バンドリの人気って凄い。
投稿してから1日しか立ってないのにUAが500を超えてる……。
バンドリの人気って凄い。(大事なことなので2回言いました)
ではどうぞ。
月曜日――社会人や学生達が耳にしたら大半の人が顔を顰めるであろう言葉。かく言う僕も「月曜日が好きか?」と聞かれたらすぐさま否定するだろう。
週明けと言うこんな憂鬱な気分の中、仮面を被らなきゃいけないのだから。
◆
「うぃーす!」
「お、影山ー!おっすおっす!」
こいつは桐野康介。染めたような明るい茶髪の地毛をブラストマッシュ?とか言う女子ウケしそうな髪型にして耳にピアスを開けているまさに『the・大学生』と言う容姿をした同級生だ。大学に入学してから初めて講義を受ける時にわざわざ僕の隣の席に座ってきた変わり者だ。
本人に何故他にも席は空いているのに自分の隣に座ったのか?と聞いてみたら「そもそも人がいたとは思わなかった」とさり気なく僕の影の薄さをディスって理由を教えてくれた。悪かったな空気で。
リュックを下ろして桐野の隣の席に腰をかける。そして記憶の中から話題の材料となる物を引っ張り出してきて話す。
「そういやお前のTwitter見たけどさ、彼女出来たってマジ?」
「おお、マジもマジ!この前の合コンでK大の二つ年上のお姉さんをゲットしたぜ!!スマホに写真あるから見せてやるよ」
桐野はそう言うとスマホを操作して見せて来た。そこにはブロンドに髪を染めた長髪の女がいた。服装も今のトレンドに合わせており中々の美人だと思う。
「恵那さんって言うんだけどさ、読者モデルやってるらしいんだよ。いやーこんな美人と付き合えて俺幸せもんだわー」
「ほーう…ま、速攻で別れないように頑張れよ!」
「縁起でもねぇ事を言うなよ!!」
「あっはっは!スマンスマン!いやー桐野をからかうのは楽しくてさー」
「ったく、人をからかうのも程々にしろよな」
ブツブツと軽い恨み言を呟きながら桐野がスマホをしまうと丁度講義開始の時間を知らせるチャイムがなり、担当の教授が入ってきた。
教授はいつも通りノートパソコンを机の上に置き、スクリーンに繋げる。そして前回の講義の続きを話し始める。それを僕は右耳から左耳へと聞き流す。
いつもと同じ、退屈な講義が始まった。
◆
今日の講義が終わり、僕と桐野は大学の校門を出ていた。
「ああーやっと終わった、俺はこのまま彼女とデートに行くけど影山はどうするんだ?」
「んー、冷蔵庫の中身がすっからかんだから商店街にでも行こうと思ってるな」
「商店街って…主夫みたいだなーお前」
笑いながらそう言う桐野に少しイラッときたので軽くヘッドロックをかける。
「主夫で何が悪いー!」
「ちょ、ま、いててて!悪い!悪かったって!謝るから!謝るから!ギブギブ!!」
僕の腕をタップしながらヘッドロックの解除を求める桐野。まあ気が済んだので腕を離してあげる。
桐野は乱れた髪型を直しながら僕に視線を送ってくる。
「これから彼女とデートなのに髪の毛を弄るなよなー全く…」
「スマンスマン、少しやり過ぎたな。これが原因でフラれたらゴメンな」
「いやそんな簡単にフラれねぇよ!?……フラれないよな?」
「いや俺に聞くなよ……」
そんな雑談を何分かして桐野と別れ、僕は商店街へ向かった。
◆
商店街へ着くと平日だが夕方という事もありそこそこ多い人で賑わっていた。
今日の晩御飯は久しぶりに肉にでもしようかなと思い、よく行く北沢精肉店へ足を進めた。
「おっ、兄ちゃん!久しぶりだね」
「お久しぶりです!今日は何がオススメですかね?」
恰幅のいい40代半ばの男性がカウンターに立っている。この人は北沢精肉店の店主だ。よくここで肉やコロッケを買うので顔見知りになっている。
「そうだねぇ…豚の肩ロースなんかどうだい?生姜焼きにピッタリだよ」
「肩ロースですか…じゃあそれを200gとメンチカツを5つお願いします」
「あい毎度!肩ロース200とメンチカツ5つね!合計で972円になるよ!」
店長はそう言って切り分けた肉を包装して袋に入れる。それとは別にメンチカツを5つまとめて耐油袋に詰める。
その間に僕は財布を取り出して1000円と一円玉を2枚、キャッシュトレイに置いておく。
袋に詰め終わった店長は「北沢精肉店」と入ったビニールに包装した肉とメンチカツを入れて渡してくる。
「はいお待ち。1002円のお預かりで…30円のお釣りだよ!」
レシートとお釣りを受け取り財布に入れる。
