エルフの使い魔は真実と波導の英雄   作:たかと

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遂にトウヤVSベアトリス部隊の開幕ですが
すみません……文面が長くなりそうなので
前編と後編の2部に渡る形になりました

波導と魔法の激突をお楽しみくださいませ

そしてヴィリエも悪いプライドが
災いして手痛い制裁が……

更にティファニアを問い詰めるベアトリスの
セリフの中にこの物語でのエルフの立場と
エルフが聖地を守っている理由が少しだけ
明かされますので、そちらもお楽しみに!!

それではご覧ください!!



第四十一話 決戦!! 波導VS魔法(前編)

新たにリュカにケティというティファニアと

同級生にて同じクラスの協力者を得た翌日朝

いつも通りに朝の見回りに出掛けようとした

トウヤであったが……

 

 

「それじゃあ、ゾロアーク

済まないけど今日から休み時間内でいいから

僕がいない間のテファの事を宜しく頼んだよ」

 

 

「ゾルルル!」

 

 

トウヤの言葉に力強く頷くゾロアーク

 

 

昨日のベアトリスの件もあり万が一に備え

やはり今日からティファニアのガードの為に

ゾロアークを学院に置いて行くことにしていた

 

才人やリュカ達という理解者や協力者を

信頼してない訳ではないがトウヤとしても

やはり長年苦楽を共にし自身が最も信頼する

ポケモンのガードを一体残して行きたくなり

此処はやはりティファニアの耳を変えられる

ゾロアークを残していくことにしたのだった

 

 

その後トウヤとポケモン達は昨日と同じ理由で

学院から離れた場所まで移動して来ると……

 

 

『さて……ゾロアークが居てくれれば

我々も安心して出掛けられると言うものだな』

 

 

「そうだな、ルカリオ。じゃあ皆……行こうか」

 

 

『だな』

 

 

こうしてトウヤとポケモン達は出発して行った

 

 

 

 

 

 

 

その頃ティファニアは……

 

 

 

 

 

 

 

「よしっ! 今日も頑張ろう」

 

 

昨日の初の授業である程度は慣れたのか

比較的リラックスしたティファニアが

気合いをいれていると……

 

 

「ティファニアさん」

 

 

「はっ、はい?」

 

 

横から声をかけられ振り向くと一人の青年が

立っており一瞬また男子生徒が言い寄って

来たのかと思ったが直ぐに昨夜トウヤから

聞かされた話を思いだし青年に尋ね初めた

 

 

「もしかして……リュカさん、ですか?」

 

 

「あっ! トウヤから話を聞いた?」

 

 

「はい。昨夜トウヤから仲良くなった男の子が

今日、私に声を掛けてくれるって聞いてたので」

 

 

「そうか、それは良かった

僕は"リュカ・レイ・ド・ラ・ガルファード"

昨夜トウヤから君の手助けを引き受けたから

もし何かあったら遠慮なく言ってね」

 

 

「すみません……ご迷惑をお掛けして」

 

 

「構わないよ。と言っても、男の僕じゃ

出来ることは限られるかもしれないし

あんまり力になれないかも知れないけど」

 

 

「そんなことありません

トウヤも私も凄く感謝しています」

 

 

ティファニアとリュカが

そんな会話をしていると

 

 

「ティファニアさん。おはよう」

 

 

「あっ。おはようございます。ケティさん」

 

 

ティファニアの隣の席にケティがやって来た

 

 

すると…………

 

 

「あっ! ケ、ケ、ケティ……!?」

 

 

現れたケティにシドロモドロになるリュカ

 

 

「あら? 貴方は確か……

リュカさん……でしたっけ?」

 

 

「あっ、いや…その……」

 

 

リュカが戸惑っていると

 

 

「フフフ。リュカさんはトウヤとお友達で

それで今、知り合って話をしていたんです」

 

 

「そうだったんですね

そういえば、同じクラスなのに

こうして話をするのは初めてですね」

 

 

「あぁ…そ…そう、だね……

(本当は前から話したかったんだけど……)」

 

 

 

 

 

リュカ……緊張MAX状態

 

 

 

 

 

そう、何を隠そうリュカはケティに対して

恋心を抱いているのである

 

しかしリュカは、かなり奥手の様で

今までケティに話しかける事は愚か

顔を会わす事も出来ずにいたのだった

最もその間にケティはギーシュによる

二股の被害者となってしまったのだが

 

 

「あっ、そうだ! ティファニアさん

実は私、今日のお昼の為にスフレを作ったので

良かったらお昼、一緒に広場で食べませんか?」

 

 

「あっ! いいんですか。ありがとうございます」

 

 

「良かったらリュカさんも御一緒しませんか?」

 

 

「!!!?」

 

 

ティファニアをお昼に誘ったケティが

リュカにも誘いの声をかけた為に

それに更に動揺させられてしまう

 

 

「いえっ! けけけ……結構です!

女の子同士で話したいこともあるでしょうし

用事もあるから残念だけど僕は遠慮しますね」

 

 

再度シドロモドロになりながら

何故か敬語で断るリュカ

 

 

今の今まで顔を会わすことすら出来ずにいたのに

いきなり一緒にお昼などリュカにとっては

この上ない超最難関ミッションなのだ

 

 

勿論、用事があるというのも真っ赤な嘘である

 

 

「あら、そうですか……

用事があるのでは仕方ありませんね」

 

 

(「うぅぅ、ケティのスフレ……

本当は食べたいけど僕には無理だよ!?」)

 

 

リュカはケティの残念そうな顔を見て

己の意気地無さを心の中で嘆く思いと

本当はケティのスフレを食べてみたい

思いの板挟み状態になっていた

 

 

そんなリュカの様子をケティは

疑っていないようだがテファは

 

 

(「あっ! もしかして

リュカさん……ケティさんを!?」)

 

 

彼氏を持つティファニアがケティに対する

リュカの様子を見て何かを悟ると……

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

「おはよう諸君!

間もなく授業を始めますので

皆、速やかに自分の席に着いてください」

 

 

 

 

 

 

 

教室の扉が開きコルベールが

いつもの爽やかな笑顔で入室してきた

 

どうやら今日のティファニアのクラスの

午前の授業の担当はコルベールのようだ

 

 

「あっ! じゃあ、僕は席に戻るから」

 

 

「はい。ありがとうございました」

 

 

「リュカさん、ごきげんよう」

 

 

「あっ! う、うん……」

 

 

ケティに"ごきげんよう"と言われ

再度、緊張しながら席に戻るリュカだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーーーン コーーーン カーーーン コーーーン

 

 

鐘が鳴り響きその日のお昼休みを迎えた魔法学院

ケティとお昼を食べる約束をしたティファニアが

昨日と同様に学院の広場のテーブルに向かうと

 

 

「ごきげんよう、ミス・ウエストウッド」

 

 

「あっ、ベアトリスさん……」

 

 

「ベアトリスさんじゃないでしょう

クルデンホルフ姫殿下とお呼びなさい!」

 

 

「ご、ごめんなさい。姫殿下!」

 

 

ティファニアの元に昨日ティファニアに

因縁をつけてきたベアトリスが再び

取り巻きを連れてやって来る

 

 

「あら? 今日は自慢の部下は居ないのかしら?」

 

 

「部下?」

 

 

「昨日この私に無礼な態度を取った男のことよ

主の貴女を放って毎朝何処に出掛けてるやら?」

 

 

「部下って………トウヤとはそんな

主君と家臣みたいな関係じゃないわ

私にとってトウヤは誰よりも………

それにトウヤ達は凄く大切な用事で

出掛けていて私を放っている訳じゃないわ」

 

 

「貴女とあの男の事なんかどうでもいいわ

それより昨日の言いつけをお忘れかしら?」

 

 

「言いつけ……ですか?」

 

 

「次に私に声を掛けられたら

その薄汚い帽子を取りなさいと言ったはずよ」

 

 

「えと、あの……その……」

 

 

「クルデンホルフ姫殿下のご命令よ」

 

 

「そうよ。今日こそ取りなさい」

 

 

「拒否権は無くてよ」

 

 

「う~~~~~~っ」

 

 

昨日に続いてティファニアに帽子を

取るよう要求してきたベアトリスに

ティファニアが再び困惑していると

 

 

「ゾルルル!」

 

 

一行の目の前にゾロアークが姿を表した

 

 

「あっ! ゾロアーク!」

 

 

ティファニアの危機に颯爽と現れたゾロアーク

 

 

「また邪魔をするつもり!?

生憎と昨日みたいに寸なりと

引き下がるつもりはないわよ

他のお仲間も居ないようだし」

 

 

そうゾロアークに言って再び

ベアトリス達がテファの方に

目を向けた瞬間だった

 

 

「ゾルルル……」

 

 

ゾロアークがベアトリス達の目を盗み

ティファニアに向けてイリュージョンを放った

 

 

「さぁ! さっさと帽子を取りなさい」

 

 

ベアトリスたちに鋭い剣幕で迫られた

ティファニアであったがゾロアークが

イリュージョンを使ったことに気付き

 

 

「分かりました。今取ります」

 

 

そう言ってティファニアはかぶっていた帽子を

取るとその美しく長い金髪が静かに吹いてきた

風によって綺麗に靡かせられ耳もゾロアークの

イリュージョンの効果で人間の物になっていた

 

 

すると……

 

 

「オイッ、見ろよ!

