ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。仕事忙しくて笑えません。それでいて、今回あまり話進まないです。


ゼロの使い魔~真心~第29話

 夕焼けの中、才人は目を覚ました。モット邸の庭の木に寄りかかっている。眠る前の記憶が曖昧だ…自分はどうしたんだろう?少し横を見ると、同じ様にモットが眠っていた。

「…あぁ…そうか…そうだったけ…」

 才人は自身が眠る前の事を思い出した。バド星人隊長を倒した後、二人は疲労に耐えられなくなったのと、事件が解決した安心感から眠りこけてしまったのだ。

「目が覚めましたか?」

 才人が声の方に向くと、アイがいた。眠っていたモットを眺めていたのだろうか?モットの眼前でしゃがみこんでいる。

「不思議ですよね…」

 才人は何が?と問いたくなるが、アイは続けて語り出す。

「あんなに憎くて、殺したかった相手が、こんなにも愛おしく思えるなんて…」

 才人は、そのアイの表情が、憎しみと幸福に包まれた複雑な表情に見えた。アイにとって今のモットは複雑な存在だろう。

「…好きなんだ?」

 アイは首を振る。

「愛してる」

 きっぱりとした答えだ。

「さぁ、そろそろ起こしましょう。パーティーが始まります」

「パーティー?」

「ええ、事件解決のお祝いに。ささやかな物を」

 目線を遠くに移すと、使用人たちが準備を進めていた。よく見ると領民たちだろうか?手伝いをしている。

「気がつきました?実は…ご主人様の正体を教えてしまったんです」

 アイ曰く、コスモスとバド星人の戦いを見てしまい、どういう事かと屋敷に詰め掛けて来たらしい。そりゃあ巨人の戦いだ、見えない者は殆どいない。そこでついに使用人たちは話してしまったらしい。

「でも、ウルトラマンさんのおかげで助かったんですよ」

 領民たちは最後の二人の握手を見て、『あの』ウルトラマンと握手をする仲。と認識、信頼していたらしい。その正体が最近やけに良政をするようになった領主様と知って、怪物と罵り排除しようとする者はいなかったらしい。それどころか勝利をたたえる宴の準備をかってでる者が後を絶たなかったそうだ。

「役に立てて光栄ですよ」

 才人の答えにアイは微笑むと、さて!とモットの顔を掴む。

「起きてください、ご主人様」

 アイはそう言うと、モットの口を自らの唇で塞ぐ。才人はその行為をされた事もあるし、自分からしたこともあるが、そう慣れる物ではない。やはり気恥ずかしさが込み上げてくる。

「んぐぐ、ぐうっ、ぐぶうっ!」

 甘い雰囲気が徐々に消えていく。モットが苦しそうにうめいている。

「ぶはぁ!な!?何だ?」

 モットは息苦しさで目が覚めたのか、飛び起きる。事情がよく分からないモットはアイに促されるままパーティーの中心に連れていかれ、わけの分からぬまま胴上げされていた。

「…さて、俺は帰るか。ルイズも待ってるし」

 才人はそう呟くとモットにテレパシーを残し、変身。モット邸を後にした。

 

 

(この星の皆の為に、戦ってくれてありがとう…これからも領民の為に頑張れよ…)

 

 

