ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。ドロボンが表現難しいので不安です。ロングビルに重きを置きすぎかな?


ゼロの使い魔~真心~第10話

 何も無い真っ白な空間の中、コスモスは眼を覚ました。

「ここは…?」

 見渡しても何も無い。しかし遠くに真っ黒な瘴気が渦巻いてるのが見える。コスモスはそこまで行ってみる事にした。瘴気はある一点で渦巻き、生み出され続けている。その中心にあったのは…

「ろっロングビルさん!?」

 

 

「う…嘘…」

 ルイズやキュルケは唖然とするしかなかった。目の前には横たわったコスモス、勝ち誇るドロボン。

「そんな…負けちゃったの…?」

 ルイズは絶望感に包まれる。こんな奴にどう勝つというのだ…と。そんな中ドロボンが呟く。

「あん?体が土から肉体にならねぇ?復活できてねぇじゃんか!…はは~ん、あの女なが生きてるせいかぁ?まぁいい、じきに女は死ぬだろ。さっさとこの星からおさらばだ!」

 ドロボンは飛び上がろうとする。が、すんでのところでコスモスが立ち上がり掴みかかる。

「なってめぇ何でカラータイマー無しで動けるんだ!」

 その様子を見てルイズ達は声援を送る。

「さっすが!頑張れー!」

 しかしコスモスの体を動かしているデルリンガーは限界が近かった。

(相棒、まさかタイマーに入って行っちまうとは…俺っちも長くはもたねぇ、早く戻ってきてくれ!)

 

 

 コスモスはロングビルに近づこうとするが瘴気に弾き飛ばされてしまう。数回繰り返すが結果は変わらない。

「何て強い瘴気だ…こうなったら!」

 コスモスは胸の前でエネルギーを集め円を描くように右腕に集中させる。それをロングビルに向けて解き放つ。

「フルムーンレクト!」

 瘴気を完全に振り払いロングビルに届く。ロングビルは暖かい光に触れコスモスに気が付いた。

「あんたは…コスモス…」

「ロングビルさん!ここはどこかわかるかい?」

「ここは恐らくあたしの心の中…あたしはこのドロボンとかいう奴に乗っ取られてた。意識は薄れていたが、そん時あんたのその胸の水晶を奪っちまった。…だからあんたもここにいるんだろう…」

 コスモスはロングビルの辛く苦しそうな表情の原因がそれだけではないと思い自身の考えられる理由を問う。

「貴方が土くれのフーケ、というのは本当なんですか?」

 それを問われロングビルの顔はより一層悲壮感が強くなる。

「知ってるんだね…流石だよウルトラマン、そう私は土くれのフーケ、盗賊さ…そのせいでこいつの魂を引き寄せちまったんだろうねぇ…」

「魂…このドロボンはやはり…」

 才人は気が付く。このドロボンはかつて地球に来た「あの」ドロボンなのだ。死んで怨霊になってでも存在していて何かのきっかけでこの世界に来たのだろう。どうやってこの世界に来たのかは分からないが。

「あたしゃ生きてていい人間じゃ無いよ…このまま死ぬさ…」

 そう言うロングビルの体から瘴気があふれ出す。

「この瘴気はロングビルさんの!?」

 コスモスはロングビルの肩を掴み必死に呼びかける。

「自分を悲観しちゃだめだ!本当の君は優しい人間じゃないか!」

 ロングビルは激昂する。

「あんたに何がわかる!何にも知らないアンタなんかに!」

 ロングビルに触れている手から映像が流れ込んでくる。レイロンスの時にも使えた力だろう、記憶を見る力。そこには一人の女性とその人を取り囲む子どもたち、豊かな草原が写る。その全員がこちらに笑顔を向けている。

(これが彼女の守りたい物…)

「あたしには養わなきゃならない子達がいるんだ…なのに、なのに!」

 ロングビルの目には涙が溜まっている。

「あたしは一時の感情で…その子たちを!大切な物を!捨てようとしたのよ!自分の幸せが欲しくなって、全部投げ出した無責任な卑怯者なのよ!」

 この感情をドロボンに利用されたのかとコスモスは怒りに震える。そして、今の彼女を救えるのはウルトラマンの能力では無いと身に染みる。コスモスは自分のありったけの思いを伝える。

「何を言ってるんだ!あなたは何度も僕の命を救ってくれた!自分の命を顧みず俺をかばってくれたじゃないか!」

 コスモスの言葉を聞いてロングビルはあっけにとられる。自分がウルトラマンを助けた?かばった?…なおもコスモスは続ける。

「君は自分の好きな花の名前を俺にくれたじゃないか!」

 その言葉で気が付く。目の前にいるのは…

「才人…才人なのかい…?」

 コスモスは自身の体の前で腕をクロスするように回し、本来の才人の姿に戻る。

「さっ…才人が…ウルトラマン…?」

「ロングビルさん…」

 才人はロングビルを抱きしめる。

「ロングビルさん…俺はあなたがたとえどんな人でもいい、フーケだろうが卑怯者だろうが関係ない…あなたが本当は優しい人という事はよく知っている!」

 だから!と思いをぶつける。

「助けたい!君の大切な物も!君自身も!助けたい!」

 ロングビルは感情と涙が溢れてくる。

「こ…んな…あたしを…」

「ああ、助けたい」

 ロングビルは才人の胸に顔をうずめる。才人はロングビルに語りかける。

「逃げたっていいんです。くじけたっていい…生きてればやり直せるんですから」

 

 ロングビルの体から瘴気がはれ、光が溢れる。

 