ティファニア譲が帽子を取ったぞ」

 

 

「なっ、何て麗しく長い金髪なんだ」

 

 

「帽子をかぶった、お姿も良いけど

帽子を取って髪を靡かせた、お姿は更に綺麗だ」

 

 

成り行きを見ていた男子生徒達が帽子を取った

ティファニアの姿に早くも酔いしれてしまい

更には他の女子生徒だけでなくベアトリスの

取り巻き達ですらも息を飲んでしまっていた

 

 

「フ、フン! 最初から素直に応じなさいよね」

 

 

「そっ……そうよ、そうよ」

 

 

「まっ、参りましょう。クルデンホルフ様」

 

 

「………………………」

 

 

「クルデンホルフ様?」

 

 

帽子を取ったティファニアの姿に

戸惑う取り巻きを余所にベアトリスは

尚もティファニアを見定めるように睨む

 

 

「あの……まだ何か?」

 

 

睨み付けたままのベアトリスに

ティファニアは戸惑ってしまう

 

 

しかし……そこへ救いの手が現れた

 

 

「ティファニアさ~~ん(^-^)/」

 

 

「あっ! ケティさん」

 

 

ティファニアの元にケティがやって来てくれた

 

 

「すみません。昼食の時間なので失礼します」

 

 

そう言ってケティのお陰でその場は

何とか立ち去る事が出来たのだった

 

 

 

 

 

「……貴女たち、行くわよ」

 

 

「「「「は、はい………?」」」」

 

 

ベアトリスは取り巻きを連れて一先ず

その場を立ち去っていったものの……

 

 

(あの娘……やっぱり何か隠してる)

 

 

そう心の中で呟きながら立ち去るベアトリス

 

 

「ふ~~~っ。

ありがとうゾロアーク、助かったわ」

 

 

「ゾルルル♪」

 

 

ティファニアにお礼を言われ

嬉しそうな表情になるゾロアーク

 

 

更に……

 

 

「ティファニアさん、大丈夫!?」

 

 

ケティが心配しながらティファニアに歩み寄る

 

 

「あっ、ケティさん……はい、大丈夫ですけど

ベアトリスさんの剣幕に少し圧倒されました」

 

 

「無理もありませんわ。本当に傲慢な人ですわね」

 

 

ケティもベアトリスの文句を言う

 

 

一方でティファニアは……

 

 

(はぁ~~っ、自分1人で頑張ってみようと

思ってたのに結局またゾロアークに助けて

貰っちゃったしケティさんやリュカさんを

誤魔化し続けるのも心苦しいな……)

 

 

ティファニアはじぶんの不甲斐なさを

嘆くと同時に自分と親しくしてくれる

ケティやリュカに嘘をつく罪悪感の為

心が痛んでいた

 

 

何はともあれ取り敢えず

ケティが作ってきたスフレで

お昼を食べることにした二人

 

 

「あっ! 美味しいです。ケティさん」

 

 

「そうですか?

気に入っていただけて良かったです」

 

 

「ケティさんって料理が上手なんですね」

 

 

「料理と言うか小さい頃から

御菓子を作るのが趣味だったんです」

 

 

「そうなんですか?。 羨ましい趣味ですね」

 

 

「…………ティファニアさんのスタイルの

良さの方がずっと羨ましいですわ(ボソッ)」

 

 

小声で呟きながら羨ましそうにティファニアの

長く美しい金髪と大きな胸を見つめるケティ

 

 

「へ? 何ですかケティさん?」

 

 

「あっ!? な、何でもありませんわ

それよりも宜しければ今度作り方を

教えて差し上げますけど?」

 

 

「本当ですか!?

ありがとうございます。ケティさん!」

 

 

「いえ」

 

 

そんな会話を楽しみながらスフレを食べて

お昼休みを楽しむテファとケティであった

 

因みにその間ゾロアークはテファとケティの

足元で大人しく昼寝をしながら過ごしていた

 

 

 

 

 

その後…………

 

 

 

 

 

昼食を楽しんだ後ケティと別れ午後の授業が

始まるまで、のんびり過ごそうとしていると

 

 

「ミス・ウエストウッド!」

 

 

「 !? 」

 

 

昨日と同様周りに編入翌日からティファニアに

着き纏い続けるようになった数人の男子生徒が

やって来たのだが彼等は昨日の夜にトウヤを

侮辱してきたヴィリエとシャルロ達であった

 

そして集団の1番前に立った少年ヴィリエが

ティファニアの前で一礼すると夢中になって

ティファニアを口説き始めた

 

 

「ミス・ウエストウッド

今日は帽子を取っているのですね!

貴女のその白く美しく清らかな肌に加え

天の川のような長く美しく麗しい金髪に

この"ヴィリエ・ド・ロレーヌ"目が眩んで

しまいそうでございます」

 

 

ギーシュのようなお茶目な物とは違い

自分の威厳を周囲に見せつけるような

派手で偉そうな一例をするヴィリエ

 

 

(ハァ~~~、まただわ……)

 

 

しかし口説かれたティファニア本人は

憂鬱さで頭を抱えたくなってしまっていた

 

 

ティファニアは出来る事なら静かに学院生活を

送りたかったのだが彼女の人目を引く容姿が

それを許さず今の彼女の心を1番疲れさせる

原因になってしまっていた

 

そしてトウヤ以外の男とは友達以上の関係に

なる気の無かったティファニアにとっては

この上ない迷惑な行動なのだ

 

そんな事とは露知らずにヴィリエは尚も

ティファニアを口説いてくる

 

 

「もしも何か用件がございましたら何なりと

このヴィリエに御申し付け下さいませ!」

 

 

ヴィリエがそう言うと今度はもう1人の

男子生徒のシャルロがヴィリエを押し退け

 

 

「ずるいぞヴィリエ!

ティファニアさん。その大役……

是非ともこのシャルロにお任せくださいませ」

 

 

少しでもティファニアの好意を得ようと

形振り構わず言い寄ってくる男子生徒達だが

逆にそれによりティファニアはトウヤの事が

余計に恋しく思うようになってしまっていた

 

と言うのもティファニアはトウヤと旅に出る

前の日に人拐いに拐われた時の男達の様子や

旅に出ている間に自分を見る周りの男達の

嫌らしい視線を感じ続けている内に彼らが

自分の外見だけを見ていて自分の内面の見て

心の内を気にかけていない事を学んでいたのだ

 

対してトウヤはティファニアの素性や

人格などの内面を見てティファニアに

好意を抱き常にティファニアの想いを

第一にし決して無理強いや自分の都合を

押し付けて来ようとすることは無かった

 

 

(トウヤは、いつも優しく私を気遣ったり

助けてくれたり想いを尊重してくれたり

していたけど…………この人達は違うわ)

 

 

そう心の中で思うほどにティファニアは

群がってくる男子生徒達に嫌気を感じていた

 

 

勿論、今朝出会ったリュカや才人にギーシュなど

ティファニアを気遣う者も中には居るが大半は

彼女の外見に惹かれているだけだ

 

 

「ティファニアさん!

宜しければ昼食をご一緒にいかがでしょう?」

 

 

「ぜっ、是非とも僕とご一緒に!」

 

 

ティファニアに群がる男子生徒達は

尚もアプローチを続け昼食を一緒に

食べようとまで誘ってきた

 

 

「………ごめんなさい

お昼はもう、ケティさんと一緒に食べたので」

 

 

既にケティと昼食を食べたと聞かされて

男子生徒達は一瞬切なそうに首が項垂れ

その場に倒れ込むかのような雰囲気にも

なったが直ぐに復活すると新たな誘いを

持ちかけてきた

 

 

「それでしたら、ティファニアさん

宜しければ、午後の授業が終わりましたら

是非、私と馬で遠乗りなどいかがでしょうか?」

 

 

今度は遠乗りを口実としたデートのお誘いだ

そしてヴィリエがそう言うと、今度も数人の

男子生徒の集団が現れ

 

 

「遠乗りなら僕も誘うぞ」

 

「僕もだ」

 

「いやいや、僕が……」

 

 

更に増えたティファニアの崇拝者達が

誰がティファニアを遠乗りに誘うのか

言い争いまで始めてしまう始末だ

 

 

(遠乗りなら、トウヤと二人でスイクンに

乗ってまた一緒に何処かに出掛けたいな)

 

 

遠乗りに誘ってくる男子生徒たちの言葉を

聞いたティファニアは旅に出ていた時に

トウヤと二人でスイクンに乗って草原や

ラグドリアン湖そして海を走った時の事を

思い出していた

 

 

「さぁ、ティファニアさん

どうか遠乗りの相手に是非とも

この"ヴィリエ・ド・ロレーヌ"を

ご指名くださいませ」

 

 

「いや、是非ともこのシャルロにご指名を!!」

 

 

「「「「「「「 ご指名を!! 」」」」」」」

 

 

自分達が見向きもされていないことなど知らずに

まだアプローチや言い争いを続けている男子達は

自分を遠乗りの相手に指名するよう集団で迫るが

 

 

「ゾルルルルルルルルルルル!!」

 

 

先程から側で見ていたゾロアークが

ティファニアの前に立ちヴィリエ達を威嚇した

 

ゾロアークもヴィリエ達の身勝手さと強引さに

イライラが積もっていたのだ

 

 

すると……

 

 

「なっ!?

