ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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お待たせしました。続きです。時間中々取れなくて…(言い訳)

そう言えば、前回のワルド戦、才人に私の好きな漫画のキャラクターの技を使わせてたんですよ。気が付きましたか?


ゼロの使い魔~真心~第44 話

 ワルドとルイズは目を丸くして硬直している。それもそうだ。まさか才人が突然ウルトラマンコスモスに変身するなんて、誰も思いはしないだろう。

「…今まで黙っていてすまなかった。二人とも…むやみに正体を明かしては混乱を招くことになる。そう思って黙っていたんだ」

 コスモスはワルドの手を取ると肩を貸し助け起こす。そのままルイズの所までくると椅子に座らせる。

「ルイズ」

 コスモスに声をかけられルイズは思わず飛び上がる。

「ひゃいっ!」

 コスモスはルイズの手を取り、優しく包み込む。

「昨日の夜、ルイズの手を握り返さなかった事を許して欲しい」

「え?」

 ルイズは自分を悩ませていた事をコスモスが謝ってきた事に驚く。確かに自分はそれで苦しんだ。しかし、それをコスモスも苛んでいたとは思わなかったからだ。

「俺は…さっきも言ったが、人間とかの戦争には自分からは介入しないようにしている。その星に混乱をもたらすだけだからだ。だから…昨日ルイズの気持ちに答えられなかった」

 ルイズは心にかかっていた靄が少し晴れた気がした。握り返さなかった理由、それは自分に興味が無かったわけでは無い。ウルトラマンの使命故だったのだ。

「だが、俺は決めた。ラ・ロシェールを襲った怪獣、あんな兵器を作るような奴を放っておけない…それに…」

 コスモスはルイズとワルドの手を取る。

「ルイズ、ワルド、俺は君たちの力になりたい。共に戦いたいんだ」

 ワルドとルイズは顔を見合わせる。そして互いにこれまでのコスモスの戦いを思い出していた。イフェメラを守るために本気で人間に怒った事、ラ・ロシェールを守るために命をとして戦った事、謎の空間から助け出してくれた事…。

「「ウルトラマンコスモス」」

 ルイズとワルドは、示し合わせた訳でもなく声が重なる。

 

 

 

「「私たちと一緒に戦って下さい」」

 

 

 

 ルイズとワルドはコスモスの手の上に自分達の手を重ねる。コスモスは頷くと二人の肩を抱き寄せる。

「改めてこれからよろしく!ルイズ、ワルド!」

 ルイズとワルドは一瞬惚けるが、自然と笑みが零れる。先ほどまでの落ち着いていた雰囲気は何処へやら、コスモスは、いつも通りの才人の雰囲気に戻っていた。

「ふふっ!…よろしく!ウルトラマン…いえ、サイト!」

「ああ、これ程頼りになる人はいないよ!ウルトラマン…いや、サイト!」

 三人は笑い合った。ここまで来るまでの道のりは長かった。悲しい事が多かった。互いの大切な物の為にぶつかり合った。でも…今は分かり合い、共に歩んでいける。それだけで三人は嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなに上手く行くわけないでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然の謎の声に三人は慌てて振り向く。ここにはワルドとルイズ、才人、ウェールズ以外には誰もいないはずなのだ。この結婚式の事を知る者は他にいないはず…。

