詳しく説明していると、オスマンからフーケの行方の調査を命じられていたロングビルが戻ってくる。

「大変です!聞き込みで分かったのですが森の中にフーケの物と思われる隠れ家らしき小屋が!」

「何じゃと!?」

 

 

 ロングビルの話によると黒いローブを着た人物が小屋に入っていく様子を見た猟師がいたらしい。近場なのかというオスマンの問いにロングビルは馬で四時間ほどと答える。黒いローブこれにルイズが反応する。

「黒ずくめのローブ?間違いない!フーケです!」

「すぐに王宮に報告を!魔法衛士隊に頼んで討伐隊を差し向けてもらいましょう!」

 コルベールが叫ぶ。しかしオスマンが年寄りとは思えない怒号を上げる。

「バカ者!その間にまんまと逃げられてしまうわ!」

 それに…と続ける

「先の怪物騒ぎで王宮の戦力は大きな痛手を負っている、あてには出来ん…その上身にかかる火の粉を払えずして何が貴族!何がメイジ!当然我らが解決する!我をという者は杖を掲げよ!」

 誰も掲げない、俯く者ばかり。その中でルイズが杖を掲げる。それを見てシュヴルーズが驚く。

「ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ですよ!ここは教師に…」

「誰も掲げないじゃないですか」

 才人はそれを見てまた「貴族のプライド」かと思った。間近であの強さを体感したというのに、立ち向かおうというらしい。一度痛い目にあっているはずなのに。

「ふん!ヴァリエールには負けていられませんわ」

 キュルケも杖を掲げる。

「心配」

 タバサまでも杖を掲げる。それを見てオスマンはむぅ…と唸る。

(ミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つ騎士、ミス・チェルプストーは軍人家系の名門貴族…しかしミス・ヴァリエールは…いや、あのガンダールヴが!)

 オスマンが才人に熱視線を送るとそれに気付いた才人はやれやれ…とため息をつく。

「必ずやご主人様をお守りします(はぁ…やれやれ)」

「敵は夜の闇に潜む下賤な盗賊!闇を持って闇を制す!作戦は夜間強襲とする!魔法学院は諸君らの努力と貴族の義務に期待する!」

 こうしてフーケ討伐作戦が決行された。

 

 

 この結果に満足しほくそ笑むロングビルを見た者は誰一人としていなかった。

 

 

 数時間後、ロングビルの案内で到着した森、日が沈んだ暗がりの中。双月に照らされる小屋に才人は忍び寄っていた。

「いくらすばしっこいからって、一人で偵察かぁ…」

 小屋をのぞくと中には学院から盗まれた物が乱雑に転がっている。そこで不信に思う。せっかく盗んだ物の扱いが雑じゃないか?その時才人の足元が突如『錬金』で粘着性の強い泥沼に変わる。

「なっし、沈む!?」

 あっという間に才人は飲み込まれてしまう。慌ててルイズとキュルケが駆け寄る。

「ダーリン!」

「サイト!」

 二人は泥に手を突っ込むが何もつかめない。タバサも手を入れようとしたところでロングビルが何もせずに見ている事に不信感を覚える。

「手伝って…」

「残念、出来ない相談ね」

 双月に照らされるロングビルの目つきが笑顔から猛禽類の獰猛な目に変わる。

「眠ってろ」

 まばたきの速さで生み出されたゴーレムがルイズ達目掛け棍棒を振り下ろした。

 

 

 

 才人は必死になって泥沼から顔を出す。目の前に赤毛が見える。キュルケがボロボロになって横たわっていた。

「キュルケ!しっかりしろ!」

 息も絶え絶えのキュルケは必死に言葉を紡ぐ。

「ロン…グビル…が…フー…」

 そこで意識を失った。

「おい!おい!…くそっ!」

 脱出しようともがいていると巨大なゴーレムが歩み寄ってくる。その手にはボロボロになったタバサとルイズが握られている。そしてゴーレムの肩から飛び降り才人の前にドカっとロングビルが座り込む。

「よおぉ!ウルトラマン!調子はどうだい?」

 普段のロングビルとも、才人が知る素のロングビルとも違う異質な存在、それが、才人の正体を知った状態で目の前にいる。驚きを隠せない。

「だっ誰だお前はっ!」

「フーケ」

「えっ」

「私が土くれのフーケさ」

「そんな!嘘だっあの人がそんな…」

 うろたえる才人をよそにロングビルの様な物は話し続ける。

「本当さ、この体は土くれのフーケって名前で盗賊してたのさ、甲斐がいしいねぇ~孤児やら知り合いの娘やらをやしなうために体はってさぁ~」

 才人は衝撃の事実に打ちのめされていたが聞き逃さなかった。この体はと言った。

「お前、ロングビルさんに取り付いてるのか!?」

「ああ、そうさ、お前を捕えるためにな」

「何の為に!?」

 ロングビルの様な物は才人の問いを無視して言い放つ。

「さぁ!お前のカラータイマーをよこせ!この人質と交換だっ!」

「なっ?カラータイマー?!」

 カラータイマーを欲しがる。かつて一度地球にウルトラマンの力を狙ってきた宇宙人がいた。その名は…

 

 

「宇宙野人、ドロボン!」

 

 

「ご名答~!」

 ロングビルいや、ドロボンは浮かび上がるとゴーレムに吸い込まれる。それと同時にゴーレムは膨れ上がりゴツゴツとした巨人「ドロボン」になる。

 宇宙野人ドロボン、かつてタロウを狙って地球に来た宇宙人ウルトラマン二世のカラータイマーを奪いタロウを苦しめた強敵だ。

「行くぞデルフ!」

「おうよ!相棒!」

 

 

「コスモーーース!」

 

 

 双月に照らされ二人の巨人が相対する。

「さあ寄こせ!カラータイマーを!それがあれば俺は完全に蘇る事が出来る!」

 蘇る?こいつは死んでるのか?コスモスに考える暇も与えないようにドロボンは棍棒を振り回し何度も叩きつける。コスモスは飛んで避けようとするが棍棒から飛んでくる光線で撃ち落される。

「デェァ!?」

 苦痛に悶絶するがドロボンは情けなど掛けない。次々と蹴りを浴びせかけ段々とコスモスを追い詰めていく。しかし、コスモスは反撃出来ない。中にはロングビル、手にはルイズとタバサが握られている。

「はっはっはっ!これで俺様完全復活だぁ~!」

 ドロボンの手はコスモスのカラータイマーを力ずくでもぎ取ってしまう。

「デァァァーーー!」

 

 

 ドロボンはカラータイマーを自分の胸に取り付ける。ドロボンの手から落ちたルイズが見たのはドロボンの胸に輝く美しい水晶だった。

 

 

「ギャハハハ~!」

 




次回に続きます。
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