アインズ様Lv1   作:赤紫蘇 紫

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守護者たちの反応

「……アインズ様……!!何て愛らしい……!」

 悟がデミウルゴスを伴って宝物殿へ転移した後、アルベドはそう叫ぶとその場で身を捩らせる。腰の羽はもの凄い勢いでバサバサと動いていて、周りに黒い羽根を撒き散らしている。その表情は理性を吹っ飛ばしたときの物で。……アインズを押し倒し、謹慎を言いつけられた時の物と一緒だ。いかに、今のアルベドが悟にとって危険なのかがわかる。

「全くでありんす!いつものアインズ様もお美しいでありんすが、今のアインズ様も素敵でありんす……!あぁ、アインズ様!!」

 こちらもアルベドに負けじと激しい調子で悟の美しさを語りつつもハァハァと息を荒げている。この二人は、悟が人間になっても相変わらずである。全く、ぶれていない。

「アインズ様が人間なんていう下等種になったのは腹が立つけどさ、アインズ様は特別よね!あの威厳!」

 アウラはアルベドやシャルティアと違った純粋にキラキラした瞳で嬉々としてそう語る。

「ア、アインズ様、格好良かったですね!あんな格好いい人間、初めて見ました!!」

 マーレも、アウラのように邪心のない綺麗な瞳でそう悟を褒め称える。

「全クダ!肉体ハ脆弱にナラレタヨウダガ、ソノ内ニ秘メラレタ御力ハ至高ノ御方ラシイモノダ!」

 コキュートスに至っては、興奮のあまりフシューフシューと派手に冷気を噴き出している。そのせいで、コキュートスの周りだけ気温が下がってひんやりとしてきていた。

 ……どうやら、デミウルゴスだけでなく、守護者全員が今の悟に嫌悪感を抱いてはいないようだった。と、いうよりは悟の想像とは裏腹に、むしろ以前と同じ様な好意を抱いていると言ってもいい。

 特にアルベドとシャルティアは、欲望に満ちたギラギラとした瞳で熱に浮かされたように悟を褒め称える。二人とも息を荒げているものだから、せっかくの美貌が台無しである。

 悟の容姿は、日本人としてごく一般的なものだ。悪く言えばモブ顔、良く言えば嫌悪感を持たれづらい温厚な顔。アインズだった頃よりは表情が顔に出るし、年齢の割には若く見られるという東洋人の特徴をよく表した顔が彼女たちに刺さったのだろう。庇護欲を煽る、とでもいうのだろうか。

「あぁ……今のアインズ様には触れることが出来ないなんて!この機会にご寵愛をいただいて、この身にアインズ様の御子を宿したいというのに……!くっ、このレベル差が憎いわ!!」

 クネクネと体を捩りながら、悶えるようにしてアルベドがそう言うと、シャルティアはギラリ、と瞳を怪しく光らせる。

「!!お、御子……っ!何て素晴らしい響きでありんすか……!」

 興奮が更に高まった二人を見て、他の守護者はドン引きである。

「……えーと、二人とも。デミウルゴスの話、聞いてたよね?あんたたちが今のアインズ様に触ったら洒落にならないみたいなんだからさ、今までの調子でアインズ様に迫らないでよ?あんたたちがそんなだから、アインズ様の傍仕えにデミウルゴスが選ばれたんだろうし」

 アウラは暴走する可能性がとても高い二人を見て、呆れたように大きく息を吐く。アウラのその言葉に、マーレは杖を抱えてコクコクと大きく頷いた。八肢刀の暗殺蟲と一緒にアルベドの暴走を止めた経験者のマーレが抱いている二人への不安は、かなり強かった。

「わかってるでありんすよ!妾かて、それくらいは弁えていんす」

 アウラの言葉にふて腐れたようにそう返すシャルティアだったが、アルベドは全く気にもしていない。それどころか。

「アインズ様……アインズ様……!あぁ、そのお体に触れないよう交わるにはどうしたら……!」

 ……思いっきり、悟の体を狙っていた。譫言のように呟かれたその言葉に、アルベド以外の守護者全員がその顔を青くした。

「コキュートス!アルベドの頭を冷やして!!このままだとアインズ様が危ない!」

「分カッタ。アルベド、冷静ニナレ!!」

 コキュートスは全力で冷気をアルベドに叩き付ける。すると、一気にアルベドの頭部周囲の温度が下がる。一瞬アルベドの頭部は凍り付いたが、すぐにその氷は四散した。アイテムによる冷気への耐性のせいだろうか。

「だ、大丈夫ですか?」

「……ええ」

「頭は冷えたでありんすか?」

「あら、私はいつも冷静よ。さぁ、アインズ様の望む装備を急ぎ探索するとしましょうか」

 アルベドのその言葉に、その場にいた階層守護者全員が心の中で『嘘つけ!!』と突っ込んでいたが、仕事モードに切り替わったアルベドの提案に従い人間の装備探索について話し合うことにした。




多分、守護者たちを始めとしたナザリックの面々は、アインズ様のお姿が何でも敬愛してると思うんだ。

7/1 誤字修正。報告ありがとうございます!わらわ、と読み仮名っぽく入ってたのを削除して妾、に修正済み。

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