コイツは、あの平民の仲間の幻獣!?」

 

 

「あのトウヤって奴が姑息な手で

従わさせてる幻獣の1匹だ!」

 

 

「!!!?…………姑息な手?」

 

 

ヴィリエとシャルロのその言葉に

一瞬、固まるティファニア

 

 

「そうです、ティファニアさん

これ程の幻獣を、あのトウヤなんて平民に

扱える筈がありません。騙されてはいけません」

 

 

「奴は何か僕らも知らない悪しき手口で

幻獣たちを操って貴女や学院の女子達を

騙して辱しめようとしているんです!」

 

 

「ゾルルルルッ!!!?」

 

 

「…………………………」

 

 

トウヤ本人とトウヤと自分達の関係を

貶され怒りに燃えるゾロアークに対し

ティファニアは前髪で表情が見えない

くらい深く俯いている

 

 

「手遅れになる前に

あの男から離れた方が宜しいです」

 

 

「…………………めて」

 

 

「ティファニア嬢の護衛は僕たちが

お引き受け致しますのでご安心ください」

 

 

「やめて………………」

 

 

「部屋も奴とは別にしてもらえるように

僕ら一同、学院長に直談判して参りますです!」

 

 

「イヤ………………」

 

 

「2度と奴をティファニアさんの側には

近づけさせません!」

 

 

「ご安心ください!」

 

 

「……………………」

 

 

言い寄ってくる男子生徒達は

ティファニアの異変に気づいていない

ティファニアの体は小刻みに震えていたのだ

 

 

「ゾル?……ゾルルル!!!?」

 

 

しかしゾロアークは気付いた

ティファニアが悲しみにくれている事に……

 

 

そしてヴィリエが決定的な一言を漏らす

 

 

「昨夜、あの男に2度とティファニアさんに

近づかないよう、僕が自慢の風魔法を使って

少しばかり凝らしめて措きましたのでご安心を」

 

 

「!!!?」

 

 

その言葉を聞いたティファニアは血の気が引き

昨晩トウヤがポケモン達と話をする為に出掛け

戻ってきた時に何故か服が所々汚れていた事を

思い出したティファニア

 

どうしたのか聞いては見たがトウヤは

うっかり転んだと言っていたが違った

 

考えてみればトウヤが何もない広場で

服が汚れる程転んだりする筈がないと

思っていたティファニアはヴィリエの

言葉を聞いた瞬間今まで体験した事が

無いくらい怒りの感情が涌き出てきた

 

 

そして…………

 

 

「もしもまた、あの男がティファニアさんに

近づいて来た時は遠慮なく申し付けくだs……」

 

 

 

 

 

パァーーーン!!

 

 

 

 

 

鳴り響いた乾いた音に群がってきた男子生徒や

ゾロアークも一瞬何が起きたか分からなかった

言えることは目に涙を浮かべたティファニアが

ヴィリエの顔を力一杯に平手打ちをしたことだ

 

 

「なっ……!?」

 

 

「ティファニアさん……何を!?」

 

 

涙を流しながらヴィリエに平手打ちした

ティファニアに動揺する他の男子生徒達

 

一方、左の頬に手跡を付けられヴィリエは

一瞬、何が起きたか訳が分からなかったが

起きたことを理解すると目を見開き

 

 

「なっ……何しやがる!?」

 

 

ティファニアに叩かれた事で

ヴィリエは本来の人格と本性を現してしまった

 

しかしティファニアは今までのように

戸惑ったりオドオドしたりせずに

逆に堂々とヴィリエに言い放った

 

 

「黙って! トウヤの悪口は許さないわ!」

 

 

「何だと……!?

奴に騙されてるって忠告してやった上に

この高名で名門のロレーヌ家の者である

ヴィリエ様の女してやろうって好意を!」

 

 

「貴方の女になるなんて願い下げです!

トウヤと比べたら貴方なんか"月とすっぽん"

いいえ……"太陽とダニ"ぐらい全然違います」

 

 

「!?……この俺が……

あの平民以下の……"ダニ"……だと!?」

 

 

「そうです! トウヤは貴方みたいに

人を見下したり乱暴したり悪口を言ったり

何より自分を目立たせて威張ったりしなければ

女性の事を自分の所有物みたいな言い方をしたり

女性にそんな乱暴な言葉使いをしたりもしません

貴方よりもトウヤの方が何億倍も素敵な男性です」

 

 

「テメェ……折角、此方が気を引こうと

尽くしてやってりゃ、イイ気になりやがって

しかも奴に騙されてるんだって忠告してやった

俺達の親切心までも踏みにじりやがってよ!!」

 

 

そう言いながらティファニアを睨み付けた

ヴィリエだったがティファニアは怯まずに

 

 

「そうですか……つまり今さっきまでの貴方は

偽りの姿で今の貴方が本来の姿という事ですね

それからトウヤは誰も騙したりしていませんよ

貴方の方こそ私を騙そうとしてるのでは?」

 

 

……と睨み返して、言い返す

 

 

「あっ!?」

 

 

「オ、オイ……ヴィリエ」

 

 

いつもの口調になっていた事に気付き

"しまった"と思ったヴィリエに対して

"どうするんだよ?"と言った感じに

呟いている男子生徒の集団

 

 

「……フッ、フン!!

すっかり奴に唆されてるみたいですね

やっぱり俺達と一緒に居た方が身のためですよ」

 

 

ヴィリエは慌てて言葉使いを戻したが

自分の思い通りにならない苛立ちもあり

半ば強引にティファニアに迫って来たが

 

 

「ちょっとアンタ達!!

女の子1人に寄って掻かって何してんのよ!?」

 

 

横から声がして振り返ると……

 

 

「キュルケさん! タバサさん!」

 

 

「おっ、お前ら……!?」

 

 

現れたのはキュルケとタバサだった

但しヴィリエは二人の姿を見ると

更に気に食わなそうな表情になる

 

 

「アラ? 誰かと思えばヴィリエじゃない

久しぶりね。尊大さは相変わらずね」

 

 

「うるさい!!

今の俺はティファニア嬢に用があって

貴様らとは関わるつもりはないんだよ」

 

 

「テファに用事って?

まぁ、どうせ大した用事じゃないんでしょ」

 

 

「違う! ティファニア嬢が

あのトウヤって奴に騙されてるんだって

忠告して助けてやろうと思っていたのに

平手打ちをしてきたから抗議しただけだ」

 

 

「トウヤに騙されてる!?」

 

 

「……どういう……意味?」

 

 

トウヤに騙されてるというヴィリエの言葉に

キュルケとタバサも訳が分からなそうに聞く

 

 

「貴様らだって分かるだろう!?

そこに居る黒い狐みたいな奴に加えて

あんな凄い幻獣を平民に扱える訳が無い

何か姑息な手段を使ってるに決まっている!!」

 

 

その言葉を聞いたキュルケとタバサは

呆れた表情になって話し出す

 

 

「ハァ~~~、呆れた

つまりタバサに続いて今度は

トウヤに嫉妬してるっていう訳ね」

 

 

「……見苦しい……」

 

 

「何だと!?」

 

 

「どうせテファを気に入って近づいてみたら

トウヤが居たから目障りだと思ってトウヤを

テファから遠ざけようという魂胆でしょう?」

 

 

「そっ、それだけじゃない! いいか、よく聞け!

女子は皆アイツが強いとか勇敢とか言ってるが

強いのは奴の幻獣であって奴自体は幻獣の力が

無ければ1人じゃ何も出来ないタダの平民だぞ

一対一で勝負すれば何てこと無い雑魚なんだよ

女子の連中はそんな事にすら気付かずに

アイツを持ち上げすぎなんだよ」

 

 

どうやらヴィリエは一対一で

決闘でもすれば平民であるトウヤなんか

意図も簡単に屈伏させてやれると言いたいらしい

 

 

「そうです、ティファニアさん」

 

 

「騙されてはダメです、ティファニアさん」

 

 

それまで黙って見ていた他の男子生徒達も

そう言うがティファニアが再び言い放った

 

 

「……強いですよ」

 

 

「何?」

 

 

「トウヤは1人でも十分に強いですよ

彼が本気を出せば貴方なんて手も足も

出せずに負けると思いますよ」

 

 

「は?」

 

 

「ヴィリエさん……でしたね

じゃあ、貴方はオーク鬼と戦ったり

スクウェアクラスのメイジの魔法を

防いだりすることが出来るんですか?」

 

 

旅をしていた頃初めてタルブの村に来た時の

オーク鬼との戦いやイベルタルと戦った時に

ワルドの風魔法を波導の剣で打ち払った時を

思い出して話すティファニアであったが……

 

 

「オーク鬼と戦って

スクウェアクラスのメイジの魔法を防いだ!?」

 

 

ティファニアの言葉に"何をいっているんだ?"

