こちら駆け出しトレーナー。   作:氷陰

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人生初の初投稿です。世のネットユーザーはこんなんかいてたのかよ尊敬するわ
ところでネタってどう挟むんですか



ジョウト地方
俺のはじまりの夜


 

 煤けた匂いがする。

 

 

 おかしいな、家で寝たはずだが…まさか火事か?しかし火事にしては熱くもなければ火が弾ける音も聞こえない。なんの匂いだよコレ。

 

 聞こえるとすればホーホーホーという鳥の声と、そよ風に擦れる葉の音くらいだ。温度にしても暑いというよりむしろ涼しい、いや肌寒い。毛布は何処に行った? 頭から被ってたはずなのに。

 

 寝転がっていた俺は手探りで身体に掛ける布を探す。だが手に当たるのは冷えた土だけである。

 

「………土……?………つち!?」

 

 ガバッッッ!!っと勢いよく上体を起こす。完全に目が覚めた。家で、自室のベッドで気持ちよく寝ていた、寝ていたはずだ!それが何故地面に寝転がっている?訳がわからない。

 

 起きてすぐ目に入ったのは、自分を取り囲む木々と、散乱した荷物、満天の星空、

 

 

 

 そして自分を覗き込むガスの塊だった。

 

 

「……?なんだお前…?」

 

 

 混乱していたところにさらにおいうちが来た。知らない場所で寝ていて、どうやら寝ていた自分を見ていた存在がいるのだ。恐怖は湧いてこないが、頭の中がこんがらがって思考を大きく遅らせる。

 

 しかもガスの塊とは何なのか。「なんだお前」と思うからには生き物だと俺は認識しているらしい。…生き物だよね?

 

 だって紫色っぽい気体の塊の中に目玉が2つ、大きく笑った形の口には八重歯が見えた。つまり顔だ。顔が浮かんでいる。だから生き物だと思った訳だ。そしてそれは正解だった。

 

 

「ゴース!」

 

「うわ、鳴いたっ!!!?」

 

 

 俺の言葉に声を返してくるあたりこの生き物は律儀な奴らしい。ゴースというのが名前だろうか。何が嬉しいのか俺の周りをぐるぐる回遊する。この間もニコニコと笑っている。なかなか愛嬌があるな、ゴース。ふはは……。

 

 

「いや、ちょっと現実逃避しかけたけどこいつポケモンのゴースかよ!?」

 

 

 全シリーズというわけではないがポケモンくらいゲームをやったことはある。かといってやり込んでいたわけでもない。

 

 つまり育成論なぞ知らないし、内容なんて遠い昔の記憶だ。タイプ相性すら…いや今はどうでもいい。置いておく。

 

 何が言いたいかと言うと。俺の虫食いの記憶でも、初期からいるゴーストタイプ代表といっても過言ではないゴースの見た目と進化形くらいは覚えているということだ。

 

 とにかくそのゴースが俺の目の前にいるのだ。

 

 現実を受け入れ始めるとだんだんこのゴースが可愛く見えてきた。俺は立ち上がるとゴースを両手で挟む。熱くはない。硬めのボールみたいな感触。抵抗はされない。

 

 それどころかゴースは俺の手に擦り寄ってくる。お前ホント可愛いな!

 余談だが俺は順応が早い方である。

 

 

「だってお前、俺が起きるまで心配で、近くで見ててくれたんだろ?お前のお陰で何となくどんな状況か受け入れられたよ。ありがとう」

 

「ゴス!」

 

「まあ何となく、なんとなーく薄っすらと、だけどな」

 

 

 目の前にポケモンがいる。この時点で俺がいた元の場所にポケモンが発生したか、ポケモンがいる場所…いる世界に俺が来たか。この位しか選択肢は思い浮かばない。

 

 おまけに自宅ではないところにいる。見覚えもない場所だ。ならば恐らくポケモンの世界に俺が来たんだろうと納得・推測できる。

 

 

 どうやって?

 

 なぜ?

 

 何のために?

 

 元の世界で俺はどうなっている?

 

 俺はこれからどうしよう?

 

 

 不安要素はある。心配事も尽きない。これからの目処すらない。

 

 しかしそれ以上にポケモンに対する興味が湧いていた。考えをまとめる間もゴースを捏ねくりまわす。

 

「しっかしゴースの顔のとこって固体なんだな」

 

 ぐりぐりぐり。ぐりぐりぐり。

 てっきりガスの密度が高くなったところに顔が浮かんでいると思っていた。まあポケモンだからご飯も食べるし、形として口がないと駄目か。

 

 ゴースは俺にされるがままに撫でられる。そして俺もゴースを撫で回したまま思考を再開する。

 

 

 右も左もわからない。

 ────初めはなんだってそうだ。

 

 帰る場所もない。

 ────親兄弟には迷惑がかかるが帰れないので仕方ない。それなら最悪ここで作るしかない。

 

 何を為さねばならないのか。

 ────何かの陰謀だとしても。ポケモンがいるならやることは1つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は足元に散らばっていた荷物に目をやる。

 ゴースを離した手で調べていく。少し名残惜しそうだ。俺の勘違いでなければだが。

 

 大きめのリュックサックからはみ出しているもの、完全に飛び出たものを拾う。

 

 

 白紙の日記のようなもの(レポート)

 キズぐすり。

 腕時計のようなもの(ポケギア)

 他にも細々としたどうぐ。

 

 

 

 

 

 

 ────そして、トレーナーカードとモンスターボール。

 

 

 

 夜の暗がりで必死に文字を読み取る。……記入された名前は元の名前ではない。

 だが()()()()()()()()()()()()。何故だかわからないが、俺の所持品だと心がざわめく。

 

 もしかしたら本当は俺のものではないかもしれないが、とりあえず状況的に俺のだということにしておく。まあこういうこともある。俺はこれからこのカードの人物になるのだ。気合いを入れねば…。

 

 

「そういえば俺はまだ名乗ってなかったな」

 

 

 ゴースは(ただの鳴き声かもしれないが)名乗った。人に名を訪ねる時はまず自分から……なんて言うつもりはないが、名を返さない手はこの場合あり得ないだろう。俺は空気が読めるんだ。

 

 いつのまにか隣で荷物を覗いていたゴースと目を合わせる。ゴースは目をパチクリと瞬かせる。顔もキョトンとしていて笑いがこみ上げてくる。

 

 

「今からポケモントレーナーになる、ユジ、そうユジだ。お前も一緒にどっか行く?」

 

 

 言うや否や、ゴースは迷いなく俺が掲げたモンスターボールに入り込んだ。

 

 

「そうか…これからよろしくな、ゴース」

 

 

 ゴースが入ったボールが「こちらこそ」という風にカタカタと揺れる。これから 俺と ゴースの 不思議な ぼうけんが はじまる…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポンッ。

 

 完全にボールが静まってからすぐにゴースを外に出す。ゴースは「いい感じに終わりそうだったのになんだってんだ!台無しだぞ!」と言わんばかりのジト目だ。

 

 そんな目をしないで欲しい。俺だって悪いと思ってるんだ。でも仕方ないのだ。

 

 

「なあゴース、ここにいたなら町の方向くらいは分かるよな?案内して欲しいんだが」

 

 

 だって道わかんないんだもん。

 溜息を吐いたゴースの先導で俺たちは暗い夜の森を進んで行った。

 

 




思ってたより文字数無かった
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