不屈のヒーローアカデミア   作:nyasu

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笑顔の素敵な君の名は……

夢を見た。

それは不屈の英雄の物語。

 

誰かが言う、何故お前は立ち向かえるのか。

彼は言う、圧制者を討ち滅ぼす為だと。

 

味方が言う、もうダメだ俺達は負ける。

彼は言う、勝利するときの凱歌はさぞや叫び甲斐があるだろうと。

 

敵が言う、もう諦めろとお前は死ぬ。

彼は言う、圧制者とは永遠に相容れることはない。死ぬがよい。

 

その最後は凄惨な死だった。

身体中を剣や槍で刺され、止めどなく血は流れていた。

味方からも敵からも恐怖され、それでも彼は戦い続けた。

そして、何時だって笑顔だった。

 

 

 

暗い裏路地、そこで俺はため息を吐いた。

眼の前には蜥蜴、鰐、蛇と動物のような見た目の人間が三人。

囲まれるように怯えて震える少女が一人。

異形系の個性を持つ不良に絡まれたって所だろうか。

 

「おい」

「あぁ、何だてめぇ!邪魔すんのか!」

「ソイツら知り合いか?あぁ、分かった違うんだな」

 

首を左右に振る少女に、なるほどと理解する。

やはり絡まれてたって訳だ、ナンパじゃねぇか。

 

「良いこと思いついた、オラァ!」

「ッ!?」

 

蜥蜴顔の奴が俺の顔を殴りつける。

そのせいで、口を切って首は酷い勢いで横を向いた。

クソが、痛ってぇ……

 

「わ、私の事は良いから逃げて!」

「悲劇のヒロイン気取りかよ、いいねぇ」

「おい、手を貸してやるよ」

 

そう言って鰐顔の奴が蹴りを入れてくる。

そのまま俺は路地裏に転ばされる。

畜生、クソッタレが痛いだろうが。

 

「ざっけんじゃねぇよ、個性使うと犯罪だろうが」

「何ブツブツ言ってんだ、ウェーイ!」

 

倒れている俺に対して、鰐野郎が踏んづけてくる。

その足を掴み、力を込める。

 

「あっ?痛たたたた!?はな、離せ!」

「おい、大丈夫か!」

「テメェ!」

 

俺の身体に緑色の光が走る。

電流に似たそれは口と腹部に掛けて走った。

あぁ、使ってしまった。自分でもコントロール出来ないから、困るんだ。

 

「バレなきゃ、まぁいいか」

「足がぁぁぁ!離せ、離せって!」

「うるせぇよ、足くらい何だ」

 

俺はそのまま撚るようにして足の骨を折る。

悲鳴が路地裏に広がるが、死んでないなら安いものだろう。

 

「テメェ、タダで済むと思ってんのか」

「アァ、テメェどこ中だよ!テメェらが喧嘩売ってきてんだろうが、ぶっ殺してやる!」

「なっ、イカれてんのか!」

 

取り敢えず、俺を足蹴にした鰐野郎の尻尾を手に持つ。

何だお前、ズボンに穴開けてんのかよウケる。

でもってそれを思い切り地面に叩きつけた。

 

「カハッ!?」

「アッちゃん!」

「何、この鰐アッちゃんとか言う名前なの?ダサくね、顔に似合わねぇわ」

 

再起不能になった奴を横目に、蜥蜴と蛇の異形コンビに近付く。

異形型の個性、見た目で苦労するのもあるだろうが動物みたいな個性だから身体能力の面でも苦労してるんだろう。

で、だから悪い事していいってか、良いわけねぇだろ。

ゆっくりと近付く俺に蜥蜴野郎が口を開きながら走ってきた。

 

「テメェ、この野郎」

「ぐあぁぁぁぁ!クッソ、痛いじゃねぇか」

 

そのまま俺の肩に噛み付いてくる。

原始的だが、実に有効的な方法だ。

 

「俺じゃなきゃ大怪我だな、おい」

「ぎゃ!?」

「ぎゃ、じゃねぇんだよ!クソが、ざけんな!」

「がっ、あがっ、やっ、やめっ、ぐえぇ!?」

 

噛み付く顔を拳を使ってぶん殴る。

殴り飛んだ蜥蜴の頭を手で掴んで、路地のビルに叩きつけた。

何度も何度も、大丈夫だこれくらいで人は死なない。

 

「お前の首長いな、これから殴るが気道が潰れる心配はないだろ。首、丈夫そうだし」

「ひぃぃぃぃ」

 

