ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。今回はとても過激なシーンがあります。これを書くかどうかで暫く悩みましたが話的に必要だと思って書きました。


※やばかったら修正します。



ゼロの使い魔~真心~第26話

 モット邸ではバド星人の侵略作戦の詳細が説明されていた。何処から持ってきたんだろうか?ホワイトボードに書きながら説明される。ファンタジーに慣れた才人にとっては、新鮮な違和感だった。

「作戦の内容はこうだ。ガリア、ゲルマニア、トリステイン、ロマリア、アルビオン、これらの主要国の都市部を強力な爆弾で破壊し首脳部の人間を全て殺害、政情が混乱している時に制圧する。という物だった」

 コスモスはスケールの大きさに驚愕する。が、一つ気になる事が。

「…だった?」

 バド星人の過去形の説明に疑問が生まれる。よく聞いてくれた、とでも言うようにバド星人は語り出す。

「実は、そこにベムラーが関わってくるんだ」

 シエスタと使用人代表は訳が分からないようだが、コスモスには覚えがあった。

「ベムラーとバド星人に関わりが!?」

 バド星人は頷く。

「実は、以前この星を襲撃したベムラー、我々と協定を結んでいたのだ。共同戦線をはり利益を分け合うという物だ。だが…」

「…裏切られた」

 コスモスは以前対峙したベムラーを思い出す。とてもじゃないが、相手との約束を守るような性格には思えない。バド星人達がどんな目にあったか即座に予測できた。

「あぁ。奴のせいで宇宙船は大破、乗組員は私を含め10人を残し死亡した。それで大幅な作戦の遅れが出てな、宇宙船の修理後、情報を集め直したのだ。その結果、作戦決行はアンリエッタ姫がゲルマニア訪問から戻る2日後に決まったのだ」

 説明が終わると、シエスタが口を開く。

「それって、あまり時間が無いんじゃ…?」

「そうなのだ、だが奴らの宇宙船は作戦結構日まで異次元空間に隠れていてこちらから侵入できない。私でさえもな」

 話を聞き終えたコスモスが確認する。

「つまり、作戦結構直前に異次元空間から出てくる宇宙船に、奇襲をかけるっていう事か?」

 バド星人はその通り、とホワイトボードの宇宙船の絵を指さす。

「ああそうだ、狙うのはそこしかない。侵入には、私の空間移動能力を使う」

 バド星人曰く、彼らには鏡を使い空間移動する能力が有るらしい。

「そしてその後、即座にトリステイン城に空間移動する。実はトリステイン城にも一人スパイがいるのだ。これを抑えなければならない」

 トリステイン城にまでスパイを送り込んでいた事にコスモスは驚くが、これまでの事件の混乱のさなか、潜り込むのは簡単だろう。

「では、ウルトラマン!よろしく頼む!」

 

 

 

 コスモスは才人に戻ると、モット邸のバルコニーで星空を眺めていた。短い時間に色々あったのと、全力疾走の疲れが来てしまい、すぐには学院に戻れそうになかったのだ。

「ここにいらしたんですね、才人さん!」

 その時、シエスタがバルコニーにやって来る。才人からバド星人を一番に庇ったメイドも一緒だ。

「どうですか?息抜きにお茶でも?」

 どうやら才人をお茶に誘いに来たようだ。しかし、二人はジロジロと才人の全身を見ている。

「…やっぱり、気になる?」

 才人は二人の意図が大体想像できる。ウルトラマンが目の前にいる事が信じられないのだろう。

「「いえいえいえ!」」

 二人は見事にハモる。その様子が才人は少し気になる。まるでこの二人以前からの知り合いの様な…?

