ゼロの使い魔~真心~   作:へドラ2

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続きです。今回はキュルケが結局どういう所に落ち着いたかを書きます。まぁ暫くは平和が続きますよ。…たぶん。(でも今回閲覧注意です♪)


ゼロの使い魔~真心~第51話

 黒ローブの女性は『レコン・キスタ軍』の兵士を連れてニューカッスルの戦場跡へとやってきていた。目的は一つ、ウェールズ皇太子の死体だった。

(…ウェールズ皇太子の死体が無い?)

 かつての名城、ニューカッスルは瓦礫の山になり無残に焼け焦げた死体が転がっている。しかし、レコン・キスタ軍の完勝…という訳では無かった。死傷者四千人の大損害を受けたのである。最も、半分はエボリュウの攻撃によるものだが。

(百倍以上の敵に対して、自軍の十倍以上の損害を与えた戦い…俗に言う、伝説の戦いっていう奴ね…まぁ、全滅してちゃ意味無いけど♪)

 黒ローブの女性は死体や瓦礫をどかしながら、コスモスとエボリュウの戦いを思い出していた。

(ウルトラマン、最後に諦めてエボリュウ普通に殺してたわよね?ってことは、ワルド子爵も死んじゃったはず…よね?…あーっ!もう!途中食べるのに夢中になって見てなかったのよね…)

 そう。黒ローブの女性は途中、伝令兵の内臓にむしゃぶりついていて見ていない時があったのだ。そこを境にウルトラマンがそれまでの受け身から一転、攻勢に移っていた。そこが唯一モヤモヤする所だった。

(あの間に何かあったんじゃないかと思うと、モヤモヤするわぁ~…)

 レコン・キスタ軍の兵士達にも探させているが、どれだけ探しても見つからない。死体を確認してこそ、確実にウェールズ皇太子が死んだと言えるのだが、見つかるのは全て焼け焦げた死体ばかりだ。

(顔も分からなくなるくらい燃えちゃったのかしら?…死体になってこそウェールズ皇太子には利用価値があるっていうのに…)

 そんなふうに考えていると、兵士たちから歓声が上がる。どうやら、死体から金品を剥ぎ取っては大騒ぎしているようだ。中には金品を飲み込んでいないかと、死体を切り裂いてまで探している兵士までいる。

(全く、あれが同じ人間にする事かね…?酷いもんだ…本当、人間ってのは愚かで、醜くて、汚らしくて…)

 黒ローブの女性は両手で頬を抑え、恍惚な表情を浮かべ体をくねらせる。

 

 

 

 

 

 

(…美味しそう♪)

 

 

 

 

 

 

 

 黒ローブの女性は今にも兵士達に食らいつきたい衝動に駆られるが、すんでの所で踏みとどまる。

(ダメダメッ!今は只でさえ先の戦いの被害のせいで人手が足りない時なのよっ!これ以上のつまみ食いはダメよっ!)

 …つまみ食いしていた事が既にあるようだ。黒ローブの女性は一人頭を抱えていると、後ろから兵士の一人に声を掛けられる。

「ミスッ!我らが同志、オリヴァー・クロムウェルが到着いたしましたっ!」

 黒ローブの女性は呼ばれると顔を引き締め、「すぐに行くわ」と伝えると兵士の後について行く。白毛の美しい馬が引く大きな馬車の荷台、そこから快活な声が聞こえる。

「やぁ!ミスッ!久しぶりだねっ!」

 黒ローブの女性は馬車の中に入ると、窓から一人のメイジに『サイレント』の魔法をかけるよう伝える。

「大事な話があるから、お願いね♪」

「はっ!」

 ドアと窓をしっかり施錠すると、黒ローブの女性はクロムウェルに向き直ろうとする。瞬間、軽い衝撃が黒ローブの女性の腹部に走った。同時に黒ローブの女性はあきれ顔になる。

「うわ~ん、会いたかったよ~んっ!ぼくちゃん、ちゃみちかったんだぞ~っ!」

 抱き着いたのは何と、オリヴァー・クロムウェルだ。黒ローブの女性の腹部に何度も顔をこすりつけてくる。

「も~う!予定の日になっても帰って来ないからぼくちんぱいしたんだぞっ!」

 …これが良い年した男の言動だろうか?世の中に誰一人としてこういう人物がいないと断言するという訳では無いが。黒ローブの女性は一つため息をつくと、クロムウェルの頭を優しく抱きしめる。