「驚きました。まさかあなたがウルトラマンだなんて」

 そこにいたのは背の高い青年だった。ワルドとルイズは全く見覚えのない人物の登場に戸惑うが、コスモスはその声に聞き覚えがあった。

「お前…あの時の伝令兵か!」

 ルイズとワルドも思い出す。昨日ウェールズの部屋に報告に来たあの伝令兵だ。

「あなたには失望しましたよ。ワルド子爵?」

 伝令兵は見下した目でワルドを見てくる。この状況を見て、この発言。三人の中で伝令兵の正体が分からない者はいなかった。

「お前、レコン・キスタか!」

 それならば納得がいく。コスモスも昨日、城内に潜入してワルドと接触していた人物を見ている。他に潜伏していた人物がいてもおかしくない。

「ワルド子爵?カプセルはお持ちで?」

 コスモスがルイズとワルドを庇うように前に出た時、伝令兵が突然ワルドに問いかける。コスモスとルイズは何のことか解らないがワルドは懐を漁ると、はっと驚いた顔をする。

「バカな!壊れてないだって!?」

 ワルドの手には綺麗な筒状のカプセルが握られていた。それには傷一つ付いていない。あれだけ激しい戦闘をしたにも関わらずに、だ。

「そうでしょうね。それは生半可な事では壊れないように作られています。安全対策にね」

 生半可、あれだけ激しかった戦闘を伝令兵は生半可と言った。このカプセルはどれ程固いのだろうか?コスモスが思った時、伝令兵は懐から赤いボタンのついた機械を取り出す。

「全く、半径五十メイルでしか反応しないなんて厄介ですね」

 コスモスは本能的に危険を察知、機械目掛け『ルナストライク』を放つが、着弾する前に押されてしまう。

「ぐっ!…ふふふ…残念。間に合いませんでしたね…」

 その時、絶叫が礼拝堂に響く。コスモスが振り返るとワルドがカプセルを持った手をおさえ、苦痛にのたうち回る姿が見える。

「ふふふ…ははっ…ハハハッ!見るがいいウルトラマン!我らが進化の奇跡を!」

 伝令兵は勝利の笑みを浮かべると、礼拝堂の出入り口から走って逃げだしていた。追いかけようにも、まずはワルドだ。二人は慌てて抱き起す。

「ワルドさま!ワルドさま!」

「ワルド!しっかりしろ!ワルド!」

 二人はワルドに必死に呼びかけるが、その顔色はどんどん青くなっていく。コスモスがワルドの手をこじ開けるとあれだけ硬かったはずのカプセルが割れていた。

「なっ、何だ!これは!?」

 そこには黄緑色の粘液がうごめいていた。只の液体という訳では無いようだ。それは少しずつワルドの手に染み込んでいくいく。

(あの機械は…これを開けるための…?)

 粘液は瞬く間にワルドの腕を侵食していく。ワルドは息を荒げながら叫ぶ。

「離れ…ろ!ルイズ!サイト!」

 ワルドは二人を突き飛ばす。満身創痍のワルドからは想像できない程の怪力、体が宙に舞う程だ。ルイズを抱きかかえ着地したコスモスはワルドに向き直る。

「待ってろ!今助ける!」

 コスモスは腕を頭上に掲げ光の粒子を集め、胸の前で腕を回し右腕に集中させる。

『フルムーンレクト』!

 コスモスが放った光はワルドの腕に入り込むが、何の変化も起きない。

「効かない!?」

 コスモスは何度も繰り返し『フルムーンレクト』を放つが効果が無い。コスモスはデルフリンガーにどうなっているのか問いかける。

(デルフッ!?)

 デルフリンガーは冷静に説明する。

(相棒、今まで浄化してきたのは相手の体の中にくっついてた悪い粒だ。だが、ありゃ違う。何か違うんだ!体から離れるのを拒んで耐えてやがる!訳わからねぇ!)

 コスモスにはにわかに信じられない事だった。細胞が意志を持って離れるのを拒んでいる?考えている間に徐々にワルドの体が膨張していく。

「…に…にげ、ろ…ル…イ…ズ…ルイ…ズ、ルイズゥゥゥッ!」

 叫ぶワルドがのけぞると、礼拝堂一杯にその肉体が膨れ上がる。コスモスはウルトラ念力で隠していたウェールズを持ち上げるとルイズを抱えて礼拝堂を飛び出る。

「ワルドさま!ワルドさまーーー!」

 ルイズが泣き叫ぶ中、ワルドはついにその面影を失い、六本の角、四本の爪、どっしりとした巨躯の怪物へとその姿を変えた。

 

 

 

 

「ギシャァァァッ!」

 

 

 

『異形進化怪獣・エボリュウ』

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!はっ!はっ!」

 伝令兵は礼拝堂の瓦礫から逃れるため必死に走っていた。巻き込まれて死んだ何て事になったら笑えない。彼は元はといえば真面目で、誠実なアルビオンの軍人であった。しかし、とある人物との出会いが彼を変えた。

