ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。お待たせしました。今回はアーストロン(?)戦です。


ゼロの使い魔~真心~第36話

 前触れも無く突如ラ・ロシェールに現れたアーストロン(?)足元にいた才人達に気が付かないわけも無く、容赦なくマグマ光線を吐き出してくる。

「ルイズ!こっちだ!」

 ワルドはルイズを抱きかかえると跳躍からの『エア・ハンマー』で一気に距離をとる。才人も全力で駆け抜け、何とかマグマ光線から逃れる。才人は変身しようとデルフリンガーに手を掛けるが、ワルド達がいる事を思い出してその手を止める。

(駄目だ!何とかして離れないと!)

 その時、アーストロンの鎌が振り下ろされ、舗装された地面を打ち砕く。粉塵と瓦礫が飛び散る中、一つの大きな瓦礫が逃げ惑う人々の方へ飛んでいってしまう。

「うわぁぁ!」

「キャァァ!」

 悲鳴が響き渡る中、才人は全力で走り瓦礫を追い抜いてデルフリンガーで粉々に切り裂く。間に合った!と、喜んだのもつかの間。突如才人の視界を染めたのはマグマの様な真っ赤な光だった。

「危ない!」

 ワルドが叫ぶと同時に放った『エア・ハンマー』が才人の横っ腹を直撃、アーストロンのマグマ光線からすんでの所で助け出す。

「ワルドさま!乱暴すぎじゃ!?」

 ルイズの抗議を受け、たじろぐワルドだがきっぱりと言い切る。

「いや、使い魔くんを救うにはこれしかなかったんだ。許してくれ」

「サイト…」

 心配そうに見つめるルイズだが、すぐに笑顔に戻る。

「ありがとうワルド子爵!」

 才人の元気な声が聞こえたからだ。ほっとしたのはルイズよりもワルドだったが。気を取り直したワルドは才人に向け叫ぶ。

「使い魔くん!我々は避難誘導に当たる!君も避難誘導をやってくれ!」

 才人は間髪いれず答える。

「分かりました!ルイズをお願いします!」

 まかせろ!という声と共に去っていく足音を聞いた才人はデルフリンガーを杖に立ち上がる。

「イテテ…やりすぎだぜワルド子爵…まぁ結果オーライだ。行くぞ!デルフ!」

「相棒!気をつけろ!あの怪物、今までのと何か違うぞ!」

「わかってらぁ!」

 才人個人を狙うかのような攻撃の仕方、本来のアーストロンには無いはずの腕の鎌。何かがおかしい。しかし被害を広げないようにするには戦うしかない。

 

 

 

「コスモーーース!」

 

 

 アーストロンが進撃する港方向、その目の前にコスモスは降り立つ。

「デァァ!(これ以上行かせねぇ!)」

 コスモスは腕を回しエネルギーを溜め、アーストロン目掛け右腕を向ける。

『フルムーンレクト』!

 コスモスの右腕から放たれた光の帯はアーストロンに吸い込まれるが、アーストロンに変化は無く、コスモスに向け恐ろしい咆哮を上げる。

(駄目か…だが、意識はこっちに向けられた!)

 コスモスはアーストロンに肉迫、掴みかかり町から引き離そうとする。しかし、掴みかかったコスモスの腕から煙が上がり、肉の焼けこげる匂いが漂う。

「デァァァ!?(あっちっ!?)」

 コスモスは思わず飛びのいてしまう。ウルトラマンの体にダメージを与える程の体温、そんなアーストロンがいるはず無い。そういう生物がこの世にいないとは言い切れないが、少なくともアーストロンがそれに該当するはず無い。

(増々分からねぇ…こいつはいったい!?)

 驚いて動きの止まって隙だらけのコスモスを見逃すアーストロンでは無い。その鎌をコスモス目掛け振り下ろしてくる。コスモスはバク転を繰り返し何とか逃れるが、今度はマグマ光線が襲い掛かる。

「デァァ!」

 コスモスはバリアーをはり何とかマグマ光線を防ぐ。バリアーに着弾したと同時に真っ赤なフラッシュが発生、コスモスの視界を塗りつぶす。

(マズイ!相棒、罠だ!)

 コスモスがデルフリンガーの忠告を聞いた時には手遅れ、バリアーの目の前には一気に駆け寄ってきたアーストロンの凶刃が迫っていた。

「グギャォォォ!」

 全力で振りかぶられた一撃はバリアーをいとも簡単に粉砕、コスモスの胸元を切り裂く。

(グアァァァ!)

