私の名は、セバス・チャン。至高の御方であるたっち・みー様に創造された僕です。現在はギルド長でアインズ・ウール・ゴウン魔導国の王であらせられるアインズ様の執事をしております。アインズ様の執務中はお側に侍り、スムーズに執務が行えるよう補助をすることが私の務め。勿論、警護の任も担っております。
通常ならばナザリック内で、しかも最も強い御方に警護など不要なのですが、今のアインズ様のレベルは1です。ホムンクルスである一般メイドたちよりも非力になってしまわれていますので、警護が必要なのです。……主に、女性守護者たちからお守りする為の警護ですが。
不埒な女性守護者たちから今のアインズ様をお守りするのは中々に大変です。彼女たちの実力はかなりのものですが、二人同時に来ることは殆どないのが救いでしょうか。いくら私でも、階層守護者二人を同時に相手にするのは骨が折れますから。
私は現状、アインズ様の執務時間のみの警護ですが、デミウルゴス様は違います。執務時間以外全てを警護に費やしていらっしゃるとのことで、日に日に疲れたような表情を見せるようになりました。勿論、アインズ様の目の前ではその様な姿を見せることはありません。が、ふとした瞬間に眉間の皺がかなり深くなっている事などがあるのです。
後日、アルベド様とシャルティア様が度々アインズ様を襲っていると聞き、その皺の理由が判明したのですが……。
(ご愁傷様としか言いようがありませんね……)
剛力な女性陣二人を何回も抑えないといけないなんて、想像しただけで胃が痛くなってきます。デミウルゴス様が頻繁にポーションを摂取している、等という話も聞きましたが……その原因は明白です。彼の国の皇帝のように脱毛症状は見られませんが、恐らくは胃に過大なる負担が掛かっているに違いありません。
(……流石に気の毒過ぎますから、私もポーションでも差し入れてあげますかね)
ひょっとしたら嫌味と取られてしまうかもしれませんが……同僚を心配するのは当たり前の事。案外と素直に受け取ってくれるかもしれません。先日、アインズ様のご配慮で男性だけでスパで過ごした際に、若干ながらも親睦を深められたような気も致しますし。
後日。ポーションを纏まった数デミウルゴス様に差し入れた所、一瞬怪訝そうな顔をされましたが……きちんと受け取って貰えました。
「私に協力出来ることがありましたら、何なりとお申し付け下さい。アインズ様をお守りしたいと思っているのはあなただけではありませんよ、デミウルゴス様」
「……気持ちだけ受け取っておきますよ。それに、アインズ様は私たちにも一日最低でも八時間は休息を取るよう御命じになってます。あなたの日中の労働時間を加味すると、アインズ様の執務時間以降の勤務は認められませんよ」
デミウルゴス様はそう言うと、小さく私に一礼しました。
「でも、ポーションはありがたく受け取っておきますよ。……今後も使用する可能性が高いですからね」
その言葉の後、大きく吐き出された溜息。深く刻まれた眉間の皺が、僅かに緩められたように見えます。
「日中は私が必ずアインズ様をお守りします。ですから、安心して休んで下さい」
胸を張りそう言えば、デミウルゴス様は眼鏡のブリッジを押し上げながら小さく笑いました。
「君に気遣いされるなど……私も随分余裕が無かったようですね。……アインズ様にも言われていますし、まぁ、適度に休むとしますよ」
デミウルゴス様はそう言うと、僅かに尻尾を左右に揺らしていました。どうやら、私との会話で少々心が上向いたのかもしれません。だとしたら良いのですが……。
「では、私はこれにて。また明日よろしくお願いいたします、デミウルゴス様」
私はそう告げると、デミウルゴス様の私室から立ち去りました。彼の心労が少しでも軽くなるように、と祈りながら。
昼間の執務室内での警護はセバス担当、外がデミウルゴスかその配下担当ですが、多分その辺細かく描写してなかったなーと思いつつ書いておりました。