 ルイズ達が心配している、そう思いトリステイン城に戻ってきた才人が見たのは素っ頓狂な光景だった。

「そこで!私は感付いたのだ!敵は中に潜んでいると!」

「「「流石はワルド子爵!かっこいいーー!」」」

 トリステイン城の食事処にて。雄弁を振るうのはワルド。はやし立てるのはルイズとその他魔法衛士隊と銃士隊の面々。どうやら酒が入っている様だ。正常ではない。

「こっちだ才人」

 呼ばれた方を振り向くとアニエス、ミシェル、セニカが他の面々とは離れて座っていた。巻き込まれたくないからだろう。セニカが才人に事情を教えてくれる。

「実は、事件の後始末が終わった後、皆姫様から今日一日の休暇をいただきまして…」

 結果、祝勝会と称した飲み会が始まってしまったらしい。アニエスがやれやれとため息をつく。

「我が隊といい、情けない話だ。しかも本来、止める側の教員までもがああなってしまってはなぁ」

 よく見るとコルベールも席に座っている。自分には自慢できる話が無い、と泣き上戸だ。これを見たら雷を落とす人がいるな、と考えた時…

「ふふふっ、そのお話をお詳しくお聞かせ願いますわ!」

 アンリエッタの姿を、その中に見つけてしまった。ミシェルはリムのお腹を撫でながら才人に言う。

「まあ、姫様もお疲れのご様子。少しでも羽を伸ばしたかったのでしょう…それよりサイト、一緒に食事でもどうだ?」

 才人は三人と座ると、お疲れ様、と労をねぎらい合う。才人が座ると、セニカが横に飛んできて腕を絡ませてくる。

「お隣失礼しま~す♪」

 途端にミシェルの目つきが鋭くなる。

「…わざわざ横に座る必要あるか?…セニカ?」

 セニカは早い者勝ちとでも言うような、勝ち誇った顔をする。

「えぇ!才人さんにお話もあるので」

 話?話って何だろう?気になった才人が聞こうとすると、セニカが囁いてくる。

「今夜、私のお部屋に来てください」

 囁いたはずだが、ミシェルは聞いていたようだ。リムを二人の間に入れ、才人の横に回り込み腕を絡める。

「才人を不埒な目でしか見ていないお前の部屋に行かせるわけにはいかないな」

 二人の視線が火花を起こす。そんな二人の首根っこを掴み、アニエスは自分の横に座らせる。

「おいおい、女の争いは後にしてくれ。今は疲れを癒そう」

 二人はアニエスの一言で落ち着きを取り戻した。ミシェルは腕を絡めた事が恥ずかしいのか俯いている。その後、四人は談笑しながら食事をした。乾パンとシチューだけだが、ワインを飲んで大騒ぎしている連中よりは食事を楽しむ事が出来ただろう。

 

 

 

 翌日、ルイズは見慣れぬ部屋、いつもの半分以下のベッドの上で目を覚ました。二日酔いで頭がガンガンする。ほい、と渡された水を一気に飲み干す。

「…はぁ!ありがと…サイト…あれ?」

 水を渡してきたのは才人ではなく、ミシェルだった。

「副長さん?」

 ミシェルはコップを受け取ると、ルイズの身だしなみを整えてやる。

「ここは私の部屋だ。覚えてないか?」

 ルイズは昨夜の記憶が殆どない。ミシェルに説明してもらう。

「昨日、酔いつぶれたミス・ヴァリエールとミスタ・コルベールをそのまま帰すわけにもいかないからな。私の部屋に才人含め全員泊まってもらったよ」

 ルイズが横を向くとコルベールが床にタオルを掛けられて眠っている。二日酔いのせいか苦しそうにうめいている。

「そういえば才人は?」

 ルイズは自身の使い魔の不在に疑問を持つ。が、すぐに汗をかいた才人が部屋に入って来る。

「起きたか?ルイズ」

 どうやら外でトレーニングをしていたようだ。息が上がり、肩が上下している。この時、ルイズはある事に気が付く。

「…あんた、副長さんと変な事してないでしょうね?」

 そこは才人の必死の説明で誤解の無いように伝えた。ルイズは終始ジト目だったが。その時、アニエスが部屋を訪ねてくる。

「おい二人とも!姫様がお呼びだ!至急謁見の間に来るんだ!」

 

「「姫様?」」

 

 

 数分後、二人は謁見の間でアンリエッタに謁見していた。ほとんどの護衛も外に出されており、いるのはアニエスくらいだ。

「朝早くから…ありがとうございま…うぷ…」

 …二日酔いが酷い様だ。

「今日来てもら…ったのは…お二人にご相談があっての事、なのです。土くれのフーケを退治し、トリス…テインの町の為に尽力して、くださったお二人への…」

 アンリエッタは頭を押さえながら話を続ける。

「実は今回のゲルマニア訪問にて、同盟、復興支援をとりつける為に…私はゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事になったのですが…」

