冬也「悪い……遅くなった」
俺が屋上へと到着した頃には、燐子や紗夜に晴海が既に到着していた。……三人とも今から食べる所だったのか、お弁当の風呂敷が見える。
紗夜「いいえ、大丈夫よ」
燐子「それじゃあ……食べよ?」
晴海「あれ?そっちの娘は?」
晴海は俺の後ろにいる女の子に目を向けた。その女子生徒は、少し怯えながらも自己紹介をする。
ルカ「み、皆峰……ルカと言います!よ、よろしくお願いします!」
紗夜「皆峰……さんですね、よろしくお願いします。私は氷川紗夜です」
燐子「白金…燐子、です。よろしくお願いします」
晴海「私は花咲晴海、よろしく!」
ルカ「氷川先輩、白金先輩、花咲先輩……よろしくお願いします!」
冬也「それじゃあ……遅くなっても行けないし、食べるか」
俺の言葉を皮切りに、5人での昼食を取り始めた。
冬也「そう言えば、バンドの件はどうするんだ?」
晴海「あっ、うーんとね……」
紗夜「冬也、晴海さんは貴方に言われるまで何も考えてませんでした」
晴海「さ、紗夜っち!……そ、それは!」
俺が晴海にバンドの事について聞いた時、晴海は少し考える素振りを見せた。すると、紗夜から衝撃的な発言が聞こえた為、少し確認を取る。
冬也「……おい、晴海」
晴海「な、何……?冬くん……」
冬也「何も考えてないとはどういう事だ?」
晴海「い、いや〜……思い付かなかったんだよぉ〜」
晴海は涙ながらに俺に説明する。……全く、仕方ないな。
冬也「取り敢えず、先ずはメンバー集めだ。基本的にはバンドは2人以上いる事が最低条件、次に……バンド名。これは著作権に掛からないようにしなければならない。……これは分かるな?」
晴海「う、うん……」
冬也「取り敢えず今はこんな所か……こんなんじゃ、先が思いやられる」
俺がそうボヤいた時、今まで喋っていなかったルカが声を発する。
ルカ「あ、あの〜……少し、良いですか?」
冬也「どうかしたか?ルカ」
燐子(冬也くん……ナンデ、アノオンナノナマエヲ……?……ワタシダケジャ……ナイノ?)
俺がルカに聞くと、ルカは答え始める。……途中、燐子の様子がとんでもない事になっていたのだが、それに気づくことは出来なかった。
ルカ「私……冬也先輩の、お手伝いします!」
3人『ええ!?』
冬也「と言うと?」
ルカ「私を、バンドのメンバーに加えて下さい!冬也先輩や花咲先輩と一緒にバンドがしたいんです!」
ルカはそう言いながら、俺たちにお願いをする。その目はまっすぐと俺たちに向けられており、決意の表情が見て取れる。……それを見た俺たちはルカに問う。
晴海「どうして……私たちのバンドのメンバーに、なろうと思ったの?」
ルカ「それは……先程、冬也先輩にパンを譲ってもらったんです。『その御礼に何かしたい』と思い、バンドのメンバーになろうと思いました!」
晴海「うん!いいね、それ!」
ルカ「ありがとうございます!」
冬也「じゃあ……俺からは2つ聞かせてくれ」
俺の言葉にルカは身構える。俺が少しジェスチャーをすると、体制を楽にしてくれた。それを見た俺は続ける。
冬也「まず一つ目……楽器は弾けるか?」
ルカ「はい!私は小さい頃から、キーボードを弾くのが趣味なんです!父親が趣味でキーボードをしていた影響から興味を持ちまして、今では父親以上にキーボードを弾く事ができます!」
冬也「そうか……じゃあ、最後にひとつ。……お前は、俺たちのバンドに全てを賭ける覚悟はあるか?」
俺は心の中で友希那に謝罪しながら、この言葉をルカに伝えた。するとルカが顔を下に向けたので、機嫌を伺おうとした所、途端に元気になり、俺に言ってきた。
ルカ「か、カッコイイです!私、感動しました!こんな私で良ければ、バンドに加入させて下さい!」
冬也「よろしく頼む……ルカ」
晴海「よろしく、ルカちゃん!」
ルカ「は、はい!」
これでバンドのメンバーは3人となった!晴海も嬉しそうだし、これで良かったかな?
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〔羽丘女子学園:教室〕
友希那「は……ハックション!」
リサ「友希那〜、どうしたの〜?」
友希那「今、私の噂をされてたような気がするわ……」
友希那は謎の気配に身震いを感じていた。それを見たリサはこう返す。
リサ「んー……大丈夫じゃない?それに、噂をしてるのは冬也かもよ?」
友希那「と、冬也が……?……成程、それも有り得るわね」
リサ「ねっ、朝の奴って……演技?」
リサが友希那に今朝の事を聞くと、友希那は満足そうに答え始める。
友希那「ええ……でも、一部は本心よ?あまり冬也を惑わせてもいけないし」
リサ「友希那、さっすが!分かってる〜♪」
友希那「ありがとう。……何れ、どうなろうと冬也は私たちのモノになるわ、だったら泳がせてみてもイイじゃない?」
リサ「そうだね、紗夜や燐子たちには悪いけど……」
友希那/リサ「トウヤハゼッタイニワタサナイ……マッテテネ、トウヤ」
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〔花咲川学園:屋上〕
冬也「……!」ブルッ!
晴海「?どうかした?」
冬也「い、いや……何でもない」
ついさっきまで考えていた幼馴染に、そのような感情を向けられているとは露ほども思わない冬也であった。……一方、こっちの方では……。
紗夜(……これからの対応、もう少し考えましょうか……)
燐子(冬也くんは……私の、下に来るんだから……。ゆ、友希那さんや、リサさんには……負けません……)
近くにいる者たちからも、そんな愛情を向けられているとはこの時の冬也には知る由もなかった。徐々に徐々にではあるものの……1人の男の子を巡って、青薔薇の女神たちの仁義なき戦いが始まろうとしていた……。
今回はここまでです!如何ですか?今回は全編冬也くん視点でお届けしました!そして、前書きは無しです!冬也くんはここから、無事に生活をする事ができるのか注目ですね!
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