アインズ様Lv1   作:赤紫蘇 紫

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短いです。
次からは階層巡りになります。
……うん、ほら、あの守護者の所がセクハ(ry
鈴木さんの貞操の危機が見たいという奇特な方はソコまでお待ちください。
次は一ヶ月後かなー。酷暑で死んでしまうw


鈴木さんは新たな装備を手に入れた!

「……んー……」

 何か、眩しい?そう思って、悟は目を覚ます。永続光の灯りが、室内を照らしている。寝る前に悟が自身でセットしておいたものだ。

(……コレが光ってる、って事は……本当に半日寝てたんだな、俺)

 十二時間後に点灯するようにセットしておいたソレに顔を照らされて、悟は目を擦りながらベッドから体を持ち上げる。

「おはようございます、アインズ様。こちらをどうぞ」

「!?デミウルゴス!?何でココに……って、あぁ、警護か。……まさか、一晩中寝ずの番をしていたとかではないだろうな?」

 デミウルゴスが差し出して来た濡れタオルで軽く顔を拭い、悟はベッドから出る。

(やっぱり、起きたらバシャバシャと水で顔を洗いたいよなぁ……)

 昔は出来なかった贅沢な水の使い方だが、一度風呂に入ってその気持ち良さを知ったなら、水やお湯を使った身を清める方法を止める気にはなれなかったのだ。人間の悟にとってはすごく爽快だし、何よりアンデッドに戻ったらもう体験出来ない心地よさだからだ。

「いえ、途中八肢刀の暗殺蟲と交代しましたのできちんと躯は休めております。そうでなければ、いざという時アインズ様をお守り出来ませんので」

「そうか。なら良いんだが……」

 どうやら、デミウルゴスもちゃんと寝たようだ、と悟はデミウルゴスの言葉から判断する。その事に悟は安堵し、洗面所で身を清める。……実際は、デミウルゴスは躯を休めた、としか言っていないのだが。 

 洗顔も歯磨きも、今の悟にとっては楽しい。肉の体を持っているから出来る行為で、元々肉の体を持っている者では当たり前になりすぎていて、その楽しさは感じられないだろうが……今までがアンデッドで骨の体だった悟にとってはその全てが新鮮で楽しかったのだ。悟が向こうの世界に居たときは、水は貴重品で洗顔や歯磨きなどには使う事が出来なかったのだから。洗顔はスチーム、歯磨きは専用の薬剤で行っていたのだ。水など、スチームを使う際の僅かな量しか消費しない。

「アインズ様、お召し替え後には朝食の用意が出来ますので、先ずはお召し替えを……」

 デミウルゴスの渡してくれたタオルで悟が顔を拭くと、そう声を掛けられる。

(……お召し替え。まぁ、着替えなんだけど、今そんなに装備品が無いんだよなぁ)

「デミウルゴス、パンドラズ・アクターはまだ来ていないのか?」

「はい、先程<伝言>を送りましたので、アインズ様の朝食後にはこちらに到着するかと」

「そうか。では、装備は諦めてとりあえず衣類を着用するとするか」

 悟の言葉に、デミウルゴスは室外のメイドを呼んで悟の着替えの手伝いをするように命じる。……悟としては一人で出来る、と言いたかったが、今の悟のレベルは1だ。悟は仕方なくメイドたちに着替えを手伝って貰う。

(……人間の体で美人のメイドに着替えを手伝って貰うなんて……何か羞恥プレイ、というか……ペロロンチーノさんだったら大喜びしただろうなぁ)

 悟としては恥ずかしさの方が先に立って、欲情なんか全然出来ない。骨の体だった時は、今の悟よりも身長が高いし体格も良かったけど、人間の体だと液状食料ばかりで過ごした事もあり、栄養状態が微妙な痩せ気味の体格だ。(液状食料は一応、表向きは栄養バランスは完璧!という事になっていたが、だったらもっと俺の体に筋肉が付いても良いはずだ、悟は思っていた)ギリギリ肋骨は浮いていないが、客観的に見たらかなり貧相な体だから……妙齢の美女に見られるのは、悟にとってはかなり恥ずかしい事だった。

 メイドたちは嬉々として悟に豪華な衣装を着せてゆく。

(……どう考えても、衣装に負けてるよ、俺!!だって、地味顔だし。五枚目顔だしっ……!)

「あぁ……アインズ様!素敵です!!とっても良くお似合いです……!!」

 そんな悟の心情などつゆ知らず。メイドたちは悟を褒め称える。それが悟をいたたまれなくさせるが……悟はなるべくその思いを表面に出さないようにして口を開く。

 (えーと、今日の子は……フォアイルとシクススか。41人もメイドがいると覚えるのが大変だなぁ……)

「ありがとう、フォアイル、シクスス。では朝食の給仕を頼めるか?」

「はい!!」

 名前を呼んで貰った幸福に頬を染め、二人は元気にそう答えると足取りも軽やかにワゴンへ向かった。

(……あー……恥ずかしい……頬、絶対赤くなってるよ俺……あんな可愛い子が二人がかりで俺を裸にして服を着せてく、とかどんなプレイだよ!!)