「ふふふっ!ごめんね~?そんなに心配してくれたの~、ありがと~♪私も寂しかったのよ~っ!今日はいっぱいギューギューしてあげるからね~♪」

 クロムウェルは馬車の中で黒ローブの女性を押し倒すと、上着を脱がせ息を荒くする。

「ねえねえ!今回の作戦、首尾はどうだった?」

 黒ローブの女性は笑顔でクロムウェルを抱きしめ、その豊満な胸で挟み込む。

「う~ん、少し狂っちゃったけど、何とかなりそう!大丈夫、私にまかせて!私たちが力を合わせれば必ずこの星を手に入れられるわ♪」

 クロムウェルは上機嫌になると、その体にノイズが走る。それを見た黒ローブの女性は明るくクロムウェルに語りかける。

「あら?外に音は漏れないし、見られる事も無いわ。無理に姿を変えなくていいわよ~?♪」

「それもそうだね!」

 クロムウェルはそう言うと顔の前で両腕を交差する。その瞬間、体はクロムウェルの姿から一変。銀色の鎧のような体に尖った頭、紫色の肉体を持った異形に変わる。

 

 

 

 

 

 

『悪質宇宙人・レギュラン星人』

 

 

 

 

 

「は~疲れた~っ!人間の恰好ってホントにカタッ苦しいんだよね~」

 そう言うとレギュラン星人・クロムウェルは背筋を伸ばし大きく伸びをする。腰を捻って音を鳴らすと、クロムウェルは改めて黒ローブの女性に覆い被さる。

「君がくれたこの『アンドバリの指輪』!すごいね、このマジックアイテムっ!これのおかげで人間共『虚無』を信じて疑わないんだよ!」

 黒ローブの女性はほくそ笑む。どうやらクロムウェルは上手くこちらの指示通りに役をこなし、人望を得られている様だ。まさに黒ローブの女性の思惑通りだ。

「君の戦闘力と情報収集能力、そこに僕の知略と演技力が合わされば出来ない事は無いっ!」

 黒ローブの女性はクロムウェルの楽しそうな言い方に軽く苛立ちを覚える。

「んっ!そっ、そうね…(…ガバガバの作戦しか立てられないくせに…っ!まったく、最後に作戦の粗を埋めてるのは誰だと思ってんのよ…)」

「あっ、そうそう」

 黒ローブの女性の上でクロムウェルは何かを思い出したのか、動きを止めずに何処からか書類を取り出し黒ローブの女性に読んで聞かせる。

「ガリアから一人女の使者が来たんだよ。何でも、サハラで学んだエルフの技術を提供しに来たらしいんだ。何でも、大砲の技術でね?この星の平均的な大砲の1.5倍の射程が有るらしいよ?でもさ~、その程度でふんぞり返ってるんだよ?あの女?」

「んっ、ん、ガ、リア?」

 黒ローブの女性は軽い衝撃に突き上げられながら、ガリアという国について考えを巡らせる。

(ガリア…そう言えばレコンキスタを作る時に金銭的に利用した国ね…んっ、ん…そう言えばこっちのやる事に色々注文つけて来てるのよね…なるほど、見張りっていう訳ね。レコンキスタがガリアの奴らの思い通りに動いているかどうかの……あっ、ん……)

「しかもぼくちゃんの側近にしろだなんて欲張りなんだ!」

 黒ローブの女性は少し息を整えると、クロムウェルの耳元で囁く。

「んあっ!、だ、大丈夫。ある程度中に潜り込ませてあげないと、あの国に不信感を与えてしまうわ。この星を手に入れるたっ、為に…不審な行動は禁物よ…あぁっ!…技術も上手く使わせてもらいましょうっ!不自然すぎて他の勢力に疑われると厄介よっ!(特にウルトラマンに)あんっ!」

 クロムウェルは囁いた後の黒ローブの女性の反応に気を良くしたのか、動きを激しくする。

「そうだね!僕の星の武器を知能の低い人間共に使わせる訳にもいかないし。かといって鋼鉄魔獣も使いすぎる訳にはいかない。なるほど、いい案だっ!流石だよっ!」

 黒ローブの女性はクロムウェルの動きに合わせると、腕をクロムウェルの背中に回す。

「あっ!(そうそう、あんたは私の言うとおりにしてればいいのよ…あまりの無能さに故郷の星から追い出された哀れな目立ちたがり屋…まぁ、その分私から敵の目を逸らさせるのに最適なんだけど♪)」