と言わんばかりの反応をするヴィリエ

 

 

「そんなデタラメな話まで

信じ混まされているんですか!?」

 

 

「ティファニアさん。やっぱり奴は危険です!」

 

 

ヴィリエ以外のシャルロを始めとした

男子生徒達もティファニアの話を聞いて

トウヤがティファニアを唆していると信じ混む

 

 

「うぅ……」

 

 

そんな彼らの言葉に遂にティファニアは

吐き気がしそうになるくらいまで気分が

悪くなってきてしまったが

 

 

シュッ

 

 

「また……痛い目に……会いたい?」

 

 

「そうよ! 人を愚弄するのもいい加減になさい

テファだって嫌がってるでしょう!」

 

 

「グッ……」

 

 

見かねたタバサに杖を向けられた上に

キュルケからも叱られて"たじろぐ"ヴィリエ

 

 

「フンッ! お前らまで奴の言いなりか……

いつか後悔する事になっても知らないからな」

 

 

そう言い捨ててヴィリエは立ち去る

 

 

「オ、オイ……待てよ、ヴィリエ!?」

 

 

ヴィリエと共にティファニアに

言い寄っていた男子生徒達も追いかけるように

慌ててヴィリエの後を追いかけていった

 

 

「全く……ホントに、どうしようもない奴ね」

 

 

「…………」(コクッ)

 

 

立ち去ったヴィリエを見ながら

呆れた様に言い放つキュルケと

その言葉にタバサが頷くと……

 

 

「大丈夫……だった?」

 

 

「タバサさん……はい、ありがとうございます」

 

 

「そう……良かった……」

 

 

大丈夫そうなティファニアに

安堵し笑みを見せるタバサに

今度はティファニアが尋ねる

 

 

「お二人もあの人と何かあったんですか?

特にタバサさんには凄く気に入らなそうな

目付きをしながら話してましたけど?」

 

 

「えぇ、そうよ

アイツ、去年の入学後に自分より強い風魔法を

使えるタバサに嫉妬して決闘を仕掛けたのよ」

 

 

「けっ、決闘!?」

 

 

「しかも、あろうことかアタシを利用してね」

 

 

「それで……どうなったんですか?」

 

 

「タバサの圧勝で終わったわ

それでアイツは学院中に大恥を晒したってわけ」

 

 

「そうだったんですか……」

 

 

「だけど、それが切っ掛けで私とタバサは

唯一無二の親友になれたのよね」

 

 

「…………」(コクッ)

 

 

キュルケの言葉に微笑みながら頷くタバサ

 

 

「それにしても見たわよテファ

中々のビンタだったじゃないの」

 

 

どうやらティファニアがヴィリエを

平手打ちする場面も目撃したらしく

愉快そうに言うキュルケであったが

 

 

「グスン……」

 

 

ティファニアはキュルケとタバサの横で

1人静かに涙を流し始めた

 

 

「ちっ、ちょっとテファ、何泣いてるの

アイツ等に何か酷いことされたの!?」

 

 

「私は大丈夫です。ただ……」

 

 

「ただ……何?」

 

 

「トウヤの事を、あんな風に悪く言われたのが

どうしても……許せなくて……我慢できなくて」

 

 

「あぁ……それで、ひっ叩いちゃったって訳ね」

 

 

「はい……」

 

 

「フフフ。まぁ良いわ

午後の授業が始まるまでアタシ達と

一緒に過ごしましょう。良いでしょ、タバサ?」

 

 

「(コクッ)……構わない……」

 

 

「ごめんなさい、キュルケさん、タバサさん」

 

 

「遠慮なんて要らないわ。さぁ、行きましょう

ゾロアークも、いらっしゃいな」

 

 

「はい……」

 

 

「ゾルルル」

 

 

こうしてティファニア残りのお昼休みを

キュルケとタバサの二人と過ごした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後……

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業も終えて2日目の授業も無事に

終えたティファニアは広場でゾロアークに

会って再び耳に"イリュージョン"を掛けて

もらっていたのだが……

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりおかしいわ!」

 

 

「何がでございますか?」

 

 

ベアトリスが取り巻き達を連れながら

ティファニアから離れた場所で彼女を

睨みながら口を開く

 

 

「考えてみなさい!

あの娘は日差しに極度に弱いからって事で

教室内は愚か授業中も帽子をかぶる許可を

貰っているのに比較的日差しが当たらない

教室内で帽子をかぶっていて日差しが常に

当たる屋外では帽子を取っているわ」

 

 

「!! たっ、確かに!」

 

 

「怪しすぎますわ!?」

 

 

授業中の教室にはゾロアークは入れないために

授業中では帽子をかぶっているのに対して

ゾロアークがテファの側に居られる校舎外では

帽子を取っている事で逆にベアトリス達に

矛盾点に気付かれ不審に思われてしまっていた

 

 

「これは確かめる必要があるわね

貴女達……頼みがあるんだけど?」

 

 

「はい! 何なりとお申し付けください」

 

 

「そう……此処で話すのも難だから、付いてきて」

 

 

「「「「 はい! 」」」」

 

 

そう言ってベアトリスは取り巻きを連れて

何処かへ立ち去っていった

 

そうとは知らずにティファニアは

昼間ケティとお昼を食べた広場の机で

寛ぎながら"トウヤ早く帰ってこないかな?"と

心の中で呟きながら想い人の帰りを待っていた

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後……

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~~~……」

 

 

学院にたどり着くや否や深い溜め息を吐くトウヤ

 

 

「今日も手掛かり無しか……」

 

 

『そう気落ちするなトウヤ

また明日、別の場所を見回りながら捜索しよう』

 

 

「そうだけど……あの波導と気配からして

相手は相当な強さか力を持った奴だろうし

直ぐに何か掴めると思ったんだけどな……」

 

 

『あぁ、そうだな……』

 

 

一昨日の夜に感じた悪しき波導と気配の正体を

今日こそ何かを掴めるかと思っていたらしく

トウヤもポケモン達も少し意気消沈していた

 

 

『恐らくだが、あの波導と気配の対象は今は

トリステイン国内には居ない可能性もある。

故にあまりその事ばかりを意識していると

せっかく見回りをしているのに他で何か

大変な事が起こってるのを見落としたり

気付かなかったりしてしまう危険もある』

 

 

《そうだな……トウヤの焦る気持ちは分かるが

今は一先ずルカリオの言うとおり見回りの方に

集中しているべきだ。見回りを続けている限り

トウヤが気にしているその何者かが動き出せば

必ず気づける筈だからな》

 

 

「……そうだな……

フラダリやイベルタルと違って

正体は勿論、まだ何処に居るかも分からない

相手だし、今ここで根を積めても仕方ないか」

 

 

ルカリオとラグーナの言葉に素直に応じ

気持ちを切り替えるトウヤ

 

 

《それに……トウヤとしては今は敵よりも

学院内のテファの事を心配すべきじゃないか?》

 

 

「ラ、ラグーナ……」

 

 

ラグーナの指摘に恥ずかしそうにするトウヤ

 

 

すると……

 

 

 

 

 

「トウヤ~~~♪」

 

 

 

 

 

トウヤ達の姿に気付いたティファニアが

ゾロアークと共にトウヤの元に駆け寄ってきた

イリュージョンにより耳の見た目も変わっている

 

 

『ホラッ、姫のお出迎えだトウヤ』

 

 

《早く行った方が良いぞ、トウヤ》

 

 

「やめてくれ、ルカリオ、ラグーナ」

 

 

『《フッ》』

 

 

ルカリオとラグーナに冷やかされ

顔が赤くなるトウヤ

 

 

「見回り、お疲れ様。大丈夫だった?」

 

 

「うん。今日も大した動きは無かったよ」

 

 

「そう……良かったね」

 

 

そう言ってトウヤ達を労うティファニアだが

その表情は悲しそうに暗かった

 

 

「?……テファ、どうかした?」

 

 

「えっ!?」

 

 

「何か悲しそうな表情だけど?」

 

 

「!!……うんうん、大丈夫よトウヤ……」

 

 

「そう? なら良いけど……」

 

 

明らかに何かあったような様子であったが

感で今回は無理に聞き出す事はしなかった

 

 

そんな二人の様子を遠くから睨む者達が……

 

 

「あの野郎~~~

性懲りも無くまたティファニア嬢と」

 

 

ヴィリエ達であった

 

 

「なぁ、ヴィリエ……何とかならないのか?」

 

 

「なんとか奴自体は大した奴じゃない事を

証明する舞台を用意できれば良いんだがな」

 

 

「どうするんだよ?」

 

 

「フンッ! それをこれから考えるんだよ

だからお前らも知恵を貸せ」

 

 

「オ、オゥ……分かった」

 

 

そんな会話をしていたヴィリエ達であったが

翌日……図らずともその舞台が整うものの

そこで逆に度肝う抜かれ大恥をかくことを

この時の彼らは知るよしもなかった

 

 

 

 

 

そして翌日……ティファニアの事情を

知っていた者達が最も恐れていた事が

起きてしまった……

 

 

 

 

 

翌日午前中の授業が始まる少し前に

ティファニアが隣の席のケティと

些細な会話をしていた時であった

 

 

「あの……ミス・ウエストウッド?」

 

 

「あっ……貴女は」

 

 

ティファニアに話しかけたのはベアトリスの

取り巻きの1人だったのだが今までと違い

どこか申し訳なさそうな表情と口調だった

 

 

「また嫌みを言いに来たのですか?」

 

 

「違います、ミス・ロッタ

ベアトリス様も私たちも、昨日までの事を

ミス・ウエストウッドに是非謝罪したいと

思っただけですわ」

 

 

「「謝罪?」」

 

 

キョトンとするティファニアとケティ

 

 

「あらぬ疑いをかけて

帽子の件を始めとした

無礼を謝罪したいとベアトリス様が」

 

 

「そ、そんな……大丈夫です

私、そんなこと気にしていませんから」

 

 

「ベアトリス様も私達も

それでは気が済みません

是非ともベアトリス様の

お席にいらしてください」

 

 

そう言われて見てみるとベアトリスが

自分の席に座り暗い表情をしていた

そしてティファニアはベアトリスの

気持ちを無下にするのも申し訳ない思いと

ベアトリスと友達になれる良い機会と見て

申し出を受け入れることにしたのだ

 

 

「……分かりました。お伺いします

まだ授業が始まるまで時間がありますし

折角の好意を無下に出来ませんから……」

 

 

「ありがとうございます

ミス・ウエストウッド!」

 

 

そう言ってティファニアをベアトリスの

元に連れていく取り巻きの生徒だったが

それを見てたケティとリュカは違和感を

感じ始めていた

 

 

(おかしいですわ……

あのクルデンホルフの姫殿下が

自分から謝ろうなんて思う筈がない)

 

 

そう考えるケティ……更には

 

 

(昨日ベアトリスが取り巻きの娘達と

何か話してたのを見たぞ……

何を企んでいるんだベアトリス!?)

