…はいミスです。すいません。直しました。
アンタレスは鞭の様なリムの尻尾から転がって逃れる。起き上がると、尻尾を頭上に構え火炎放射を放ちリムを火あぶりにしようとする。
「くらえぇ!」
リムは炎に怯み後ずさりする。その隙にマグマ星人はサーベルを中腰に構えると、リムののどを狙って突撃する。しかし、リムは三日月型の光線を放ち、マグマ星人を吹き飛ばす。二対一の状況で、リムは互角の戦いを繰り広げていた。
「いいぞ!リム!次は尻尾が来る!叩き落とせ!」
ミシェルの指示がリムのアンテナに届き、その通りにリムが応戦する。完璧なコンビネーションだった。才人も変身して加勢しようとするが、すぐそばにアニエスとセニカがいて変身できなかった。
(何とかして離れられないか?)
マグマ星人は、ウルトラマンが出てこない事で、少しだけ心に余裕が生まれる。やはりウルトラマンは死んだのだろう、と。
「ようし!アンタレス!一気に焼き払え!エレキングに指示しているピット星人を殺せば戦力は格段に落ちる!」
アンタレスは更に火炎放射の火力を上げ、ミシェルを焼き殺そうとする。アニエスとセニカを炎から逃すために、マチルダは二人を連れて横っ飛びに逃れる。もちろん、マチルダは全てを分かった上での行動だ。
(ありがとう、マチルダ!)
才人はミシェルを抱えて反対方向に飛びのき、ミシェルを木の影に降ろす。
「俺も行くよ」
才人は変身しようとする。しかし、そこでミシェルから声を掛けられる。
「ありがとうサイト!おかげで私も戦える!リムと私が付いているんだから、絶対勝つぞ!」
才人はもう心配ないな、と安心すると、デルフリンガーを腰元に構える。
「ああ!頼りにしてるよ、ミシェル!よし、行くぞデルフ!」
「おう!久しぶりに喋ったぜ!相棒!」
才人はデルフリンガーを振り上げ頭上に掲げる。
「コスモーーース!」
アンタレスはリムの両腕を抑え、足を踏みつけ、身動きをとれなくする。マグマ星人が尻尾を押さえている間に、アンタレスはリムの肩口目掛け鋏を突き刺そうと構える。
「ギェェェ!」
アンタレスが全力で振りかぶった時、コスモスが巨大化し、マグマ星人に体当たりして弾き飛ばしリムの尻尾を開放する。
「デァァ!」
コスモスは即座に反転、飛び上がると、アンタレスの鋏に目掛けて、エネルギーを溜めて強化した全力の飛び蹴りを直撃させる。その一撃で鋏は根元から千切れてしまった。
「ギャァァ!」
痛みでのけぞるアンタレスだが、後ずさりできずつんのめる。アンタレスが踏みつけていたはずのリムの足が、気が付かない間にアンタレスの足を踏みつけていた。
「グォ!?」
抑え込んでいたはずのリムの腕に、逆に掴まれ逃げられなくなる。もがいているとアンタレスは足元から体を這いずり回る感覚に襲われる。
「グギャォォ!」
リムの尻尾がいつの間にかアンタレスに纏わりついていた。万力の様に締め上げられ苦痛の叫びが出るが、その光景を見たマグマ星人はアンタレスがどうなるか即座に分かってしまった。
(くそっ!生きてやがったかウルトラマン!マズイッ!今戦力を失う訳にはいかねぇ!)
マグマ星人はリムを後ろから突き刺そうとするが、目の前にコスモスが現れ、蹴りでサーベルを弾き飛ばされてしまった。
(あぁ!)