俺が人睨みすると、蛇野郎はビビって逃げていく。

はー、雑魚。それでもヴィラン見習いかよ、チンピラが死ね。

助けた少女を見る、俺の顔を見てドン引きしていた。

おっと、慌てて顔を押さえるがもう遅かった。

 

「あ、ありがとうございました!」

 

引き攣った顔で走る少女、見られたな。

俺は思わず上がってた口角を触りながらそう思った。

悪い癖だ、戦うと自然と笑顔になってしまう。

 

「ふぅ……おー湿気てんな、二人揃って一万も届かねぇのかよ。まぁいいや、ゲーセン行くか」

 

学校で授業って気分でもなかったので、今日はサボる事にした。

 

 

 

再び路地裏で絡んできてチンピラを殴る。

今度は犬と猫、異形型の個性の奴って不良多すぎ。

昼間からゲーセンに行ってるような奴らはだいたい不良って分かんだね。

 

「んだよー、お前ら金欠だから襲ったのかよ。はー、使えな」

「ギャ、やめ!」

「うるせぇよ、テメェら腕の一本ぐらい折っておかないと八つ当たりで誰か殴んだろう」

「そんなことしな、ぎゃぁぁぁぁ!?」

「腕の一本くらいでなんだよ、人間の骨はたくさんあるって映画で言ってたろ?」

 

全くヒーローは何をやってるのか、不良がこれだけ居て何もしていないのには呆れてしまう。

もう社会は腐ってるんだよな、ヒーロー飽和社会だ、ファッションヒーロー多すぎ。

ヒーローってのは狂人だ、自己犠牲の果てに辿り着ける場所だ、なりたくてなるもんじゃねぇんだよ。

 

「これにこりたらカツアゲやめろよ」

「テメェ、覚えてろよ……」

「おいおい、復讐とか怖いからやめろよ。復讐の連鎖は断ち切るべきだろう」

「えっ、ちょ、ぎゃぁぁぁぁ!?」

 

調子乗ってたので徹底的にボコボコにすることにした。

知ってるか、ヴィランに人権ってないんだぜ。

 

 

 

街を歩いていると、ヴィランが暴れていた。

人身事故と同じくらいの確率でヴィランが暴れるなんてよくあることだ。

プロヒーロ―のトップになると片手間で倒せるくらいの雑魚だが、一般人には脅威だ。

戦闘向けの個性なんて珍しいからな、まぁそういう奴はなれる職業が限られてくるからそれはそれで可愛そうだ。

 

「来んじゃねぇよ、この女がどうなっても良いのか!」

 

人質に取られた女が居た。

ヴィランは、鳥のヴィランだった。

なんだろう、今日は異形型の個性に出会いやすい日なのだろうか。

周りの奴らは心配しながらも、野次馬とかして携帯で写真を撮ったりする。

ヒーローが来れば大丈夫、そんな考えで野次馬やってるのだ。

馬鹿じゃねのか、個性は資格がないと使えない、だから資格のあるヒーローが来るまで黙ってみてる。

もう一度いう、馬鹿じゃねのか。

いつ人質が死んだっておかしくないのに傍観決め込むとか、馬鹿じゃねぇのか。

 

「おい、そこの鳥頭」

「来るなつってんだろ、テメェ!」

「君、犯人を刺激するな!」

 

騒がしい大人にうんざりする、俺に注意する前にスマホで写真撮ってるやつを注意しろ。

俺は騒がしい大人を無視してヴィランに近付く。

 

「同じことしか喋れねぇのかオウム野郎、人間様の振りしてんじゃねぇよ。どうした、そのナイフは飾りか?俺を刺してみろよ、それとも弱い奴しか、そこの女しか刺せないってか?」

「テメェ、舐めてんじゃねぇぞ」

「やってみろよ、ほらほらほら、人質なんか捨てて、掛かってこいよ!」

 

俺はそのまま走り出す。

煽りに煽って、走り出す。

ヴィランがキレてナイフを此方に向けてくる。

そして、そのまま俺に向かって突っ込んできた。

ナイフがサクリと胸に刺さる。

痛いじゃねぇか、痛いんだよクソが。

 

「あー悲鳴がうるせぇ、そう思うだろう?死ね!」

「ぐぎゃ!?」

「お前、人のこと刺しやがって!殴られても文句言えねぇぞ!」

「ぐげっ!」

 

俺はナイフが刺さったままヴィランを殴る。

殴って殴って殴り続けるうちに、胸からナイフが落ちた。

回復して筋肉がナイフを押し出したんだろう、まぁいいや殴ろう。

 

「何してるんだ、やめろ!やめろぉぉぉ!」

「離せヒーロー、ヴィラン殴れない!」

 

この後、滅茶苦茶に説教された。

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