パワプロクンポケット10〜世界の破壊者の奇跡   作:カーナビレッスン

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第四十四話 怒りの支配

 

大江和那…彼女に敷かれた運命というレールはあまりに残酷だった。

彼女はいつしか自分の居場所は戦場にしかないと考えるほどに…他の世界でも確率としては高すぎるほどそうなっている。

もしもの世界の…"もしも"がないのだ。

彼女は幸せを求めた…故に幸せになれない。

彼女は今日も戦場に赴いて敵を殺す。

それはまさしく鬼…

そして、いつしか壊れる。

人が人らしくいられるのはあるレールを歩いている時だけ…

そのレールから外れたものは終わるだけ…

彼女はレールから外れた…

落ちるものは落ちるだけ…

もういつ終わるかわからない戦いに身を寄せ…自らを血で染める…

 

大江和那。

 

彼女のハッピーエンドはまだ……遠い。

 

 

 

 

 

 

はずだった…

 

"世界の破壊者が現れるまでは"

 

 

ー隠し部屋ー

 

彼女はそこにいた。

隠し部屋にてジャジメントたちを殺した血の姿のまま泣いていた。

俺は先ほどの戦闘を見て、急いでその部屋に向かった。

しかし、この世界の彼女は強い。

雰囲気でわかる…この世界の俺と恋仲なのはわかっている。しかし…

多分、この世界の俺は殺される。

流石に色々と世界を回って気付いた。

 

ジャジメントを倒したのは確実に正解だった

 

仮面ライダーの力は絶対に必要だった

 

この二つだけは絶対に揺るがない。

楽しみながら…笑いながら人を殺すなんて彼女の姿を見たくなかった。

彼女は知りたくなかった…あんなことは知らなくて良いのに…

戦場の怖さがわからないんじゃない…

自分よりも弱い奴しかいないんだと思う。

ならば戦って勝つしかないか…

恐怖を教え込まないとダメか…

 

士『悲しいな…俺が仮面ライダーでよかったよ。変身。』

 

〈カメンライド!ディケイド!〉

 

さてと…今回はどいつを使おうかな

 

俺は何枚かのカードを出して二枚選んで残りはバインダーに入れた。

 

〈カイジンライド!バイソンヤミー!〉

 

頼む…あいつの心を蘇らせてくれ…

恐怖と暴力を振るう俺を許してくれ…

いや、許さなくてもいいか。

 

俺は和那の隠し部屋の側にバイソンヤミーを出現させて襲わせた。

和那はすぐにその気配に気づいてその場から立ち去った。

 

和那『!!なんやあの化け物…あれもジャジメントの刺客か…ククク…楽しませてくれそうやな!』

 

自分の周りの重力を変えてバイソンヤミーに襲いかかる!

よし、今だ!!

 

ドゴン!!!!

 

 

和那『!!』

(なんや…体が動かへん…どういうこっちゃ…能力は使えてるはずなのに…暴走か…それとも超能力妨害かぁ…かまへん!)

 

目がやる気を帯びている…

いや殺る気の間違いか…

 

バイソンヤミー『うおおおおおお!』

 

バイソンヤミーが和那にのしのしと歩いていく…

和那は槍を持って必死に力を使おうとするがやはり動かない。

この戦いはバイソンヤミーが絶対に勝たなければならない。

今の和那は鬼だ…恐ろしげな表情で敵を次々と殺していく…それは慢心。

この世界やエボルトがいた世界ではNo.2の実力じゃないかと言われていたくらいだからな。

もしかしたら…自分と同能力のヤミーなら倒せるか…いや、和那の能力は触れていないと重力変化が出来ない。

しかし、バイソンヤミー、ローリンググラビティ、ランドドラゴンスタイルは触れなくても大丈夫だ。

それだけで勝てるとは言えないけどね。

 

和那『おりゃ!』

 

和那はとっさに槍を地面に突き刺して集中的に地面に力を与える。

槍の先端に自分の力を集中させて逃げる気だな。

だけど、バイソンヤミーにそんなの通用しないんだよ!

 

ヒューーーーーン!!

ガァン!!カァン!!

 

和那『あだっ!!』

 

大量の空き缶と鉄のパイプが和那を襲う。

集中力が切れれば止まるか。

しかし、あの槍は厄介だ。

俺が戦うにしても……

にしても戦いたくないな…

 

和那『くっ!中々厄介な敵やな…うちより能力が上や!だけど負けへん!あいつの…あいつのために!』

 

チキショウ!!!

今、タイムベントを使うか!!

だけど…俺は…

くそっ!!やる事は今はただ一つ!!

あいつを負かすこと!

あいつに誰かをすがる事を教えないといけない!!

和那は壊れかけだ…そうなったらこの世界の俺は死に世界は支配される!

それだけは避けなければ…

 

〈カメンライド!!オーガ!〉

 

俺はバイソンヤミーの横に飛び降りて剣を構える。

 

〈アタックライド!オーガストランザー!〉

 

ガキン!!!

 

その剣で和那の槍を跳ね飛ばす。

 

士『勝負あったな。』

 

これで和那は知る…

自分より強いものがいることを自分が無敵ではないことを。

しかし…現実は違った…

 

和那『ふははははは!!ようやるわ!やけどな!これでうちが死んでも…意味はないで!ジャジメントは必ず潰れる!』

 

ボロボロの動けない体から精一杯に声を張り上げる。

しまった!彼女はそうじゃダメだったのか!

