ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。「そいつ」の正体、分かります。


ゼロの使い魔~真心~第20話

「馬鹿野郎!」

 暗いマグマ星人の宇宙船の一室、そこでマグマ星人は「そいつ」に怒鳴りつけていた。

「おいおい、主催者様?何だってんだ!?」

 そいつは全く分かっていないようだ。

「何故縮小光線銃を奪ってこなかった!これじゃ役に立たないだろうが!」

 マグマ星人は絶縁ボールに閉じ込めたエレキングを指さす。

「そこはあんたが解析して、自分でやれば…」

「そんな簡単に出来たら苦労しねぇんだよ!」(せっかくコンピュータに見つけさせたってのに!)

 マグマ星人は完全に落ち着きを失っていた。普段の冷静さも失っている。

「おい!特別点4000だ!ピット星人から奪ってこい!ウルトラマンは始末したんだろう!?」

 そいつは少し考えこんで、ため息をつく。

「特別点のためだ…しょうがねぇなぁ…まぁ、ウルトラマンは始末したし、楽勝か…」

 

 

 ミシェルは痛みと共に目を覚ます。そこは見慣れた銃士隊の救護室だ。何故ここにいるのだろう?…今までのは全て夢だったのだろうか?そう考えた所で慣れ親しんだ声が聞こえる。

「っ!気が付いたか!ミシェル!」

「ア…ニエス…隊長…?」

 ベッドのそばに座っていたアニエスは立ち上がるとミシェルを抱きしめてきた。よく見ると目じりから涙が流れている。痛いくらいの抱擁だったが、ミシェルは何故か痛みよりも安心感の方が何十倍も強かった。

「ヒラガに感謝しろミシェル、ヒラガも大怪我をしていたのにお前を負ぶって連れて来てくれたんだ。全く、たいした奴だよ」

 ミシェルは才人の名を聞いて、周りを見る。するとそこには、怪我の手当てを受けたボロボロの才人が横たわって眠っていた。看病していたのだろう、傍らにはセニカが眠っていた。

「…何故セニカが?衛生兵でも無いのに…?」

 何か心に黒い靄がかかるミシェルに対し、アニエスが、さあ?心配だったんじゃないか?と、あっけらかんと言う。

「何だ?嫉妬か?盗られてしまうんじゃないか…なんて…」

 ミシェルは顔を真っ赤にする。アニエスはミシェルの反応を楽しんでいる様だ。

「そんなっ!自分とヒラガはそんな関係では…!」

「だったら」

 アニエスの顔が柔らかい笑みから銃士隊隊長の顔つきに変わる。

「話してくれるな?無断で隊を離れていた間、お前たちがいったい何をしていたのかを」

 そう言うとアニエスは懐から何かを取り出す。

「それはっ!私の杖!」

 ミシェルは慌てて体を触るが、どこにもない。やはりアニエスの手に握られているのは本物だ。

「お前は…騙していたのか?…私たちを…」

 少し俯くアニエスにミシェルはショックを受ける。気丈なアニエスが気落ちする、それだけの事を自分はしたのだ。ミシェルは正直に話すしかない、そうしなければいけない、と確信した。

「…お話します。『ミシェル』の全てを…」

「…聞きたいな、俺も」

 唐突な声に驚き二人が振り返ると、フラフラの才人が壁にもたれかかりながら立っていた。

「駄目です!毒も受けてるんですよ!安静にしなきゃ!」

 セニカが才人を強引に座らせた。

「毒っ?!毒って…!?」

 ミシェルが動揺するが、才人はいいから、と話すように促す。

「鋏に塗ってあったみたいなんだ…。けど、もう大丈夫。それより聞かせてよ、ミシェルさんの話…」

 確かに才人の体は人間のそれとはかけ離れている。大丈夫なのだろう。そう思いミシェルは息を整え、自身の過去『ピット星人』そして『ミシェル』の事を語り始めた。

 

 

「…そうか、そんな経緯が…ではお前はミシェルではあるが、あの怪物と同じような、うちゅじんという奴なのか」

「正確には違いますが…大体は…」

 ピット星人について説明を終えたミシェルは、続いて自身の過去について語り始めた。

「次は、『ミシェル』についてです。ミシェルはこのトリステインの貴族の出身でした。しかし、国家の不祥事の責任を押し付けられ、父と母は自殺。幼かったミシェルは貴族としての地位を失いました」