 コスモスは慌てて離れようとするが、右肩に鋭い痛みが走り内側から焼き焦がされる。コスモスは肩に突き刺された鎌のせいでその場に̌楔にされてしまう。

「グギャ!グギャ!グギャォォォォォ!」

 動けないコスモスに連続で鎌が振り下ろされ、その体をズタズタに切り裂いていく。切り付けられた後に熱のダメージに襲われコスモスは膝から崩れ落ちる。

「デァァ…」

 崩れ落ちたコスモスの顔面目掛け、アーストロンの足が振りぬかれる。コスモスの顔を焼き焦がし、その体を軽く吹き飛ばす。宙に浮いたコスモスは町の上に叩きつけられ、家々を潰してしまう。

(まじかよ…つえぇ…諦めねぇけどな!)

 コスモスは満身創痍の体で立ち上がると、右腕を天に掲げる。

(行くぞ、デルフ!)

(任せな!『赤』だろ!)

 コスモスの右腕から赤い光があふれ出し全身を覆う。コスモスが体の前で両手を交差すると、その体が赤く変化する。『ウルトラマンコスモス・コロナモード』だ。

「デァァ!(行くぞ!)」

 コスモスはアーストロンの体に、両腕を突き出した拳を叩きつける。並みの怪獣ならこの一撃でダウンできる。しかし、コスモスの腕から伝わってきたのは生物の感触ではなかった。

「デァァ!?(こっこれは!?)」

 伝わってきた感触、それは生物ではない、鉄や鋼を殴りつけたような固い感触だった。しかもコロナモードでもアーストロンの体温でダメージを受けてしまう。

(『赤』でもダメなのか!)

「グギャォォ!」

 コスモスが接近するという事は、アーストロンの間合いにも入り込んでしまう事。アーストロンの口が開くとコスモスの左肩にその鋭い牙を突き立ててくる。

「デァァ!?」

 ここでコスモスにとっての大きな誤算が生じる。アーストロンの牙がコロナモードの強靭な肉体に突き刺さったのだ。ギラススピンやミサイルの直撃に耐えたコロナモードの肉体に、だ。

(確かに、つきすぎた筋肉を落としはじめてから多少防御力は落ちてきた!でもここまで落ちてはいないはずだ!)

 再び逃れられない状態になったコスモスをアーストロンの鎌が襲う。コロナモードの肉体を容易く切り裂き、コスモスはさらに傷ついていく。

(ばっ…バカな…)

 コスモスは首を狙った一撃を右腕を盾にして防ぐが、その一撃で右腕を折られてしまう。それが決定打になり、ついにその場に倒れ込み動かなくなってしまった。アーストロンはコスモスを一睨みすると悠々と町への進撃を再開、去っていった。

 

 

 

 

 ラ・ロシェールの『桟橋』それは海の港ではない、巨木につり下がった『空船』が停泊する空の港なのだ。そこでは避難してきた人々が『空船』に乗って逃げるための準備を進めており、既に乗船が始まっているのだ。その中でコスモスの戦いを見ていたルイズは思わず呟く。

「嘘…でしょ?赤いウルトラマンが負けた…?」

 このラ・ロシェールにもウルトラマンの勇名は届いている。そのウルトラマンが負けた。それは人々をパニックに陥れるには十分だ。

「俺だ!」

「私よ!」

「わしじゃ!ボケども!」

「ボケはてめぇだくそ爺!」

 我先にと周りの人間を押しのけ、船に乗り込もうとする人々。ルイズの脳裏によみがえるのはイフェメラの時の悲劇。ルイズは止めようと叫ぼうとするが、その前にワルドに止められる。

「まずい、あの化け物この『桟橋』を目指して進撃している。ここに居続ける方が危険だ!」

 ワルドが言うと同時、アーストロンはマグマ光線を放って別に停泊していた『空船』を攻撃、たったの一撃で破壊してしまう。

「「ああ!?」」

 ルイズ達が驚きの声を上げると破壊された「空船」が町目掛けて落下、爆発し町に火の手が上がる。その時の轟音で人々のパニックは収まったが、代わりに人々は生きる希望を、助かる希望を失う。

「もう…おしまい…なの?」

 ルイズの呟きと同時にアーストロンはルイズの方を向き、口を開いた。

 

 

 

 

(相棒、しっかりしろ!相棒!)