 

 

リュカはトウヤとの約束を守ろうと

ティファニアが何かされないか

目を光らせることにしていた

 

 

そして……ティファニアが

ベアトリスの元にやって来ると

 

 

「ティファニアさん……

ご足労ありがとうございます」

 

 

「い、いえ……

私の方こそ気を使わせてしまって」

 

 

「構いませんわ……だって」

 

 

「だって?」

 

 

「こうすれば邪魔が入ることも無いことだし」

 

 

「え?」

 

 

そう言った瞬間に今まで通りの鋭く

意地悪な目付きに変わりティファニアが

違和感に気づいた時には手遅れであった

 

 

「今よ!!」

 

 

「はいっ!」

 

 

ベアトリスがそう言うや否や取り巻きの

1人が後ろからティファニアの帽子を

無理やり奪い取ったのだ

 

昨日、あの後ベアトリス達はこの段取りを

決める話し合いをしていたのだ

 

 

そして帽子を取られたティファニアは……

 

 

「あっ!?」

 

 

どうすることも出来ず声をあげ……

 

 

「えっ!?」

 

 

「ちょっ……貴女、その耳……!?」

 

 

ティファニアの本来の耳を見たベアトリス達は

恐ろしい物を見るような表情に変わった

 

そして運の悪いことにクラスの大半の生徒達が

ベアトリス達がティファニアを呼びつけた所を

見ていたこともあり……全員がティファニアの

本来の耳を見てしまったのだ

 

 

そして……

 

 

「エルフ!?」

 

 

取り巻きの1人がそう叫ぶと

周囲はパニックに陥ってしまい……更に

 

 

「ヒッ!? エッ、エルフ!?」

 

 

丁度、早めに教室に入って来ていた

教師のシュヴルーズまでも腰を抜かしていた

 

 

「まっ、まって……私は何もしないわ!?」

 

 

そう言うティファニアだがティファニア本人も

騙されて突然、帽子を取られた事でパニックに

陥ってしまっていた

 

 

「貴女、エルフだったのね

エルフの分際で私から人気を奪っていたわけ?

と言うか、よくも私達を騙していてくれたわね」

 

 

「待って! そんなつもりじゃなかったの

私がエルフだと知ったら怖がられるのが

怖かっただけで騙すつもりは無かったの

私はタダ皆と仲良くしたかっただけです」

 

 

「ふざけないで!!

エルフが何もしない訳がないじゃない」

 

 

「そうよ! そうよ!」

 

 

周りから野次が飛んで来ており

男子生徒達は今まで崇めていた

ティファニアがエルフだと知り

一転してティファニアを恐怖の

眼差しで睨んでいる

 

 

そんな中で……

 

 

「ティファニアさんが、エルフ……嘘よ!?」

 

 

「えっ!?……どっ、どういう事なんだ!?」

 

 

ケティとリュカの二人はパニックというよりも

どうすれば良いかと動揺し戸惑った様子だった

 

 

「お願いです。待ってください!

確かに人間とエルフは対立してますけど

私の両親は愛し合っていましたし私にも

人間とエルフの両方の血をくれたんです

父は母を愛していたし母も父を愛してました

私はこの身体に流れる母から貰ったエルフの

血も父から貰った人間の血も愛しています!」

 

 

涙ながらに訴えるティファニアであったが

 

 

「ふ~~~ん、ハーフエルフって訳ね?

じゃあ聞くけど貴女の信じる神は何かしら?

私達は始祖ブリミルをエルフは聖獣とか言う

訳の分からない幻獣を崇めているだけでなく

始祖の聖地を自分達の崇める聖獣の土地だと

言って人間から奪った歴史は知ってる筈よね」

 

 

「えっ?」

 

 

「貴女の信じるのは始祖ブリミル?

それともエルフが崇める聖獣?」

 

 

「え~~と……ごめんなさい

その聖獣さん?……の事は私もよく知らなくて」

 

 

ベアトリスからの問い詰めに戸惑うティファニア

 

 

「惚けるんじゃないわよ!?

エルフの癖に始祖ブリミルの

宿敵だったと言い伝えられる聖獣の事を

知らない筈がないでしょう。もう騙されないわ!」

 

 

取り巻きの1人の女子生徒が

ティファニアを怒鳴りつける

 

 

「お待ちなさい、リゼット」

 

 

「ですが!?」

 

 

「私が"待て"と言ったら待ちなさい!」

 

 

「もっ、申し訳ありません、姫殿下!」

 

 

ティファニアを怒鳴りつけた取り巻きの

女子生徒の名前はリゼットと言うらしい

そしてリゼットを黙らせたベアトリスは

スッと立ち上がった

 

 

「始祖ブリミルや宿敵の聖獣の事を

知らずに私達と仲良くしたい……?」

 

 

そう言う彼女の顔は怒りに震えている

 

 

「皆さん。騙されてはいけませんわ

ハルケギニアの歴史はエルフとの抗争の歴史

どんな事情があろうが彼女は我々の敵ですわ

何よりエルフに魂を売った人間の娘だなんて

普通のエルフよりも許せないし性質が悪いわ」

 

 

「そっ、そんな……」

 

 

遂に泣き出してしまうティファニア

しかしベアトリスは容赦しない

 

 

そして……

 

 

「空中装甲騎士団!!」

 

 

ベアトリスが、そう叫ぶや否や

教室の窓硝子を破って、外から

10人程の騎士達が飛び込んで来た

 

 

「エルフである以上どんな事情があろうと

貴女を異端者として罰する必要があるわ!」

 

 

「ばっ、罰する……?」

 

 

「空中装甲騎士団!

あの女を引っ立てなさい!!」

 

 

「「「「 ハッ! 」」」」

 

 

「 !? 」

 

 

ベアトリスの指示を聞いた空中装甲騎士団は

瞬時にティファニアの周りを取り囲み武器や

杖を構えてきた

 

 

「殿下には近づけんぞ!!」

 

 

「観念するんだな……この異端者め!!」

 

 

空中装甲騎士団からも強い敵意を向けられて

ティファニアは両腕で自分の身体を抱き締め

遂には小さく震え始めてしまった

 

 

しかし……その様子を

騒ぎに気づいた黒い狐が窓から見ていた

 

 

 

 

 

 

 

所変わって此処は学院長室

 

 

「フム……一先ず何事もなく無事に

学院を再開させることが出来て良かった」

 

 

「えぇ、何よりです」

 

 

「学院長として、これ以上の事はない」

 

 

そう会話しながら学院長席に座るオスマンと

秘書席で秘書のマチルダことロングビルが

書類に目を通しながら筆跡していると

オスマンは机からパイプを取り出して

水ギセルを吸い始めた為にマチルダが

浮遊魔法"レビテーション"で没収した

 

 

「健康管理も秘書の務めですわ」

 

 

「年寄りの数少ない楽しみを

奪おうというのかねミス・ロングビル?」

 

 

そう言いながらオスマンがマチルダに近づくと

お知りを触って堂々とセクハラ行為をして来る

 

 

「お知りを触るのは止めてください」

 

 

「!?………ハヘ、ホホ、ホヘ、ヘヘ

アホッヘヘのヘェ~~~~」

 

 

「都合が悪くなるとボケた振りをするのも

止めてください。オールド・オスマン」

 

 

「オォッ! そう言えば

ミス・ウエトウッドも今のところ問題なく

他の生徒達と授業を受けられているようじゃな」

 

 

(「チェッ! クソジジィ……」)

 

 

堂々とセクハラ行為をして来る上に

抗議するとボケた振りをしてきたり

誤魔化したりするオスマンに対して

小声で文句を言うマチルダ……更に

 

 

「チュチュッ、チュチュッ」

 

 

「オォッ! 今日は白か。純白とな」

 

 

「!!!?」

 

 

いつの間にか一匹の白いネズミが

オスマンの手のひらに居て彼に何かの

報告をし御褒美のナッツを貰っていた

 

 

「ウ~~~ム……ミス・ロングビルは

白より黒が似合うと思うのじゃが

そうは思わぬかモートソグニルよ」

 

 

どうやら自身の使い魔のモートソグニルに

マチルダの下着を覗かせ報告させてた様だ

 

 

「オールド・オスマン……

今度やったら王室に報告しますわよ(怒)」

 

 

「ムッ!? 渇~~~~~~っ

たかが下着を覗かれたくらいで

カッカしなさんな! そんな事じゃから

彼氏も出来ず婚期も逃すことになるのじゃぞ!」

 

 

「!!!?(怒)」

 

 

その言葉で堪忍袋の緒が切れたらしく

オスマンを踏んづけまくるマチルダ

 

 

「痛た、ゴメン、もうしない、ホント、許して……」

 

 

子供みたいな口調でオスマンがマチルダに

許しを求めていると

 

 

 

 

 

バタンッ

 

 

 

 

 

「オールド・オスマン! ミス・ロングビル!」

 

 

学院室にコルベールが慌てながら入ってきた

 

 

「何でしょうミスター・コルベール?