その瞬間、光が瞬き世界が白く染まる。何が起きたかは考えるまでも無かった。光が治まると、マグマ星人にとって絶望の光景が待っていた。
「あ、あぁ…アンタレス…」
リムの凄まじい電撃で黒焦げになり、絶命したアンタレスが横たわっていた。もう、マグマ星人と共に戦ってくれる存在はこの星にいなかった。マグマ星人がその場にへたり込むと、リムとコスモスが同時に振り向く。
(もうダメだ、おしまいだぁ…)
「ハハハッ!ヒャハッ!ヒヒヒヒッ!」
マグマ星人は狂乱し、笑い出す。何事かとリムとコスモスが身構えると、マグマ星人はサーベルの小手の部分を開き、そこにある赤と黒のスイッチを同時に押す。
「ヒヒッ…これで『最終兵器』が動く…もう終わりだぁ!何もかも、ぶっ壊してやる!ぶち壊してやらぁぁぁ!」
同時刻、マグマ星人(本隊)宇宙船内。突如響き渡る警報音。
「何事だ!」
オペレーティングルームに飛び込んできたマグマ星人少尉が、他のマグマ星人に事態の説明を求める。
「大変です!『最終兵器』を拘束する鍵が解除されました!」
「何!?転送装置が起動していないのにか!?」
しかし、調べると転送装置も起動している。どうやら同時に起動した様だ。しかし、これでは問題があった。
「転送装置は起動しても、隊長の位置をレーダーが見つけてから転送が始まるんだ!それより先に拘束を解くなんて!」
その時、宇宙船が大きく揺れる。『最終兵器』が宇宙船内で暴れ出した様だ。
「うわぁ!隊長、何故!?何故こんな事を!」
スイッチは隊長しか持っていない。冷静な判断が出来なくなる、隊長がそこまで追い込まれていたのだろうか?と考えた所で、オペレーティングルームでも爆発が起きる。吹き飛ばされたマグマ星人がフラフラと立ち上がり、話しかけてくる。
「少尉殿!転送装置を早く起動させる事は出来ないのですか!?」
「駄目だ!アレは『最終兵器』の体内に埋め込んである!」
その時、また宇宙船が大きく揺れる。崩れてくる宇宙船の部品にマグマ星人数人が押しつぶされる。重力発生装置が働いている副作用だ。
「隊長…そんな…こん…な…最後…何で…」
五秒後、マグマ星人の宇宙船は大爆発を起こし、この宇宙から消滅した。
不穏な雰囲気を感じたコスモスが、何かされる前に先手を打とうと飛び出すが、その瞬間、マグマ星人の周りに虹色の光が溢れる。
「ハハハッ!来たぞ!我が『最終兵器』!こいつは俺でも操れない!全てを滅ぼすまで止まらない破滅を体現した怪獣だぁ!」
虹色の光から怪獣が現れる。転送されてきたのは赤い体と黒い体の巨体、見た目はその体色以外違いが無い。特徴的な背中の刃、頭の角、筋肉質な体。
「行けぇ!レッドギラスjr!ブラックギラスjr!」
(jr!?あの二体の子どものだっていうのか?!)
レッドギラス、ブラックギラス。かつてマグマ星人の配下として地球に連れてこられ、日本を沈没させようとした恐ろしい怪獣だ。その被害の大きさから才人の世界の教科書に載るほど有名でもある。しかし、もっと有名な事実が一つ。
(かつてウルトラセブンを倒した事もある強力な怪獣!)
その時のウルトラセブンは度重なる戦いで疲弊していたのだが、それを知る者はほとんどいない為、世間にとってはウルトラセブンを倒した強力な怪獣という認識しかない。マグマ星人は高笑いをしながら光の無い瞳で虚空を見つめている。
「ハハハハハッ!こいつらは特殊能力のほとんどを受け継がせられなかったが、その分パワーが何十倍にも強化されている!さあ行け!全てを壊してしまえ!この星を滅ぼせ!草木一つ残すなぁ!」
その時、二匹の牙がマグマ星人の首元に突き刺さる。リムとコスモスは突然の事で面喰って動けなくなる。しかし、その間にも二匹の牙がマグマ星人を襲う。骨を砕き、肉を引きちぎられる音が響く。ゴキンッ!という鈍い音と共に、マグマ星人の首が体から離れる。そのまま内臓を引きずり出され、腕や足をもぎ取られてしまい、マグマ星人は断末魔を上げる事無く肉塊に変えられてしまった。
(何て凶暴な奴らだ…主人であるはずのマグマ星人を殺しちまった!)