「二人は、知り合い?」

 聞かれたシエスタは元気に答える。

「はい!彼女は『アイ』、以前まで一緒に魔法学院で給仕をしていたんです!」

 しかし、メイド…アイは少し俯く。

「まぁ…モットに目をつけられて、ここに連れて来られたんですけどね…」

 シエスタはしまった、という顔をした。そうだろう、以前一緒に働いていたアイがモットに連れて来られた。これが意味する事は…。しかし、俯いていたアイは顔を上げると、何か覚悟を決めた目で才人を見つめる。

「ウルトラマンさん…聞いて欲しい話があるんです、今のご主人様がどのような人か知って欲しくて」

「話?」

 アイは少し震えながら話始めた。

「私たちがご主人様の正体を知っていた理由なんです」

 

 

 

 その日アイはいつものように毎日の仕事を終えた後、モットに呼び出されていた。湯あみも許されず、呼び出されるのはモット邸地下にある一室。そこには数多くの拷問器具が隠してある。

「…失礼します」

「遅い!」

 入るなりモットの罵声が響く。時刻通りだろうが、とアイは心の中で舌打ちをする。

「早く支度しろ」

 これはモットが只楽しむだけの行為。アイにとっては望むものでは無い。しかし、逆らえない、平民は貴族に逆らえないのだ。アイはメイド服を脱ぎ、壁際に取り付けられた鎖付きの手錠を自分ではめる。すると魔法が働き、鎖が壁に吸い込まれ腕が固定される。

「…私に、この惨めなメス豚に…ご主人様のお慈悲を…」

 今までに散々言ったセリフだ。

「ほほほっ!いいぞ!いいぞ!」

 モットは興奮した様子で鞭を振り回す。アイの体に鞭傷がつくたびにモットは喜び、鞭の激しさを増していく。…これがアイにとっていつものことだった。…この異常な光景が。

「ハハハ!泣け、わめけ!」

 モットは散々アイを痛めつける。アイが気絶すると、魔法で生み出した水球をぶつけ無理やり起こす。これが繰り返され、アイを傷つけていく。

「ようし…そろそろだな」

 この後は決まってモットに汚される。醜くおぞましい汚物に蹂躙される。これがアイにとってのいつものことだ。最も、本人が納得しているはずないが。

(また…これ…嫌、死にたい…でも…)

 自分がいなくなっても他の少女が連れて来られる、他の誰かがモットの毒牙に…そうなるくらいなら…少なくともモットが飽きるまで、自分が全てを受け止めるつもりでいたのだ。しかし…。

(いつまで…続く…の?)

「相変わらずいいなぁ!」

 アイは心労と疲労とで意識が遠くなる。そんなアイにモットが欲望を叩きつけている時…。

 

 

「貴様ぁ!その女性は拒んでいるだろう!やめるんだ!」

 

 

 アイは薄く目を開けているだけでやっとだ。その微かな視界に、おおよそ人間とは思えない怪人が現れる。

「なっ!?化け物!どこから入ってきた!」

「そんな事!貴様に関係ない!女性を苦しめる悪魔め!許さん!」

 そこから激しい戦いが始まった。怪人を水流で吹き飛ばし、何度も何度も壁に叩きつけるモット。何度も何度も立ち上がりどれだけ傷ついても立ち向かう怪人。怪人は腕を水流でへし折られるがなおも立ち上がる。

「ええい!しぶとい化け物!止めだ!」

 モットは全魔力を使い、大きな水の竜を作り出す。怪人に直撃する!アイは思わず目をつぶる。しかし、突如として怪人はその場から消えてしまう。

「何!?どこだ!?…っ!ぐあぁ…」

 モットが怪人を探している間に、怪人はモットの真後ろの水たまりから突如現れ、拷問器具の一つであろう焼きごてで、モットの後頭部を強打する。怪人は意識が混濁するモットの頭を掴むと、すぐそばの三角木馬に叩きつける。

「ぐぎゃ!?」

 その一撃でモットは脳天を割られ絶命した。その様子を薄目で見ていたアイは、体力の限界で気を失ってしまうが、薄れゆく意識の中、冷えた体が温もりに包まれる。最後の記憶は優しく語りかける声だった。

 

 

「もう大丈夫、誰も君を傷つけないよ。お嬢さん」

 

 

「それからです。ご主人様の様子がガラリと変わったのは。今まで無視していた領民たちの願い出を全て実行して、税金を見直して、必要な分に減らして…私たちのお給料も増えて…何より、各地から無理に連れて来ていた女性たちを全員解放したんです。深々とした土下座と慰謝料付きで」