 その時、黒ローブの女性はクロムウェルを抱き寄せると眉をひそめ、顔をしかめる。

「んあぁ!(……唯一の懸念事項はウルトラマンに鋼鉄怪獣の存在を知られていて、尚且つ弱点を見破られている事ね…一応、対策を講じたけど…それを破ってくる可能性が高い。何せ相手は『あのウルトラマン』なんだもの…油断できないわ…)」

 黒ローブの女性は、次にウルトラマンと戦う時は全力で戦わないとこちらがやられてしまう。そう、覚悟した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな中、黒ローブの女性はふとため息をついた。いくら利用する為とはいえ、自らの目的を果たすためとは言え、『男を立てる』事がこんなにもめんどくさいとは考えていなかったからだ。正直言ってどんな任務よりも、どんな懸念事項よりも、クロムウェルを立てる事がめんどくさい。めんどくさすぎる。

(女は我慢よ…我慢っ!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 王宮から帰った翌日、才人は朝早く目を覚ます。これはいつもの習慣だ。ルイズが顔を洗うために洗面器に水を張り用意するのだ。

「ん?」

 しかし、才人は不思議な事に洗面器を見つけられない。旅立つ前に置いておいた場所に無いのだ。何処だろう?そう思って部屋を見渡した時、絶対にあり得ない異常な事に気が付く。

「ルイズがいない?」

 普段この時間絶対に起きることの無いルイズが起きている?そんなバカな。確かに旅立ちの朝には早起きしていた。しかし、旅の間はルイズの起きる時間は普段とあまり変わらなかった。

「ルイズ何処だ!ルイズッ、ルイズーー!?」

 もしや、ルイズの身に何かあったのか?心配になった才人は部屋を飛び出そうとするが、それより先に部屋のドアが開き、既に着替えを終え制服姿のルイズが入ってくる。

「何よ朝から騒いで?」

 才人は思わずルイズに飛びつき何があったのか問いただす。ルイズは戸惑いながら説明を始める。

「いやぁ…私もね、一人で起きれなくっちゃダメかなって…何でも使い魔にやらせっぱなしという訳にもいかないでしょ?」

 ルイズは何を言っているんだ?才人はルイズの異常な発言に耳を疑う。

「どうした、ルイズ?まだ体調が良くないのか?熱でもあんのか?お前がそんな身の回りの事を自分でやろう何て…よく着替えの場所覚えてたな?」

 ルイズは言われて顔を真っ赤にする。

「どーいう意味よ!何でもかんでもやってもらわなきゃ出来ない訳じゃ無いわよ!」

 才人は呆然とする。ルイズに一体どんな心境の変化があったのだろう?確かに昨日までの旅は人の考え方、人生観を変えてしまう、悪く言えば狂わせる程の物だったろう。しかし、ここまでか?才人は疑問符が絶えない。

「じゃ、じゃぁ洗濯物出しとけよ…後で洗濯しとくから…」

 才人はそれしか言えなかった。というか、それしか言葉を出せなかった。目の前のルイズの変化に戸惑いが隠せないのだ。しかし、ルイズの返答に才人はまたも戸惑い、今度は腰を抜かしてしまう。

 

 

 

 

「洗濯ならもうしたわよ?」

 

 

 

 才人は目の前のルイズが偽物なんじゃないかと疑いたくなる。こんなにも自分の身の回りの事を積極的に行うなんて、ルイズらしくない。

「そっ、そう…か」

 才人は戸惑う事しか出来ず、ルイズを気まずそうに見上げている。その視線に気が付いたルイズは顔を赤くすると才人の手を取る。

「ほっ、ほらっ!朝ごはん食べに行くわよっ!?」

 才人はルイズに促されるまま後をついて行く。才人はルイズに言い表せぬ不気味さを感じながら、後について行くしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人は食堂までやって来たが、いつもより人がいない事に気が付く。食堂の入り口には立ち入り禁止の札がかけられており不気味な物静かさに包まれていた。

