それでは始まります。今回も長いです。
レイロンスの事件から二日後、才人は学院の教室の片づけをしていた。何故か、ルイズが原因である。
「ゼロのルイズってのはこういう意味だったのか…納得だぜ…」
ルイズの叱責が飛ぶ。
「うだうだ言ってないで手を動かす!」
こうなった経緯は数時間前に遡る…。
才人は前日「明日から授業が再開される日だから早く起こしてね!」とルイズに言われていた。言いつけ通り早く起こそうとした。が…。
「後5分~」
この調子である。かれこれ15分、これでは遅刻する。才人は思い切って大胆な行動に出てみる事にした。
「お!き!ろ~~~!」
ガバァ!と布団を引っぺがす。
「きゃぁ~~!さむ~~い!」
才人は俺を藁で寝かせて自分は暖かい布団で寝ているくせにと思いカチンとくる。
「何が寒いだ!起きろ!遅刻だぞ!」
「え?もうこんな時間じゃないの!?なんで早く起こさないのよ、バカ犬~~!」
「さっきからずっと起こしてるよ!ほら着替えろ!」
才人はあっという間にルイズを着替えさせる。その手際の良さにルイズは驚く。
「きゃっ、あんた人を着替えさせるの早いわね」
確かに才人も初日はドキドキした。女の子を着替えさせる?俺が?目の前で無防備になる美少女。やらしい妄想が広がる光景。しかし才人は1日目にしてとある考えに至った。
「や、だって子ども着替えさせてるのとあんま変わんねえし?」
「誰が幼児体型だコラぁ~!」
そんな風にして騒ぎながらも着替えを済ませて部屋を出ると先日の使い魔召喚の時ルイズをからかっていた褐色肌の女性と鉢合わせた。メロンのように大きいそれがルイズと対照的である。
「おはようキュルケ」
「おはようルイズ、あなたの使い魔って、それ?」
朝一番から才人をバカにしてくる。
「…そうよ」
「あっはっはっ!ドッキリじゃなくてほんとに人間なのね!すごいじゃ…あっはっはっ!」
「うるさいわね」
「しかも、その平民に助けられて…なっさけなぁ~い!」
ルイズの顔が悔しさと怒りで歪む。それを意にかえさずキュルケは才人を見つめる。
「あなた、お名前は?」
「平賀才人」
「ヒラガサイト?変な名前」
キュルケは言うだけ言うと颯爽と去っていった。行ってしまうとルイズの堪忍袋の緒が切れる。
「きー!くやしーー!」
才人は少しだけため息をついた。
「わかったから、急げよ…」
「何これ?」
「何って、餌よ?」
食堂にて才人に渡された朝食は申し訳程度に色のついたスープ、真っ黒に焦げた失敗にしか見えないパン一切れだった。
「あれは?」
「生徒の」
テーブルに並べられたのは大きな鳥のローストにワインやらリンゴパイやら、なんやらかんやら。
「昨日の非常食の方がましだぜ…」
「食べさせてもらえるだけ感謝しなさい」
そう言うとルイズは美味しそうに食事を頬張る。
「ありがとよ…うれしくて涙が溢れますよ、まったく…」
教室は大学の講義室のようになっている。ルイズと才人が入るとくすくすと笑いが起きる。その中には男子に囲まれたキュルケもいた。まるで女王のように祭られている。
「凶悪宇宙人・おっぱい星人だなありゃ」
「何か言った!?」
「いえ別に」
少しすると教師の女性が入ってくる。
「皆さん、あの事件で犠牲者が出ず今日この日を迎えられ嬉しく思います。それにしても使い魔召喚は大成功だったようですわね。このシュヴルーズ、この新学期に様々な使い魔を見るのが楽しみで楽しみで…あらミス・ヴァリエール?変わった使い魔ね」
教室中が爆笑に包まれる。
「おいルイズ!どこの平民連れてきたんだよっサモン・サーヴァント失敗かぁ?」
「違うわよ!呼んだらこれが出たの!」
また別の生徒が言う。
「嘘つけ!」
「ミセス・シュヴルーズ!マリコルヌが私を侮辱しました!」
ここまで来て才人はルイズという人間が少しわかった。床に座らせられながら。そんなこんなで授業が進み…
今に至る。
「まさか魔法全部が爆発して失敗、ゼロになるからなんて分からねえよ」
「うっさい!」
「てか、よくそんなであの怪獣に突っ込んだよな」
ルイズの顔が少し赤くなる。
「下手してたら死んでたぜ?もうすんなよ?ゼロのルイズ?」
そして顔が鬼のように歪む。
「うるさい!うるさい!うるさい!お昼ご飯抜きっ!」
才人は忠告したつもりでいたがルイズはバカにされたと思ったようで…才人は「やっちまった」と後悔した。
昼休みルイズが昼食を食べている間、才人はあの花壇を訪れていた。崩れていた外壁は魔法で修理され元通りである。あの事件は夢だったのではないか?と思える程に。
「あら才人君、どうしました?」
ロングビルがジョウロを持って歩いてきた。
「いやぁ、アハハ…」
「ミス・ヴァリエールと何かありました?」
才人は慌てて話題を逸らすことにした。
「いっいやぁ…そういえばこっちではコスモスって春に咲くんですね、こっちは秋に咲くんですよ」
ロングビルは微笑むとクスクス笑う。水を与える手を止め才人の隣に座る。
