ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。今回も会話多いです。


ゼロの使い魔~真心~第21話

「はぁ!はぁ!…くそっ…」

 アンタレスはトリステインの町から数キロ離れた森の中、ある一点目掛け走っていた。それを追う影が四人。

「奴は何処までふぐ!…」

 才人はついこぼすが、すぐさま他の三人に口を塞がれる。静かにするよう三つの目が訴えてくる。

 そうしている内にアンタレスが突如虚空に消える。何事だ!と飛び出そうとするセニカ、アニエスを今度は才人が引き留める。ミシェルがアニエス達に説明する。

「これでいいんです、奴らの本拠地は見つけました。奴らは「そこ」にいるんです」

 才人はデルフリンガーの力を借り、超能力を使って虚空を見つめる。「そこ」には確かに巨大な鉄の宇宙船があった。

「光学迷彩か…まさかこの星で見つかるとは思ってないだろうなぁ…」

 アニエス達が説明を聞いて、光学迷彩の仕組みをぼんやり理解すると、リム救出及びマグマ星人撃滅突入作戦が開始された。

 

 

 しかし、その様子を影から見ている影が一人…

 

 

 

「なにおめおめと逃げ帰って来てるんだお前は!」

 暗い空間にマグマ星人の怒号が響き、アンタレス目掛けサーベルから光線が飛ぶ。吹き飛ばされたアンタレスはマグマ星人に怒鳴りつける。

「無理だってんだよ!技を見破られてるんだ!俺には勝てねんだよ!」

 マグマ星人は、イラつき床を踏み鳴らすアンタレスの事は視界に入っていなかった。自身の手ごまが全て敗れた事で、冷静な心を完全に失う。

(畜生!畜生!畜生!打つ手は『最終兵器』しかねぇ!でも…もし、ダメだったら…あぁ…あぁ…)

 その時、船内に警報が鳴り響く。

「なっ!?なんだ!?」

「けっ警報!侵入者か!?」

 マグマ星人はモニターで侵入者を確認しようとする。が、モニターに近づいた途端、モニターが内側から爆発する。

「ギャァァ!?」

 その爆炎はマグマ星人の顔面を焼き焦がす。その炎が収まると才人達が顔を出した。

「げほっげほっ!…まさか爆発するとは…」

「すまん、『錬金』する場所選びを失敗してしまった」

 ミシェルが『錬金』した時、どうやら重要な機械を壊してしまったらしい。才人達はミシェルの『錬金』を使って穴を開けて侵入したのだ。煙が治まると、アニエスがアンタレスとマグマ星人を見つける。

「ッ!いたぞ!ミシェル!セニカ!ヒラガ!」

 マグマ星人はリムを連れ逃げようとするが、四人に剣を突きつけられ、身動き取れなくなる。才人達がアンタレスとマグマ星人を取り囲むと、ミシェルが怒りのこもった声で言い放つ。

「ここまでだ!リムを返せ!マグマ星人!」

 アンタレスは打開策を探すが一つしか見つけられない。

「巨大化するしか…」

「バカ野郎!そこをウルトラマンに狙われたら即死だぞ!」

 マグマ星人は何か…何か…と考え、何か弱みが無いかを考えた時、ミシェルの正体について思い出す。

「おい!ピット星人てめぇの大事なエレキングだろ!?ほらよ!」

 マグマ星人がリムを入れている絶縁ボールをミシェルに投げつける。ミシェルがキャッチすると、突如マグマ星人のサーベルから光線が出てミシェルを吹き飛ばす。

「うわぁ!」

 すると、突如ミシェルの姿にノイズが入り始め、少しずつミシェルの顔がドロドロと崩れていく。

「なっ!?何故!?…!みっ見るな!見るな!ヒラガ!見ないでくれぇぇ!」

 ミシェルは剣を放り出しその場にうずくまってしまう。突然の事にアニエス達は動くことが出来ない。陣形が崩れてしまう。マグマ星人は自身で作りだしたこの好機を完全に生かす。