「はっ!はっ!はっ!…任務遂行しました!」

 彼はニューカッスル城外にある、礼拝堂を見下ろせる丘まで来ていた。そこにいた彼を変えた人物に報告するためである。

「はーい♪待ってたわよ♡」

 彼を変えた人物…黒ローブの女性だ。黒ローブの女性は伝令兵の腕をとると、体を引き寄せその豊満な胸に顔をうずめる。

「保険で用意しといてよかったわぁ」

「え?」

「こっちの話」

 伝令兵はまだ二十代、この年になるまで女性とは交際した事は無く、穢れを知らない…天使だった。…だからこそだ、この出会いが彼を大きく変えたのは。

「約束は果たしました!それで…その…」

 伝令兵は顔を真っ赤にして黒ローブの女性に敬礼する。黒ローブの女性は怪しく微笑むと、自身の太腿を下から指でなぞり、そのまま乳頭までくると軽く弾く。

「分かってるわ、ふふっ!貰って欲しいんでしょう?…君の」

 伝令兵は唾を飲む。

「…え、えぇ…僕の…初めてを!」

 彼は黒ローブの女性の色香に惑わされたのだ。この気持ちが分からない男性の方が少ないだろう。こんな事の為に裏切りを?!…と、言うは容易いが…同じ立場になって、抗える者がどれ程いようか?

「えぇ、貰ってあげるわ…君の…」

 黒ローブの女性は伝令兵に体を絡めると、背中に手を回し密着する。

 

 

 

 

 

 

「イ・ノ・チ・♪」

 

 

 

 

 

 言うやいなや、伝令兵の目の前で黒ローブの女性の口が耳元まで裂ける。その光景はいきり立っていた伝令兵を瞬く間に縮こませる。

「え?」

 ずらりと並んだ鋭い牙、それは既に何かを咀嚼している。伝令兵が、それが自身の顔の左半分だという事に気が付く事はついぞ無かった…。すぐに残り半分も黒ローブの女性の口内に収まったからだ。

「ん~、美味しい♪…喰い殺されるなんて、『初めて』しかない特別な体験よ?『初めて』貰ってもらえて、良かったわね♪」

 黒ローブの女性は血で汚れた口元を拭うと岩の上にドカっと座り込む。伝令兵の体をつまみながら巨大化するワルドを眺めていた。

「…まだ実験段階なんだけど…いい結果が取れそうねぇ…ふふっ、期待以上だわ。ワルド子爵?」

 黒ローブの女性はほくそ笑みながら巨大化するウルトラマンコスモスを見つめる。

「お出ましね、ウルトラマン…さあ、どうなるかなぁ~♪」

 そう言うと、黒ローブの女性は取り出した伝令兵の心臓にかぶりついた。

 

 

 

 

 

 

 

 コスモスはルイズとウェールズを脱出穴の所に降ろすと、巨大化、エボリュウに向き直る。

(流石に脱出船は…行っちまったか…)

 今すぐに安全圏まで逃がせられない事に歯がゆい思いをするが、コスモスは過ぎた事だと思い考えるのを止めた。

(まずはワルドを助けないと!)

 迫るエボリュウにコスモスは掴みかかり、ルイズ達から遠ざけようと全力で押し返す。しかし、体に力が入らない。

「デアァ?(力が…?クソッ!ワルドとの戦いのダメージが多すぎたんだ…)」

 エボリュウは弱弱しいコスモスをはねのけ、その剛腕で叩き伏せる。コスモスは立ち上がろうとするが、剛腕が振りぬかれるたびに地面に沈む。

「ギシャァァァァ!」

 エボリュウが咆哮すると、右の腕から触手が生え、コスモスを打ち付ける。コスモスはエボリュウの後ろに転がり込み逃れるが、今度はその首に巻き付けてくる。

「デアァ!」

 どんどん締め付けてくる触手を振りほどこうとするが、無理をするとエボリュウ…ワルドを傷つけてしまう。コスモスは体を回転、触手を体に巻き付けながらエボリュウに接近、掌底を打ち込みのけぞらせ触手を外させる。

「ギシャァァァ!」

 エボリュウは触手を振り回しコスモスを捉えようとするが、コスモスはバク転、側転を繰り返し何とか逃れる。そうしながら右腕にエネルギーを溜めていく。

「コスモス!ワルドさまを助けて!」

 ルイズは戦いを見守りながら必死に声援を送っていた。その声で気絶していたウェールズは目を覚ます。

「う…うぅ…ここは?」

 目が覚めた途端に視界に入るエボリュウとコスモス、驚かないはずが無い。

「なっ!何がどうなってるんだ!?」

 ルイズはこれまでの経緯を説明する。才人の事も、ワルドの裏切りの理由も。ウェールズは悲しそうな顔をするが、ふっ…と嘲るように笑う。

「同じ立場なら、僕も同じことをしたよ。絶対にね」

 ウェールズが嘲たのは、恐らく自分自身だろう。ウェールズは大声を出してコスモスに話しかける。

「ウルトラマン!彼を助けてくれ!彼も僕と同じ、愛の為に全てを捧げられる男だ!」

 コスモスの耳には確かに届いていた。その応援がコスモスの戦う心に火をつける。

(当たり前だ!)