「あれ?今日は食堂使えないのかしら?」

 才人も分からず不思議そうにしていると、後ろから懐かしい声に呼び掛けられる。

「才人さ~ん、ミス・ヴァリエールッ!朝食はこちらですよっ!」

 二人を呼んだのはシエスタだ。才人は久しぶりの再会に喜ぶが、ルイズは少し不機嫌そうになると二人の間に入りシエスタに説明を求める。

「べたべたしない!で、どういう事!?」

 シエスタはきょとんとした顔をしている。

「ミス・ツェルプストーから何も聞いてないんですか?」

 才人とルイズは顔を見合わせるが、詳しくは本人から聞くようにシエスタに促され二人は中庭に連れて行かれる。中庭には簡易的な食堂があり大勢の生徒が集まっていた。その中にキュルケを見つけた二人は詳しい事情を聞いてみる事にした。

「お~い!キュルケ~?」

 キュルケはチグリスを膝の上に乗せ一緒に食事をとっていた。が、チグリスが中々食べようとせず悪戦苦闘していた。

「あらサイトッ!ちょうどいい所に!チグリスが全然食べてくれないのよ~、何か分からない?詳しいでしょ?」

 チグリスは口を開こうとせず、イヤイヤと首を振っている。アストロモンス、口、才人は直ぐに気が付きキュルケからスプーンを預かる。

「アストr…チグリスはここが口なのさ」

 そう言うと才人はスプーンをチグリスの腹部に入れる。するとチグリスは嬉しそうに食べ始める。

「「へ~、あなたそこが口なのね!」」

 キュルケとルイズは物珍しさに沸いているが、才人は一人気まずそうな顔をする。

(超獣まるまる一匹丸飲みに出来るとは、言えねぇよなぁ…)

「あぁそう言えばキュルケ?あんた食堂使えない理由知ってる?」

 ルイズはチグリスを撫でているキュルケに気になっていた事を聞いてみる。キュルケは屈託のない笑顔で二人に向き直る。

 

 

 

 

 

 

「あ~!食堂ね。私が殺した汚物共がまだ埋まってるのよ」

 

 

 

 

 

「「…え?」」

 二人はキュルケの発言に凍り付く。…殺した?…キュルケが?

「だって、汚物共はフレイムの仇よ?あんな物を生かしとく理由はないわっ!それに、汚物共はあたしを見捨てるような奴ばかり…生きていていいのはサイト、貴方だけよ。他の汚物はいらない。そう、貴方だけっ!」

 わざとだろうか?キュルケは笑顔で楽しそうに話している。才人にはそれが作り物の笑顔では無く心からの笑顔である事に気が付き背筋が凍る。

「サイト、貴方にはとっても感謝してる。貴方がフラワーセラピーを進めてくれなかったら私はチグリスと出会えなかった…心の底から、感謝してる」

 その時、キュルケの目から感情が消え、口元だけに笑みが残った。優しくチグリスを撫でる様子が不気味でならない。

「ありがとうサイト、貴方はあたしの『ウルトラマン』よ」

 

 

 

 

((怖っ、え、あっ!?怖っ!?))

 

 

 

 

 「また後で」と言いそそくさとキュルケの側を離れた二人はひそひそと話しながらルイズの朝食が用意されている席に向かう。

「ルイズ?俺怖いよキュルケってあんなんだったっけ?」

 ルイズは恐ろしそうに首を振る。

「あれ全然大丈夫じゃないわ…確かに男が平気になってるけど、あれは絶対、ダメな方」

 才人はフラワーセラピーが効果があって嬉しかったが、キュルケの変化が大きすぎた事への違和感が晴れない。

(人は変わりゆく物…だとしても変わりすぎじゃないか?…これ…)

「ほら、座んなさい」

「あぁ、ありがと…ぇ?」

 才人は変な声が出てしまう。ルイズは早く座るよう促すが、本来そこに座るはずのマリコルヌが抗議の声を上げる。

「おい、ゼロのルイズっ!そこは僕の席だぞ!お前の使い魔ごときを座らせる何てどういうつもりだっ!」

 ルイズはマリコルヌをキッと睨みつける。

「座る所が無いなら椅子を持ってくればいいじゃないの」

 才人は茫然としていた。何だこのルイズの態度は?昨日、急いでいたとはいえ才人の事を頭を下げてまでマンティコア隊から庇おうとしたり、それまで才人にやらせていた身の回りの事を自分でやったり…。