ご覧の通り、今取り込み中なのですが」

 

 

ジロリと睨みながら入ってきたコルベールに

そう言うマチルダであったが……

 

 

「それどころではありません

ミス・ウエストウッドの正体が

エルフだと知られてしまいましたぞ!」

 

 

「!!」

 

 

「なっ、なんじゃと!?」

 

 

その言葉に一転して緊迫した表情になる

 

 

「何故じゃ!?

彼女がエルフだと知られぬように

十分に対策をしておいた筈じゃぞ」

 

 

「それがクルデンホルフ姫殿下と

その取り巻きの生徒たちによって

隙を突かれ帽子を奪い取られたそうで」

 

 

「グッ……クルデンホルフの娘か

威張りたがるところや気に入らぬ者を

陥れようとするのは父親に似ておるな」

 

 

苦い表情をしながらベアトリスと

その父親を罵るオスマン

 

 

「それでミス・ウエストウッドは!?」

 

 

「それがエルフであるという理由だけで

強引に異端者と見なされ彼女の親衛隊に

捕まりそうになっています」

 

 

「なっ、テファ!!」

 

 

コルベールの言葉に表情が青ざめるマチルダ

 

 

その時であった

 

 

「ウォォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

 

「 !? 」

 

 

窓の外から獣の咆哮のような声が聞こえ

マチルダが窓の外を見てみると

 

 

「ゾッ、ゾロアーク……!?

あぁ、フフフッ、そう言うことかい」

 

 

マチルダの目には教室がある塔の天辺に

登っていたゾロアークが遠くに向かい

大きく吠えている姿が映りマチルダは

それを見て笑みを浮かべていたのだった

 

 

 

そして……

 

 

 

「 !? 」

 

『 !? 』

 

【 !? 】

 

【 !? 】

 

【 !? 】

 

【 !? 】

 

 

ゾロアークの声を察知した遥か遠くにいて

尚且つ各々が別行動をしてた1人と5匹が

一斉に怒りの目付きに変わり魔法学院へと

進路を変えて向かっていった

 

 

 

 

 

一方、その頃ルイズ達2年生の教室でも

外の異変に気づき外の声に耳を傾けてみると

 

「エルフだ、エルフだ!!」

 

と、言う声が聞こえて来た為に

才人、ルイズ、キュルケ、タバサ

ギーシュ、モンモランシー達が

「まさか……」と言った感じで

互いに視線を送りあっていると

 

 

バリーーーン

 

 

1年の教室から窓が割れる音が聞こえ

才人達がそっちに目を向けると

空中装甲騎士団の火竜によって

彼らが駐留している場所にまで

連れ去られているテファの姿が

飛び込んできた

 

 

「テファ!?」

 

 

「嘘!? バレちゃったの!?」

 

 

「ちょっと、どうするのよ!?」

 

 

「どうするって言われても……」

 

 

「とにかく様子を見に行くしかないじゃない」

 

 

才人、ルイズ、キュルケ、ギーシュ、モンモランシー

の順に口を開くと周りの他の生徒達も

「何だ何だ?」と外へと飛び出していってしまう

 

 

彼らは退屈な授業よりも

揉め事が大好きなのであった

 

 

更に学院の使用人宿舎では……

 

 

「何だか外が騒がしくないシンシア?」

 

 

「そうだね。何かあったのかな?」

 

 

「休憩時間だし行ってみましょうよ」

 

 

「え?……うん、良いけど」

 

 

そう言ってシエスタとシンシアまでもが

外へと飛び出していってしまった

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

「わっ、私をどうするつもりですか?」

 

 

「異端審問を受けてもらうわ」

 

 

「異端審問?」

 

 

「私は“始祖ブリミル”の敬虔成る下僕

洗礼を受けた日に“宗教庁”から司教の

肩書も頂いているから異端審問を行う

権利は十分に持っているのよ」

 

 

ティファニアは訳が分からなそうだが

周りに集まってきた生徒達はその言葉を聞き

 

 

「異端審問だってよ!?」

 

「司教だってよ!?」

 

「本当に!?」

 

と言ってざわつき始めた

 

 

「異端審問を執り行うわ!

そこの煮立った釜の中に1分間浸かりなさい

もし貴女が本当に“始祖ブリミル”の下僕なら

その湯は丁度好い湯加減に感じる筈でしょう

でも貴女が忌まわしい異教徒であるのならば

その場で茹でて肉になってしまうでしょうね」

 

 

ベアトリスのその言葉を聞き騎士の1人が

呪文を唱えると側に設置されていた大釜に

火が入った。強力な魔法の炎であり大釜の

中の水はグツグツと直ぐに沸騰を始めた

 

 

そのような煮立った湯に浸かれば

命はないことは明白である

 

 

異端審問とは詰まり宗教を利用した処刑なのだ

 

 

集まった学院の生徒達も竜騎士と司教の資格を

持っていると言うベアトリスに対し恐れをなし

遠巻きにベアトリスとティファニアを見る中で

ルイズはベアトリスに疑いの眼差しを向けると

才人に何やら告げてくる

 

 

「才人!!」

 

 

「ルイズ……どうしたんだ?」

 

 

「私は、ちょっと気になることがあるから

少し席を外すから後は任せるわ」

 

 

「ハァ? 気になることって何だよ?」

 

 

「良いから私が戻るまでの間に

あの女がテファに手を出そうとしたら

上手いこと邪魔して時間を稼ぎなさい」

 

 

「お、おい……ルイズ!?」

 

 

才人の呼び掛けを無視してルイズは

学院の中央の本塔へと走っていった

 

 

一方ベアトリスは観客が揃ったことを

確認すると勝ち誇った表情を浮かべ叫んだ

 

 

「クルデンホルフ司教

ベアトリスの名に於いて

今から異端審問を執り行います

敬虔成る“ブリミル教徒”の皆様

良く御覧になってくださいませ」

 

 

すると今度は……

 

「本当にやる気かよ!?」

 

「危なくない?」

 

と言って再びざわつき始める

 

 

そんな生徒達の中で怒りに震える才人

 

 

「どうして誰も止めないんだ!?

オイ、皆! 助けに行くぞ!」

 

 

ルイズに後を任された才人が飛び出したが

後ろから羽交い締めにされ止められてしまう

才人が振り向くと羽交い締めにしているのは

ギーシュであることが判った

 

 

「止めるんだ、サイト!」

 

 

「何でだよ!? そんなに竜騎士団が怖いのか

それとも家が金を借りているからかよ!?」

 

 

「君、分かってるのか? 異端審問だぞ!?」

 

 

何時になく真剣な表情でギーシュは言った

 

 

「ここで下手に庇ったら異教徒と見なされて

即刻、牢屋行きなっちゃうんだよ」

 

 

マリコルヌがそう説明すると……

 

 

「そうなると僕たちだけでなく

家族や親族一同まで異端と見なされるんだ

勿論、使い魔でもある君だって邪魔をすれば

ルイズも、異端者として罰せられる事になる」

 

 

続くギーシュの、その言葉で

才人は漸くことの重さを理解する

 

 

「……クソ!!

ルイズは何処に行ったんだよ?

これじゃあ、時間を稼ぎようがないぞ!」

 

 

才人は膝を突くと地面で拳を叩き

居なくなったルイズに対し苛立つ

 

 

そんな中でティファニアは

自分も母と同じようにエルフと言うだけで

殺されるのかと震え初めて止まらなくなる

 

 

すると……

 

 

「ミス・ウエストウッド

1度だけチャンスをあげるわ

どこから来たか知らないけど

今すぐに故郷へ帰りなさい!

そうすれば今までの事は全て

無かったことにしてあげるわ」

 

 

情けのつもりかベアトリスが

ティファニアにそう告げるが

 

 

「嫌……絶対に嫌」

 

 

「!?」

 

 

ティファニアからのまさかまさかの

拒否にベアトリスも驚いてしまった

 

 

「今の私は此処でやらなくては

ならない事があるの、私にしか出来ない事が

それに私はずっと外の世界を見てみたいって

思っていて、その願いをトウヤとポケモン達が

叶えてくれた……それを無駄にしたくないから

私は………………絶対に帰らないわ!!」

 

 

そう力一杯良い放ち拒否したティファニア

 

 

するとティファニアのその言葉で

周りに集まった生徒達から歓声が沸いた

 

 

確かにその長い耳やエルフの血が

流れているとうことに驚き恐怖を覚えたが

ティファニアの事を邪悪と恐れられていた

エルフには見えなくなってきた事に加えて

ティファニアの真っ直ぐな向上に生徒達が

それぞれ心を打たれたのである

 

その上、以前にも記したように

家柄を笠に着て威張るベアトリスに

反感を覚えていた生徒達が多かった事もある

 

 

そして……

 

 

「ベアトリス!

