ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。ようやくラ・ロシェールに到着します。ワルドが決闘します(直球)


ゼロの使い魔~真心~第35話

 才人達一行がラ・ロシェールに到着したのは翌日の朝だった。全員泣き疲れて眠ってしまい、小鳥のさえずりで目を覚ましたのだ。

「はぁ………ようやく着いた…長かったなぁ…」

 才人の長いため息は全員の気持ちの代弁だった。ほんの二、三日の間なのに一月以上の疲労感だった。ワルドはルイズと少し話し合い、才人に伝言を伝える。

「よし、僕たちは『桟橋』に行って乗船の交渉をしてくる。使い魔くんはグリフォンと馬の番を頼むよ」

 グリフォンと馬の手綱を任された才人は、腰掛けられる高さの柵に腰掛けぼんやり行きかう人々を眺めていた。流石は港町、数多くの商人や町人が行きかっている。もちろんそのはず、ラ・ロシェールは人が絶えず常に住民の十倍近い人間が闊歩しているのだ。

「港町が栄えるのはどの世界も変わらねぇのな」

 ぼんやりとしていた才人の視界にふと黒いローブを着た人物が写る。どことなく怪しい雰囲気…。人が集まる所には犯罪は付き物だ、そういう人間もいるのだろう。

「…早く戻って来ないかなぁ二人とも」

 才人が少し心細くなった時、その黒いローブの人物が才人に気付きこちらにやって来る。才人はそんなにジロジロ見ていたかな?と思うと同時に身の危険を感じる。

「あっ…あれ?どうかしました…か?(あれ?ヤバい?ヤバい?)」

 とうとう才人がローブの中の顔を見れるまでになる。ローブの中の顔はよく整った美しい女性だった。

「…ど、どうも」

「いいわ…すっごくいい…」

 黒ローブの女性に突然褒められ困惑する才人だが、女性はお構いなしで勢い良く才人の両手を掴む。

「あなた!可愛い顔ね!うちの店で働かない!?」

「…え?」

 女性はどうやら勧誘の様だ。何の仕事だろう?と才人が聞く前に女性が教えてくれた。

「うちは娼館を経営しているんだけど、男娼が足りなくてね。あなたは顔もいいし、直ぐにトップ取れるわよ!うちで働きましょう!」

 物凄い勢いでまくし立てられるが、男娼とは何だろう?…才人には大体予想はつくが。

「え~と…、男娼って…」

「ああ!知らないのね!えっと、同性愛者や女性に春を売る男性の総称よ♡」

 才人は全身に泡が立つ。

「おおおお断りします!おっおっ俺にそんな趣味無いです!旅の途中なんですまた別の人を探してください!」

 黒ローブの女性の手を必死に放そうとするが、物凄い力で掴まれ逃れられない。

「いいえ!あなたならトップ取れるわ!諦めないわよ、新たな才能を他に取られてたまるもんですか!」

「他でもやりませんって!」

「あら童貞!?大丈夫!初めてでもお姉さんが優しく教えてあげるわ!絶対に後悔させないから!むしろそれは商品価値としてアリよ!」

「ナシだよ!世の中の人が全員って訳じゃないだろうけど、俺は絶対後悔するよ!」

 もみ合いになっているその時、黒ローブの女性が突如はるか遠くに蹴り飛ばされる。女性を蹴り飛ばしたのはワルドとルイズだ。

「彼は拒否している。しつこい勧誘は止めてもらおうか」

「この変態女!才人は渡さないわよ!」

 物凄い剣幕の二人ににらまれ黒ローブの女性は仕方なくという雰囲気でその場を離れる。

「諦めないわよ!絶対にうちの店に入れてやるんだから!」

 という捨て台詞を残して。

「ありがとう二人とも…割と本気で怖かった…」

 ルイズに肩を抱かれた才人は少し震えていた。

 

 

 

 こういった需要はどの世界でも変わらないんだな、という現実と恐怖を味わってしまった才人だった。

 

 

 

