とあるHACHIMANがあの世界に行った   作:はチまン

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ユイ

「いや、ちょっと待って、いやマジで!!」

 俺はもう訳も分からずに木刀を持ったまま、アスナさんにそう切り出すも、俺の方を見た彼女はにんまりと微笑んだ。

「相変わらず斬新な構えね、ハチくん。それでこそ『隠者(ハーミット)』よ! 」

「は!?」

 いや、だからなんでそうなる!! 

 おかしいだろいくら何でも!!

 だって俺今、ただ突っ立って木刀持っていない方の手を出して、やめてくれアピールしまくっていただけなんだぞ?

 っていうか、なに? アスナさんの記憶の中の俺のイメージって、マジでこんななのかよ。やめろよ、もう少しカッコつけておけよ、イメージの中の俺!!

「さあ、行くわよ!!」

 キィィイイイイインとゲームの効果音のような音が響きつつ、彼女の持つ木刀から明らかに攻撃しますよ的な光が放たれ、そして彼女は地面を蹴った。

「はぁああああっ!!」

「ちょまっ」

 とんでもない速さ! つい今まで遠くにいたというのに、瞬間俺の視界いっぱいに突然アスナさんの顔が!!

 その動きを当然俺が追従できるはずもなく、そのまま俺の胴体に彼女の一撃がめり込む……

 

 はずだった!!

 

 ガッキン!!

 

「え?」

 あっと思ったその時にはすでに彼がそこに居た。

 キリト君だ。

 彼は真っ黒な衣装をはためかせて、その右手に握った木刀で彼女のそれを跳ね上げたポーズで俺の前に立っていた。

 え? なに? なんなの? なんで一瞬で俺とアスナさんの間に割り込めるの? 八幡ホントに分かんない。

「邪魔しないでキリト君」

「そうはいかないよ、アスナ」

 キリト君はそのまま跳びはねて後退したアスナさんに一気に迫る! と、そのままとんでもない速度で身体を回転させながら彼女に何連撃も叩きこんだ。

 ように見えた。

 が、その全てをアスナさんは木刀を器用に角度をつけつつ受け流していた。そして、彼の連撃が終わるかと思えたその瞬間に、一気に彼の背後へと回り込んでそのひざ下にまわし蹴り……

 と、それをキリト君は小さく飛んで回避し、捻った上半身の勢いのままに地面すれすれにいたアスナさんに木刀を叩きこむ。

 でも、彼女は回し蹴りのモーションの途中であるにも関わらず、軸にしていた方の足先だけの力で、その場から水平にジャンプ、刹那の中で、彼の一撃を避け、そして回転しつつ着地し再びあのフェンシングのようなポーズ。

 首をキリト君へと廻してみれば、彼は彼で何事もなかったかのように剣を中段に構えて立っていた。

 この間……え? 1秒? 2秒?

 いや、とんでもねえよこの人たち。

 なんでこんな動き出来るんだよ。こんなのもうモンハンのレベルじゃねえよ。どっちかといえばK〇Fか、ストリート〇ァイターだろう!! いや、剣を持ってるからサム〇ピか!?

「大丈夫だったかしら?」「ヒッキー怪我してない?」

「はあ?」

 突然俺の傍に近寄ってきたのは雪ノ下と由比ヶ浜の二人だ。

 こいつらは俺の手を引くとさささっと、アスナさんとキリト君から離れた大きな幹の木の陰にはいった。

 一応、ここからも、砂煙のようなエフェクトを巻き上げながら戦う二人の様子は見えるのだが、何かあればこの木が盾になってくれそうでもある。

 それよりも雪ノ下だ。

「お前な! なんでいきなりあんな風にアスナさんを嗾けたんだよ。あやうく俺死んじゃうところだっただろうが」

 いや、ホントそれな。

 1000回叩かれてライフが尽きようが、現実の生身の身体は死ななかろうがそんなことは関係ない。あんな竜巻みたいなラッシュを浴びたら、精神的に間違いなく死ぬ。

 いや、マジで怖かった。超怖かった。ああ……現実の俺、ちびってねえよな。そっちが怖い。

 そんなことを考えていると雪ノ下が少し伏し目になった。

「それは……悪かったわ。でも、こうするしかなかったのよ。〈この娘〉に頼まれたのだもの。アスナさんを本気にさせてほしいと」

「はあ? この娘? 誰のことだ? 結衣のことか?」

 そう結衣を見てみれば、結衣も気まずそうに、だが言葉を選ぶようにして言った。あ、こいつ、雪ノ下がこうすること知ってやがったな。

「あ、あのね……ほんっとごめんねヒッキー。あの、あの……、これをお願いしたのは確かに〈ゆいちゃん〉なんだけど、あたしのことじゃなくって、あたしじゃないユイちゃんで、えーとえーと」

「は? ゆいちゃん? なんでお前は自分のことをちゃん付けしてるんだよ」

「あ、だからちがくて! そのユイちゃんは人じゃなくて……」

 そんな訳の分からなくなっている結衣の胸元から、その〈小さな奴〉が這い上がってきた。そしてその胸の上に立って俺を見上げてきた。

 っていうか、何気に今結衣の奴たわわチャレンジ成功しちゃってるし!! おいおい雪ノ下!! お前は絶対見ない方が……あ、はい。おれはなにもかんがえてない! ないったらない!

「八幡さん、初めまして。私はSAOカーディナルシステムの『メンタルヘルスカウンセリングプログラム試作1号(MHCP001)・コードネームユイ』です。つまり人工知能(AI)で、今はキリトパパとアスナママの娘です」

 そうデカい胸の上で宣言する小さな妖精のような女の子。

 え?

 は?

 なに?

 AI?

 で、キリトくんがパパで、アスナさんがママ?

 なにキリトくん、お兄ちゃんの上にパパだったの!? どんだけ明るい家族計画なんだよ!? 妄想の中でだぞ、じゃねえの、浦ちゃんみたいに!

 とりあえず俺は結衣のお〇ぱいの上のユイちゃんに釘付けだった。

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