ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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オリジナルの設定多々あります。無茶苦茶にはならないようにしますのでご容赦を。拙い文章ですがよろしくお願いします。お話は前回の終わりの少し前の時間からです。
今回の話は少々長いです。


ゼロの使い魔~真心~第1話

「あそこだ!」

 ゾフィーが指さした場所にはユリアンからの報告通りエースが居た。ウルトラ兄弟達は連続ワープを繰り返し即座に駆け付けたのである。しかし、様子がおかしい。エースからのSOSを受けて駆け付けたのだが、エースは誰と戦っているわけではない。その時ゾフィー達に気が付いたのかエースが叫ぶ。

「ゾフィー兄さん!それに皆も!お願いだ手を貸してくれ!」

 よく見るとエースは虚空に対して手を伸ばしウルトラ念力を使用しているようだ。状況が飲み込めないメビウスはエースに問いかける。

「どっ、どういうことですか?その空間になにが!?」

 メビウスには何も視認することができない。しかし、ゾフィーは気が付いたのか驚きの声を上げる。

「見ろ!皆!僅かだが空間に亀裂が!」

 よく見るとほんの小さな亀裂が出来ている。その中には人間サイズの黄緑色の光の玉が浮いている。

「そうだ!ゾフィー兄さん!あれは次元震でできた空間の亀裂だ!そしてあの光の中に人間が!このままでは飲み込まれてしまう!」

「何っ!?」

 ここまで来ると皆理解しエース同様光の玉を引きずり出そうとウルトラ念力をかけ始める。ウルトラ兄弟全員の援助で負担の減ったエースはこれまでの経緯を語り始めた。

「俺が遭難船を母星へ届けた後………」

 

 

 

 エースは光の国へ一直線に戻っているところだった。

「いやぁ遅くなってしまった。急がないと…」

 そんな時エースの周りの空間が揺れ始めた。本来宇宙空間が揺れを起こすことなどありえない。

「うわぁ!こ、これは次元震!」

 エースは態勢を整えようとするが感覚が狂いなすが儘に振り回される。

「ぐうぅぅっ…デエェェーイ!」

 渾身の力で脱出するとエースが直前までいた場所に小さな亀裂が入った。それはかつての仇敵、「ヤプール」の出現を思い起させた。まさか…エースが身構えると亀裂はほんの小さな物で止まった。

「よかった、一瞬の空間の歪みか」

エースが胸をなでおろした時、その中を光の玉が通っているのが見えた。なんだろう?そう思いエースが遠巻きに覗き込むと光の玉が空間の一点を超えたところで押しつぶされてしまった。その後も二つほど玉がその一点で押しつぶされる。そこでエースは見てしまった。押しつぶされた光の玉の中に人間の姿を。

「バっばかな!」

 そうしている間に新たな光の玉がやって来る。エースは全速力で亀裂に手を入れようとするが…

 

バチィ!!!

 

「うわぁ!」

 いともたやすく弾かれてしまう。数回繰り返すがやはり弾かれ入る事ができない。仕方なくエースは押しつぶされる一点に光の玉が到達しないように苦肉の策に出る。

「ウルトラ念力!」

 しかし、光の玉が引き釣り込まれる力が強くスピードが全く衰えない。

「このままでは…頼む届いてくれ!」

 エースは必死でウルトラサインを打ち上げた。

 

 

