※話数直しました。お恥ずかしい限りです。
※誤字直しました。重ね重ね申し訳ありません。
才人は眼を覚ますとルイズの部屋にいた。ここまで引きずられて来たらしい。全身が擦り傷や打ち傷だらけである。
「これ何?」
ルイズは才人が最初から持っていたノートパソコンに興味を持ったのかジロジロ見ている。
「これはノートパソコン、この世界には無いだろ?」
「どんな魔法で動いてるの?」
「魔法じゃない科学」
「科学ぅ?なにそれ?」
ルイズは科学というものを知らないらしい。才人は目が覚めてから必死に自分が異次元・異世界から来たことを伝えていたが、全く信じてもらえない。
「はぁ…あっ!、そうだこの世界にウルトラマンはいないだろ?俺がこの世界の人間じゃないって証拠になるぜ」
才人は手早くノートパソコンを起動し自身の宝物であるウルトラマン達の写真を見せる。これには自信があった才人だが、ルイズは…
「ふーん、なにこれ?良く出来た作り物?」
「なっだから本当だって!」
「はいはい、わかったわかった。私はもう寝るから明日ちゃんと仕事しなさいよ…」
「なっ、お、おい!待てって!てか、おれは!?」
「しいたげたでしょ?藁」
「いやっあのっ藁って…」
ルイズはそう言うと眠りについてしまった。才人はついに諦めてへたり込んでしまった。
「まぁ…いきなり信じろって方が無理か…それにしても、仕事かぁ…」
仕事とは主にルイズの身の回りの世話・雑用である。やることは説明された。もちろん抗議したが、「使い魔なんだからこれくらいしなさい!」と言われ押し付けられてしまった。才人は元の世界に帰る方法もないことを説明され半ば絶望しかけていた。
「風にあたろう…」
才人はルイズを起こさないように部屋を出ると寮の屋上へと向かった。
「それにしてもすごいなぁ~、月が2つあるなんて…」
才人がこの世界と元の世界の違いについて誰かに問われるなら、今だったら確実に月の大きさと数について答えるだろう。あまりにも美しい双月が才人の心を奪っていた。大きい方になら手を伸ばせば届きそうだ…そう思った、思って本当に手を伸ばしてしまった。
「あっ」
滑った。バランスを崩した。理由は何でもいい。事実が大事だった。才人は今屋上から落ちる。これは変わらない。
「うわぁぁぁ……あれ…?」
………はずだった。
才人は確かに落ちる感覚があった。しかし、現実には落ちていない。体が浮いている感覚がある、いや、実際に浮いていた。そのままゆっくり地面に着地する。
「えっえっなんでっ」
「大丈夫ですかっ!?」
驚くサイトの傍にフードを着た杖を持った女性が掛けてきた。早まってはいけません、命を粗末にするなんて、とまくし立ててくる事から何か勘違いしているのだろう。
「大丈夫です!自殺じゃないですから落ち着いて!」
女性を落ち着かせると才人はまずお礼を言う。
「助けて頂いてありがとうございました。魔法?ですよね今の。お姉さんも貴族?」
問われた女性は落ち着いて話し始めた。
「いえ、私はロングビル。オスマン学長の秘書をしています。まぁ…没落貴族というものです」
ロングビルの声色が沈んだのを感じて才人はまずいことを聞いてしまったと後悔した。
「あっごめんなさい!」
「いっいえ、気にしないで下さい。それにしても間に合ってよかったです。それにしても何故あんなところに?」
「夜風に当たりたくって」
それを聞いてロングビルはホッとため息をつく。
「よかった、召喚されたショックで早まったんじゃないかと」
それを聞いて才人は疑問に思う。なぜ自分を知っているのかと。
「何で召喚の事を?」
「初日から有名ですよ?平民が召喚されたって」
人の噂はなんとやら、すでに学園中に広まっているらしい。才人は少し恥ずかしくなった。
「それに…下見中に自殺なんて縁起悪いの見たかないしね…」
「…?何か言いました?」
「いえっ何でも」
ここで才人はロングビルがなぜここにいるのか疑問に思う。
「ロングビルさんは?」
「私はっ(下見とは言えないし…)実は花を育ててまして世話に来ましたの」