「へへっ!今だ!行くぞ!アンタレス!」

 二体は宇宙船内で巨大化、圧倒的な質量で押し潰す。宇宙船の爆発と共に崩れてきた瓦礫にアニエス達は押し潰されてしまった。

「「うわぁぁぁ!」」

 巨大化したマグマ星人は安堵のため息、アンタレスは安堵の尻もちをつく。

「ふぅ~、危うくあの世行きだったぜ!なぁ主催者さんよ、これからどうするんだ?」

(邪魔なこの世界の軍人たちは既に始末してある…大規模な軍事的反撃はありえねぇ、一番邪魔なウルトラマンもぶっ殺した!)

「よしっ!ラストゲームだアンタレス!勝てば賞金十倍だ!乗るか?」

 圧倒的有利な状況、魅力的な条件。これに乗らない者はいない。アンタレスはマグマ星人の手を取る。

「乗った!で、内容は?」

 分かり切っている事を、と思いながらもマグマ星人は高らかに言い放つ。

「決まっている!この星の侵略だ!」

 

 

 

 体が大きく揺さぶられる。名前を呼ぶ声が聞こえる。あまりの騒がしさに才人は目を覚ます。

「ん…?ここは?」

 目に映るのは日の光が差し込む木々。ここは何処だ?と起き上がった途端柔らかい衝撃が才人を包み込む。

「才人ぉ!」

「マチルダ!?何でここに!?」

 才人を包む柔らかい衝撃の正体はマチルダだった。抱きしめながらも、痛みの無いように優しく包み込んでくれている。

「ちょっと心配になって町まで行ったらあんたたちを見つけてね、付けさせてもらったんだよ。そしたら…」

 マチルダが助けてくれたのか。さすがは元盗賊、アニエス他誰も尾行には気付いていなかったが、それがかえって良かったのだ。

「他の皆は!?」

 マチルダはそこだよ、と指を指すが行かないように肩を抑え首を振る。

「今は…しかし、副長殿の本当の姿には驚いたよ…」

 そこではミシェルがうずくまっていた。マントで顔を隠したまま震えているようだ。才人はなおも声を掛けようとするが…

「来ないでくれ!」

 ミシェルの悲鳴とも怒号ともとれる声で拒まれる。セニカが才人の肩に手を置き待つように訴える。

「さっきからずっとこんな感じで…話にもならないんです」

 今度はアニエスがミシェルの腕を掴み、無理にでも立たせようとする。

「立て!ミシェル!どうしたのか理由を言え!」

 しかし、ミシェルはうずくまったまま、顔を上げようとしない。一言だけ呟く。

「戻せないんです…」

「…え?」

「ミシェルの姿に戻れないんです!」

 どうやらマグマ星人のビームの一撃で変身する能力に異常をきたしてしまい、元に戻れなくなってしまったらしい。

「でっでも、副長?それが副長の本来の姿なんですよね?正体は皆もう知っているんですから…」

「そうじゃないんだ!」

 セニカの問いが決めてになり、ミシェルは自身の感情を爆発させる。

「お前たちは美しくていいな…私の醜悪さとは大違いだ!」

「え?」

「私は!私は!ミシェルと融合した時、その魂も混ざり合った!そして気が付いたんだ!ミス・ロングビル、アニエス隊長、セニカ!あなたたちの容姿の美しさと!ピット星人としての己の醜さに!」

 ミシェルは矢継ぎ早に言葉を吐き出す。

「私は鏡を見た!そこに写る私は!化け物だ!銃士隊に入って!アンリエッタ姫様を見て!給仕の女性たちを、魔法学院の生徒達を見て!…あぁぁぁぁ!」

 才人は少し前から気が付いてはいた。が、ここまで苦しんでいる事には気が付いていなかった。人間とピット星人の融合により、ミシェルには二つの価値観が融合し混じり合っている。これによるズレがミシェルの中で大きな苦しみになっているのだろう。