 ほんの少し熱くなった頬を押さえながら、悟はテーブルに向かった。

 

 

 

 本日も料理長が気合いを入れたので、当然だが食事は美味しく。ニコニコと幸せそうに食べる悟に、メイドたちや警護のデミウルゴスや八肢刀の暗殺蟲は激しく幸せを感じていた。特にメイドたちは昨日のアインズ様当番のリュミエールから聞いてはいたが、実際に目の当たりにすると想像以上に素晴らしいその光景に平静ではいられない。そのあまりの破壊力に、二人とも頬が緩むのを抑えるのに四苦八苦していた。

(あぁ……本当に今のアインズ様は愛らしくて……!!今のアインズ様のお世話が出来るなんて私は何と言う幸せ者なのかしら……!!)

 特に女性に刺さる、私が守ってあげなくちゃ!と思わせてしまうような今の悟を、周りの全員があたたかな気持ちで見守っていた。

「今日の朝食も素晴らしいな。料理長に伝えておいてくれ、デミウルゴス」

「かしこまりました、アインズ様」

 食後の紅茶を飲みつつそう悟がデミウルゴスに伝えると、トントントントン、と扉がノックされる。メイドがすぐに対応し、来客を伝えてくる。

「アインズ様、パンドラズ・アクター様がいらっしゃいました」

「あぁ、そうか。良いタイミングだな、通してくれ」

 悟がそう言うと、メイドは音も無く扉を大きく開きパンドラズ・アクターを中へ通す。

「アインズ様、本日もご機嫌麗しゅう」

「あぁ、挨拶は良い。本題に入れ、パンドラズ・アクター」

(あああああああ!もう!何でクルッ!シュタッ!って感じで入って来るんだよ!?朝っぱらから一気にメンタルに来るよ!?)

 扉を通った途端、華麗に一回転し悟のすぐ横に跪くパンドラズ・アクター。その様子に悟は強い羞恥を感じてしまう。今はアンデッドの体では無いので、沈静化も出来ないからその頬が微かに染まってしまう。その様子を微笑ましく見守られているなんて、当の本人は気付いていない。

「はいっ、アインズ様!宝物殿をチェックしたのですが、1レベルで装備出来る品物は最高でも聖遺物級でした。レベルが30になれば、伝説級もあるのですが……神器級は、レベル80未満では装備が出来ない物しかございませんでした。ですので、本日はこちらの装備をお持ち致しました。どうかお収め下さい」

 そう言ってパンドラズ・アクターが差し出して来たのは、聖遺物級の装備品だった。頭部と外套系、靴など数点……合計で三十点ほどだ。

(これくらいあれば、一週間のローテーションは出来るかな?)

 そう思うと、自然と悟は笑顔になる。流石に裸で居る訳にもいかないし、装備品や衣類は今の悟にとってはかなり重要だ。

「よく探してくれた、パンドラズ・アクター。フォアイル、シクスス。受け取ってクローゼットに収めておいてくれ。後ほど装備を入れ替える」

「はい!アインズ様」

 嬉々として装備を受け取り、足早にメイドたちはクローゼットへ向かう。

「アインズ様、あとレベル関係無しに装備出来る指輪なども数点お持ちしましたが……現在アインズ様がお持ちの物で、現在は身に付けられない物がありましたらこちらを代わりに装備なさって下さい」

「あぁ、助かる。ありがとう」

 悟がそう礼を言って指輪を受け取ると、パンドラズ・アクターは恭しく一礼する。

「では、また何かありましたら<伝言>をいただければすぐに参上致しますので」

「そうだな、その時はお前を呼ぶとしよう。宝物殿の管理を頼む、パンドラズ・アクター」

 悟の言葉に嬉しげなパンドラズ・アクターは、ゆっくりと部屋から出るとリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで自分の領域である宝物庫へ移動した。

「アインズ様、これで今よりは装備が整ったかと思うのですが……本日はいかがいたしましょうか?」

 パンドラズ・アクターが退出した後、デミウルゴスが悟にそう訊いてくる。

「そうだな……装備を変えたら、少し各階層を見て回りたい。今日は八階層と七階層……お前の階層だな、その二箇所を回るつもりだ。明日は六階層と五階層というように順にな。お前を供にしているのなら、問題は無いだろう?」

 ほんの少しだけ首を傾げながらそう問われて。自分が信頼されているという喜びに身を震わせながら、デミウルゴスは優雅に一礼する。その尻尾を揺らめかせながら。

「勿論です!私だけでなく、配下の者たちも全力でアインズ様をお守り致します!!」

 デミウルゴスのその言葉に、影の悪魔も八肢刀の暗殺蟲も大きく頷く。

(……何か見た目は物騒だけど、やっぱりコイツら可愛いなぁ……)

 すっかりと張り切ってる悪魔たちを見て、そんな感想を抱ける悟は明らかにもう元の普通の人間ではないのだが……その事に本人は全く気付いていない。

「そうだな、では先触れをやって……三十分後に出掛けるとするか」

 悟がそう言うと、デミウルゴスの指示を受け影の悪魔がしゅるり、と扉の隙間から外に出た。恐らく、彼が先触れなのだろう。

「では、私は装備を変えてくるとしようか」

 そう言って、悟はクローゼットに向かった。


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