(デルフ…デルフか…?)

 コスモスはデルフリンガーの呼びかけで目を覚ました。右腕を庇いながらだが、何とか立ち上がる事は出来た。しかしその時体から赤い光が霧散してしまう。

(『赤』を…維持す…る…エネルギーが…ねぇのか…)

 本来の『ルナモード』に戻ってしまったコスモスはアーストロンを探して辺りを見渡す。そこで港の方から火の手が上がっている事に気が付いた。

(急がないと…)

 何とか飛び立とうとした時、突如デルフリンガーに呼び止められる。

(何だよデルフ?)

(いや、あれ見てくれ相棒)

 あれ?コスモスが言われた方を見ると、そこにはアーストロンの足跡が残っていた。そこは地面が沸騰してドロドロに煮え立っている。

(…何て奴だ)

 コスモスは驚くばかりだが、デルフリンガーは別の事に気がついていた。

(なぁ相棒、あの化け物…あいつもしかして鉄で出来てんじゃねぇか?)

(鉄?)

(ああ、殴った時の感触、ありゃどう考えても生き物じゃねぇ。鉄だ。鉄の俺っちが言うんだ間違いねぇ)

 コスモスも言われてみればそうだ、と考え込む。そしてコロナモードの肉体にダメージを負わせていた理屈にもある程度察しがついた。

(そうか、高温なのは鉄の体を動かすために柔らかくしてるんだ。その副産物で、あの鎌は『溶断』っていう特性を持つ。それなら『赤』の体を傷つけられるかもしれない)

 それなら、まだ勝ち目があるかもしれない。コスモスは作戦を思いつき、実行するためにフラフラと飛び上がって港へ向かった。しかし、飛び上がったコスモスの視界に入ったのは巨大な木だった。

(何だありゃ?すげぇ…あれがこの世界の船なのか…)

 感心している場合じゃないと頬を叩くと、船目掛けマグマ光線を吐き出そうとするアーストロンに意識を向け直し、全力で突っ込む。そのまま体当たりでアーストロンの体勢を崩し、マグマ光線の射線をずらし船からそらす。

「ウルトラマ~ン!やっぱり生きてたんだ!」

 フラフラと立ち上がったコスモスが聞いたのはルイズの歓喜の声、どうやらこの『桟橋』にいるらしい。

(失敗は出来ない…ここで倒す!)

 コスモスは左腕をアーストロンに向け、その手の中にエネルギーを集めていく。が、それは霧散と集合を繰り返していた。

(デルフ、頑張ってくれ!エネルギーが安定しない!)

(無理言うな!俺っちも全力だ!)

 そうしている間にアーストロンが立ち上がり、マグマ光線を発射しようと大口を開ける。それとコスモスのエネルギーが溜まったのは同時だった。

(いっけぇ!)

 アーストロンがマグマ光線を放つより、一足早く打ち出されたコスモスの水色のエネルギー弾がアーストロンの体に直撃した。しかし、マグマ光線発射は防げずコスモスに直撃してしまう。

「デァァ!(グハ!しまった…だが…!)」

 アーストロンは突如軋みをあげ始める。コスモスの放った『ルナコールド』により全身が急速冷凍されたのだ。

「グ…ギ…ゴ…ガァ…」

 アーストロンは小さなうめき声を上げるとその場で完全に動かなくなってしまう。その体は動いていたときからは想像出来ない程、鉄の塊のようになり、さらに全身にヒビが入る。

(鉄は急激に冷やされると脆くなる。今だ!相棒!)

「デァァァァ!(うおぉぉぉ!)」

 

ドゴォォォ!

 

 コスモスは残された全エネルギーを使い、音速で飛行。アーストロンに体当たりを繰り出す。顔面から直撃するが、アーストロンの体はその一撃で完全に砕け散ってしまった。

(やった…何とか…勝った…)

 コスモスは体当たりの勢いのまま落下、仰向けに倒れ込んでしまう。が左腕を伸ばし最後の力を振り絞り、『コスモシャワー』を打ち出し町の火の手を消化する。

「デァァ…」

 

 

 

 

 コスモスは火が消化されるのを見届けると、静かに虚空に消えていった。

 

 

 

 

 

 




続きます。今回ぶっコロナ完全にかませでしたけど、今後かませになり下がらないようにこの扱いが定着しないように気を付けていきたいと思ってます。
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