「これがここまでの経緯だ」

 エースの話の最中もウルトラ念力を使い続けているが光の玉を止めることができない。むしろ引きずり込む力がどんどん強くなっている。

「エース、おそらく押しつぶされる一点、それが次元の境界線だろう。光の玉が押しつぶされるのは次元の移動に耐えられない為だろう」

「そんな!ゾフィー兄さん!このままではあの人間は!」

 そんな中でもどんどん光の玉は引きずり込まれる。次第にウルトラ兄弟もエネルギーが無くなりカラータイマーが赤になる。

「何とか…しないと!…」

 メビウスが力なく呟くがどうにもならない。その時、ジャックがあることに気付く。

「皆、ウルトラマンヒカリからのウルトラサインだ!」

『光の国から観測したところ、その座標で起きた次元震はこれまで観測された次元震と同じであることが分かった』

 エースは何のことか解らず困惑するが他のウルトラ兄弟はやはりという表情をする。ジャックがウルトラサインで現状を伝えると、間髪入れずに返信のウルトラサインが届く。

『ウルトラの父がそちらに向かった』

 この事にはウルトラ兄弟は驚かざるを得ない。

「父さんが!?」

 タロウも驚くがその間にすでにウルトラの父が現場に到着していた。

「「「ウルトラの父!」」」

「すまない皆、待たせた、現状は聞いている」

 その手にはなんとウルトラキーが握られていた。ゾフィーがそれを見て驚愕する。

「ウルトラの父!何をする気ですか!?」

 ウルトラの父はとても苦しそうな表情で伝えた。

「こちらの世界から行く手段が我々には無い。異次元戦闘のエキスパートであるエースも通る事が出来ない。ならば…」

 ウルトラの父はウルトラキーを亀裂の中の光の玉に向ける。

「あちらの世界に向かう者をウルトラ戦士にするしかない……!」

「「「なんですって!?」」」

 ウルトラの父が何を言っているのか流石のゾフィーでさえ理解が追い付かない。

「今ウルトラキーにはプラズマスパークエネルギーが装填されている。次元移動に人間の体は耐えられない。しかし、ウルトラ戦士なら耐えうる事ができるはずだ…」

 ウルトラ兄弟が声も出せない中、タロウは慌てて止めようとする。

「待ってください!父さん!そんな事をしてはあの人間に何が起きるかわかりません!」

 タロウは必死にウルトラの父を説得する。しかし、その銃口を下ろそうとはしない。

「許せ…タロウ、このままではあの世界の侵略を防ぐことは出来ない。なすが儘、奴らの思うままだ。あの世界を守る戦士が必要なのだ…タロウ…私を、父を恨んでくれっ!」

 ウルトラの父が引き金に指をかけた時、ウルトラマン、ジャック、エースが声を上げた。

「ウルトラの父よこのままではどの道あの人間は助かりません」

「やるしかないでしょう…その方が助かる可能性があります」

「ウルトラの父っ!私は間違った選択とは思いません!この状況では最善です!」

 それに同調するように皆から賛成の声が上がる。しかし、セブンが異を唱えた。

「しかし、それはあの人間に生きたまま死以上の苦しみを与える結果になるかもしれません!」

 しかしそれに答えたのはなんとメビウスだった。

「セブン兄さん!確かにこれは苦しみを課すだけかもしれませんっ!しかし生きていれば希望はあります!どんな苦難にだって立ち向かえますっ!生きていればこそですっ…見捨てられません…あの人間を、助けましょう!」

 メビウスの必死な説得にセブンはとうとう折れた。しかし、…とセブンが言う。

「いくらウルトラキーといえどあの小さい次元の隙間に全てのエネルギーを通すのは難しいのでは?」

 この時80がウルトラ念力の出力を一気に上げる。

「タロウ兄さん、あの技しかありません!、あの技なら次元の隙間を広げられるはず、皆さんの分は私が変わります!」

「あの技かっ、しかし君たちの負担が…」

「タロウ教官…僕たちは大丈夫です…お願いします…」

 メビウスはエネルギーも尽きかけ意識を保つのもやっとである。タロウは覚悟を決めるとゾフィー・マン・セブン・ジャック・エースと手をつなぎ、ウルトラホーンにエネルギーの全てを集める。

「「「ウルトラ6重合体!」」」

 今、タロウ達はスーパーウルトラマンに合体したっ!全身のエネルギーを集結し次元の隙間に叩き込むっ!

 

 

「コスモミラクル光線!」

 

 

 宇宙最強の光線が次元の隙間に直撃、次元を歪め大きくする。

「今だっ!」

 ウルトラの父がウルトラキーの引き金を引きプラズマスパークのエネルギーを光の玉に照射する。そこで80達の限界が来た。ウルトラ念力が止まり光の玉は飲み込まれていく。押しつぶされる一点を超え…そのまま次元の奥に消えていった。見守っていたゾフィーは胸をなでおろす。

「成功した…か…」

 

 

 誰にも喜びは無かった。疲労困憊、憔悴しきったウルトラ兄弟達は声を出すことも出来なかった。良い結果になる事を皆願うしかなかった。

 




読んで下さり心からお礼申し上げます。次回に続きます。

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