 助けられた才人がワルド達から聞いたのは吉報、では無かった。

「今日はアルビオン行きの船が出ない?」

 ワルドが頷くとルイズが分かりやすく説明してくれる。

「明日の夜に月が重なるの。『スヴェル』の月夜って言うんだけど、その翌朝アルビオンが最もラ・ロシェールに近づくのよ。まったく、急ぎの任務なのに…」

「へ~(潮の満ち引きでも関係してんのかな?)」

 口を尖らせているルイズを見て、ワルドはそれじゃあ、と目を輝かせる。

「さっ宿をとってある。そこで今日はもう休もう。ここに来るだけで色々あったから」

 一行はワルドがとった『女神の杵』亭に泊まる事になった。貴族を相手にするラ・ロシェール一番の上等な宿で豪華な作りである。

「部屋割りは僕とルイズ、使い魔くんは手狭だが一人部屋でいいかい?」

 部屋割りに驚いたのはルイズだ。

「ええ!サイトに一人部屋!?」

 しかし、才人はワルドの小脇をつつく。

「思い切りましたね旦那~、二人っきりだなんて!」

 ワルドは得意そうだ。

「ふっ!この間は三人一緒だから失敗した。同じ失敗はしないさ」

 かっこよく決めたワルドに連れられルイズは部屋に入っていく。才人も部屋に入ると、視界に飛び込んできたのは狭くも豪華な作りの立派な部屋だった。窓も大きい。

「すげぇー、外が良く見えr…」

 見えたのは建物の影からこちらを覗く黒ローブの女性だった。身の毛がよだった才人はルイズとワルドの部屋に飛び込む。

「ギャァァーー!俺もこっちにしてぇぇ!」

「なっ!?使い魔くん何のつもりだ!」

「ちょっとサイト!何してんのよ!」

 

 

 結局部屋が一つになった一行だった。

 

 

 一つの部屋になってしまった一行だが、三人でテーブルを囲んで遅めの朝食をとる事にした。最も、乾パンと紅茶という簡単な物だが。その時、ワルドは才人の手に刻まれたルーンに目が行く。

「そう言えば使い魔くん。その左手のルーンについて何だが、僕は始祖ブリミルの伝説の使い魔『ガンダールヴ』だと思うんだが、何か知っているかい?」

 質問するワルドの声はいつもより強張っていた。それに答えたのは才人ではなくデルフリンガーだった。

「おうよ!相棒は『ガンダールヴ』なのさ!そう言えば娘っ子には言ってなかったな」

 ルイズは「何ですって!」と驚いているが、当の才人は「それがどうしたの?」ときょとんとしている。

「あんたそんなに凄い使い魔だったの!?何だってそんなすごい使い魔が私の…」

 慌てふためくルイズをなだめたワルドは瞳の奥を光らせる。

「どうだい、伝説の使い魔の実力、是非とも見たい物なんだが…」

 才人もそれを聞いて口角を上げる。

「決闘…ですか?」

 ルイズは驚いて声を上げる。

「そんな!決闘なんて!今はそんな時じゃ…」

 ワルドは首を振る。

「そうだね、でも貴族ってのは厄介でね。強いか弱いかが気になってどうにもならないのさ。それに…」

 ワルドは一呼吸置いて呟く。

「アルビオンでも敵を選ぶつもりかい?」

 ルイズはその一言で返す言葉を失い、介添人を任されたのだった。ルイズは中庭の元兵連場を借りる許可を取りに宿の主人の許可を取りに行く。完全に部屋を出た後、ワルドと才人は耳元で小声で話し合う。

「で、本当の目的は?」

「ルイズの前でカッコいい所を見せたいのさ」

 君のせいで二人きりになれなくなったからね。と言われ才人は目を泳がせる。

「分かりましたよ僕が突っかかってわざと負ける、でいいですね?」

 ワルドは無言で頷く。その表情は満足そうだ。

「では行こうか(実際戦っても勝てるかどうかは五分だ…ならまぁこういう形の方がいいだろう)

 二人が中庭に到着すると、ルイズの前で互いに武器を構える。緊迫した空気の中、才人が挑発をする。

「前から気に入らなかったんだよ!カッコつけやがって!」

 ワルドは挑発に乗らずに言い返す。

「キミトノジツリョクサヲ、ミセテアゲヨウ!」

 超棒読みで。

(ワルド子爵~!それはダメでしょ!)