「いいえ、こちらでもコスモスは秋の花よ。実は秘密があるの」
「秘密?」
「ええ、あっ噂をすれば…」
そうロングビルが言うと遠くからメイド服を着た女性がやって来る。
「ミス・ロングビル~ご用意できましたよ~」
「ありがとうシエスタ」
近くで見るとカチューシャで纏めた黒髪とそばかすが可愛らしい。シエスタと呼ばれた少女はバケツに入った土を手渡す。才人は覗き込む。
「これは?」
答えたのはロングビルではなくシエスタだった。
「これは私の田舎で使われている特別な栄養土なんです。なんと!季節の違う花でも育てられる優れものです。」
「ふふっ説明ありがとう」
シエスタははっとして赤面し縮こまる。と、そこで才人の左手のルーンに気付く。
「貴方…もしかしてミス・ヴァリエールの使い魔の?」
「え?しってるの?」
「はい」とシエスタは答える。
「あの怪物からミス・ヴァリエールとミス・ロングビルを助けたって噂ですよ」
才人は少し恥ずかしくなる。するとぐうぅぅ…と腹の虫が泣く。才人は別の意味で恥ずかしくなる。それを聞いてロングビルが気を利かせる。
「そうだシエスタ、何か食べさせてあげて」
「いいですよ賄いでよければ」
才人は厨房の奥に連れていかれると余りもので作られたシチューをもらう。久しぶりのまともな食事に思わず涙が零れる。
「ど、どうしたんですか」
「いや、俺こっち来てから使い魔だ魔法だ怪獣だで落ち着く暇無かったから…」
才人は食べ終わるとシエスタに一つ提案する。
「何か手伝わせてよっお礼にさっ!」
シエスタは微笑んで言った。
「じゃあデザートを運ぶのを手伝ってくれます?」
大きな銀のトレイを才人が持ち乗っているケーキをシエスタが運ぶ。近くでキザな少年が数人の男子に冷やかされている。
「なあ、ギーシュお前…」
「…が恋人なん…」
「付き合う?…僕に…定の女性は…」
その時ギーシュのポケットから香水が落ちた。才人は拾って渡す。
「はいよ、色男」
その後も才人はケーキ配りを手伝う。すると今のところから騒ぎ声が聞こえる。
「それはモンモ…香水…」
「ち、ちがうっ…誤解…」
「…が証拠で…さよなら!」
バチーン!
「やっぱり…てたのね!…」
「そんな!…ごか…」
「嘘つき!」
ドカ!バキ!
「あのレディ達は薔薇の存在の意味を理解していないようだ」
ぼこぼこの顔で言われても…。そう思う才人だったが後ろからギーシュに呼び止められる。
「待ちたまえ!君のせいで二人のレディの名誉が傷ついた!どうしてくれるんだ!」
「いや、二股が悪いよ」
才人の即答に周りも「そうだ!そうだ!」とはやし立てる。
「いいや!君が余計な事をしなければ!」
「二股なんてそのうちばれちまうって」
ギーシュの顔が怒りで歪む。図星をつかれてカチンときたようだ。
「君は貴族に対する礼を知らないようだな」
ギーシュが決闘を申し込んだのはその直後だった。
「聞いて、メイジに平民は絶対勝てないの、早く謝ってきなさい!」
ルイズはヴェストリの広場で決闘に応じる才人を説得しようとしていた。しかし、才人は聞く耳持たない。
「何でさ、先に喧嘩吹っ掛けたのはギーシュって奴だ。それに…下げたくない頭は下げられない!」
「もうバカ!、バカ犬!」
才人は準備体操を終えるとギーシュの前に立つ。ギーシュは才人を見下した目で見つめている。
「逃げなかったのは誉めよう、君が傷つけた女性の名誉ここで取り戻す!」
「傷つけたのはお前だ…」
才人が言い終わる前にギーシュが杖を振ると甲冑を着て剣を持った女戦士のような人形が現れる。それはいきなり才人の顔面を殴り飛ばした。
「ぐほぉ!」
その行動にルイズが非難の声を上げる。
「ちょっと卑怯よギーシュ!」
「ごめんごめん彼があまりにもとろいのでね」
その間にも人形「ワルキューレ」は才人に暴行を続ける。そしてついにその剣が振り下ろされる。
「はっはっはっ!平民ごときが!メイジに勝てると思っ…?!」
振り下ろされた剣を才人は指でつかんでいた。よく見ると殴られたはずなのに傷一つない。これに一番驚いたのは才人自身だ。
「なんだこれ…いくら何でも…」
体から力が溢れる、いや漏れ出す。才人自身にも抑えられない。才人はワルキューレに前蹴りを繰り出す。剣を捨て後ろに跳んだワルキューレに少しかする。それだけでワルキューレは粉微塵になってしまった。
(ウルトラマンの力!?…そんな!制御出来ない!)
ギーシュはあまりの光景に怯え残り6体のワルキューレを作り出し一気に才人目掛け攻撃させる。才人が応戦しようとすると今度はワルキューレの剣を握った左手のルーンが輝く。
(今度はなんだ!?)
更に加速した才人はワルキューレを全て一瞬で切り刻み、原型をとどめないほどにまでしてしまった。
「何よ…これ…わけわかんない…」
ルイズは只々唖然とするしかなかった。
次回に続きます。ウルトラマン出なくてすいません。