幻想消滅録   作:猫噛み

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すみません。一週間程度で出すと言っておきながら、九ヶ月ほど期間が空いてしまいました。
 タグに「不定期更新」を追加します。


第六話 漆黒

 薬品の匂いが鼻をつき、意識が浮上してくる。

 体が重い。まるで重りが上に乗っているくらい重い。

 そこで目が覚めた。 

 

「ここは……」

 

 口から出る疑問は、自身が布団の上にいることを理解して、氷解する。

 

 あの時私は――

 

 手に残る感触と喉に残る違和感。

 喉には現在、一切の傷がない。しかし、確かにあの時、喉に突き刺した果物ナイフは私の気管に穴をあけた。その時流れた血の匂いが鼻をつき抜け、酷い生臭い匂いが今も残っている。

 とてもなかった事にはできない。夢であったなどという解など納得できない。

 

 ならば――

 

 私は、自身の腕に刺さり、固定されている針に意識を移す。

 確か、点滴というものであったと記憶している。永遠亭で一度目にしただけだが、私の記憶が間違っていなければこれは、治療に必要な行為であったはずだ。

 それに、私の勘が告げている。これは今まで私の生命活動に必要なものであったと。

 数日間意識不明であった私に、人体に必要な栄養を送り込んでいたと。

 こんな医療技術が発達している場所だ、もしかしたら私の喉の傷も不思議医療で彩月が直してくれたのだろう。

 

 布団から出ようとしても、体が動かない。

 動かないというか、重くて固まっているといったほうが正確か。

 熱中症で倒れた後、自身の自傷行為で長時間布団の上で動けなっかったのだ。そりゃあ体も固まるし、筋力も落ちて体が重く感じるはずだ。

 

 普段ならこういう状況になったとしても、能力で何とかなった。

 というか、そもそも筋力が落ちるという常識から浮き、こんな状況になることもなっかた。

 

 つくづく常識外で、人が持つには大きすぎる能力である。

 まあ、今ではその能力自体発動が不可能になったのが現状だが。

 

 そういえば、私は一体どうなってしまったのだろうか?

 

 体の中に霊力はあり、『霊気を操る程度の能力』は通常道理発動していることがうかがえる。

 しかし、同時に私の中には妖力もある。そして『妖気を操る程度の能力』が新しく私の中に根付いている。

 私は、人間であるとはもう言えない。

 霊力と妖力が両性している。まるで半妖のようだ。

 それなのに、今の私の力ではとてもではないが半妖である慧音のような両者が打ち消し合わないようにする能力の使用は望めない。

 つまりは無能と同じであり、楽園の素敵な巫女の名も聞いてあきれる。

 もう巫女でもないのかもしれないが。

 

「――――――。――どーしたの?」

 

 それ以外にも七億年前に来てしまったという突拍子でない話も、そろそろ真剣に考えないといけないのかもしれない。

 

「ねーえ? だいじょーぶなの?」

 

 東方projectその言葉の意味も――

 

「どっちなのかへんじしてよー!?」

「ッ!?」

 

 唐突なる耳元での大声に私の体が跳ねる。

 体が跳ね、顔がこわばり、心臓が飛び出す勢いで驚く私。

 その視線の先には一人の女性がいた。

 

 知っている。私は彼女を知っている。というか、なぜここに彼女がいるかのほうが不明だ。そもそも、彼女の姿がいつも目にしている見知ったものでなくなっているのも。

 年代を考えればある意味ありえたことではあるのだが――

 

「……ルーミア?」

 

 身長目測百七十センチメートル。髪は腰までストレートに延ばされており、美しい金髪が太陽の光を反射しながら輝いている。瞳は紅く怪しく光を放ち、着用している完全黒のゴスロリが闇を彷彿させる。

 私の目覚めた布団の隣で

 

 そこには推定年齢二十二歳程度の、どこからどう見ても大人の姿をしたルーミアがいた。

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