「ピキィィ…」

 リムも心配そうにミシェルのマントを引っ張っている。才人は猛烈にミシェルを救いたい、助けたいという気持ちが込み上げてくる。

(ミシェルさん…あなたはこの星に来てからずっと苦しんできた…誰にも言えず、周りに人がいるだけで…苦しみに襲われるなんて…)

 才人はおもむろに、ミシェルの首元を掴み上げてその手をこじ開け、顔を直視する。

「なっ!?やめてくれ!見ないで!見ないでぇぇっ!」

 大きな複眼、牙の様な鋭い歯。才人にとっては初めて見るピット星人だった。複眼からは大粒の涙が流れだし、救いを求める声がする。

「やめ…てぇ…もういゃ…ふむ!?」

 その瞬間マチルダは目の前で起きたことを理解できなかった。いや、受け入れたくなかった。才人が自分から、進んでミシェルの唇を奪ったのだ。アニエスとセニカは開いた口が塞がらない様子だ。

「ふぇ…んむぅ…っはぁ…」

 ミシェルはいきなりの事に流されるままだ。

「っはぁ!…ミシェルさん…いや、ミシェル!」

「ふぁぃ!」

「君は何でミシェルなんだ?!」

 意味不明の質問に全員が疑問符を浮かべる。

「体がミシェルだからか!?見た目がミシェルだからか!?脳みそがミシェルだからか!?違うだろ!」

 ミシェルは才人の言葉に引き込まれる。

「君の心がミシェルだからだろ!見た目がどうだろうが、どれだけ周りと違っていても関係ないんだ!君は一人の魅力的な女性『ミシェル』なんだ!」

 徐々にミシェルは落ち着きを取り戻していく。

「君がどんな姿をしていようが、俺にはキスしたいくらい魅力的だよ…?」

 才人が思いをぶつけ終わるとミシェルはふと呟く。

「ありがとう…目が覚めたよ、サイト」

「「副長!(ミシェル!)」」

 ミシェルは皆に向き直り改めて礼を言う。

「ありがとうございます。もう、大丈夫。戦えます!」

 そこにはピット星人の姿を隠さない、凛としたミシェル、戦士の姿があった。マチルダは呆けていたが、頬を叩くと気持ちを切り替える。

「まっまま、まぁ元に戻ったのならいいさ。さぁ、奴らを止めないと!」

 マチルダが指さした方を全員で見ると、マグマ星人とアンタレスがトリステインの町に向けて歩き出していた。しかし、セニカが当然の疑問をぶつける。

「でっでも!あんなに大きくなっちゃったのにどうやって!?」

 ミシェルが不敵に笑うと、懐から何かを取り出す。

「大丈夫…自慢の子がいるからね」

 

 

 

 マグマ星人が町に向けて歩いていると、突如甲高い鳴き声が聞こえる。

 

キィィィィ!

 

「なっ!?あれはエレキング!?奴ら生きてるのか!?」

 元のサイズに戻ったリムはアンタレス目掛け走り出す。アンタレスは慌てて中腰になり尻尾の鋏を構えるが、リムはお構いなしに突っ込みアンタレスを吹き飛ばしてしまう。

「ギャァァァ!」

 そのパワーにマグマ星人は腰を抜かす。

(ばっばかな!ある程度の戦力にはなるかと思ってさらってきたが、ここまで何て考えてなかった!)

 そうしている間にもリムの尻尾がアンタレスを打ち付け、痛めつけていく。マグマ星人の余裕が消え去る。

(あり得ねぇ…ここまで強いエレキング何て、知らねぇ、聞いてねぇぞ!まてよ…こいつが生きて巨大化してるって事は…ウルトラマンも生きて…!)

 

 

(そんな…うあぁ…あぁぁぁぁ!)

 

 

 




次回に続きます。お楽しみに。『最終兵器』登場…予定。
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