負ければ恐怖を覚えると思っていた

心が戻ると思った。

違ったんだ……

 

士『そんなことは無駄だとわからないのか。いくら超能力者だとしても所詮はただの人間だ。勝てるわけない。』

 

和那『せやけどなあ…今までは勝ってきたんや…あんたが来るまでうちは…何人も何人も殺してきた!!

向かって来る刺客を殺しまくった!

力が強くなって…大概の敵は楽勝やわ。

それはまるで鬼のようと言われたわ…

全然嬉しないわ!!

うちは普通に暮らしたかっただけや!

あんたに…あんたにこのうちの気持ちがわかるかいな!!』

 

!!

やっぱりここも…うっ…ちきしょう…

ちきしょう…

なんでだよ!!

エボルトオオオオォ!

 

俺は剣を投げ捨ててその場で膝をついた。

そして俺は変身を解除した。

 

和那『!!!な、10主!!あんたが…あんたがなんでこんなとこに…』

 

士『辛かったよなぁ…本当に大変だったんだろう…すまない…遅れてしまって…』

 

俺は涙を流しながら彼女の方を向いた。

とても驚いた表情でこちらを見ている。

 

士『もう終わりにさせてやる…その前に…もう…そんな考え捨てて欲しかった…

戦いを楽しむ性格じゃないだろ和那は!

俺の世界でも…この世界でもただの女の子なんだ!

それをこんな環境のせいで…』

 

和那『舐めんな!!例えあんたの方が強くてもそんな都合の良い話が…』

 

士『都合が良いなんて思うな!!

この世界はまだましなんだ!

和那!自分でもわかってるだろ!

自分が今どんな状況で…どれだけ辛いかわかってるだろ!!

わかってはいるが抗えないんだろ!

だから!受け入れた!自分を…自分を鬼として動いた!

だが、もういい!!もういいんだ!』

 

和那『どうにもならへんこの状況や…こんなことしな生きていけないんや!』

 

やはりジャジメント!!

くそっ!!!

ここまで心が…

 

士『……じゃあ、もし…もしだ。もし、和那は過去に戻れたらどうする。

そんな力を手に入れずにいたらどうしていたと思う?』

 

和那『そんなもんわからへん。ただ…今よりかは幸せになっとるわ。

うちも変われる…

それが出来たら……どれだけ幸せか…』

 

士『…そうか…なら、奇跡ってのは起こさないとな…悪かった。俺を許さなくてもいいが…この世界の俺は…許してやってくれ。』

 

和那『あんたは一体…』

 

士『……力を持ち過ぎた化け物だ。』

 

間違っていた

彼女は変わっていなかったのかもしれない

それなのに俺は…

ただ彼女が壊れる手伝いをしただけなのか?

俺は…破壊者…

全てを破壊するのか…人間の幸せを…

 

〈アタックライド!タイムベント!〉

 

俺は時間を戻し、すぐさま支配者達を倒した後逃げるように元の世界に帰った。

世界の情勢的に気付くだろう。

しかし、これは夢として処理される。

よかった…体の傷が…

申し訳なかったからだ…

これは悪夢だったんだ…そう処理される。

これでいいんだ…

色んなライダーよ!後は任せた!

 

ー教室ー

俺は自分の体に嫌悪感を感じながら教室に入って授業を受ける。

やはり恐ろしい…これが俺の力か…

眠れずに授業を受けているとみんながやってきて話しかけてくれた。

 

神条『おい士、お前今日おかしいぞ。いくらなんでも変すぎるぞ。』

 

士『お…俺だって…たまには授業くらい真面目に受ける…よ…』

 

五十鈴『それにしては妙だぞ。』

 

士『いや…なんというか…そう!昨日早く寝すぎてしまったんだよ!あのダイナの話の後に大分すっきりと!』

 

和那『そうなんか…うちにはどうも違和感があるようにしか見えへんで、確かにあしなが隊長とかいい話みたけどそんな気持ちになったん?』

 

俺はダイナを見たときに教えられたことが出来なかった。

ダイナの話で隊長さんがこう言った。

"怒りに支配されたら人間として負けだ"

"怒りの感情をコントロール出来て初めて人間はもっと強くなれる"

俺は愕然とした。

あの時の俺の行動には怒りがこもりすぎていた。

だけど同時にダイナで言っていた…

"人間は自由な心で選択できる"

それが出来ない世界に苛立ち俺は荒れた。

俺は…ただ…救いたいだけなのに…

この力は危険すぎるのか…

 

士『そ、そうかな…あ、そろそろ始まるよ。急いで準備しなきゃ…』

 

俺は血相を変えて机に向かう。

皆から見て俺は変わっていた。

だが、もう誰も尋ねようとはしなかった。

偶にこんな日もあるとしか思わないだろう。

しかし、桜空は違ったと気付いていたことを俺はまだ知らなかった。

 

 

 

 




ー第二十五回ー

加山『第二十五回!後書き座談会コーナー!』

加山『今回はサクラ大戦の加山と…って伊織さんタイトルコールは二人で言うのが定例なんです。』

伊織『………別にいいかな…って…』

加山『それじゃ困ります。俺だって一応かなり久しぶりの登場で盛り上がってるんですから〜』

伊織『眠い…zzz』

加山『いきなり寝ちゃうって!えっ、ちょ!俺こんなの予定に聞いてな…あっ…と、とりあえず今回はここまで、進行は加山とパワポケ 9の野崎伊織さんがお届けしました。
また、次回〜』

伊織『…zzz』

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