 ミシェルは一度咳払いすると、言いづらそうにしているがアニエスに話すよう目で促され話を続ける。

「その後は貴族のプライドを捨て、盗み、物乞い、何でもしてミシェルは生き伸びました。時には命や貞操を守るために…その杖で人の命を奪うことも…」

 才人はそんな事が!と驚いているが、アニエス達はここまでは没落貴族ではよくある話だと思いながら聞いていた。しかし、次の一言がアニエスを驚愕させた。

「そして、成長したミシェルは高等法院長リッシュモンの部下になり、銃士隊にスパイとして潜入しようとしていたのです」

「リッシュモン!?」

 アニエスはミシェルに掴みかかり、責め立てる。

「どういうことだ!奴と繋がっているのか!教えろ!知っている事全て!」

 慌てて才人とセニカが割って入る。

「落ち着いてください!アニエスさん!どうしたんですか!?」

「隊長らしくない!落ち着いてください!」

 アニエスは落ち着きを取り戻すと静かに座る。

「…すまなかった。続けてくれ…」

 ミシェルは座り直すと再び話しだす。

「実際にはその前にピット星人と融合したので、スパイ行為は何もしていません。ピット星人としての存在が大きいせいもあって、国家への復讐心など跡形もありませんがね」

 ミシェルはふっ、と自嘲する。

「そもそも何故スパイを?」

 才人が当たり前の質問をする。

「それは…宮廷内の情報を得るため…『レコン・キスタ』に情報を流すためだ」

「「レコン・キスタ!?」」

 才人以外の二人が大声を上げる。才人は驚いて腰掛けていたベッドから落ちてしまった。

「イテテ…何だよ!れこん・きすたって!」

 セニカが重く口を開く。

「アルビオンで起こった宮廷革命運動の中心組織です。まさかトリステインにまでその手が迫っているなんて…」

 アニエスが少し興奮気味にミシェルに詰め寄る。

「という事は、リッシュモンもレコン・キスタと繋がっているという事か?!」

 ミシェルは無言で頷く。アニエスは一人ブツブツと呟き始めたので、才人が話を戻す。

「何はともあれ、今のミシェルさんはスパイだったミシェルさんじゃないんだ、そっちは気にしないでいいだろ?今は目の前の問題だ」

 アニエスは確かに、とミシェルに向き直る。

「今はうちゅうじんのミシェルの方の問題の方が大きいな。これからは二重スパイとして動いてもらうことも視野に…」

「あ、やっぱ駄目だ」

 完全にリッシュモンの事で頭がいっぱいになっているアニエスを端にやると、ミシェル、セニカ、才人で話し合う。

「そのマグマ星人っていう奴が黒幕なんですね?しかも、リムって子を人質に取られていると?」

「ああ、何とかして取り返す事は出来ないか…」

「せっかく再会できたのにな…」

 三人で考え込んでいると…

 

きゃぁぁぁ!

 

「「「っ!」」」

 突然の悲鳴に全員が走り出した。

 

 

 銃士隊の詰め所の入り口近くで『そいつ』は暴れていた。

「ピット星人を出せぇ!ここにいるのは分かってるんだぁ!」

 剣で切り付けてくる銃士を次々と吹き飛ばしていく。誰一人として近づく事が出来ないでいる。アニエスとミシェルは駆け付けると剣を構える。

「貴様!リムはどこだ!」

 そいつはミシェルが出てくると下卑た笑みを浮かべる。

「出たなぁ…お前の縮小光線銃をよこせ!それで俺は得点トップになれるんだ!」

「ちっ…答える気は無いという事か…」

 するとアニエスが剣を構えたまま、ミシェルに耳打ちする。

「落ち着けミシェル…奴がその、何とか…を欲しがるという事は、お前の話が真実という前提なら、リムは無事という事じゃないのか?」

(そうか…奴らはリムを侵略に利用するために…)

 先ほどまで話も聞かなかったアニエスは何処へやら。そこには銃士隊隊長のアニエスがいた。

「よこせぇ!」

 そいつが叫ぶと突然大きな衝撃が二人を襲う。気配を読んで剣で弾くが、目視では何も見えなかった。

「おい!ミシェル!こいつはどんなうちゅうじんなんだ!?」

「すいません!私もそこまで詳しくは!」

 二人で見えない一撃を警戒しながら攻撃のチャンスを伺うが、そいつは全く隙が無い。その時…

「でやぁぁ!」

 セニカが物陰から強襲する。しかし、また見えない何かに弾かれてしまった。

「うわぁ!…あれ?」

 セニカは壁に叩きつけられる、と思っていたが、何の衝撃もない。才人が抱き留めていたのだ。

「てってめぇ!生きてたのか!?」

 才人はセニカを降ろすと、デルフリンガーを引き抜き構える。

「へっ!ならもう一回串刺しだぁ!」

 そいつが放った見えない一撃を、才人は跳躍でかわすと同時に、そいつに肉迫する。

「おりゃぁぁ!」

 デルリンガーで一刀両断しようとするが、両腕で受け止められ逆にデルフリンガーを叩き落とされる。

「くっ!」

 二人は手四つで組み合う。しかし、そいつは余裕だ。ほくそ笑むが、それに対して才人もほくそ笑む。

「何!?」

 次の瞬間才人はそいつの腕を支柱に、逆立ちのように空中に舞う。そして足で見えない何かを弾き飛ばしてしまう。

「ぐわぁ!?バカな!」

 何が起きたかわからない周りの面々をよそに才人は高らかに言い放つ。

 

 

「正体は分かってるぜ!さそり怪獣アンタレス!」

 

 

「なっ!?」

 そいつ…アンタレスは自分の正体を見抜かれ狼狽する。

「何故だ!何故!」

「簡単さ、お前の同種が昔、地球に来た時の記録を見た事があってね。その手口を覚えていただけだよ」

 才人はデルフリンガーを拾い上げ構え直す。

「やるなっ!相棒!このままぶっ飛ばしちゃえよ!」

 しかし、才人は首を振る。

「いや…アンタレス!見逃してやる!さっさと星に帰れ!」

 アニエス達は突然何を言うのかと驚いているが、才人はなおも帰るように促す。

「このまま巨大化して戦っても勝ち目はないぞ!どうする!」

(このウルトラマン…甘いな…しかし、不利なのも事実…)

 アンタレスは不利を悟り、その場から逃げ出した。その時、ミシェルの脳にテレパシーが届く。

(後をつけようミシェルさん!)

 そういう事か、と納得する。ミシェルはセニカ、アニエスにアイコンタクトで伝える。

 

 

 四人は気づかれず、見失わないようにアンタレスの後をつけ始めた。

 

 

 




続きます。今回会話が多かったかな?と思います。バランスよくって、難しいです。
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