本文3000文字超える事が増えます。4000近くになるかも知れませんが、お付き合いお願い致します。
やっと変身します。
※話数直しました。重ね重ねお恥ずかしい。
瓦礫の中、才人は痛みではなく暖かいぬくもりの中で目を覚ます。自分は確かルイズを瓦礫から庇い覆い被さったはず。なのに体の下にはルイズ、上には柔らかい感触がある。すると上から何かが垂れて頬を伝う。真っ赤な血だ。
「だ…だいじょ…うぶか…い…」
「ろっ、ロングビルさん!?」
なんと才人の上にロングビルが覆い被さっていた。頭や頬、体の至る所から出血している。
「へへっミスっちまった…『錬金』が間に合…わなかった…よ…」
よく見るとロングビルの上の瓦礫が柔らかい材質の物に変わっている。しかし全ては変えられずいくつか瓦礫が体に刺さっている。
「そ、そんな、何で!」
才人の涙声の問いにロングビルは笑って答える。
「な…んで…ハハッ、なんでかね…あたしもヤキが回ったか…いや…」
ロングビルは息を整えて話し出す。
「あんたが…「あの花」を好きっ…て言ってくれたから…かな?あの花はあたしに初心を思い出させてくれるいい花だ。だけど珍しくてね…誰も知りゃしない…」
「だから…」とロングビルが笑顔で言う。
「嬉し…かった。理…解してくれ…る人が…いただけ…でっ、そういえば…あんた」
「えっ」
「名前……聞いて…無かっ…たねぇ…最後に…教えてく………」
そこでロングビルは意識を失った。才人の頬を涙とロングビルの血が伝う。才人にとってロングビルはほんの少し話しただけ、気が合っただけの相手だ。しかし、異世界で初めて気の合った相手だ。
「しゃべり方…そっちが素なんですね…そっちの方が頼りになる感じで…いいな…」
才人は涙を拭い、決意を固める。
「名前、絶対教えてあげます。助けますよ、絶対に。絶対に絶対に絶対に!」
才人は自分の内にすさまじい力が沸き上がってくるのがわかる。あのウルトラの父は夢じゃない。現実だった。後は少しのきっかけさえあれば、と才人が考えた時…
「瓦礫の隙間から…光が…」
それは双月の光だった。才人の伸ばした手に光が触れた時…
奇跡が、起きる。
「モンモランシー!こっちだ!」
ギーシュ・ド・グラモンは恋人モンモランシーの手を取りレイロンスから逃げていた。
「ちょっと、ギーシュ!強く引っ張りすぎよ!」
そんな時、青く輝く光の柱が二人の後ろで立ち上る。
「「あっあれは!」」
光の柱の中から月光のような美しい青い体を持つ巨人が現れた。
才人は己の変わった姿に心底驚いていた。
(なれた…ウルトラマンに…)
その体はウルトラマンヒカリのように青い体、才人が知る限り見たことのない特徴的な形のカラータイマーしかし、全身のシルエットは変わらない。才人が知る「あのウルトラマン」だった。
「デュアァァ!」
才人は飛び上がると外壁から顔を覗かせるレイロンスに飛び掛かり一気に学院から遠ざける。レイロンスは驚きの混じった鳴き声で威嚇するが才人は意に返さずレイロンスを押し倒し連続でチョップを叩き込む。
「デュア!デュア!デュア!」
「キュオーン!」
レイロンスはたまらず苦痛の叫びを上げる。しかし、レイロンスもやられてばかりではない。巨体から繰り出されるパワーで才人を押し返し逆にのしかかる。
「デュアァァ!?」
レイロンスは巨体を少し上げるとまたのしかかりを繰り返す。そこで押し潰す寸前才人の拳が腹部に突き刺さり自身の体重も合わさりレイロンスは大ダメージを受ける。
「デュアアァァ!!」
才人はレイロンスの大きな背ビレを掴んで一気に背負い投げをして地面に叩きつける。叩きつけられたレイロンスは悶えるが光線や高圧水流を乱射しながら立ち上がる。数発が直撃し才人は学院の壁に叩きつけられる。
「キュオーン!キュオーン!」
レイロンスは勝ち誇った鳴き声を上げるがその隙に立ち上がった才人にタックルを受け押し倒される。馬乗りになった才人は次々とパンチを繰り出す。
(これはルイズの分!)
ドゴォ!
(これは沿岸警備隊の人たちの分!)
ドゴォ!
(そして、ロングビルさんの分だぁ!)
ドゴォォ!!
「キュ…ーン…キュオー…ン」
レイロンスはダメージで動けないでいる。怒りから解放され冷静になった才人は止めを刺そうとしたところで手が止まる。レイロンスの鳴き声が酷く苦しく悲しそうに聞こえたからだ。
(このまま…殺してしまっていいのか?)
地球に来たウルトラ兄弟は怪獣たちを退治してくれていた。だが、時には怪獣を助ける事も多かった。全ての怪獣が悪という訳ではない。
(この怪獣は現れてから別に誰にも危害を加えていない…俺たちを攻撃した時だって先に攻撃したのは俺達だ。沿岸警備隊の人たちも先に攻撃したから、応戦しただけなのかも…)
その時、レイロンスの口から泡が一つ才人に向かって放たれた。それは毒泡で才人に少しダメージを与える。だが、才人が受け取ったのは痛みでなくレイロンスの記憶だった。
(これはこの怪獣の記憶?!)