彼女を離してやるんだ!!」

 

 

「そうですわ! せめて、オスマン学院長から

事情を窺ってからでも良い筈です!」

 

 

リュカとケティが真っ先に声をあげたのだが

 

 

「お黙りなさい!!

異端者として見なされたいのかしら?

貴方や貴方達の家族や親族も疑われて

しまっても宜しいのかしら?」

 

 

「グッ……」

 

 

「ウッ……」

 

 

やはり異端者として自分だけならまだしも

家族や親族にまで迷惑をかけられないので

ベアトリスの言葉に口ごもらされてしまい

それを見たベアトリスは勝ち誇った表情になる

 

 

「さぁ! 私が帰れと言ったら帰りなさい!」

 

 

再びベアトリスがティファニアに良い放つと

 

 

「……可哀想な人」

 

 

「何ですって?」

 

 

「全部が自分の思い通りにならないと

気がすまないのね。子供なのね、貴女は」

 

 

その言葉にベアトリスは顔が真っ赤に染まり

遂に激怒し空中装甲騎士団に命令を下す

 

 

「くっ! もういいわ!!

彼女を大釜の中へ運びなさい。今すぐに!!」

 

 

「 ハッ! 」

 

 

ベアトリスが空中装甲騎士団に指示を出すと

3人の竜騎士が自身の竜に股がり手綱を取り

その内の1体がティファニアの体を持ち上げ

大釜の中にティファニアを放り込もうとして

ティファニアとティファニアに感銘を受けて

同情し始めた生徒達が"もう駄目だと"思った

 

 

 

 

 

その時であった

 

 

 

 

 

「トォォォォォォォォォォォォネ!!」

 

 

ドガァァァッ

 

 

「ギシェェェ~~~!!」

 

 

「うっ、うわああぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

突然凄まじいスピードで空から

何かがティファニアを持ち上げた竜の

頭部を力一杯に殴り付けて来たために

竜はティファニアを手離してしまうと

乗っていた竜騎士と共々地面に落下した

 

 

「キャーーーーーーーーーーーーー!?」

 

 

そして突然、手離されたティファニアも

それにより地面に激突してしまいそうになったが

 

 

「クゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」

 

 

疾風の如く駆けつけてきた青い何かが

ティファニアをしっかりと受け止めた

 

 

「え?」

 

 

「クルルル?(大丈夫ですか、テファ?)」

 

 

「あっ……」

 

 

それは青く美しく凛々しい豹のような

姿をしたスイクンであった

 

そしてティファニアを持ち上げた竜を

殴り落としたのはトルネロスであった

"アームハンマー"を使い攻撃したのだ

 

 

「ありがとう……スイクン、トルネロス」

 

 

そう言いながらティファニアは

スイクンの背中の上から首筋に抱きつく

 

 

「コッ、コイツ等は……

あの生意気な平民と共に居た幻獣共!?

邪魔をするなと言ったのを忘れたか!?

構わん! 異端者ごと、やってしまえ!!」

 

 

「「 ハッ!! 」」

 

 

空中装甲騎士団の団長が、そう怒鳴りつけると

竜に股がってる、もう二人の部下にスイクンを

攻撃をするように指示を出したが

 

 

「ジャロォォォォォォォォォォォォ!!」

 

 

ドガァーーーーーン

 

 

「うおぉぉぉぉ!?」

 

 

「ゴォォォォォ!?」

 

 

突如真上から緑色で蔦のような姿をした

生物が青く光り輝かせた尾を使い片方の

竜騎士と竜を地面に叩きつけると

 

 

更に……

 

 

「グルルル!!」

 

 

「「 !!!? 」」

 

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガ

 

 

「ぬっ、ぬぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

「ギ、ギ、ギ、ギ、ギ、ギギシェ~~~~!?」

 

 

突如、目の前に現れた狼のような姿をした何かが

空中の、もう一騎の竜騎士と竜に凄まじい早さで

無数のパンチとキックで攻撃した

 

 

ドーーーーーーン

 

 

最後は渾身のキックを喰らわせて

竜と乗っていた竜騎士を地面へ叩き落とした

更に攻撃を受けた二人の竜騎士と二匹の竜は

いずれも大怪我を負わされてしまったようで

しかも落下の際に竜に装備されてた防具まで

粉々に粉砕させられてしまっていた

 

 

「ジャローダ……ルカリオ……」

 

 

ティファニアがスイクンの背中の上で

静かに攻撃した二匹の名前を呟く

 

ジャローダが"ドラゴンテール"で

ルカリオが"インファイト"で攻撃したのだ

 

 

そして、今度は…………

 

 

「「「「「 !? 」」」」」

 

 

「こっ、今度は何!?」

 

 

不意に周囲一帯が暗くなり

ベアトリスも何がなんだが

分からなくパニックになる

 

 

すると……

 

 

「グルルルルルルルルル…………」

 

 

頭上から唸り声が聞こえ見上げると……

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 

「ヒッ!?」

 

 

ティファニアの最強の護衛にして

白き英雄レシラムが敵意を剥き出しにして

ベアトリスと空中装甲騎士団を睨み付けて

怒りを込めた咆哮を発した

 

 

ズシーーーーーン

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

 

「キャーーーーーーーーーーーーーーー!?」

 

 

レシラムは乱暴に地に着地するや否や

ベアトリスに向けて再び大きな咆哮を

浴びせてきた為に流石のベアトリスも

その場で身を屈め悲鳴をあげてしまい

空中装甲騎士団の火竜達までもが翼で

身を覆って怯え始めてしまっていた

 

 

「なっ、何だ、この竜は!?

ベッ、ベアトリス様を御守りするのだ!」

 

 

「「「「「 ハッ! 」」」」」

 

 

隊長の指示に頷き、レシラムに対して

各々が火、水、風、土などの得意とする

魔法でレシラムに、攻撃を仕掛けるが

 

 

「グルルルルルルルルル…………」

 

 

レシラムは平然と涼しい表情でいる

 

 

「きっ……効いてない!?」

 

 

「「「「「 !? 」」」」」

 

 

そしてそんなレシラムに驚き戸惑う

ベアトリスと空中装甲騎士団の面々

 

そう……フラダリが言ったようにポケモン

特に伝説級のポケモンに対しては魔法での

攻撃は虚無以外は殆んど効き目がないのだ

 

 

すると……

 

 

「無駄だ。レシラムに魔法攻撃は効かない

人間の物だろうと、エルフの物だろうとな」

 

 

その言葉と同時にレシラムの背中から

1人の人物が飛び下りて来た

 

 

「(やっぱり……来てくれた)」

 

 

「あっ、アンタは!?」

 

 

飛び下りた人物にティファニアは涙目に

逆にベアトリスは怒りに震えて直ぐさま

空中装甲騎士団の騎士達がベアトリスを

護ろうと前に出て来て杖を突き付ける

 

 

すると女子生徒達から歓声が沸いた

 

 

「トウヤさんよ!!」

 

 

「きっとあんな下品な騎士団やっつけちゃうわ」

 

 

それと同時にゾロアークがトウヤの

側に駆けつけてきた

 

 

「ゾロアーク……良く知らせてくれたな」

 

 

「ゾルルル」

 

 

トウヤの言葉に頷くゾロアーク

そしてトウヤは歓声には気にも止めず

鋭い目付きでベアトリスを睨み付ける

 

 

「ベアトリス……

貴様、テファに危害を加えたら

容赦しないって言ったのを忘れてないよな」

 

 

「なっ!? ベアトリス様に貴様とは

何と言う口の聞き方だ、無礼者め!!」

 

 

「卑怯者に敬意を示す気なんか無いさ

こっちは仲間からの知らせで貴様らの

姫殿下がテファを騙して強引に帽子を

奪い取った事実は得ているんだからな

これは正式な正当防衛と正当報復だ!」

 

 

トウヤが空中装甲騎士団の団長に

そう告げると今度はベアトリスが

トウヤを睨み付けて怒鳴りつける

 

 

「貴方、クルデンホルフ大公国に逆らう上に

エルフの味方をしようって言うの!?」

 

 

「アンタが信じるとは思わないけど

僕等はティファニアの味方をするだけで

別にエルフに味方するという訳じゃない……

もしもティファニアに危害を加えようとする

エルフが現れたら容赦なく叩き潰してやるさ

彼女はハーフエルフだからエルフの方からも

汚れた者として見られる可能性が高いからな」

 

 

「そんな話し誰が信じるものですか

それより貴方、分かっているのかしら

今私は、この女を異端者として司教の

資格を行使して異端審問にかけていたの

けれど貴方はそれを邪魔した……つまり」

 

 

「つまり……?」

 

 

「異端審問を邪魔することは重大な大罪!

