パワプロクンポケット10〜世界の破壊者の奇跡   作:カーナビレッスン

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タコ料理 前編

 

ー開始数時間前ー

 

ここ、朝4時の家庭科室にて四人の男女が集まっていた。

 

士『えー、おはようございます。

今日からリストランテ親切高を開催させていただきます。

オーナーは私、門矢士です。』

 

和那『そしてうちがオーナーの嫁、門矢和那。』

 

桜空『同じく、オーナーの嫁、門矢桜空です。』

 

士『俺は料理の解説、嫁達には配膳と俺のサポートをお願いするよ。』

 

和那『で、1回目のこのコーナーの担当シェフに来てもらいましょうか。どうぞ。』

 

扉を開けて、出てきたのは長い帽子に白いコック服を着た奈桜であった。

 

奈桜『はーい、呼ばれて飛び出た奈桜ちゃんでーす。今日はよろしくお願いします。』

 

桜空『お姉ちゃん…これは料理の実力を教えるコーナーだけどちゃんと人が食せる物を出さないと駄目だよ。』

 

奈桜『もちろん、わかってるよ!あれでしょ、ダークマーターを作らなければいいんですよ!』

 

士『どこの姉上の卵料理!または勇士司令部ウルトラマンの敵!ってかちゃんとした物をお願いしますよ。』

 

和那『それじゃ、まあ任せたからな。うちらは別室でモニターから見とるわ。』

 

奈桜『お任せください!!』

 

元気な奈桜の声を聞いた後、俺たちは別室のモニターから奈桜を見始めた。

 

奈桜『さてと…うーーん。まず前菜として何を出すべきでしょうか…』

 

モニター室から見ている三人は思い思いの感想を述べ始めていた。

 

士『事前に何品か決めてあると聞いていたんだけどね。』

 

大量の食材を前にした奈桜は頭を抱えていた。

とりあえず鍋に水を入れて準備をし始めた。

どうやら、火はちゃんと通すらしい。しかしまだ悩む奈桜。

悩み続けるのか?と思いきやおもむろに奈桜は水槽に手を入れた。

 

奈桜『こうなったら、出た勝負!一番最初に手に触れた物で料理します!!』

 

和那『出たとこ勝負やて…でも、これ危なないか?フグとか出たら…』

 

士『さすがにそういうのは用意していないよ。でも、何か嫌なことは起こりそう…』

 

そうこうしているうちに奈桜はあるものを引き当てた。

 

奈桜『おっ!タコです!ヤッフーー!じゃあこれでタコ料理をしましょう!!』

 

奈桜は右手についているタコを上げるために左手も入れて、掴み上げるとそのままゆだっている鍋の中に入れてしまった。

あまりの行動に士は驚いていた。

 

士『おいおいおいおい!タコには滑りがあるんだぞ!そのままやる気か!』

 

和那『滑り?そんなのあるんか?』

 

士『ああ、スーパーにあるタコはその滑りを粗塩という食塩とは違う塩で手で揉んで滑りを取らないといけないんだ。

そうじゃないとヌルヌルして気持ち悪いんだ。』

 

 

タコの料理 ワンポイント

 

粗塩でタコの滑りをぼくしてとる。

 

しかし、こんな事を知る訳がない奈桜は…

 

奈桜『よし!タコを使ったガスパーを作ります。野菜を切ったあと、タコを切るそれだけです。』

 

料理企画らしからぬ空気ではあるものの、なんとなく野菜を切る事に成功した奈桜。

 

桜空『形はバラバラだけどなんとか怪我していなくて良かったあ…』

 

和那『やっぱり二人は心配性やなぁ。色々あるのはわかるけど、奈桜…いや、義姉も高校生やて、流石にある程度は…』

 

士『そうだなぁ…なんかさぁ…俺はこういう事やってるとさぁ…なんか全てがどうでも良くなってきちゃうんだよなぁ…』

 

桜空『どういう事ですか?』

 

士『みんなが幸せになるために俺は仮面ライダーになったとか、そう思っているんだけどさ。

やっぱりどう考えてもいや、馬鹿なりに考えずにやってきて思った…

俺がやりたかったこと…欲しかった物はなんだったんだと?答えは…

俺は生きる理由が欲しかった。』

 

和那『生きる理由…なんやそれ?』

 

士『たって15年ほどしか生きてきていない子どもがこんな事考えるのはおかしいかもしれないけど俺は生きる理由が欲しかった。

でも、ある時思った…それだけなのか?本当にそんな事を思うだけでいいのかって。』

 

桜空『そんな事…自分で思っていた事をそんな事って言ってしまうのって…』

 

士『確かに、俺は今までそうだった。

認められたいだから仮面ライダーやって認めてもらいたいとか思ってた。

でも、その色んな世界を見ていくうちに思った。

そんなことどうでもよかった、理由なんかどうでもいいってことに気づいた。

それで十分だ。』

 

桜空『それはよかったですね。』

 

和那『ま、本人が納得してるし、ええな。』

 

ちょっといい話をしているうちにタコが茹で上がっていた。

切ったタコの試食を奈桜がしてみる。

 

パク

 

奈桜『うおえっ!!』

 

とても女子とは思えないような声を出しながらタコを吐き出した。

 

桜空『なんかごめんなさい…』

 

和那『……ノーコメント…』

 

士『滑りとってないからなぁ…』

 

滑りを取らずにそのままお湯に投入したため、気持ち悪いことになっていた。

今から粗塩で揉むなどの発想は彼女には無かった。

これ以上酷くならないようにもう切って食塩でもかければ終わる。

 

しかし、そんなモニター室のメンバーの期待をこのゲロインは裏切った。

 

奈桜『なんか気持ち悪いな〜また茹で上がってないのかなあ?よし!追加!』

 

ポチャン!!

 

士『いや、白いからもう茹で上がっているのになぁ〜あ、もう駄目だ。』

 

次回!いざ!実食!

 

 

 


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