今日はアインズ様が私たちが利用する食堂へお越し下さると連絡があった。時間は不明との事で、皆ソワソワしっぱなしだった。いついらっしゃるのかが分からないので、普段は休憩時に食事が終わったらすぐに食堂から出て行く子たちも、食後のんびりとお茶なんかしながら時間ギリギリまで食堂に居座るという有様だったのだ。
「あー。私たちの休憩時間にアインズ様がいらっしゃったらいいのに!」
そう言いながらトレイにお気に入りのおかずを乗せていく。今日はスィーツを多めに食べたかったから、いつもの八割くらいの量に抑えておく。
「それは皆が思っているわよ。いらっしゃるタイミングに食堂に居られたらいいな、って。……そう考えると、料理長って羨ましいわよね。仕事だから、ってずっと食堂に居ることも可能ですもの。絶対にアインズ様に会えるに決まってるじゃない!」
鮮やかな真紅の髪を揺らしながら、同僚のローザがそう答えてくれる。瞳は綺麗な翠色で、とっても華やかな雰囲気の彼女はその名にとても相応しいと思う。
「そうよねー。あー!次のアインズ様当番の日が待ち遠しい!!」
「もう!リリーったら。あなた、一週間前にアインズ様のお世話をしたばかりじゃない!」
「そうだけどー!今のお姿になったアインズ様のお世話はまだだもの。フォアイルやシクススが羨ましいわ」
そんな他愛も無い話をしながら食事を終えて。私もローザも他の子と同じようにアインズ様がいらっしゃるのをお茶を飲みながら待っていた。
「……!!いらっしゃったわ!!」
と、突然入口近くの子がそう叫んで。慌てて視線を扉に向けると、そこにはデミウルゴス様に警護されているアインズ様がいらっしゃった。
(な、生アインズ様……!!アインズ様当番でもなかったら、こんなに近くにいることなんて出来ないのに……!!視察万歳ッ……!!)
歓喜に身体を震わせていると、ビュッフェコーナーの子たちも私と同じような事になっているのが見えた。まぁ、そうなるわよね。だって……。
(本当に、至近距離だもの。私だってアインズ様がいらっしゃるのを知っていたら、もっとゆっくり食事を選んでたのに……!!あぁ、でも同じ時間に食堂に居られるこの奇跡を喜ぶべきよね!!)
少しずつ色々なメニューをお取りになるアインズ様は、本当に嬉しそうで。見ている私まで幸せな気持ちになってくる。
「アインズ様って、小食なのね。あれで足りるのかしら?」
「そうね……。今は人間種になっていらっしゃるそうだし、あの量で大丈夫なのかもしれないわね」
私たちが一食で食べる量の半分以下しか盛っていらっしゃらないので、ほんの少しだけ心配になってしまったけれど、アインズ様は盛り付けに満足なさったのかそのまま席に着く。
「ろ、ローザ……!アインズ様が、こんなに近くっ……!!」
アインズ・ウール・ゴウンの太陽、至高なる御方、アインズ様。敬愛して止まない御方がこんな、数席しか離れていない場所にいらっしゃるなんて……!
(し、心臓、止まっちゃわないかしら!?)
そんな事を考えていると、ローザが私の肩を掴んで軽く揺さぶる。
「お、落ち着いて、リリー!アインズ様はまだデザートをお取りになっていないわ!タイミングを見計らってオススメのデザートをお持ちしましょう!!」
「え、えぇ、そうね!ナイスアイデアだわ、ローザ!!アインズ様は私たちよりも小食のようだから、特にオススメをピックアップしないと……!」
そう言うと私とローザは、50種類はあるデザートコーナーへ向かったのだった。オススメを厳選するために。
かなり悩んでお持ちしたら、アインズ様から労いの言葉を頂いてしまっただけでなく、名前まで呼んでいただけて……死ぬかと思った。
「ローザぁ……。私たち、アインズ様に名前を呼んでいただけたのよね?夢じゃ無いわよね……?」
「り、リリー……!夢じゃ無いわ……!アインズ様は、私たちのような下々の者も覚えていらっしゃるのよ……。あぁ、なんて……なんて……!!」
感極まったようにそう言うローザと抱き合って、先程のあれが現実だったのだと改めて理解する。幸福に全身が満たされて、アインズ様への忠誠心がより強くなったような気がする。このように素晴らしい御方にお仕えできるなんて、私はなんて幸せ者なんだろう……!
「……早く、次のアインズ様当番が来ないかしら……」
私の言葉に、ローザもこくり、と頷いたのだった。
END
次はシャルティアの話ですが……投稿出来るの、いつだろう……orz