「ルッ、ルイズ…ルイズ?お前も頭大丈夫か?」

「大丈夫よっ!」

 ふとっちょのマリコルヌは自分が無視されかけている事に腹を立てたのか、ルイズの胸倉に掴みかかる。

「ふざけるな!平民の使い魔を座らせて、僕が椅子をとりに行く?そんな法は無いぞ!おい使い魔!その場に這いつくばれ!ここは貴族の食卓だぞ!」

 マリコルヌは正直なところ、才人を舐めていた。ギーシュを倒した?そんなの偶然さ。フーケを倒した?『破壊の杖』があったからだろう?そんな奴がゼロのルイズと一緒に調子に乗っている。というふうにしか見ていなかった。

「っ!待って落ち着いてサイトッ!」

 ルイズは自分が掴みかかられているにも関わらず、才人に落ち着くように言う。それと同時にその一帯から生徒や使用人が慌てて離れていく。マリコルヌは何事だと周りを見渡すと、ひそひそと話す声が聞こえる。

 

「確かあの使い魔…マンティコア隊の隊長を倒したんじゃ…」

 

「俺は一人でマンティコア隊を全滅させたって聞いたぜ…?」

 

「俺は…」

 

 どうやら既に昨日の事が噂になっている様だ。マリコルヌは「まさか…」と思っていたが、突然両手に激しい痛みが走りルイズから手を離してしまう。

「いだっ、ギャァァァァッ!?」

 マリコルヌは何事かと自身の手を握りしめる相手を見ると、それは才人だった。必死に笑顔を作ろうとしているのだろうか?頬が痙攣しているが、目は、笑っていない。

「女の子に暴力はダメなんじゃないかな?」

 極めて明るい、優しい声。しかし、顔は笑っていない。マリコルヌは必死に腕を振りほどこうとし、才人とルイズに罵声を浴びせ続ける。が、ルイズは構わず才人に抱き着く。

「お願い止めてっ!落ち着いてっ!私は大丈夫だから、怪我とか何もしてないから!」

 才人は必死に叫ばれハッとする。また自分はやってしまった。最近自分は怒りっぽすぎるなとマリコルヌの手を離す。その瞬間、マリコルヌの拳がルイズに当たる。

「痛っ!?」

「あっ!?」

 マリコルヌは才人を狙ったんだろう。しかし、がむしゃらに振り回していた手が偶然ルイズに当たってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 それが…まずかった。

 

 

 

 

 

 

「ごめん、ルイズ」

「気にしない方がいいわ。悪いのはマリコルヌだもの」

 二人は並んで座って食事をしていた。才人は結局、ルイズが急に態度を変えた理由は分からなかったが。その一方で、ルイズは顔をしかめていた。

(やっぱり才人『私を守る』っていう事に敏感になってるみたいね…無自覚かもしれないけど…)

 ルイズはちらりと才人を横目で見る。

(やっぱり…サイト…人間にしか見えない。でも、本当はウルトラマン何て…誰が分かるって言うのよ…そう…誰が分かるって言うのよ!)

 ルイズは胸が苦しくなり、締め付けられるような感覚に襲われる。ルイズはそれが何か直ぐに分かった。自己嫌悪だ。

(着替えに…掃除に…洗濯に…食事は、床で…?私は誰に、何てことを!この世界を、トリステインを、姫様を守ってくれていた『あのウルトラマン』にそんな事をやらせていたの!?『あの』!?『あのウルトラマン』に!?この世界の英雄に!?)

 ルイズは才人に正体を明かされてから『才人はウルトラマン』という事が頭から離れずどうしても気を使ってしまっていた。しかし、アルビオンから帰ってきた翌早朝、何故か早起きしてしまったルイズはとんでもない事に気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 自分の部屋で、ウルトラマンが藁の上で眠っている。

 

 

 

 

 

 

 

(ああああぁぁぁぁぁぁぁっ!)

 ルイズは自己嫌悪で潰れてしまいそうだった。勿論、才人はこんな事気にしないだろう。だからこそ、ルイズは苦しかった。自分が今までして来た事が何一つとして許せなかった。才人は終始不思議がっているが、ルイズはあまりの恥ずかしさに言い出せないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追伸・マリコルヌは、もう二度と女性に手を上げないと誓うまで殴られ続けたらしい。

 

 

 

 

 




続きます。才人が段々切れる若者みたいになってきています。犠牲になる人がかわいそうです。(じゃ書くなよ)
さて、クロムウェルを出しましたが…黒ローブの女性と何をしていたかって?口にしてはいけません。これ絶対。
ルイズの変化、このくらいが普通?だと思います。半ば奴隷扱いの相手が実はウルトラマンだった。もうね、手のひらクルーですよ。



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