「ありがとうございます」
「毎度あり!また来てくれよ!」
そう大きな声で言ってくる店長に軽く会釈をして僕は精肉店をあとにした。
◆
家へ帰るために商店街を通っているつい先日会ったばかりの少女とその友人達と遭遇した。
「あ、影山さん〜。久しぶり〜」
「奇遇だね青葉ちゃん。てか久しぶりって昨日会ったばかりじゃないか」
仮面に苦笑を浮かべて会話する。
学校帰りなのか、全員制服を来ている。そんな中、桃色の髪を短く2つに縛った女子が話しかけてきた。
「お久しぶりです影山さん!」
「お、上原ちゃん!相変わらず元気いっぱいだね〜!」
上原ひまり。『After glow』のベースを担当してるんだったっけ?よく青葉に弄られているのを見かける不憫な子だ。
「むぅ〜、今なんか失礼な事考えてませんでした?」
「そんな事ないよ。ただ俺は週の初めから上原ちゃん達みたいな可愛い子に会えたのが嬉しいだけだよ!」
「もー、
「クッキーは出るんだな…お久しぶりです影山さん」
「久しぶり宇田川ちゃん。相変わらずカッコイイねー!」
宇田川巴。背中あたりまで伸びた赤い長髪をしており、姉御肌な彼女は可愛いと言うよりカッコイイと言った方が合う。ドラムを担当していてRoseliaの宇田川あこの姉だ。
「カッコイイって…ま、ありがとうございます。ところで蘭、何でそんなに機嫌悪いんだよ?」
「……別に」
美竹蘭。『After glow』のギターボーカルを担当しており、赤メッシュが入った黒髪が強気な態度を表している。
なんでも実家は長い歴史のある華道の名門なんだとか。
「ら、蘭ちゃん。影山さんは年上なんだから挨拶くらいしないとダメだよ?」
「気にしないでいいよ羽沢ちゃん。僕も気にしてないから」
今美竹の態度に注意をしたのは羽沢つぐみ。『After glow』のキーボードを務めていて、この中では1番普通な女の子だ。メンバーの精神的支柱となっている。
こちらの実家は喫茶店を経営しており、北沢精肉店の前に立つ羽沢珈琲店が彼女の実家だ。
「君たちは学校帰りかい?」
「見ればわかるでしょ」
「蘭ちゃん!」
「あっはっは。相変わらずだねー美竹ちゃんは」
美竹の素っ気ない返事に羽沢が頬を膨らませて怒る。流石に悪いと思ったのか小さな声で「……すみません」と言って謝ってきた。
「まー気にしないでいいよ。俺の方こそ下校途中に邪魔して悪かったね。それじゃ……何してるの青葉ちゃん?」
これ以上美竹の機嫌を悪くしないためにもさっさと帰ろうと思うと、青葉がしゃがみながら僕の右手に握った袋の中、端的に言うと先程僕が買ったメンチカツの袋を漁っていた。
「いや〜モカちゃんお腹減っちゃって〜」
「確かにそれは大変だねー。だからと言って何で俺が買ったメンチカツを取り出そうとしているのかなー?」
「モカちゃんはお腹が減ってます。影山さんはお腹を空かしている可愛い可愛いモカちゃんを目の前にして見て見ぬふりをしちゃうの〜?」
「くっ…持ってけ、全部だ」
「いいんですか影山さん!?」
「おいモカ、いくら何でもそれはやり過ぎだぞ」
僕と青葉のやり取りに羽沢が驚き、宇田川が止めに入る。
「まあ冗談は置いといて別にいいよ。実はこのメンチカツおまけで貰った奴だからね。財布的には痛くないし。それと丁度5個入っているから誰か1人が食べれないって事にならないから安心してね」
これ以上会話をするのも面倒なので嘘をついてメンチカツが入った袋を青葉に渡す。
どうも青葉は苦手だ。何を考えているのか分からないところや昨日のように意味もなく僕に近寄ってくるところ。好意を持っているのか知らないが…何か裏があるのではないか、そう思えてしまう。
何より、
こんな高校生の少女相手にそんな事を考える自分に嫌気がさす。
「…ご飯前だから余り食べすぎないようにしなよ。それじゃまたライブハウスでねー!!」
それだけ言って僕はAfter glowの子達から離れた。
これ以上いると、本当の自分が出てきそうだったから。
◆
影山さんはあたしにメンチカツが5つ入っている袋を渡してから話すと、走って帰ってしまった。
「ありゃ〜、行っちゃったね〜」
「…モカ、どうすんだそれ?」
「んー?勿論食べるよ〜。せっかく貰ったのに食べないなんて勿体ないしね〜。はいともちんの分。つぐもひーちゃんも蘭もどーぞー」
袋から耐油紙に包まれたメンチカツを取り出して1つずつ蘭たちに渡していく。