どこかの川、何かが泳いでいる。川から顔を出すと大きな建物が見える。この世界の工場だろうか?そこから流れ出る虹色の水、それに触れた時全身を切り裂く痛みが襲う。
(これもウルトラマンの力…?それにしても、この怪獣…元は普通の魚なんだ!それが人間のせいで…)
戦いを止めた巨人に見ていた学院の生徒たちははやし立てる。「なにやってんだ!」「早く倒せ!」「殺しちまえ!」
(いや、そんな事…出来ない!ウルトラマンの力よ!)
才人は優しかった。自分の身近な人を傷つけ怪獣にも助けたいという感情が湧いて出ていた。
(この怪獣を救う力を!俺にくれ!)
才人が両腕を頭上に広げると双月の月光が光の粒子となり才人の腕の中に集まる。胸の前で円を描くように腕を回し光の粒子を全て右腕に集中する。
「デュアァァァ!(いっけええぇぇぇ!)」
才人が突き出した右腕から放たれた光はレイロンスを包み込みその体を浄化、元の魚の姿に戻す。
(さっもう変なのに近づくなよっ)
才人はレイロンスを光の粒子で包み込み近くの川までウルトラ念力で送り出す。その時、これまでの様子を見ていた学院側から歓声が上がった。それを聞き届ける事無く才人は空高く飛び上がった。
翌朝、トリステイン魔法学院では怪我人の手当てが行われていた。怪我人と言っても自らの功績に先走った者のみである。それと同時にルイズとロングビルの救出活動も続いていた。指揮をとるコルベールは大声を張り上げる。
「急いでくださーい!一刻を争います!」
そんな時、瓦礫が突如崩れ去る。慌てて周りの人間が離れると瓦礫の中から才人が立ち上がる。ルイズを背負い、ロングビルを抱きかかえて。
「おおっ!君は使い魔の!おーい直ぐに救護班を!」
駆け付けた救護班にルイズとロングビルを預けるとコルベールは才人の手を握る。
「ありがとう!おかげでミス・ヴァリエールもミス・ロングビルも助かるよっ」
「そっか、助かるか…良かった…」
才人の疲労もこの瞬間頂点に達し、その場に倒れてしまった。
数十分後、ロングビルは救護テントの中で目を覚ました。何があったかを徐々に思い出し、旋律する。
「やばかった…もう直ぐ死んじまうところだった、ったく、こんなところで」
そこへロングビルの声が聞こえた才人がやって来る。
「ロングビルさん!目が覚めましたか?!」
「貴方は!、そう、無事だったのね」
「ええ、ロングビルさんのおかげでっ!ありがとうございます。二回も助けてもらっちゃって」
「そう」とロングビルが言うと立ち上がろうとする。
「なっ何してるんですかまだ動いちゃっ駄目ですよ!」
「大丈夫よ、それより少し歩かない?」
「へ?」
才人はロングビルに連れられ再び花壇まで来ていた。それまでにロングビルが意識を失った間の事を才人は伝えていた。
「巨人ねぇ…」
「ええ、俺の世界ではウルトラマンて呼ばれてます。無敵のヒーロー、ですよ」
その無邪気な笑顔にロングビルは笑みが零れる。
「ふふっ大好きなのね、ウルトラマン」
「ええ!」
才人の即答にまた笑みが零れる。
「それにしても不思議ね、意識は無かったはずなのにそのウルトラマンに助けられたっていう感覚があるわ…そういえばミス・ヴァリエールは?」
「まだ寝てますよ、っていうか寝すぎだ寝すぎ!…あっ!そうだ!」
才人は思い出したようにロングビルに言う。
「俺、平賀、平賀才人!よろしくねロングビルさん!」
「え?」
「名前教えてって言ってたじゃないですか」
「えっあ、あぁその事ね!?(覚えてたのかよ!てことはあたしの話し方も…!)」
「それにしてもロングビルさんの素の…」
ロングビルは慌てて話題を逸らそうとする。あたふたと悩んだ末ウルトラマンの話題が才人の食いつきが良いことを思い出す。
「そう!そうよ、名前、あのウルトラマンの名前ってあるのかしら?」
「名前?」
才人はそう言われて思い出す。そういえば自分が変身したウルトラマンには名前が無い。ロングビルには「セブン・エース・タロウ」というウルトラマンの個別の名前があることを伝えていたからこその疑問だと才人は思った。
「そうだっ!俺達でつけましょう!名前!」
才人の提案にロングビルは目を丸くする。
「いいんですか?勝手につけて?」
「僕たちだけの呼び名ってことで」
その時二人の視線は同じものに注がれていた。この怪獣騒動で瓦礫の崩壊に巻き込まれなかった花壇の花に。
「花言葉は「真心」人としてとても大切なことです」とロングビル
「今回ので被害が無いのもあやかれますね」と才人
今この瞬間この世界におそらく一人であろうウルトラマンの名前が決まった。
重なる二人の声
「「ウルトラマン コスモス 」」
次回に続きます。
ウルトラマンの名前、ロングビルの扱いには賛否両論あると思いますが、才人が今後どうなるのかをお楽しみ頂きたいと思います。