とあるHACHIMANがあの世界に行った 作:はチまン
「ぶひひ、あーあ、この馬鹿作者、またクソガハマSS書いてやがる。ムカつく、めちゃくちゃ気分悪い」
俺はカタカタとキーボードを叩きつつ、画面に表示されたその小説の感想欄にコメントを書き続けた。
まったくいくら注意しても全然こいつらは成長しねえ。こんなくそみたいなキャラクターで小説書くなよ気分悪い。
そもそも『俺ガイル』は酷い話しすぎるんだよ。
主人公の八幡がなんであんなひどい目に遭わなきゃならないんだよ。何も悪くないだろ?
文化祭の時だって消えた相模のことを、無理矢理平塚に言われて一人で探しにいかされて、それで見つけて正論を言ってやっただけなのに、いいとこ全部葉山に持っていかれて……
そうだ、葉山だ。
葉山が全部悪いんだ。
あいつが全部裏で糸をひいて、八幡を貶めているんだからな。
まったく、なんで原作原作うるさい原作厨どもにはわからねえんだ? いったいどれだけ葉山がクソかは、今までのたくさんのSSでもう明らかじゃねえか。
葉山が八幡を貶めるために、アホのガハマを使って誘導して、八幡が最終的に酷い目に遭うように画策しているに決まっている。
ほーら、この□□さんのアンチSSにだって、『葉山が全部しかけたんだ、もう逃げ隠れ出来ないぞ』って八幡が言って、くふふ、逆上した葉山が殴りかかろうとしてるし。あーあ、葉山。みんな見てるぞ? お前の情けない姿。くっくっく……あーあ、これだからアンチは堪らないぜ、ガハマなに泣いてんだよ? お前がアホなのが悪いんだろうがバーカ。お前みたいなくそビッチは円光でもしてろよ。
お、それいいかも?
八幡に告白するふりをして、裏で円光やってましたーにして、それがばれてのたうちわまって……くひひ、そうだ、クラス中の生徒の前で吊るしあげちまおう。当然葉山も一緒にだ。
あ、で、ヒロインは三浦優美子にすれば、また人気出そうだな。よし、なら早速書き始めるか……
でもその前に、このくそSSに書かねえとな、こんなくだらない誰も見ねえようなSS書いてるんじゃねえよってな、くひひ。
おーおー!? 早速返信きたぜ。くははは、なにこいつ熱くなってんだよ。何が原作を読めだ。んなもん読まなくたって二次小説とヤフ○知恵袋で十分情報は集まるんだよばーか。
お!? 早速△△さんも応援コメントしてくれた。よし、このままこいつに現実を教えてやるぜ。
お前の目障り検索妨害の駄作なんか誰も読まねえから、もう二度と書くんじゃねえってな。
はははははははは……
その時、パソコンが急に光って目の前が真っ白になった。
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「なんだよ眩しいな、パソコン壊れたのか? ん?」
眩しさが少し緩和したところでパソコンを見ようとしたのだが、そこにはパソコンはなかった。
「え? なんだ?」
何が何やら良く分からず、周りを見て見ればそこは俺の部屋ではなく薄暗い林……いや、この木はなんだっけ……竹?
ぼんやりと下から照らされた明かりに浮かび上がるのは確かに竹の林のように見えた。
は? はぁ? なんだこりゃ?
俺はなんでこんなとこに……
と思いつつ今度は自分の姿を見て驚愕。さっきまでTシャツパンツ姿でパソコンの前に座っていたはずの俺は真っ黒い服を着ていた。いや、ただの黒い服ではない。俺はこの服のデザインを知っていた。
「これ学生服か?」
黒字に白の縁取りがされたそれは、まさしく俺ガイルの総武高校の制服のデザインそのもの。
なんで38の俺がこんな制服を着てるんだよ。
そう慌てた時だった。
「ずっと前から好きでした。俺とつきあってください」
え?
そんな声が近くから聞こえ、その竹林の奥、ライトアップされた先に目を向ければそこに何人かの人の姿が。
小路の中央に立っているのは一人の女性と二人の男性。そしてその手前の植え込みの左側に隠れているのは二人の女と、右側に男が三人。
いずれも俺と同じ総武高の制服を着ていた。
こ、これは……
なにがなんだか理解は出来なかったが、この場面がいったいなんであるのかだけははっきり分かって、俺はただ
次の彼女の言葉を黙って聞いた。
「ごめんなさい、今は誰とも付き合う気はないよ、話それだけならもういくね」
そして彼女は歩み去る。
そして立っていた二人の男子生徒は何か会話をして……
そうだ、
これはあれだ、あのシーンだ。
俺はこの俺ガイル作品で一番嫌いな場面に居合わせていた。