貴方をブリミル教に対する異端者と見なし

貴方の家族や親族も同じく異端と見なすわ

覚悟はできているかしら?」

 

 

勝ち誇ったように言うベアトリスだったが

 

 

「生憎と僕には(この世界に)家族も親戚も居ない

あるのはテファと仲間達だけだ」

 

 

「フンッ! それはお気の毒にね」

 

 

「あぁ……だから僕はテファや仲間達に

危害を加えようとする奴は誰であろうと

容赦する気はない。貴様の方こそ覚悟は

出来ているんだろうな?」

 

 

トウヤのその言葉と同時にポケモン達も

ベアトリスと空中装甲騎士団を威嚇して

鋭く睨み付けてくる

 

 

「グッ……」

 

 

流石にポケモン達に威嚇されて

緊張が走ったベアトリス達であったが

そこへ1人の男子生徒がベアトリスに

近づき言葉を描けてくる

 

 

「恐れながらベアトリス姫殿下」

 

 

「ミスター・ロレーヌ……

こんな時に何の御用かしら?」

 

 

ベアトリスに声をかけたのは

なんとヴィリエであった

 

 

「無礼を承知で提案いたします

流石に姫殿下の竜騎士隊の竜と

そこの無礼な平民が連れている

妙な幻獣が此処で戦えば学院に

被害が出る可能性がありますし

ここは竜騎士隊の方々とそこの

平民の人間同士で戦う事こそが

一番安全で尚且つ互いの実力を

証明することも出来るのでは?」

 

 

「「「「「「「 !? 」」」」」」」

 

 

ヴィリエのその言葉に才人を始め

ギーシュ、モンモランシー、キュルケに

更にリュカやケティの表情に焦りが出る

 

確かにポケモン達ならまだしも

トウヤが一人で空中装甲騎士団と

戦うのは無理だと心配したからだ

 

 

そう……ヴィリエは、この状況を

トウヤを陥れる絶好の機会と見なして

ベアトリスと空中装甲騎士団を利用すれば

トウヤを色々な意味で抹殺できると見た訳で

決して学院を心配して言った訳ではないのだ

 

 

そしてベアトリスはヴィリエの言葉に

まんまと填まり「ハッ!」とした表情になると

 

 

「そっ、そうね……

流石に学院に被害を出すわけには行かないわね」

 

 

形勢逆転とでも言いたそうな表情に変わり

ベアトリスが再び口を開く

 

 

「トウヤ……だったわね?

ミスター・ロレーヌの言うとおり

学院に被害を及ぼす訳にも行かないから

続きは貴方と私の親衛隊で行いましょう

よもや断ったりなんて致しませんわよね

まさか私にあんな口を利いておきながら

実は貴方自身は大した実力が無いとか?」

 

 

周りで見ていた生徒達も言われてみればという

感じの表情になってきていた

 

 

その様子にヴィリエは頭の中で

トウヤが追い詰められて焦り出す姿を

想像し悪意に満ちた笑みを浮かべている

 

 

しかし次にトウヤの発した言葉は

ティファニアとポケモン達以外は

予想外な言葉であった

 

 

「僕と、そっちの空中装甲騎士団の直接対決

……ということか…………いいだろう!!」

 

 

「「「「「「「「 !? 」」」」」」」」

 

 

まさかの了承にベアトリスとヴィリエは勿論

才人やギーシュ達も驚きの表情に変わる

 

 

「僕が負けたら潔く異端審問だかなんだか

よく分からないが罰は受けよう……但し!

僕が勝ったらテファに謝罪してもらうぞ!」

 

 

ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ

 

 

まさかの展開に周りが、ザワつき始める

 

 

「自分の言ってることが分かってるのかしら

一対一ではなくて全員と戦ってもらうのよ?」

 

 

ベアトリスは「正気か!?」と戸惑いの

表情になりながらトウヤに確認をとるが

 

 

「あぁ……分かっているさ!」

 

 

対するトウヤには迷いはなく

強い決意と覚悟を持った表情をしていた

 

 

すると……

 

 

「止めろトウヤ。無謀すぎる!」

 

 

「そうだ、トウヤ!

僕と才人が決闘した時とは訳が違いすぎる

君一人で空中装甲騎士団全員を相手だなんて

怪我だけじゃ済まない。死ぬかもしれないぞ!」

 

 

「そうよ、止めて!

そんな事になったらテファだって悲しむわ!」

 

 

「テファもそこまでして守ってほしいなんて

思わないわ。お願いだから止めて!」

 

 

才人、ギーシュ、キュルケ、モンモランシーが

必死にトウヤを思い止めようとするが……

 

 

「心配してくれるのは嬉しいけど

テファに危害を加えられた以上は

僕は黙っている訳には行かないし

それに……何より……」

 

 

「「「「何より……?」」」」

 

 

「個人的に、この自分勝手な我が儘集団を

無性に叩き潰したくなって来たものでね!」

 

 

そう言いながらベアトリスと空中装甲騎士団に

挑発的な目付きを向けるトウヤ

 

 

「「「「 ……………… 」」」」

 

 

その言葉に唖然とし

開いた口が塞がらなくなる才人たち

 

 

すると空中装甲騎士団の団長がトウヤに近づき

 

 

「成る程……大した自信だ

我々も随分と舐められたものだな

ならば……たっぷりと後悔させてやろう!」

 

 

「上等だ!!」

 

 

団長の言葉に怯むことなく言い返すトウヤ

 

 

すると……

 

 

ウォォォォォォォォォォォォォォォォッ!

 

 

キャァァァァァァァァァァァァァァァッ!

 

 

周りから大歓声が上がった

 

 

「トウヤさん。頑張って下さい❤」

 

 

「応援してます。トウヤさ~ん❤」

 

 

特に女子生徒はかなり熱狂している

 

 

一方で予想外すぎる展開にヴィリエは

 

 

「何だって言うんだよ……アイツは?」

 

 

トウヤが追い詰められる展開を期待していた

ヴィリエだが180度違う展開に苛立っていた

 

 

更に騒ぎを沈めようと野次馬の中に

紛れていた教師達の中にはオスマンと

コルベールにシュブルーズの姿もある

 

 

「学院長。危険すぎます

早く彼らを止めなくては!?」

 

 

そう言いながらオスマンに

事態を終息させようと提案する

コルベールであったが……

 

 

「ここまで騒ぎが大きくなれば

止めようが無いじゃろう。それに何より……」

 

 

「何より……?」

 

 

「トウヤ君の、あの自信……

儂が始めてトウヤ君に合った時に

感じた何かの正体を知る機会かも知れぬ」

 

 

「トウヤ君から感じた何かとは?」

 

 

「それは流石に分からぬが

彼からは魔法とは違う不思議な力を

感じたような気がしてならないのじゃ

もしかしたら、それが分かるかもしれぬ」

 

 

「はて?」

 

 

オスマンの言葉にコルベールや他の教師達は

訳が分からなそうな顔をしている

 

因みに何故かマチルダの姿がルイズと同様に

その場には無かったことを記しておく

 

 

一方でトウヤと空中装甲騎士団の団長は

 

 

「フンッ! 流石に平民たった一人を

我ら全員で仕掛けるのは気の毒だからな

そこに居る狼みたいな奴か黒い狐の様な

奴のどちらか1匹ならば加えても良いぞ」

 

 

「良いのか? 後悔するかもしれないぞ?」

 

 

「減らず口も程々にしろ

此方にも意地とプライドがあるのだ

つべこべ言わずに1匹だけ加えろ!」

 

 

苛立ちを見せてトウヤに良い放つ団長

 

 

「分かった……ルカリオ、頼めるかい?」

 

 

「グルルル!!」

 

 

トウヤの呼び掛けに頷きながら

前に出るルカリオ

 

 

「トウヤ! ルカリオ!」

 

 

ティファニアがスイクンの背中の上から

トウヤとルカリオに後ろから呼び掛ける

 

 

「大丈夫だよ

僕もポケモン達もテファの事となれば

負けないから安心して見ていてほしい」

 

 

「……分かったわ……絶対に無茶はしないでね

それから、やり過ぎないようにね……」

 

 

「分かってる。他の皆はテファの事を宜しくね」

 

 

自分とルカリオを心配そうに見つめる

ティファニアと彼女の周りを囲むように

守っている仲間のポケモン達にそう告げと

今度はラグーナがトウヤに話しかけてくる

 

 

《今さらだが大丈夫なのか、トウヤよ?》

 

 

「ルカリオが一緒だし大丈夫だよ

それに……これの性能を試す良い機会だ」

 

 

そう言いながら自分の胸に手を当てるトウヤ

 

 

《……成る程……そう言うことか》

 

 

「あぁ、それにハルケギニアに来てから

ほぼ毎日ルカリオと、対人戦闘の訓練を

してきた成果だって確かめたいからな」

 

 

『フフフ、そうだな

楽しみにしているぞ……トウヤ』

 

 

「あぁ、宜しく頼むぞルカリオ……いや、師匠」

 

 

『そうだな……成果を見せて貰うとするか?』

 

 

「勿論!」

 

 

ラグーナとルカリオと

そんな会話を小声で交わすトウヤ

 

 

次回「波導VS魔法(後編)」

 

 

遂にトウヤのルーンと戦闘の力が発揮される

 

 

 

 

 

 

 

(波導は、我にあり!

 

そして……

 

来い、リーヴスラシル!)

 

 

 




また25000文字にも及んだ上に
色々なシチュエーションを考えていた為に
こんなに遅くなっちゃいました

しかも前編と後編に
分かれる事になってしまい申し訳ありません

その代わり後編の話しは
大体の原型は出来てるので早く投稿できる
……筈です……済みません

話の中に出てきた聖獣とは
勿論あのポケモンの事です
ブリミルと過去に何があったかは物語の
最終局面にならないと分かりませんので
何卒ご了承下さいませ……

それから次の話でトウヤは波導を使って
かなり無茶苦茶な攻撃をしてしまうので
読者の皆様はドン引きするかも知れませんが
広い心でご覧に頂けるとありがたく存じます

間もなくこの物語を書いてから1年になります
これからもよろしくお願い致します

それではまた後編にて!!

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