「へぇ~お花?」
「ええ、今度『固定化』の魔法で保存して知人の女性に送ろうと思っていまして」
「それにしてもこんな時間に?」
「ええ、昼間は忙しいので(一応、嘘は…言ってねぇよ?…)」
せっかくだからとロングビルは才人を花壇まで案内して花を見せてくれた。
「これです。花の名前は……って言うんですよ」
「あっ……!?それなら俺の住んでたところにもある花ですよ!」
ロングビルはそのクールな表情を崩し笑顔を見せた。自分の育てた花に興味を持ってくれた事が嬉しかったようだ。
「へぇ~そうなんですか!この花珍しいんですよ。良かったら少し聞かせてもらえません?(わかるやついたのか!結構珍しい花なのに!)」
「そうなんですか!俺の住んでるところでは普通に売ってますよ!?」
才人がロングビルとの談笑で盛り上がっている時、突然空から獣の咆哮が轟く。
「なっなんだ!?」
「こっこれは!」
ロングビルの驚愕と同時に空から鳥の頭を持った四足獣が落ちてきた。地面に激しく叩きつけられ虫の息になっている。ロングビルが駆け寄り様子を見る。
「沿岸警備隊の騎士が乗るグリフォンです!何故ここに?!」
その騎士とやらは乗っていないようである。才人はグリフォンなど知りもしないがこの世界の生き物であることは分かる。しかし、グリフォンが紙切れをくわえているのを見つけ、ロングビルに渡す。それを読んだロングビルは顔を青くした。
「どうしたんですかロングビルさん!何が書いてあるんですか!?」
「海から巨大な生命体出現、トリステイン魔法学院へ向け進行中…」
才人は巨大な生命体である物を連想する。怪獣だ。青い顔でロングビルは重々しく口を開く。
「別のところからここに来た貴方は知らないでしょう…今このトリステイン、いえ、世界中にこのような巨大な生命体の報告があるんです。軍隊でも追い返すのがやっとの恐ろしい怪物…」
その時、グリフォンの咆哮が蚊の音に聞こえるような轟音が魔法学院に響き渡る。その主は地響きを上げ魔法学院の外壁から顔を覗かせる。
魚のような顔、半月上の大きな背ビレ、強靭な肉体を持つ巨体。
「深海怪獣レイロンス」
才人は見たこともない怪獣だったが、危険だという事だけは分かった。それ以上何も言葉が出ない。間近で見た怪獣はそれくらい存在感がある。ロングビルは才人に向かって言い放つ。
「早く非難を!他の生徒達に続いて!」
レイロンスの咆哮で飛び起きた生徒たちが、同じく飛び起きた教師の避難誘導を無視して『レビテーション』で逃げていく姿が見える。そんな中何人かの生徒はレイロンスに立ち向かおうと魔法を放とうとしていた。なんとその中に寝間着のルイズがいる。才人は慌てて駆け寄る。
「なっ何やってんだ早く逃げるぞ!」
「逃げるわけにはいかないわ!敵に後ろを見せない物を貴族と呼ぶのよ!魔法が使える者を貴族と呼ぶんじゃない!」
「貴族のプライドなんかどうした!死んだら終わりだぞ!」
「あいつを倒せばだれも私をゼロのルイズなんて言わない!」
才人はわからなかった「ゼロのルイズ」の意味もそうだが命を捨ててまで怪獣を倒した功績が欲しいのか、と。それを避難しようとしたロングビルの視界に写る。
「(なっ、クソガキどもっ!?)何してるの!早く避難しなさい!」
ロングビルが駆けよった時、レイロンスの口から生徒等に向けて放たれた高圧水流が寮の外壁を崩し才人たちの頭上に落ちてくる。
「「「うわぁぁぁーーー!」」」
この様子を避難誘導していたコルベールが目撃していた。駆け寄ろうとしたがオスマンに止められる。
「ミス・ロングビル!ミス・ヴァリエール!」
「いかん!危険じゃ!」
「しかし!」
オスマンはコルベールを離す訳には行かなかった。避難誘導がまだ終わっていないからだ。コルベールは泣く泣く避難誘導を続けた。
そんな時だった。レイロンスの目の前に巨大な光の柱が立ち上る。
「あっあれはなんだ!」
この日の事を見た人は後々こう語る。「双月に照らされる巨人を見た」と。
次回に続きます。ごめんなさい、ウルトラマンの出番少なくて。