「私はいらない」
「え〜?でも夕飯前だからあたしも1つで十分なんだけどな〜。蘭が食べないと勿体ない事になるんだけどな〜?」
「…分かった、分かったから。食べるから」
「うんうん。素直が一番だよ〜」
渋々と言った感じでメンチカツを受け取る蘭。あたしを含めて皆、美味しそうにメンチカツを頬張る。
「ところで前から気になってたんだけど何で蘭はそんなに影山さんの事を嫌ってんだ?確かにチャラい感じするけど話してみたら普通にいい人だぜ?」
ともちんが言う通り、影山さんは見た目通りチャラチャラした人だ。軽そうに見えるし、実際態度も軽い。だからRoseliaの友希那さんや紗夜さんは嫌っている。
「…別に、チャラいとか軽いとか、そんなのはどうでもいい。ただ、何か…真面目に取り組もうとしない態度が気に入らないだけ」
「それってどーゆー意味なの蘭?」
メンチカツを食べ終わったひーちゃんが『わけがわからないよ』と首を傾げて蘭に聞き返す。
「と言うか蘭〜、やっぱりそれって影山さんの軽い態度が気に入らないってだけじゃないの〜?」
「まあ…それもあるかもしれないけど……じゃあ逆に聞くけど何でモカ達はあの人と仲良く出来るの?」
立ち止まって蘭が聞いてくる。それに合わせてあたし達の足も止まる。
蘭の言葉にともちんが「うーん」と唸って考える。そして考えが纏まったのか理由を話し始める。
「アタシはまぁ、嫌いになる理由がないからかな?あこにも良くしてもらってるし偶に差し入れも持ってきてくれるしな」
「私もそんな感じかなー。なんか影山さんって大学生だけど怖い感じしないし、話しやすいし!」
「あとひーちゃんの体重を増やす原因になっているお菓子やケーキもくれるしね〜」
「モーカー!」
「ひーちゃんが怒ったー」
ひーちゃんをからかった事によって少しピリピリしていた空気が和む。
「つぐは?」
「え?私?私はえっと……優しいし親しみやすいから、かな?でも可愛いとか言われるのはちょっと苦手かな」
苦笑いしながらそう答えるつぐ。3人の答えを聞いて尚、納得出来ない様子の蘭はあたしに視線を移した。
「モカは?モカは何で仲良く出来るの?」
「あたし?あたしは……」
どう思っているんだろう?
あたしは、あの人の事を。
よく話し相手になってくれる優しい人?
よくパンとか食べ物をくれる優しい人?
それとも――
「………いい人かな〜。だってパンもくれるし〜、お菓子もくれるし〜、メンチカツ美味しいしー」
「何それ…それっていい人じゃなくて
「んんー?おお〜本当だ〜」
「も、モカ…」
「モカってば…」
「あはは…モカちゃんらしいね」
あたしの言葉に4人全員が脱力する。蘭はそのせいで気がそがれたのか溜息を着くと歩き始めた。
もう少しで皆が別れる道に着く前に、つぐが空を指さして大きな声を出した。
「あ、一番星!」
その声につられて上を向くと、確かにつぐが指をさしている方向には星が光っていた。
「久々に見たねー。つぐが星を見つけるの」
「最近は色々と忙しかったからなー。みんなの都合も合わなくて一緒に帰れなかったしな」
ひーちゃんとともちんが星を見ながらそう話す。
暫く星を眺めたあと、また歩きだした。別れ道に着くとみんな別れの挨拶を告げてそれぞれ家へ帰る。
◆
歩きながら、あたしは蘭の質問を考えていた。
『モカは何で仲良く出来るの?』
さっきは誤魔化したが、思っていた事は違った。
あたしは心の中で、あの人の事を疑っている。何故か分からないけど、あの人は何かを隠しているように見えるから……。
「…名前、また呼んでくれなかったな」
あの人はあたし達のことを名前で呼ぼうとしない。それも何故かは分からない。何か理由があるからなのか、それともただ単に人のことは苗字で呼ぶ人なのか。いずれにせよ、あたしはあの人の事を知らなすぎる。
「ねぇ、影山さん……あなたは何を隠してるの……?」
藍色に染まりきった空とその上で増え始めた星を見ながら、自分以外誰もいない住宅街の真ん中で、誰に言うわけでもなく、
あたしはただ、呟いた。
いやー本当にびっくりしましたよ。投稿して5分でお気に入りが10件近く来てたんですもん。ありがとうございます。
そして☆9の評価を下さった『アイリP』様。ありがとうございました。やる気と元気を頂きました。
そして誤字報告をして頂いた『ゆーるA-』様。ありがとうございました。めちゃくちゃ助かりました。
凛子って誰やねんってね。