「ああ!ウルトラマンが!」

 ルイズ達の目の前でコスモスの姿が霧散する。デルフリンガーの限界が来たのだ。

「ようやくくたばったか、しつけぇ奴だ」

 ドロボンは再度飛び上がろうとする。しかしそこでカラータイマーにヒビが入る。

「ぐあぁ!?なんだぁっ!?」

 ヒビはカラータイマー全体に及び、内側から粉砕される。そして中からロングビルを抱えた才人が飛び出してくる。

「ダーリン!なんであんなところから!?」

「皆がやられた後、俺も取り込まれちまってさ。でももう大丈夫さ」

 ドロボンは憎しみのこもった目で見てくるが、ロングビルを失い体を維持できなくなっているのだろう。どんどん崩れていく。棍棒を振り下ろそうとしてくるがそれより前にシルフィードに掬われる。

「タバサッいつの間に!?」

 キュルケが驚いているがタバサは淡々と言う。

「逃げるが勝ち」

 ちょっと待って!とルイズが止める。

「あんなのをほっとく気?!このままじゃあいつもっと暴れるわよ!どんな被害が出るか…」

 キュルケが真剣な目で見る。

「あなたに何ができるの?」

「くっ…だったら…私一人で!」

 何とルイズは飛び降りてしまった。才人はロングビルをキュルケに預け飛び降りて後を追う。空中でルイズを抱きしめると小屋の屋根に落ちるが、天井を貫き床に背中から着地する。

「いってぇ!おいルイズ!無茶すんな!貴族のプライド何てもんで命捨てたら…」

「そんなんじゃない!」

 ルイズの激昂に才人は黙る。

「私フーケについて武器屋で聞いた日から少し調べたの」

「えっ?」

 ルイズは静かに語り出す。

「フーケは大胆不敵な盗賊、でも人殺しはしない…らしいの、でもね昼間のフーケのゴーレムの爆発はあんたが助けてくれないと…」

「皆死んでた」

「そう、だから変だって思って…このままじゃ他の犠牲を出すかもって思って…だから…」

 よく見るとルイズは震えてる。恐怖からだろうか?

(怖いんだろうな…それを分かったうえで…)

 才人は貴族のプライドで来たのかと思っていたが、ルイズなりに考えての事だったのだ。

(こういうの勇気っていうんだろうなぁ…こんなん見せられたら頑張るしかねぇじゃん)

 才人が考えているとルイズは木箱を取り出してくる。

「これよねっ破壊の杖って!」

 中には杖とはかけ離れた物が分割されて入っている。それに才人は驚愕する。

「こっこれは…!?」

 その時天井が吹き飛び崩れかけのドロボンが現れる。才人は破壊の杖を素早く組み立てるとドロボンに向ける。

「これがありゃこっちのもんさ!」

 才人は破壊の杖の引き金を引く。先端から放たれたそれはドロボンの体を跡形もなく吹き飛ばしてしまった。

「すごい…これが破壊の杖…」

「いや、こいつはマルス133、俺の世界の兵器だ…!?」

 突如ドロボンの残骸から黒い煙が出る。

「まだだぁ!誰かに負の感情を持つものに取り付いてぇ!」

 煙は恐らくドロボンの怨霊だろう。上空にいたシルフィード向けて飛んでいく。

「逃げて」

 キューイと小さく鳴くとシルフィードは急旋回して逃げる。

「なんでこっちくんのよ!」

 キュルケは驚いているがタバサは冷静に考えていた。もしや自分か?…と。

 

 

「相棒っ!こっちだ!」

 下で見ているしかなかった才人をデルフリンガーが呼ぶ。

「デルフ!どうにか出来ないか?あれ!」

「ああできるさ!俺っちを掲げろ!」

 才人は迷わずデルフリンガーを掲げる。するとデルフリンガーが煙を吸い込み始めた。

「俺っちは魔力を吸い取る事が出来るのさ!奴はあの女の魔力でギリギリ存在を保ってる!吸い取っちまえばあいつはおだぶつよ!」

 言ってる間に全ての魔力を吸い取ってしまったのかドロボンは断末魔をあげ消滅してしまった。

「ギャぁァァぁあぁああ!」

 

 

 ドロボンを倒してから才人達は馬車で学院に戻っていた。タバサ、キュルケそしてルイズは疲れてしまったのか眠っている。キュルケとルイズは馬車に乗るまでルイズが飛び出した事で喧嘩していたが。才人は行きで手綱を持ってくれたロングビルの代わりに手綱を握っていた。隣にはロングビルが眠っている。

「いろいろと大変だったなぁ…」

「相棒…今に始まったこっちゃねぇだろ…」

「ああ…しかしなんでマルス133がこの世界に…」

 話しているとロングビルが目を覚ます。まだ体が動かせないのか身じろぎしている。

「あたしは…」

「目さめた?ロングビルさん」

 そこで才人はどうしようと考える。ロングビルがフーケであった事に変わりない。この事実をどうすればいいのか?と。そこでロングビルが呟く。

「マチルダ」

「え」

「マチルダ・オブ・サウスゴータ、あたしの名前…ほんとの名前さ…あんたには覚えていて欲しい…」

 才人は気が付いた。ロングb…マチルダはこの先学院で兵士に受け渡されると思っているようだ。貴族相手の盗賊、極刑は免れないだろう。

「させませんよ…絶対に…守ってみせる!」

 

 

 才人は不思議そうにするマチルダに力強く言い放った。

 




次回に続きます。
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