 コスモスは前に飛び込みながら前転、右腕で掌底を打ち込み、零距離で右腕のエネルギーを開放する。

『フルムーンレクト』!

 コスモスのエネルギーはエボリュウの全身を駆け巡る。しかし、やはり何の変化も起きない。ダメか、またも失敗したことにコスモスは焦りが生まれる。それがコスモスの反応を鈍らせた。

「ギシャァァァ!」

 突如としてエボリュウの両腕から放たれた電撃、『ライトニング・クラウド』と比べ物にならないそれはコスモスを駆け巡り、焼き尽くし、膝をつかせる。コスモスは立ち上がれず、もうダメか、と諦めかけた時、突如として轟音が響く。

「砲撃!?」

 ウェールズが大声を上げる。ニューカッスル城の遥か上空にいた『レキシントン号』がエボリュウ目掛け砲撃を行ったのだコスモスが後ろを見ると、レコン・キスタ軍が大挙して押し寄せてくる。コスモスとエボリュウの戦いで戦争どころではなくなったのだろうか?それとも…。

「既にアルビオン軍は全滅したか…」

 ウェールズは血が滴る程に唇を噛みしめる。最後の最後に指揮をとれなかった事が悔しいのだろう。そんな悔しがるウェールズの気を知る者はレコン・キスタ軍にはいない。しかし、エボリュウが危険だという事は分かるようだ。レコン・キスタ軍のメイジたちは次々と魔法を唱え、他の兵は大砲を打ち込んでいく。『レキシントン号』の砲撃も加わり凄まじい火力になる。

「ギシャァァァァァァァ!」

 エボリュウは苦しそうな声を上げる事は無く、むしろ怒りに震えているように見える。エボリュウは腕を振り回すと、狙いをつけずに電撃をばらまき無差別に攻撃する。

「うわぁぁぁ!」

 レコン・キスタ軍はこれだけで数多くの死者が生まれる。皆攻撃から逃れようとするが、巨大な雷から逃れるすべはなく次々に消し炭にされていく。ついには攻撃は『レキシントン号』にまで及び、二、三発掠る。それだけで船内で火災が発生。消火の為に『レキシントン号』は雲の中に隠れ、エボリュウから逃れる。

(クソッ!どうしようも無いのか!)

 コスモスはルイズとウェールズの前でバリアを張り守っていたが、その内にエボリュウが眼前に迫る。エボリュウは剛腕を振るいコスモスのバリアを破壊する。コスモスはエボリュウを抑えようとするが、簡単に弾かれてしまう。

「デアァ…(やべぇ…)」

 エボリュウはルイズとウェールズの目の前にまで迫ってきていた。二人は逃げ出そうにも恐怖で体がすくみ、動けなくなっていた。

「ギシャァァァァァァ!」

 振り上げられるエボリュウの左腕。二人はこれまで、と目を閉じる。コスモスが飛び込もうとするが間に合わない。左腕が、振り下ろされた。

 

 

 

 

「…あれ?」

 ルイズとウェールズはいつまでたっても自分たちが生きている事に疑問を覚える。何事かと思うとコスモスが視界に入る。コスモスは手を伸ばしながら茫然としているようだ。コスモスの視線の先…エボリュウをルイズは見上げてみる。

「ウソ…」

 そこには信じられない光景があった。

 

 

 

 

「グゥゥゥ…」

 エボリュウが振り下ろした左腕を、エボリュウ自身が右腕で抑えつけていたのだ。尚もルイズ達に迫ろうとする左腕にエボリュウは右腕の爪を食い込ませる。

「……ゥゥゥウガァァァァァ!」

 

 

ブチブチブチッ!

 

 

 ルイズは思わず声を上げる。何とエボリュウが自身の左腕を引きちぎったのだ。…何故?考えられる事は一つしかない。

(ルイズを守るため…?)

 コスモスとルイズは同時に気付く。

 

 

 

 

((ワルド子爵は生きてる!生きて怪物と戦っているんだ!))

 

 

 

 

 

 

 




続きます。突然のエボリュウ、でも黒ローブの女性からもらったカプセルが何もないわけないでしょう?
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