 それを聞いたルイズが悲鳴を上げる。

「そんな!あんな野蛮な国に姫様が!?」

 アンリエッタは言葉を控えるように言う。

「ルイズ、控えなさい。…ですが実は、一つ問題があるのです。礼儀知らずのアルビオンの貴族たちが…」

 そこでアンリエッタが説明したのはハルケギニアの政治情勢だった。アルビオンの貴族たちが王宮に反乱を起こした事、反乱軍が勝利すれば次にトリステインに侵攻してくるであろうこと。そのために婚姻を妨げる材料を血眼になって探している事…

(ミシェルのいたレコンキスタの事か…)

 才人はミシェルが今、二重スパイをしていることを思い出す。

「まさか姫様の婚姻を妨げるような材料が!?」

 ルイズがまさか!という表情をしていると、アンリエッタは悲しそうに俯く。

「私が以前、したためた手紙なのです。ウェールズ皇太子にあてた…」

「プリンス・オブ・ウェールズ?あの、凛々しき王子さまに?」

 アンリエッタは悲痛そうに言う。

「手紙は今アルビオンにあるのです…ウェールズ皇太子の手元に…死を命ずる事と変わりません…ですが、お願いできますか…?」

「もちろんです!姫様!このルイズ、いつまでも姫様のお友達であり、理解者であります!永久に誓った忠誠、忘れること等ありません!」

 即答だった。才人もこの複雑な政治情勢の中、苦労しているアンリエッタの力になりたいと思い、頷く。

「ありがとうございます!ルイズ・フランソワーズ!あなたの忠誠と友情、一生忘れません!」

 感極まったのだろう、二人は力強く抱き合う。それから、アンリエッタは才人の方を向く。

「ルイズをお願いします。頼もしい使い魔さん」

 アンリエッタは才人の瞳を見つめる。本人は何故見つめられているのか分かっていないようだが、アンリエッタはその瞳に視線を集中する。

(やはり…ウルトラマンと同じ、暖かい瞳…。昨日の事件で見た彼の戦闘能力…まさか…いえ、考えすぎね…)

 アンリエッタがウルトラマンを見たのはたった一度だが、その様子は忘れること等出来なかった。それくらい印象的だったのだ。アンリエッタはそれと同じ瞳を持つ才人に引き付けられているのだ。

「使い魔さん」

 アンリエッタはすっと左手を差し出し、手の甲を上に向ける。

「いけません姫様!使い魔にお手を許すなど!」

「いいのですよ。忠誠には報いるところが…うぷっ!」

 その瞬間、アニエスが袋を用意、アンリエッタをマントで隠し、才人が抱き合っていたルイズを連れて部屋の外に飛び出る。

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※!

 

 

 音が聞こえなくなり少ししてから、二人は謁見の間に入る。そこには妙にスッキリしたアンリエッタがいた。ルイズに手紙を手渡す。

「ウェールズ皇太子にあったらこの手紙を渡してください。件の手紙をすぐに返してくれるでしょう」

 それからアンリエッタは右手の薬指から指輪を外す。

「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守り、お金が心配なら売り払って旅の資金にしてください」

 ルイズは恐縮しながら、深々と頭を下げる。アンリエッタはルイズ達に祈りを捧げる。

「母君の指輪がアルビオンに吹く猛き風から、あなた達を守りますように…」

 

 

 

 

 ルイズはアンリエッタからの密命に燃えているが、才人は痛ましい姿のアンリエッタを思い出してしまった。

(姫様があんなに酒飲んだのは、辛い現実から少しだけ目を逸らしたかったから、なのかもな…)

 

 

 

 




続きます。次回よりウェールズ編突入です。
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