 自分の辛かった事を話し終えたアイは、その後の事を喜々として語る。余程嬉しいことなのだろう。才人はその話を聞いてバド星人がどういう人物かがよく分かった。

「…それだけ変われば皆さん気付きますよね!」

 シエスタは良かった、良かったと表情で言いながら頷く。しかし、すぐにそれでぇ?、とアイに悪戯っぽく聞く。

「女性たちは解放されたんでしょ?なんでアイはまだここにいるのかなぁ~?…自分から残るって言ったの?」

 シエスタの的を得た指摘にアイの頬が赤く染まる。図星だ。

「シッ、シエスタに、かか関係ないでしょ!?」

 応援するわよ~と、アイをからかうシエスタを横目で見ながら、才人はもう一度星空を眺め、決心を新たにする。

 

 

(こりゃあ…何が何でも、守らないとなっ!)

 

 

 才人は体力が戻ると、コスモスに変身、シエスタを連れ学院に戻って来る。シエスタを連れ帰ったのを見たマルトーは開いた口が塞がらないようだ。金魚の様に口を動かしていた。

「才人さんありがとうございます。おかげで戻ってこれました」

 才人はお礼を言うシエスタをしり目にルイズの部屋に戻る。かれこれ二時間近くたっていたが、ワルドは帰っただろうか?

(三日後…それに備えないとな!)

 とりあえず、もう夜中なのでさっさと寝よう。そう思って部屋の近くに来ると、扉の前に誰かいる。

「あれ?マチルダ?」

 そこにいたのはマチルダだった。ちょうど来たばかりの様で扉をノックする寸前だったようだ。

「才人?ミス・ヴァリエールと一緒にいたんじゃないのかい?」

 違う、と才人が答えるとマチルダの顔が青ざめていく。

「…実はワルド子爵が時間を過ぎても戻って来ないんだ…才人が傍にいると思ってあまり心配してなかったけど…」

 このままでは『間違い』が起きるのではないか。とマチルダが考えたその時、部屋から大きな音がする。二人は慌てて部屋に入ろうとするが鍵が掛かっていた。才人は思い切り扉を蹴り飛ばし踏み込む。

「「大丈夫(か)(ですか)!?」」

 そこにはベッドにルイズを押し倒したワルドがいた。ルイズとワルドが同時に入ってきた二人と視線が合う。

「きっ!?君たち!?まっ、待つんだ!私はカーペットにつまずいて転んだだけで!?」

「そっ!そうよ!?別にやましい事なんて何も…」

 二人の釈明を聞き終えたマチルダは微笑んで拳を鳴らす。

「それだけですか?ワルド子爵。言い残すことは」

 瞬間マチルダの怒号が響く。

「この暴行魔がぁぁ!」

「誤解だーーー!」

 

 

 この後、マチルダのお説教が一時間、二人が誤解を解くのに二時間かかったそうだ

 

 

「は~疲れた…」

 ワルドを見送った後、ルイズはベッドに倒れ込んでいた。

「まぁ自業自得だな。節度は守れ」

 才人の呟きを聞いたルイズは真っ赤になって反論する。

「な!?そんなんじゃないわよ!」

 いつもならここで鞭が飛んでくる。そう思い才人は身構えるが何も来ない。

「はぁ…まあ明日に備えて寝ましょうか…」

 才人は何も来ない事よりも、ルイズが明日する事に備えるという事に疑問を持つ。

「何かあんのか?」

 ええ、ワルド子爵もそのために来たの、とルイズは念を押して言う。

「何でも、姫様が予定より早く帰国するみたいで、城に来て欲しいっていう姫様直々のご指名よ?絶対に送れる訳には行かないもの」

 そう言ってルイズは眠りにつく。才人は今聞いた事実が受け入れ難く、固まってしまっていたが、直ぐに現実に引き戻される。

 

 

「あっ!?明日だぁぁ!?」

 

 

 

 

 

 




続きます。次回からバド星人たちとの戦いが始まります。
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