その様子を見ていたセニカは気絶してしまった。マチルダ、アニエスも嘔吐感を抑えられない。そんな中、二匹は大地を震わせる程の咆哮を上げるとコスモス、リム目掛け突進してくる。
(来たっ!)
コスモスは突進を横っ飛びに躱す。しかしリムは躱せず、まともに突進を喰らってしまう。受け止められるという判断だったのかは分からないが、完全に力負けし吹き飛ばされてしまった。
「リム!」
ミシェルはリムが押し負けた事に驚愕していたが、慌てず次の指示を送る。
「足元を狙え!転ばせるんだ!」
リムは長い尻尾を薙ぎ払い、二匹を転ばせようとする。ドシンッ!と直撃した鈍い音が響き渡る。しかし当たったブラックギラスjrは何事も無かったかの様に直立している。
「「グギャアァァ!」」
レッドギラスjrはリムの尻尾を掴み上げるとジャイアントスイングで放り投げる。コスモスは空中で受け止めるが、そこへブラックギラスが跳躍して来て、その牙で食らいつこうとする。コスモスは慌てて空中で体をひねり躱して着地する。
(何て跳躍力だ!昔地球に来た個体よりパワーが上がってる!?)
レッドギラスjrはコスモスに狙いをつけたようで、重点的に攻撃してくる。ブラックギラスjrはリムに足を攻撃された事が頭に来たようだ。執拗に狙い続ける。
「グギャアァァ!」
レッドギラスjrの角からの光線をコスモスは側転でかわしていくが、それを見越していたかのようにブラックギラスjrが回り込み突き飛ばしてくる。
「デァァ!?」
腕四つで組み合ったリムとブラックギラスjrは一歩も譲らない力比べの末、リムが押し負け投げ飛ばされる。
キィィィィ!
二体は互いに叩きつけられその場に崩れ落ちる。それを見てレッドギラスjrは有利を悟り、ブラックギラスjrと抱き合う。ミシェル達は何が起こるのか分からないでいるが、コスモスは何が起きるのかすぐに分かった。
(あれは…マズイぞっ!)
抱き合った二匹は回転を始めその回転数を上げていく。最強の合体技、『ギラススピン』だ。迫りくる最強の一撃を避けようにも、リムとコスモスはダメージで動けない。直撃を喰らい天高く打ち上げられ、地面に叩きつけられる。
キィィ…
リムはよろよろと立ち上がるが、ダメージが大きすぎたのだろう。限界が来てその場に崩れ落ちる。しかし、二匹はなおも追い打ちをかけようと『ギラススピン』の体勢に入る。カラータイマーが警告音を鳴らし始めたコスモスは最後の賭けに出る。
(ウルトマンレオがあいつらを倒した時…やってみるしかない!)
「デァァァァ!」
コスモスは飛び上がると二匹の上空で急速回転を始め、一気に急降下する。
「デァァ!(きりもみキック!)」
ミシェル達は起死回生の一手だと歓喜する。横はダメだが上はがら空きだ、と歓喜した時…
突如、『ギラススピン』の回転数が三倍以上速くなる。そのあまりの速さに二匹の頭上から竜巻が発生する。
(何!?ぐわぁぁ!?)
コスモスは突然の攻撃を躱せず全身に竜巻が直撃する。コスモスは木の葉が巻き上げられるかのように、空高く打ち上げられ、全身を切り刻まれる。受け身も取れず無残にも地面に叩きつけられてしまった。コスモスはそれだけのダメージを受けながらも立ち上がろうとするが、指一つ動かせない。ミシェル達は固唾を飲んで見守るが…
そのままカラータイマーの警告音が消えてしまい、コスモスは完全に沈黙した。
「「才人ぉぉ!(サイトォォ!)」」
マチルダとミシェルの悲痛な叫びはブラックギラスjr、レッドギラスjrの勝利の咆哮にかき消されてしまった。
続きます。きりもみキックのきかないギラス兄弟って、結構強いんじゃないでしょうか?