幻想消滅録   作:猫噛み

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誤字報告ありがとうございます。
編集しておきました。
これからも宜しくお願いします。


第二話 夢の記憶と目覚めの少年

約三時間、私は森の中をさまよっていた。

 

頬から汗が滴り、地面を濡らす。

 

──暑いわね。

 

辺りでは蝉が鳴き、太陽は燦々と大地を照らし、真夏の暑さを醸し出していた。

 

 

 

──おかしい。

 

 

 

幻想郷では初雪が降り始め、外に出るには防寒の結界が必要になる程の寒さだ。

 

それがどうだろうか?

 

今では世界が変わった様に温度が上がり、体温が上昇していく。

 

その上、スキマを抜けた後、能力の使用が何故か上手くいかなく、結界や能力による体温調節が出来ない。

 

それにより、身体から水分が抜け、喉が異様に渇いていく上、目がかすみ意識が朦朧としてくる。

 

──これじゃ不味いわね。

 

分かっていてもどうにも出来ない。

 

人は真夏の高温多湿の環境の下で長時間居ると、体温調節機能や血液循環機能が十分に働か無くなる。

 

つまり、熱中症になるのだ。

 

 

 

──もう、無理。

 

 

 

私は、力無く土の上に倒れ込んでしまう。

 

 

 

 

 

そこで、私の意識は途切れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人は何を思って生きているのだろうか?

 

それは一人一人違うと思っている。

 

 

 

しかし、一つ思うことがある。

 

もしかしたら、深層心理では、人は皆繋がっているのではないかと。

 

 

 

人はどの世界でも神を求め、救いを求めた。

 

他にも、争いをし、富求めた。

 

場所や時は違えど、人は同じ事を繰り替えしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見た。

 

 

 

新品の様に綺麗で、身長に合わせた博麗の巫女装束を着た幼い私が目の前にいる。

 

ここは何処だろうか? と思い、辺りを見渡して見ると、鳥居が見え、神社が見える。

 

そこまで見て、理解した。

 

──嗚呼、博麗神社か。

 

理解をすると、辺りの景色が鮮明に見える様になってくる。

 

──幼い頃の私の記憶か。

 

幼い私は竹箒を持ち、神社の境内を掃いている。

 

 

 

一人で黄昏れながら、

 

 

 

──寂しそう。

 

その眦には、薄らと涙が浮かんでいた。

 

 

 

「うわああああ!!!! 疲れたああああ!!!」

 

 

 

突如、境内の石段から大声が聞こえてきた。

 

幼い私は一瞬ピクリッと震え、石段の方に視線を移す。

 

 

 

そこには、石畳の上に寝転ぶ一人の少女がいた。

 

 

 

その少女は、体型に見合わない程の大きくつばの広い三角帽を着用し、黒く動きやすいドレスに、エプロンを着けた様な服装をしている。

 

「誰?」

 

幼い私は少女の前に立ち、少女の顔を覗きこむ様に見る。

 

少女は一瞬きょとんとした後、にかッと笑いながら立ち上がり、

 

 

 

「私の名前は霧雨魔理沙! 普通の魔法使いだぜ!」

 

 

 

そう、名乗りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めた。

 

私は布団の上にいる。

 

 

 

最初、夢だったのか? と思ったが、周りを見渡して見ると違う。

 

まず床が違う。

 

 

 

私の家は全てが畳で出来ているが、ここは木の板で出来ていた。

 

そして、そこかしこにあるコード。

 

まるで、アリスの家と輝夜の部屋を足して2で割った様な見た目の部屋だ。

 

 

 

誰かが助けてくれたのだろうか?

 

 

 

周りを見渡してみると、この部屋に不釣り合いの物が目に入った。

 

 

 

  狐の仮面。

 

 

 

それを見た瞬間、何かが身体を突き抜ける様な感覚に陥り、鳥肌が立つ。

 

 

 

私はその仮面をしっている。

 

しかし、知っているだけで、記憶には無く、何故か無性に悲しくなる。

 

 

 

私は這いずる様にして布団から出て、仮面に手を伸ばす。

 

 

 

「あ、起きたんだ」

 

 

 

ふと、後方から声がかかった。

 

私は、咄嗟に伸ばしていた手を引っ込み、後方を確認する。

 

そこには、勇儀の様なラフな格好をした十歳位の少年がいた。

 

 

 

少年。しかし身に纏う雰囲気は、何千年生きた大妖怪そのものだった。

 

 

 

一瞬、妖怪か! と思ったが、少年の身体から妖力が感じられず、それは違うかと思い直す。

 

 

 

「貴方は誰?」

 

 

 

私が質問すると、少年は一瞬嬉しそうとも驚いたとも取れる様な表情をした後、笑顔で答える。

 

 

 

「僕は一星 彩月(ひとつぼし さつき)、唯の人間さ」

 

少年は答えた後、やれやれと言った様に両手を上げ、首を横に振る。

 

 

 

「嘘ね」

 

 

 

私はその回答に即答し、目を細める。

 

 

 

「ハハハッ 手厳しい事だね。そう言う君は誰なんだい?」

 

 

 

少年はおちゃらけた様に言い、私に質問を返す。しかし、その目は笑っていなかった。

 

 

 

「博麗霊夢よ。楽園の巫女をやってるわ」

 

「それこそ嘘だね」

 

 

 

私の回答に少年は即答で否定する。

 

 

 

「は!?」

 

 

 

私は素っ頓狂な声を出してしまう。当たり前だ、正直に言った事を否定されたのだから。

 

 

 

「博麗霊夢、僕も知ってるよ」

 

まるで何かを語るかの様に言い出す少年。

 

「彼女は幻想郷の巫女、東方projectの主人公の一人さ。しかし、今は“神暦百五三年”つまり月人が地球にいた時代。どう考えても時代が合わないのさ、偽物巫女さん」

 

 

 

意味がわからなかった。

 

少年が言ってる神暦についてもそうだが、東方projectという言葉についてもそうだ。

 

それに、少年が言う月人が地球にいる時代が本当なら、何故私の事を少年は知っているのか?

 

そして、そこからどうして私が偽物の推理したのか?

 

 

 

「貴方は、何者?」

 

 

 

気が付けば、再び同じ様な質問をしていた。

 

 

 

「先ほども言ったけど、僕は一星 彩月、普通の、唯唯普通の人間さ」

 

 

 

少年は再び同じ様に答え、私はもう一つ質問を付け足す。

 

 

 

「それなら、貴方の能力は何?」

 

 

 

普通、相手の能力を聞くのはマナー違反だ。それが睨み合っている相手なら尚更だ。

 

 

 

「いいよ。答えて上げる」

 

 

 

しかし、少年は余裕な表情で私の質問に答える。

 

 

 

「僕の名前は一星 彩月、能力は『唯唯普通の人間である程度の能力』を持つ、普通の転生者さ」

 

 

 

 

 

気が付けば、少年の目からは光が消えていた。

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