(くそっ!上手くやろうとすればするほど変になる!)

「おっ、おりゃあ~!」

 才人は戸惑いながらワルドに切りかかる。しかし、流石は魔法衛士隊隊長、真正面から受け止め受け流す。才人が足払いを掛けるとワルドはバク転で華麗に避ける。

((流石だ…強い!))

 ワルドは杖で才人の攻撃をさばきながら呪文を詠唱、『エア・ハンマー』を繰り出すが才人はそれを切り裂き四散させる。的確に繰り出されるワルドの素早い突きを才人はそれ以上の速さで避ける。

(そろそろ頃合いかな)

 ここで才人はスピードを落とし、わざとワルドの突きを受けデルフリンガーを弾かれる。しかし、ここで思いもよらない誤算が。

「しまった!」

「え?」

 急な才人のスピードダウンに対応できなかったワルドがたたらを踏み、つんのめって才人に倒れ掛かってきたのだ。二人はもつれて転がり樽に突っ込む。

 

ドンガラガッシャーン!

 

「「ギャァァーー!」」

 

 樽から吹き出た小麦粉が粉塵となり、二人を包み隠す。ルイズは心配になり駆け寄るが、ぶはぁ!と思わず下品にも吹き出してしまう。

「あはははは!なっ何よ二人とも!その顔~!」

 言われてワルドと才人は顔を見合わせる。互いに小麦粉に顔面を突っ込んだので真っ白になっていた。二人そろって鼻から小麦粉が吹き出ている。

「あはははは!ヒー…お腹痛い…ありがとう」

 爆笑していたルイズからの突然の謝礼に二人は目を丸くする。

「二人で励ましてくれたんでしょ?私の事。あーあ、こんなになっちゃって…ふふっ♪」

 ルイズは二人の顔を丁寧に拭いて、頬に唇を落とす。

「お礼よ、ありがとう」

 ルイズはワルドを助け起こす。

「さ、まだ時間はあるわ。皆でお買い物でも行きましょ!」

 才人はこれで良かったのか?と、ワルドにアイコンタクトを送るが、それは無用だった。ワルドの目はハートになっていた。

「満足そうだぜ、相棒」

「…そだね」

 壁に突き刺さっていたデルフリンガーの意見に同調した才人だった。

 

 

 

 その時だった。地面が大きく揺れたのは。

 

 

 

 才人達は揺れの起きたラ・ロシェールの入り口に向かっていた。何か悪い予感がする。これまでの怪獣災害の経験からくる予感だ。ラ・ロシェールの入り口が見えた時、突如巨大な影が覆い被さり光が遮られる。しかし、直後マグマの様に煮えたぎった赤い光が町に降り注ぎ着弾点から爆炎が上がる。

 

「ギャオオオ!」

 

 入り口に現れたその巨体にワルドとルイズは息を飲み、才人はその名前を叫ぶ。

「「「あれは!」」」

 

 

「凶暴怪獣 アーストロン!」

 

 

 しかし、才人は自分が知っているアーストロンとは大きく違う所を見つけ目を見張る。

 

 

 

「腕が…無い!あれは…鎌!?」

 

 

 

 

 

 




続きます。そういえばこの「ゼロの使い魔~真心~」に出して欲しい怪獣とかいますか?
読んでくださる皆さまの中にそういった希望がある方、私の文章で見てみたい怪獣がいる方はリクエストの所にでもご一報下さい。一応、タルブ村での決戦までの登場怪獣は決めてあるので、その後の登場になりますが。もしかすると前倒しで出すかもしれないです。

(例・アンタレス)

…ネタ切れじゃ…ないよ?
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